アイドリッシュセブン 第16話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
突然の解散宣言により、漆黒の闇に叩き落とされたアイドリッシュセブン。世界を照らす七色の虹は、一体どこから生まれるのか。闇の中、自分の起源を手繰り寄せる旅が始まる。
初心に帰還し、その先へ。天を目指す七色の夢が、もう一度輝くために。
というわけで、解散宣言から再起動、JIMA優勝まで一気に駆け抜ける最終話一個前である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
アニナナを貫く精神至上のロマン主義が全開で駆動し、立ち直る理由、勝つ意味を鮮明に描くお話だった。
心を整え、自分をしっかり見据えていれば、叶わない夢などない。だがそれは、何より難しい。
アニナナのリアリズムは常にそういうルールでまとまっていたわけで、初心に帰る今回は、キャラクターが世界のルールを確認し直すエピソードだとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
ゼロアリーナが見える狭いサークルの中で、少年(+少女一人)はこれまでなかった組み合わせで語り合い、過去に帰還していく。
自分が何をしたかったのか。何と出会って、自分の心が『アイドル』へと動いたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
そういうゼロポイントを確認するシーンなのだが、同時にそこから変わったものも沢山確認されている。初心を洗い直すことは、そこから進んできた自分の即席と努力を確認することでもあるのだ。
様々な交流がなされているが、伊織が自分を隠してアイナナをプロデュースしていたこと、『アイドル』に初期衝動がなかったことを、しっかり言語化していたのはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
いや、正直スゲー引っかかってたんだよ、黒幕ムーブ。糸繰るなら繰るで、ちゃんと仲間に告げてからやりゃいいのに、と。
アニナナは自分の気持に覆いをかけて、真っ直ぐ向き合わない(向き合えない)間は、自体が好転しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
逆に言えば素直さは常に勝利を連れてくるので、これまで匂わされて明言されていなかった設定やドラマは、あの闇の中で一気に公開されていく。(ナギだけ別シーン、光の中での告白なのは面白い)
天と陸の兄弟も、ようやくお互いの目を見て話し合い、心にあった幻を追い出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
一足先に『アイドル』になった天は、歌い踊りファンに報いるプロとして、陸を認める。今の天にとって、兄弟愛よりもアイドル根性のほうが、上に置くべき価値観なのだろう。陸はようやく、その基準に合格した。
職業(プロフェッション)でしか繋がれない兄弟は、少し冷たく寂しい感じもある。だが一度離れ、壊れてしまった血縁関係を、そこから離れた『アイドル』で繋ぎ直す決断は、現実を見据えた立派なものだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
もう黄金時代は帰らない。でも、そこから始めればいいと、素直に思えたなら。
『アイドル』になったことで、陸は弱い体に振り回されるのではなく、ケアしつつ使いこなす方法を覚えた。兄の背中を見つめるだけでなく、それに並んで追い越す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
『アイドル』はそういう変化を、兄弟に連れてきてくれたわけだ。そういう強さを『アイドル』に込めたのは、凄く良いと思った。
『アイドル』全体の価値は龍之介が最高に巧くまとめていて、やはり信頼できる男だという思いを強くする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
十龍之介個人を超えて、TRIGGERの一人として、『アイドル』として輝ける。弱い自分を強がりで鎧って、より高みへと登り、連れていける。
求められる姿を演じることの意味。TRIGGERでいることの価値を、龍之介はしっかり自分のものにしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
それを、アイナナで一番言語化能力に欠けている環に託すのは、いい組み合わせだな、と思う。環は龍之介がたどり着いている領域から一番遠いが、だからこそ聞かせる意味がある。
環はいつか、龍之介があの夜に語ったことを、実感を込めて思い出すのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
自分と他人、世界との距離を適切に測って、求められるものとやりたいことのバランスを維持し、『アイドル』であることの意味を形にした男の言葉を、吟味する時が来るのだろうか。
いつか来てほしいな、と思う。
龍之介の言葉はグランドフィナーレに向けて、作品のテーマを事前に総括し、『このアニメはこういうアニメだったんだ』という感覚を先取りしてまとめる一手だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
おんなじ感じの先取りが、紡と楽との対話でも行われているのは面白かった。紡はTRIGGERがなぜ凄いか、どう強いかを、決戦の前に言語化する。
実際の戦いはこの後の17話で、分厚い描写を伴って描かれるだろう。その時、脇でベラベラ喋っては熱が逃げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
せっかく温度を上げまくっているのに、説明ゼリフはもったいないが、闘争の構図とその内実を言葉にして、視聴者と共有するのはとても大事だ。
なので、TRIGGERの凄みと強さ、アイナナとの距離感を事前に確認しておく会話が、暗闇の中仕込まれる。巧いなぁと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
それはTRIGGERの強さであり、それに追いつき乗り越えていく(だろう)アイナナの凄みでもある。ここで図式化しておくことで、最終決戦で何が乗り越えられたかはより鮮明になる。
それと同時に、ふにゃふにゃマネジが立派なアマゾネスに成長し、アイナナを導く勝利の女神になった変化も、しっかり見せていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
『アイドル』の可能性を至近距離で信じ、全力で戦える舞台を整え、支え導く。ステージアクターとは違う強さと冷静さが、紡の横顔にはあったと思う。
それが爽やかに描けているから、それをしっかり認められる楽の強さも判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
ライバルや仲間を反射板に使って、それぞれの成長と赤心を明らかにする狙いは、しっかり機能していた。それはアニナナ全体を貫く、大きな反射の構造だと思う。ライバルの使い方が上手い。
さて、かくしてゼロポイントの自分、そこから前に進んだ自分、それを取り巻く世界を確認したアイナナは、闇を抜けてホームに帰る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
自分たちの歌がどこから来たか、ナギの過去回想なんぞも交えつつ、オヤジとの最終面接である。TRIGGERも八乙女社長と、闇の圧迫面接に挑むわけだが。
ここでも『ゼロ』の巨大さがスケッチされていて、今後話しを転がすネタなんだろうなぁと思わされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
回想のナギ、どう考えても王子様であり、国一個捨ててエセ外人やってる裏には、色々あるんだろうなぁとも思う。ここら辺は保留のクエストかな。伏せ札まだまだあるなぁ…。
小鳥遊オヤジは、アイナナのコドモたちを『外』に連れ出し、夕暮れの中で過去の自分と出会わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
闇の中、TRIGGER交えて自分を確認した流れを引き継いで、しかし顔も名前もないモブもまた、『アイナナ』という特別な存在に繋がっていると示すのは、結構好みの運びだった。
顔が良くて、人気声優の声がついて、約束されたサクセスを昇る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
特別な『アイナナ』はしかし、なにも世界に特別に愛された特別な存在ではなく、努力と情熱によって自分を特別な存在にした。
特別ではない全ての存在が、特別になれるかもしれない希望に、ラスト一個前でちゃんと目を向けたのは良かった
ギター弾きのお兄ちゃんに目を向けることは、『アイナナ』が公演から輝くステージまで、自分を引き上げてきた歩みを確認することでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
努力し、傷つき、それでも歩いてきた自分を認め、愛すること。それが可能になるよう、支えてくれた人々への感謝を忘れないこと。
小鳥遊オヤジは、それを伝える
オヤジのメッセージを追いかけるように、ファンが『アイナナ』を見つける。身内で交流し、自分がどこから来てどこにいて、どこに向かっていくかを確認する優しい時間は終わって、ファンに理想の自分を届ける『アイドル』の時間が始まるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
Aパート終わりでパーソナルな時空間を切断する構成が良い。
ファンに向かい合うアイナナはとても自然で、心を喜ばせる言葉やふるまいに嘘はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
自分がなすべきこととやりたい事、他人が求めるものが一致した瞬間、未来へ突き抜けるパワーが生まれる。忙しさの中で見失っていたバランスを、少年たちは再獲得し、ファンと向き合う。勝てる…ぜってー勝てる!
自己、親しい他者、見知らぬ他者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
過去、現在、未来。
様々な人々、多層な時間との適切な距離を確認して、アイナナはステージに挑む。
花に満ちた控室は、心の力を取り戻した彼らがどれだけ人々に愛され、そんな自分を愛せるようになったかを巧く象徴している。
TRIGGERからの花束は、彼らが認めるアイナナのパワー、認めれるようになったTRIGGERのパワーを可視化していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
アイナナが夕日の中で、小鳥遊社長に背中を押されたように。TRIGGERもまた夜闇の中、自分を抑圧する『父』に反抗することで、新しい一歩を踏み出したのだ。花束はその証明なのだろう。
様々な色と香りが、その個性を失うことなく一つにまとまり、より強い魅力を発する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
花束は『虹』と同じように、アイナナの強さ、この作品のテーマとメッセージを凝縮したアイコンであろう。バラバラなものがまとまって、一処を目指すからこそ生まれる力。
そんな色彩と対比するかのように、名前のない胡蝶蘭がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
白紙だからこそ、みんなの願いを預けられる白い花。そこにそれぞれの気持ちを乗っけていくシーンは、アイナナが『勝つ』説得力をダメ押しで積み上げる、良い見せ場だった。
こういう熱量を、ポエジー交えて綺麗にまとめられるのは強い。
ここで一織が未来でも現在でも他者でもなく『過去の自分』からエールを送るのは、とてもいいな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
失敗や敗北、ズルさや嘘もひっくるめて存在している『今の自分』を肯定するためには、心残りとちゃんと向かい合うことが必要で。そういう強さを、ウロウロするうち一織は手に入れたわけだ。
それはもちろん『アイナナ』全体の強さだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
ヌルい初期衝動、相手のことを思いやれない弱さ、真実を隠すズルさ。薄暗い過去があってこそ、世界と自分に真正面から向き合える今、そこから伸びていく無限の未来がある。
そういう強さの魅せ方には、シンプルな毅さがあった。
こうして一話まるまる、成長と強さの確認に当てたエピソードは、当然の帰結として『勝つ』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
それは約束された勝利なのだが、辿り着くまでの道のりに手抜かりはない。ちゃんと迷わせ、苦しませ、必要な手順を積み上げて、さてクライマックスである。
何しろ話が終わるので、自分たちがどういう道を歩いてきたか確認するシーンが多く、とても見ごたえがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月19日
もう最後でも良いと思わせる盛り上がりだが、なんと後一話残っているのだ。ここまで『ゴール』と描かれてきたJIMAを超えて、さぁ虹の先へ。
最終回、とても楽しみである。