ルパン三世 PART5を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
死と陰謀を引き寄せる黒い手帖。計略によってそれを掴まされたルパンの脚は、一路パリへと進む。すれ違った人の情と死、熾火のように燃える劣情が、大泥棒の歯車を狂わせていく。
ギャングテイストを増していく黒革の手帖編、銃弾飛び交う第二話。
というわけで、油絵のような街を暴力が疾駆する、ルパン・ザ・ノワールなエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
黒革の手帖編は全体的にしっとりとした空気が心地よく、それを活かす演出も良い。ゲイ・セクシュアリティを巧妙に(そして誠実に)使うことで、少し変わった味も出ている。
お話としては、黒幕と対峙するためのモチベーションづくりが主眼。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
第3話で情け容赦のない殺しを見せたルパンだが、リタイアした工作員が陰謀に巻き込まれて死ぬ姿には、弔意と決意を見せる。
死ぬべきものと死ぬべきでないもの。その一線をしっかり引いているから、死地を日常にも出来る。
次元が注意するように、アルベールを前にしたルパンは『いつものルパン』らしくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
『若い頃みたいにアツくなってる』と言われるのは、普段は若くないしアツくもないからだ。アミに見せた『草臥れた犯罪王子』の表情は、PART5を貫通するデフォルトなのだろう。
シリーズを積み重ね、世界最高の大泥棒、犯罪のプロフェッショナルとなった『ルパン』。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
アルベールのハメ手と因縁、それによって生まれる死人は、そんな『ルパン』の歯車を狂わせるのに、十分な圧力を持っている。肉体戦でも知略戦でも、ガッツリ完全敗北するヒキがとってもいい感じだ。
ガッツンガッツン腹に銃弾ぶち込まれ、ねっとりと濃口の感情をやり取りするアクションシーンには、ちょっとセクシュアルな空気が漂う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
アルベールがゲイだと、殊更騒ぐこともなく流す態度も合わせて、危険なエロスへの目配せが、とてもうまい具合に使いこなされているのを感じる。
性の領域に接近すらしつつ、素直に視線を重ねられない錯綜した感情。愛の代わりに銃が出るしかない、犯罪者と司法の対峙。男と男の間にバチバチと行き交う、憎悪と嫉妬のコミュニケーション。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
その危うい芳香を胸いっぱいに吸い込めて、黒革の手帖編は非常に楽しい。次元もメラメラ悶えてるしな!
黒い手帖編の次元ちゃんは、減らず口多めの相棒ムーブが濃厚で、見ていて非常に面白い。過去に囚われ、自分の知らない男にスタイルを崩すルパンを見ていられない姿に、情愛と焦りがあって良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
ルパンも過去の男を詮索する次元ちゃんを袖にするし、すんごい面倒くさいことになってるな…好き…。
そんな二人を死地に追い込んでいく、黒革の手帖。派手な銃撃戦と生まれる死者が、その追跡戦のシビアさをしっかり教えてくれる展開であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
赤いトンファーガン使いは、外見と強さだけでキャラを立て仕事をしてあっという間に退場する、理想的な戦闘用ゲストだったなぁ。(NOVAモノの目線)
偽りの依頼で自分をハメ、付随被害を一切考えない。目的を遂行するために手段を選ばない、怜悧なる司法。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
銭形が背負う『善』ともまた違う、『悪を殺すための悪』を前に、ルパンの心は燃え上がる。大事なものを踏みつけにされても、それを言葉にはしない行動主義がいい感じ。
カミーユの素性を確認する手筋が、妙にIQ高くて好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
于武陵→井伏鱒二→寺山修司と、アジアの島国で繋がれてきた『サヨナラだけが人生だ』の系譜を、フランスの一捜査官は知らない…と踏んで、聖書風にアレンジして引っ掛ける。
込み入ってて面倒で、洒落が効いてる一手。
五右衛門が襲撃に出てこれない描写を挟むところといい、黒革の手帖編は犯罪者の仕事ぶりを、結構丁寧に泥臭く手順を踏んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
それは『現実に即している』という意味でのリアルではないけど、『現実っぽく見える』『僕らが見たいと思える』という意味でリアルで、確かな手触りがある。
その一手一手が積み重なって、黒革の手帖編(あるいがPART5)全体の味わいになるわけだから、凝った描写の蓄積は大事だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
単純に、色々キャラが転がる見せ場になって、見てて楽しいってのもあるけど。五右衛門とスマホと子供のコメディは、ペーソスがあって好きだなぁ。
そういう意味では、『ルパンがなぜ敗北したか』も丁寧に追ったわけだ。情愛にも似た黒い炎を、どうしても滾らされてしまう相手だから。完成された『ルパン』ではなくなってしまう強敵だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
今後ルパンは、若くて青臭い自分を乗り越え、『ルパン』を取り戻すかの戦いをすることにもなる。
アルベールの姓を考えると、次回のサブタイトルは意味深だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
捨てた”ルパン”とは、ルパン三世個人であり、アルセーヌ・ルパンから引き継がれた『ルパン』という称号、後継者を必要とするルパン犯罪帝国でもあるのだろう。
その因縁が、今回ルパンの歯車を狂わせた主因…なのかな?
チラ見せされている情報を見ると、次元は『今のルパン』に寄り添いつつ、『過去のルパン』に引っ張られるルパンを巡って、アルベールと戦う立場なんだな…完全に今カノVS元カノの修羅場だな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
そこに漂う感情を、ちゃんと見据えて濃く描いてるのはとても良い。好みの味付けです。
最強の戦闘兵器五右衛門ちゃんが、鉄火場に乱入するフラグも立ったし、次回以降闘争は更に加速するだろう。感情と感情が生み出す摩擦と火花は、燃え広がって過去を顕にするだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月22日
そこに漂う濃厚なドラマ。ハスキーな味わい。とても面白く、来週が待ち遠しいですね。