メガロボクスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
五枚目のエースは、Jを知り尽くしてる。
AIボクシングの歯車と化した己を、むしろ誇るにように叩き込まれる拳。つけ込みたかった隙を埋めた樹生を前に、ジョーの拳がだらりと落ちる。
精密機械の歯車を、野良犬の執念で狂わしていく。
最後の博打、右か、左か。
そんな感じの、樹生戦決着である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
冒頭第2ラウンドまで一気に飛ばし、樹生の葛藤と執念を濃い目にやったのは、とても良い判断だと思った。
試合経過をリアルタイムで追うより、そこに流れる感情の重たさと変動を見つめる。その割り切りが、濃厚な視聴体験を生む。
こちらの期待通り、樹生もまたリングに賭け、己に賭け、エースに賭けていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
AIの見つめる世界は、人間には高度すぎる。心にも体にも負荷をかけるAIボクシングの歯車となるべく、樹生は鍛錬を積み重ね、ドーピングに頼る。権力、財力以外にも、使えるものは何でも使う。
樹生が今回負けたのは、歯車の一部として、機械に身を任せて戦ったから…ではない気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
AIと心中する決意、人間のセコンドに心を預けない孤独。チーム番外地とは違う戦い方ながら、それは魂の込もった一つのスタイルだ。
だが、樹生はそのスタイルに全てを賭けきれなかったのではないか。
ジョーが見せたノーガード戦法に戸惑い、腰の引けた拳を繰り返すエース。その戸惑いすらも己なのだと、人機一体の境地にまでたどり着けなかったことが、最後の最後で勝負を分けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
ジョーは贋作との鍛錬が、己に染み込むまで愚直に繰り返す。その結果が、トリプルクロスを打ち破るアッパーだ。
ノーガード戦法自体が、勝ちをもぎ取る有効打なのではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
あくまでハッタリ。南部贋作仕込みの、命を乗っけたイカサマだ。最後の最後で背中にいる仲間を信じたジョーと、エースに全てを賭けきれなかった樹生。
その違いが、最後の一発に繋がったと思う。
マウスピースを洗い、体を冷やし、戦術を考える。チーム番外地は一人では戦わないし、一人で戦わせもしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
なにもないからこそ、手を繋いで立ち向かうしかない貧者に対し、樹生は誰も頼らない。セコンドの具申を跳ね除け、癒やされるべき傷も負わない。
それは白都を掴みそこね、何も信じられなくなる中で、ただ物言わぬエースに己を委ねた結果、生まれた孤独だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
完璧に相手を読み切り、最適にディフェンスする。AIボクシングに守られた結果、樹生は極端にタフネスのない、孤独な戦士になってしまった。
その男が、最後の最後で迷った。
ならば負けは必然であるし、ジョーが博打で引かなかったのは、チームと真実、心が繋がっていたからでもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
執念とタフネスという、ジョー個人の強みだけでなく、持たぬがゆえの強さが勝因となる試合だった。ジョーに期待を寄せる人々の肖像も、こまめに切り取られていたし。
そんな樹生の敗北を見てゆき子は後悔し、ユーリはその高慢を指摘する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
一体型ギアに組み込まれつつ、猛犬の牙を失わない男は、自分を付け狙う樹生と魂を触れ合わせて、そこにボクサーの熱量を感じ取っていたのかもしれない。
実際にリングに立ち、傷つくもののみが持ち得る、不可思議な共感。
それはジョーとユーリを繋いでいるし、ジョーと樹生も繋いだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
『オマエの勝ちだ…』と敗北を認め、体が勝手に動くボクサーのサガを相手に見る。いろいろ盤外戦で荒れた試合だったが、最後は身体性のある爽やかな決着となった。とても良かった。
ユーリが力石顔でギラギラ滾るシーンは、決戦に向けての期待を高めてくれて素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
それは樹生のAIボクシングが、生身の痛みと熱量をちゃんと宿していたから、生まれた滾りな気もする。
スタイルは違えど、敬意はある。その上でぶちのめす。野蛮で高貴な男主義。
それが炸裂するのは先の話として、ジョーのむき出しの戦いは同じ『持たざるもの』を引きつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
番外地には仲間が集い、ざわざわと騒がしい。露骨にちば先生と高森先生モチーフのおっさんジイさんがいたのが、ちょっと面白いクスグリだった。
ジョーが喧騒から距離を取りつつ、満更でもなさそうな描写が良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
イカサマ名無しののジャンクドッグは、自分の拳で他人の心を動かし、居場所を手に入れつつある。野蛮な残酷ショーは、凄く人間らしい温もりを引きつけもする。
そういう裏腹な暖かさの後に、冷たいイカサマが来る。
権藤と南部が何を隠しているか。『賽は投げられた』とうそぶく次回明らかになるのだろうが、権藤が南部を『蠍』と見続けているのは、面白い視座だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
カエルの背中に乗って川を渡り、共存共栄の明るい未来を目指そうとしても、己の自然が吠えて毒を突き立ててしまうサソリとカエルの寓話。
贋作譲りのハッタリとボクシングで勝ちを掴んだジョーに、南部はイカサマという毒を流し込むことになるのか。はたまた、『蠍』の本性を乗り越えるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
メガロボクス本戦へ歩を進め、いよいよ加速する物語。傷つきながら前へ進む男たちの、明日はどっちだ。
来週も楽しみですね。