BEATLESSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
レイシアの手を離し、己のしたいことを求めるアラトの前に、少女たちが手を差し伸べる。三鷹で展開するアンドロイド・アポカリプスと、甘酸っぱい青春絵巻の並走は、少年の決断で融合を始める。
主人公が一旦迷走して、自分のクエストとモチベーションを確認する回。
というわけで、女の子の手を離したら女の子が優しくしてくれる回である。どんだけギャルゲ気質なのアラトさん…そういう温まったいところが好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
三鷹はキモい花びらに寄生されたキモい電脳ゾンビが、悪知恵働かせて大虐殺祭り…しかし、そんな事態をひっくり返せるのはギャルゲ主人公だけなのだが。
やっぱスノウドロップのハッキングユニットには、良い感じの異化作用があるというか。起きてることは残虐極まるのに、カラフルなお花が咲き乱れてて、でもそのお花はキモく自走し、寄生し、世界を発狂させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
進化をアウトソースされて、人間を排除することでその責務を果たそうとしてる異物への嫌悪
それが巧いこと視覚化されてるなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
スノウドロップは紅霞ちゃんよりはアナログハックが巧く、『人間』を殺すことで兵士が受ける心理衝撃を戦術に組み込みつつ、歩兵どうしのぶつかり合いを制圧している。
そういう計算力が、一切協調や対話に使われない所が、彼女の厄介なところだ。
人間が生み出した、人間の手に負えない技術が溢れ出し、危機をもたらす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
ミームフレームの謝罪会見といい、三鷹・オブ・ザ・デッドは人類史で幾度も繰り返されてきた『機械の叛逆』、その最新フォルムだ。
超高度AIやhIEという道具立ては目新しいが、テクノロジーと制御の問題は、古くて根が深い。
火や言葉を手に入れた頃から、技術のあるべき姿と、実際にある姿は回知りし続けてきた。言葉は言いたいことを伝えてくれず、火は制御を離れて勝手に燃えるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
レイシアが濫用してた金融工学は、核兵器より新しい『人に過ぎたる、人から生まれたもの』と言える。『プロメテウスの火』の最新版だな。
人間が技術を持って環境と己を変質させ、生存していく存在である以上、技術をどう制御するかは常に重要だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
レイシアが散々『未来のデザイン』を問うてきたのは、この古くて新しい問題をアラト(を通じて読者)に考え、自分に統御系を与えてほしかったからだと思う。
そんな問いかけに答えるべく、アラトはチョロチョロと迷う。生身の女の子にもモリモリアナログハックされ、友達の妹と自分の妹に背中を押され、結局自分の後悔をチャリンコで乗り越える道に踏み出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
リョウの凶暴な純愛も、まったく報われねーなマジ。
アラトさんは『するべきこと』をほぼ無視して、『したいこと』に帰還する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
ミームフレームの子として背負った責務と、一少女としての恋心のバランスを取って、アラトに口づけした紫織とは、似て非なる道を選び取ったわけだ。ほんま可愛い顔して野蛮やで…。
紫織との会話は、外部とのかかわり合いで生まれる『するべきこと』が偽物で、自分との対話で見えてくる『したいこと』が本物という、シンプルな二分法を拒絶する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
責務と願望、その両方のバランスを取り、両方実現可能な道を探ることが
人間には可能だ。少なくとも、紫織はそうあろうとした。
会社の長い腕も、レイシア級の暴力も奪われてしまった紫織は、自分の『するべきこと』をアラトに預けることしか出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
そのアウトソースを卑怯だと感じることも、重い信頼だと受け止めることも可能だろう。アラトさんそういう公意識パープーなんで、身近な人に背負わされたほうが良いと思うけど。
レイシアがヒロイン力高すぎて、最初から負け戦を走らされた紫織は、あらとの悩みに筋道を付け、せめてもの名残で口づけをして、物分かりよく背中を押す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
なかなか悲しい立ち回りであるが、アラト(つまり彼を主役とする物語)の混乱を収めるためには、必要な立ち回り、必要な立ち位置ではある。
リョウとの対立が解消するのはまだ先だし、ケンゴはブタ箱の中だし、レイシアに頼ったら意味ないし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
『するべきこと』の意味を思い出させるのは、紫織しかいないんだよなぁ…骨の髄までhIEキチ、惚れた相手が悪かったね紫織ちゃん…。
紫織が『するべきこと』を思い出させる役なら、ユカは『したいこと』に目を向けさせる役だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
兄弟揃って能天気、戒厳令下なのにチャリンコ。緊迫したシリアスな状況でも、どっか『抜き』を作ってくるBEATLESSの語り口が、僕は結構好きである。シリアス一色で塗らないのが、逆にリアルと言うか。
ユカは家族として、兄がレイシアにベタぼれな事実とか、そのチョロさが自分を助けてくれたこととか、色々教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
ガラス細工の日常に溺れながら共有していた、ヌルいギャルゲー時空。『現実』に経済と暴力でフィルタをかけた都合のいい夢は、しかし真実楽しいものだった。
その夢を裏切らないように、アラトはチャリンコ漕いで鉄火場に突き進んでいく。推進力は自分の意志…と嘯いているものの、色んな女の子に受けたアナログハックで方向づけされた、主体の曖昧な道だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
しかしそれ以外の道が、人に用意されているのだろうか?
アラトは一回レイシアの手を離して、一話迷ってあるき直すことで、アナログハックされる自分、チョロい自分を開き直った感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
自由意志のありか、あるはその在と不在という超ややこしい問題を軽率に蹴り飛ばして、好きな女の子に猛ダッシュすると決める。世界全部の敵になっても構わない。
アホである。バカである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
しかしそんな軽率な盲目以外にボーイ・ミーツ・ガールを引っ張るエンジンはないし、アホだバカだと罵る僕も、環境や他者との相互作用の中でアナログハックされた結果を、自分の決断だと思い込みながら日々を生きている。
誰かの言葉や決断、倫理や欲望にふれあいつつ、『わたし』の根幹がどこにあるのか常に迷いつつ、ドーナツの穴はちゃんとあるのだと言い聞かせながら、なんとか前に進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
アラトの狂った行動は、僕には『人間らしく』みえた。世界が背中に乗っかってるとはいえ、僕らと共通する部分もあるでしょと。
レイシア。40番目の超高度AI、解き放たれたプロメテウスの手を取ることは、核兵器の発射ボタンを握るより重たく、『人間』のかたちを根本的に変えてしまいかねない決断だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
アラトはその重さを、あえて背負わない。バカには判りきれないと開き直って、胸で疼く恋心に素直に爆走し、スイッチを押す。
その行為の重さは、レイシアの手を取り三鷹の地獄に飛び込んだ後に見えてくるだろう。スノウドロップの軍勢が目指す先に、何が封じられているかも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
なかなか面白い状況だが、制作状況はそれを見切れるか、さっぱり安心させてくれない。つうか、多分無理だ。残念無念である。
しかしまぁ、嘆いた所でしようがないので、今は展開される物語を楽しみに待ちたい。この開き直りも、どっかアラトと通じるものがあるような気がする…というのは、作品にアナログハックされ過ぎの贔屓目であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月11日
それでも、僕はこの物語が楽しいし、次回が楽しみなのだ。さーて、どうなるかな。