アイカツフレンズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
祝福の汽笛が鳴り響き、運命は動き出した。しかし湊みおは未だ停滞の中にいた。言いたいことが、言葉にならないもどかしさにさいなまれつつ、一歩、また一歩。少女の青春がゆっくりと動き出す。
食事をなかだちに、みおが親友とその家族との距離を詰めていく回。
というわけでアクセルベタ踏み真っ向勝負、女と女の関係性アニメも1クールを完走である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
ここ最近はみお主観での物語が続いていて、あいねは愛おしくも不可思議なミステリーとして、近づいては離れ、追っては逃げる。そういうままならなさを、みおが乗り越えて成長していく話である。
ご家族に正式な紹介を果たした今回、"フレンズ"が恋愛の文法を借りていることは確実に明白になったが、しかしロマンスだけで物語が回っているわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
というよりもむしろ、未熟で意気地なしなみおちゃんを真ん中に据えることで、非常に地道な成長物語としての顔が強くなってきた感じもある。
今回のお話は凄くたくさんのことに、みおが気づいていく物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
カフェでの仕事。ファンとのダイレクトな交流。賑やかな食卓。家族とのふれあい。
クールでプロフェッショナルな湊みおが知らなかったことに、あいねが窓となって出会っていく。そのことで、みおは自分を変えていく。
それは恋愛の文法というよりは児童の文法で、非常に正しく女児アニだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
あいね主観だった序盤はパーフェクト・アイドルにみえたみおは、その実当たり前の女の子として弱さや脆さ、未知や不安があった。トンチキで面白い部分も、未熟で欠けた部分もあった。
それが、交友関係が極端に広いあいねと出会ったことで変わっていく。あいね自身への激烈な感情も大事だが、あいねが持っているコネクションがみおに近接することで、凄く大事な変化がみおに起きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
今回で言えば、あいねを通じてカフェの仕事をして、そこでファンの言葉を直接受け取る。
ダイレクトに思いを伝えられることは、嬉しいことだ。言われなければ、思いは伝わらないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
それをみおが学ぶのは、"フレンズ"であるあいねからではない。あいねがいなければ生まれなかった出会いだけども、あいねだけがみおの手に入れた新しい世界、その全てではけしてないのだ。
"クールなプロフェッショナルアイドル"という、一つの窓口・一つの人格しか持っていなかったみおは、あいねにビビッときて猛烈に惹きつけられることで、全く別の世界、そこに反射する全く別の自分と出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
こういう人格的成長の描写は、非常に普遍的で力強いと思う。
二人だけの寝室で、自分の起源を語り合う。お泊りシーンもロマンスというよりは友情物語の匂いが強く漂っていて、独特の爽やかな強さがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
ちょっとへにゃっとした作画が巧く噛み合って、パジャマの二人はとても幼く見える。無邪気で、可能性に満ちている。
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トップアイドルとして、大人びていることを先んじて選び取ってしまった湊みお。彼女はあいねと特別な時間を共有することで、年相応の子供に戻り、友情を再獲得していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
そこを掘り下げようとするこのアニメの筆は、恋人に似て恋人ではない"フレンズ"を結構真面目に描こうとしていると思う。
みおは"フレンズ"を通じて、メッセージを恥ずかしがらず明瞭に発する意味、食事を供する意味、身内として受け入れてもらう意味を学んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
"フレンズ"には、そういうモノを知らなかった子供にそれを教えるパワーが有る。ならば、それはとてもありふれていて特別な、大事な概念だ。
家族とも、恋人とも、親友とも、ユニットとも似ていて、そのどれでもない"フレンズ"
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
ちょっとル=グィンのジェンダーSFにおける"性"みたいな、ワンダーのある観念だと思う。それでしか捉えられないものは、今まさに成長のど真ん中にいる少女に、たくさんのものを与えてくれる。
そういうスタンダードでディープなものに、フレンズは取り組もうとしてますよ、というサインを、今回の話しからは貰った気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
個人的にはやっぱ、エピソードの中で"食事"が大事な仕事してたのが、作品から普遍性を感じる足場になってる。メシは心と命の養い、人間全てに共通するものだ。
トマトをメディアにして、あいねはみおを"家業"に誘う。そうやって作った食事はファンを繋ぎ、友希家の食卓に並んであいねを"家"に向かい入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
クソ真面目な『娘さんとは結婚を前提に!』ムーブだが、あの世界のフレンズはみんなああいう立ち回りなのだろうか。社会保障とかどうなってるのか。
友希家は愉快でキャラが立っているので、細かいクスグリで空気を明るく軽くしてくれていたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
お兄ちゃんのぶっちぎりシスコンっぷりは、北王子家、あるいは香澄家の系譜を少し感じたかな…妹が好きすぎて気持ちが悪い兄貴は、アイカツ名物なのか…?
さておき、横幅広い成長を扱いつつ、同時にみおちゃんはあいねまっしぐらである。縦に深い濃厚な感情も逃さない…というかメインはそっちな所が、作品のエンジンにニトロを積んで、思いっきり加速させてる感じはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
つーか予行練習やめろマジ! きっちりやりきるのがみおらしさだとは思うけど。
作画はちょっとヘニャったけども、二人の距離感が"家"に入る前後で如実に違ったり。『素直でよろしい!』がキャッチボールされていたり、細かい演出で間合いを見せる手腕は力強かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
こうやってだんだん硬さが取れて、それでも出会った瞬間のトキメキを忘れなければ、"フレンズ"は永遠なのだろう
そんな二人の変化を、たまきさんと千春さんの大人チームがしっかり後方から見張り、児童として、そして"アイドル"としての成長に繋げようとしてる描写も、抜け目なく入っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
たまきさんはマネジとして野心がしっかりあるのが、頼もしくていい。ただのイイお姉さんで終わらない感じ。
冒頭、お互いそっぽを向いていた二羽の翡翠は、紆余曲折を経てステージで弾けたみおを写した後、仲睦まじくお互いを見つめ合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
頑なさと不安に支配されていたみおはようやく、友達や色んな人がいる世界の飛び方を学びだし、あいねに並びだしたのだ。
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大喧嘩したわけじゃないけど、"フレンズ"として肩を並べるにはなにかが足りない。そんなあいねとみおが、"家"を通じて距離を詰め、思いを共有して同じ方向を向くまでの、小さな一歩の物語でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
前回みたいな劇的なロマンスもいいけど、今回のじわっとした成長もとても良いな。
まぁ"じわっと"と評するには、"フレンズ"を描くロマンスの筆はあまりに濃厚なのだが。告白からエンゲージ、家族と時間を共有して正式な紹介、初の同衾まで一気に爆走されると、『恋じゃないから!』とか言われてもまぁ欺瞞っすよ欺瞞。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
恋愛の文法は、フレンズを支える背骨ではあります確実に。
重要なのは、それを借りてきて何を描くかって話であり、恋が持ってるパワーを特別視せず、薄汚れていると蔑視もせず、ちゃんと使うことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
ここまでフレンズはその試みに成功しているし、ロマンスでは焦点がぼやける部分にフォーカスできてもいる。
"フレンズ"はセクシュアルな要素を切れるからか?
何しろタイトルに入っているので、"フレンズ"は今後も物語の中心に座り、幾度も描かれるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
それがこの作品独自の、しかし普遍性のある"なにか"に通じていると、このアニメを見ていて興味深く、面白い気がするのだ。そしてその可能性を、今回のお話からは感じることが出来た。
今後みおちゃんは、あいねと語り合い見つめ合い手を取り合う、一緒に"アイドル"するなかでどんどん幼くなっていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
様々な状況と環境の中で、否応なくそうなるしかなかった"クールでプロフェッショナルなアイドル"とは違う自分に、どんどん出会うだろう。
あいねもまた、みおと交流することで自分を変えていくだろう。学び、前に進み、"アイドル"として成功していくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
そうやって見えてくる、少女たちの百万の貌。その全てがとても素敵なものだと、ちゃんと祝福できたのなら。溢れ出る可能性全てを肯定する、優しく強い世界を描けたら。
それは現代のおとぎ話を、パワフルに語り続ける女児アニメとして、また物語を語る姿勢として、凄く誠実で素敵なことだとおもう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
そういう感じのアニメに、是非なって欲しいなぁと思わされる回でした。凄く面白かったです。次回も楽しみですね。
あ、第8話で"クールでプロフェッショナルなアイドル"たる湊みおの強みを描いておいて、今回ただ乗り越えられるべき"欠点"にしていない構成はすごく良いと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
賢く、準備をしっかりやって勝ちに行くスタイルは、凄く意味と価値がある。今後も大事にしなきゃいけないみおらしさだ。
しかしそれが取りこぼしてしまうものもあって、それはあいね(と、彼女とつながることで広がる世界)から補い、学べるものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
そうやって自分の像を多彩に変化させながら、みおとあいねは前に進んでいく。そういう"成長"の書き方は、優しくて賢くてとても良い。
ここ最近はあいね主観の話が少ないため忘れがちだが、あいねこそ未熟なド素人から"アイドル"に脱皮する物語の主役だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
友達百万人、無邪気で無敵な"あいねらしさ"が、万能の切り札ではないことは例えば、第9話ですごく丁寧な配慮と共に描かれている。
現実的な濁りを極力遠ざけつつ、至らぬ部分がキャラにあり、それが埋まり変化していくドラマを大事にする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
無印アイカツが持ってた物語の骨格を継承するという意味で、フレンズは原点回帰的だな、と思う。あの時はタイトルに入っていなかった"フレンズ"を、そことどう化学反応させるか。
それはピュアパレットが"アイドル"としてデカくなっていく中で、あるいはハニーキャッツやラブミーティアや、彼女たちがいる多彩で大きな世界を描く中で見えてくるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日
ともすれば狭く近視眼的な描写に閉じてしまいそうだが、巧く風穴を開けている印象だ。その広さと狭さを大事にして欲しい。