メガロボクスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
薄暗いバックヤードで振るわれた見えざる拳が、夢への道を閉ざす。
権力、ハッタリ、直談判。使えるものは何でも使う。本物だけが生き残るキャンバスに、己が信じたエースを立たせるために。
信念の空鉄砲は、果たして未来への祝砲となるか。緊迫の情報戦回。
というわけで、樹生のハメ手にチーム番外地がどう対応し、その周辺がどう反応するか。言葉と信念が唸りを上げる、アツい盤外戦である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
拳を交えるシーンは一切ないが、だからこそリングの唯一性、ボクサーの真実性が見えてきて、コーナーで見守る者たちがキャンバスに預ける想いを感じることが出来た
今回、身体を使って殴り合うボクサーは、ほとんど見せ場を貰えない。ただ黙々と鍛え、状況を見守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
最後の最後でジョーが駆け出し、熱い言葉の牙を突き立てることで状況は決定的になるが、それは彼の幼年期の終わりを意味するのかもしれない。
南部のオヤジに、お膳立てしてもらう時代の終わり。
これまで贋作はジョーの才能と身体を、キャンバスで行われる生存競争に勝ち残れる唯一の『本物』だと信じてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
リングに上がるものと、下で見守るもの。その役割分担ははっきりしていて、各々が持ち場で全力を尽くしてきた。
しかし、樹生の陰謀に対し、それでは追いつかない。
無論、贋作必死の情報収集と分析、一か八かのマジ交渉は大事だ。あそこで信念を見せなければ、ゆき子も再試合の決定は下さなかっただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
しかし今回、ジョーは自分の足で交渉に赴き、割符を勝ち取る。それはオヤジが背負ってくれてたリングの外側の戦いに、ジョーも乗り込むびょうしゃだ。
それはブラフも権力でのゴリ押しも余裕で使う、樹生と同じレイヤーにジョーが上がった、ということでもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
リングに上がる前に『階級』の差を乗り越えられないなら、試合自体が組まれない。興行の現実は、『男と男がシンプルに殴り合う』なんて理想で回っていない。そこにジョーは自分の足で乗る
ジョーの一歩は、彼自身の踏み込みであると同時に、みんなで整えた道筋だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
何かと贋作の本気を値踏みする権藤が、不屈のハッタリを確認して差し出した情報。そんな権藤の威圧に屈せず、己を見せたサチオの気概。贋作の直談判と、密室の中でそれを受けたゆき子。
様々な人の想いに舗装され、野良犬の脚がレッドカーペットにかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
ピュアな拳闘少年が、『持つもの』の領域に、有り金全部つぎ込んで踏み込む。贋作と同じような、向こう見ずなギャンブラーの気質を見せる。
ボクサーとしての技術や身体とは、また違う『修行』のエピソードだったのかな、と思った。
樹生もまた、彼なりのチップをエースに全額乗っけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
自分の矜持と思いをすべて注ぎ込み、手ずから仕上げたAIボクシング。ゆき子との政治闘争に破れ、『次世代型』の輝かしい栄光から遠ざけられた夢。
リングに上がる前に勝負がついてしまったのは、実は野良犬も御曹司も同じである。
ユーリをぶちのめし、『妹の一体型』よりも『俺のAIボクシング』が上だと証明する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
そのための舞台に上がるためなら、どんな手段でも使う。そのガムシャラさは、チーム番外地と通じるものがある。
彼もまた、拳で掴みたい、拳でなければ掴めない『あした』を夢見ているのだ。
しかしそこで、権力という空拳を振るい、殴りッコで優劣つける前に勝負を終わらせる選択肢を、樹生は選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
勝ちたいのはあくまで権力闘争であって、拳の闘いではない。ボクシングを何かの道具と見ている上の空は、やっぱり少し不実に映る。
そのすれ違いが、結構好きではあるが。
ユーリと樹生の対話シーンでは、犬がずっと吠えている。首輪をつけられたユーリには、ジョーのようにバイクで乗り込む自由はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
だから代わりに、銀色のウルフドッグが本音で吠える。ユーリ、相当樹生が嫌いなんだろうなぁ、と思わせる塩対応であった。
ゆき子の飼い犬として、また一体型ギアに身体を預けたサイボーグとして、ユーリも『純粋なボクサー』ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
経済に翻弄されるジョーm含め、どこにも『純粋なボクサー』などいないからこそ、拳と拳がすべてを決めるシンプルなリング、そこで証明される『本物』だけは、何よりも大事にしたい。
そんなユーリにとって、リングに不純物を持ち込む樹生は毛並みを逆立たせ、吠えたくなる異物なのだろう。大企業の鎖で自分を縛り付ける主人の代わりに、銀狼が吠える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
このアニメらしいクッションの聞かせ方で、なかなか面白い感情表現だった。
ユーリが無言で信頼と身体を預ける、ゆき子という女。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
彼女もまた、メガロボクスに『何か』を夢見て、メガロニアを持ち上げてきた。彼女がリングに賭ける『あした』がどんな形かはまだ見えないが、しかし言葉と信念で殴り合うタフさ、真の強さがあることは、今回良く見える。
贋作との交渉戦をクール&タフに凌ぎきり、女帝の貫禄でチケットを割る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
今回のゆき子は、ただの金満女ではない『熱さ』を見せた。拳と拳がぶつかり生まれる火花が、さらけ出す真実。ボクシングの可能性を信じる、鋼鉄の女の姿も、やっぱり番外地の連中に似ている。
キャラクターレベルの類似点は、『ボクシング』というテーマ、『身体の真実性』という作品のコアに、しっかり密接している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
立場も求めるものも違えど、作品の真ん中にあるものを全キャラクターがしっかり睨んでいると見せられると、熱量と勢いが出てくる。
このアニメは『ボクシング』のアニメなのだ
樹生が盤外線で不戦勝を勝ち取ろうとしたのも、殴り合いでは100%の勝利が掴めないと踏んだだからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
『ギアレス』という弱者の戦術が、己の身体を歯車として組み込む『AIボクシング』の天敵となる。『持つもの』と『持たざるもの』がひっくり返るこの構図は、なかなか興奮する。
その上で、『AIボクシングは、ギアレスに反応できない』という公開情報、もう一回ひっくり返されそうな気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
泥臭く汗まみれになって、AIギアに己を噛み合わそうとする樹生。そこにはサンドバックを叩き続けるジョーと同じく、ボクシングに祈りを捧げる愚直さがある。
ACE5はなんらか、『ギアレス』への対策を積んでいて、それをジョーがさらに乗り越えることで決着がつくのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
そんな先走りの予測を立ててしまう情報が、随所に盛り込まれている回だった。樹生は樹生なりに必死だと解ったのは、とても良い。顔の良い必死ボーイだーい好き。
他にも南部のオッサンが、金属のテーブルをへこませる程のパンチを持ってたり、悪党の厳しさを失わないままチーム番外地をサポートする権藤さんであったり、色んなキャラが光る回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
ふてぶてしく座り込み、取材拒否のバリケードを貼る悪童達が、頼もしくてよかった。
各キャラを光らせる描写が引き継がれ、信念のこもった言葉を生み出す。それが状況を先に進め、新たな光景が見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
様々な人の熱気がギラリと見える、良い盤外戦でした。ゴングがなっちゃうと、どうしても主役はボクサーになるので、ここでリング下を掘り下げるのはグッドだと思います。
そしてメガロボクスが『ボクシング』のアニメである以上、決着は拳でつく。つかなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月25日
チームで勝ち取った招待状を握りしめ、遂にたどり着いたリング。拳が真実を証明する場所で、いかなる審判が下されるのか。樹生の魂は、どんな色をしているか。
来週も楽しみですね。