ウマ娘を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
夢のその先へ、物語の果てを越えて。
長かったストーリーに幕を下ろす最終回、ウィンタードリームトロフィー。18頭の馬が、少女が、輝ける星が笑顔で日常を送り、疾風と化して駆け抜けていく。
番外の位置付けを活かし、今まで描けなかったことを書くことで作品を完成させる最終回。
というわけで、スペちゃんを主役にした物語が先週でキレイに終わってさて何やんの、と思っていたが、WDTを描く最終回となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
ウマ娘は”走る”生き物なわけで、最後の最後までしっかり”走ら”せたのは信念があって良い。その前段階も、レース自体も、どっしりと進める運びも良い。
決着は視聴者の夢に預ける形となったが、出走18頭全てが伝説であり、勝ち負け付けてしまえばどうやっても角が立つ以上、これがベストなゴールだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
というか、視聴者に夢を見る余地を残すべく、あえて選び取った勝敗不明なのかもしれない。
このアニメはスペシャルウィークをしっかり主役に据え、スズカが圧倒的な”走り”を見せてスペを引っ張る構図から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
故障によりスズカは後ろに下がり、スペも自分を見失うが、トレーナーやライバル、仲間、そして”走り”自体の手助けにより、あるべき”走り”を思い出してゴールまで激走する物語だ。
主役をしっかりと定め、それ以外のキャラクターの出番は抑える。物語のピントをはっきりさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
これが徹底していたからこそ、スポーツとしての競馬、自己探求としてのトレーニングが物語の背骨となり、ただ擬人化キャラを愛でるのでは終わらない、手応えのある物語が展開していた。
それは同時に、スペスズ以外のキャラにワリを食わせることでもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
ふたりの旅路に一つの答えが出た”後”のエクストラ・ラウンドは、非常に横幅の広い描写が積み重なる。
ゴルシくんは最古参の意外な顔を見せ、ウォッカとダスカは一生イチャコラ喧嘩し、テイオーは可愛く、マックも可愛い。
多分スタッフは、可能であれば全てのウマ娘の物語を書きたいのだと思う。競馬という、欲とロマンが注ぎ込まれる原作は、筋書きがない真剣勝負だからこそのドラマに満ちた、満天の星空だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
可能ならば、星空全部を描ききりたい。一つ一つの星座の神話を、自分の筆で描きたい。
しかし無限に尺があるでなし、満天の星空は見つめるには広すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
アニメウマ娘は、スピカという星を書く。スズカとスペの神話を書く。
そう思い切ったからこそ、このアニメは視聴者(というか僕)を引きつける確かな手触りと、感情を揺さぶるドラマを持ち得たのだ。
それでも、やっぱみんな可愛い。
ので、一話余らせて最後にドカーンと全部やるぞ! っつーのが、今回のお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
ウマ娘は”走る”動物だが、同時に豊かな感情と尊い関係をもったキャラクターでもあるので、肩の力を抜いた日常の描写がモリモリ積み重なる。ゴルマック派としては、芦毛二頭がキャッキャしてて最高でした。
スペスズも星の一人として良い描写をもらっていて、『好きだからこそ勝つ!』という境地を見せてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
過剰にもたれかかっていたリハビリ時代が嘘のようだが、それもあの走り、あの会話があってこそだ。グラスとの有馬記念の激闘はフルで見たかったが、まぁしょうがねぇ。
思い返してみると、スペスズトレーナー、三人の主役が物語の中で変化していくアニメだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
田舎から出てきて勝負に飛び込み、勝ちの喜びと負けの悔しさ、憧れという罠と夢の輝きを疾走していったスペ。
冷たさを伴った美しさが一度壊れ、そこから復帰して悪戯な顔も見せるようになったスズカ。
そして彼女たちを支え道を示しつつ、彼女たちに道を示され前に進んだトレーナーさん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
ゴール前スピカメンバーを呼ぶ時の血の滲むような演技が最高でしたが、彼もまた、ウマ娘とは違うターフを人間の歩幅で走りつつ、ジワジワと変わっていった。
擬人化娘山盛りコンテンツとしては、トレーナーさんは異常なほど目立っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
それは、”走る”ウマ娘には表現できないものを背負わせ、物語に織り込むためだったと思う。
ウマ娘の疾走を見て、ターフ外から夢を託す存在…競馬ファンの理想化された擬人が、トレーナーさんなのではないか。
最高の馬に、好きに走ってほしい。”走る”時も、そうでないときも、魅力的に輝くそれぞれの個性を暴れ回らせて、自由に羽ばたいて欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
トレーナーさんの”放任主義”は、あまりにも馬が好きすぎてその走り方に口出しできない、競馬を愛する人達のイズムな気がする。
あらゆる馬を愛するトレーナーさんは、勝ちは見たいが負けは見たくない。しかし勝負は”負け”あっての勝負であり、辛くても見届けるのが”勝負”で生まれる輝きに魅せられたもの、最低限の責務だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
だから、トレーナーさんは愛馬が負ける瞬間から愛ゆえに目を背け、夢だから見つめ直す。
あの裏腹な姿勢は、競馬が好きで好きでたまらない、あまりにもピュアなウマキチが擬人化された、もう一人の”ウマ娘”だったんじゃないかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
”走る”馬だけでなく、”見る””乗る””育てる”人間もひっくるめて、自分たちがテーマに選んだ”競馬”だから。人の気持ちはトレーナーに託す。
ここで巧いのは、感情に流され気味なトレーナーさんを補助するように、冷静で高貴なオハナさんが配置されていることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
責務を理解し、それにまっすぐ答える。最高のウマ娘に最高の走りをさせるために、あえて口を出す。自分が気づいていない輝きを引き出す。
オハナさんの育成姿勢はトレーナーさんとは真逆だが、どちらも正しい。溢れ出る愛に押し流されるのも、それを制御しときに冷たい印象を与えるのも、どっちも誠実な態度だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
でも、人はどちらかを選ぶ。だから、トレーナーは二人必要で、チームも二つ必要だったのだろう。
リギルの描き方も、主役チームとは別の哲学で育成されつつ、しっかり結果を出し、片手を繋ぎつつももう一方の手で殴り合える、良いライバルだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
彼女たちがいたからこそ、ウマ娘のアニメは面白かった。EX回でたっぷり出番を用意してくれて、とても嬉しかった。
横幅広めの描写をやりつつ、作品のテーマやリフレインされるモチーフをしっかり入れ込んでくるのも、エモさが爆発して素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
スペと同じように、トレーナーさんもスズカの背中に夢を見た。それに引き寄せられて与えた助言が、スズカの心に鞭を入れた。物語は全て、同じ場所から始まったのだ
本編に忙しい間は見せられなかったスピカ・ゼロをやったり、ボテ腹芸や寝言芸で一笑い取ったり、色んな楽しさが詰まった回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
『走り切るぞ!』という気概、自分たちの作品への敬愛を強く感じる最終レースは、ライブシーンもどっしり描き、世紀の珍曲にして名曲『うまぴょい伝説』で終わる。
良い最終回であり、良いアニメだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
”走る”動物としての馬、彼ら彼女たちの筋書きのないドラマをどう尊重し、擬人化し、アニメにしていくかを、必死に考えて作られていた。
何を中心に据え、何を描くべきではないか、果敢な選択が結果につながるアニメだった。
息吹や足音、風切りの音。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
音響が凄くいい仕事をして、”走り”に臨場感を与えていた。
ウマ娘は”走る”んだという、作品のど真ん中をアクションでしっかり伝えられたからこそ、”走り”が惹きつける感情の濃度、達成感、敗北の悔しさが理解できた。
真剣に”走る”彼女たちを見つめる、走らない人達の表情が良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
二つの哲学でウマ娘を導く、二人のトレーナーは勿論のことだ。しかし名前もないファンの描写が多めで、あの世界がウマ娘をどれだけ愛し、ウマ娘がどれだけ夢を与えているかしっかり見えたのは、本当に良いことだった。
真剣に走るシーンを大事にしつつ、可愛さや笑いで張り詰めた空気を抜き、”走る”だけじゃない喜びを大事に進めてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
キャラ萌え要素も笑いも全体的に上品で、油っこくなかったのは本当に良い。人数が多いのもあって、テンポ良くさらっと見せる運びがリズムを生んでいて、見ていてとても楽しかった
原作を尊重しつつ、自分たちの物語を紡ぐことを恐れないアニメだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
スズカの生存という最大の嘘(優しい夢でもある)が目立つが、『擬人化された名馬が一同に介したら、こんな交流をするんだろうな』というキャラクター方面の想像力も、面白く力強いものだった。みんな可愛かった。
勝つこと、負けること、その先にあること。ゴールすること、ゴールしても名緒走り切ること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
スペとスズカの関係を軸に、”勝負”の重たさ熱さをど真ん中で受け止めるアニメだった。苦い涙もちゃんと書いて、そこに込められた意味をキャラと一緒に探してくれた。
女の子たちが個性的で、生き生きとしていた。オタクに消化しやすい”萌え”で彩ることで、原作のお馬さんにファンが見た魅力が伝わりやすくなっていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
僕ぶっちゃけ、本編よりも生馬映像見てたシーンのほうが多いと思う。お馬さんは凄いなぁ…あんなに筋肉なのにとってもキレイだ…。
人間を弾き飛ばし、車並みの速度で走る。別種の動物としての”ウマ娘”をちゃんと描いて、それを受け入れる社会を丁寧に掘り下げてた(が、話を壊すほど語りすぎない)のも良かった。耳と尻尾をチャームポイントとして使い切る萌え表現、凄いよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
あとお母ちゃんは偉い。歴史の教科書に載るくらい偉い
”走り”を真面目に書ききることで、そこから生まれる感情の濃さ、それをエンジンに加速する関係性がパワフルに描かれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
スペとスズカという二つ星以外にも、グラスとかエルとか、トレーナーさんとか。溢れ出る想いの熱量が、こっちの心を焼いてくるシーンが満載で、凄く面白かった。
正直『まーた擬人化かよ』と思って見始めましたが、彼女たちの疾走はあまりに本物で、そういう斜に構えた姿勢を正面からぶっ飛ばしてくれました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月18日
褒める所が山ほどある、凄く楽しく、尊敬できて、好きになれるアニメです。
ウマ娘、いいアニメでした。
ありがとう、本当に面白かったです。