ひそねとまそたん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
嵐の空にバカが飛ぶ。天下の大計も、致命の常識も蹴り飛ばして、いつでもどこでもマジレッサー。我らのひそねが空を飛ぶ。
贄を前提とした”まつりごと”をひっくり返すべく、ひそねとまそたん、そして仲間たちは常識を噛み砕き、時代を切り開く。その先に見える景色は…。
という壮大さがあったのか、なかったのか。エモさと勢いで一気に押し切る最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
ちょっとした違和感は残るものの、それを上回るパワーと”らしさ”を歯車に、一気に走り切るラストとなった。キャラのエグミと可愛げ、ドタバタと収まりの良さ。作品全体を24分に凝縮したような最終話であった。
お話としてはひそねがクソまつりごとに中指を突き立て、マジレッサーの面目躍如な展開である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
話が始まった段階では、自分と社会の溝を広げるばかりだったひそねの特色は、物語が終わる段階にいたり、他人と社会の溝を暴露し、勢いよく埋め立てるブルドーザーへと変化する。
伝統だから、国のためだから、そういう事になっているから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
若い命を犠牲に荒御魂を鎮める”まつりごと”のロジックに、ひそねのガキ魂がマジレスを返す。それは”そういう風に育てられた”小此木くんや棗、飯干さんの”大人の理屈”をひっくり返し、もう一つの結論を引っ張り出してくる。
そこにいつものようなガキっぽいワガママだけでなく、”自衛官だから”という職分が入ってくるのは、わざわざ自衛隊をテーマに選んだお仕事アニメらしい一発で、気持ちが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
なんとなくで選んだ”自衛官”、一度は背中を向けた”自衛官”は、桧曽根の骨肉になり、未来を選ばせる足場になる。
使える奥には個人の集合体だから、人一人の命を大事に守らなきゃいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
それは貞さんが74年前に選べなかったマジレスであり、おそらくは日本という国自体が選べなかった、生ぬるい真理だ。敗戦があり、国軍の自衛隊化があって、それを堂々と言えるひそねがDパイになれた、ということ。
それこそが、貞さんが見たかった結末であり、彼女なりの国家への、”まつりごと”への復讐だった、と言えるだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
生きてんだから、死ぬことはない。一緒に泣いたり笑ったり、存分に青春しよう。そんな素朴なマジレスを、あの時代は許してくれなかった。その後悔で、74年生き延びてきた。
ひそねが棗を助けるモチベ、儀式をぶち壊しにする理由は薄いかなぁと、先週段階では思っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
しかし”自衛官”という職分にくわえ、まだ十分ぶつかり合っていないからこその未練をテコにすることで、結構アツく押し切られてしまった。
接点ないからこそ、作りたい。それもまた、生きてこそだ。
ひそねは、(自分含めて)クソアマ共とぶつかり傷つき傷つけて、視野を広げてきた。流れでなった自衛官、運命的にDパイになり、色んな人と触れ合った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
その経験は、ひそねにとって凄く喜ばしいものだったのだと思う。一つ一つが、トンチキでかけがえないものなのだと思う。
棗もなかなかのクソアマで、これまでぶつかってきた仲間のように、クソ生臭く、クソ面白い交流ができる傑物だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
死んでしまえば、未知なる物語の芽も潰れてしまう。基地でドコドコぶつかったり、無人島でわーぎゃー騒いだり、トンチキラブコメしたり。ここまで見てきた物語と遜色のないドラマもあろう
ひそねが棗に”生きろ”と強く願えたのは、つまりそういう部分で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
テキトーに自衛官を選び、流されるままDパイになった少女は、そのうねりの中で自分の使い方を学び、他人によって世界を広げられた。恋を知り、仕事を得た。
そういうありきたりで手応えのある、一人間のドラマに、棗も加えたいと思った
だから泣いて止めたのだ。自分の目に映る世界にも、自分自身にも、いつでも全力全開マジレス。面白そうな方へ、正しそうな方へ、空気を読まずに転がっていくひそねの気質は、最後に”まつりごと”の悪しき慣習をぶっ壊す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
それは結構痛快で、気持ちのいい突破だった。
ひそねは自分の気持に素直に突っ走るわけだが、それを縛りつけようとする巨大な”公”を背負うには、飯干さんは人が良すぎた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
もうちょい陰謀を張り巡らせ、楔女システムを維持する手先を現場に送り込む奸智が彼にないのは、第7話の可愛い陰謀で既にバレバレである。
とはいえ、ひそねが代表する”私”をすりつぶす”公”がないと、クライマックスの対立構造が成立しないので、色々ヤダ味は背負ってくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
そこに対峙する役は、ひそねではなく貞さんが担当した。かつて、”公”に滅私奉公してしまった後悔を背負い、現場指揮官として部下を、子供を守る立派な大人の仕事。
ひそねに思う存分マジレスさせること。感情と痛みがない巨大な”公”を、現場の体温で弾き返すこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
ただの小娘だった74年前に出来なかった、ババアになったからこそ可能な強い決断を果たすことで、貞さんの長い戦後がようやく終わる。それは、ひそねの成長とはまた別の、重たい重たいドラマだった。
ラスト3話の”まつりごと”編では、貞さんが半分主役だった気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
今まさに自分の可能性に出会い、あるいはそれに振り回されて失敗しかけるひそね。主人公に過去の自分を重ねつつ、年月を積み重ねて生き延びてしまった自分に、どうにか決着をつける。
キャピキャピ若いDパイだけでなく、後悔と痛みを積み重ねた老兵に結構尺をとって描いてくれたのは、僕にはとてもありがたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
貞さんがいることで、戦中の”まつりごと”が74年を経て繰り返される重たさ、ひそねがひっくり返すべき因習の意味が、ちゃんと浮き彫りにもなった。
しかしそれだけでなく、若くて未来あるDパイだけでなく、その未来を自分の手で葬り、”公”のために”私”を滅した老人もまた、自分のドラマを取り戻させた横幅が、作品に奥行きを与えた気がしたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
ババアだって自分の人生の主役で、尊厳を持って格好良く、悩んで見せ場をもぎ取れる。
貞さんに作品の大事な部分を預けることで、そういう矜持を説明するのではなく、描写できていた気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
それは独特のデザインやアクの強いキャラ造形、エグい言語やシーンセンスとはまた違う、凄くベーシックで誠実な、ひそまそという作品の強さになったのではないか。
終わって、そう思うのだ。
作品としての強さは描写のチョイスにも現れていて、エピローグで『じゃあどうしたいの?』と絵瑠に問われて、財投さんが『大事にしたい』と返すのは、簡勁で素晴らしいダイアログだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
短く、純情で、鋭い。脚本家・岡田麿里の一番強い部分が、ど真ん中から殴りかかってくるシーンだった。
あのセリフ一個で、財投さんがこの物語で果たした成長、絵瑠との未来の色合いがすべて見える。その短さと鋭さは、やっぱとても強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
そういうクリティカルな場面が、トンチキで賑やかなコメディの中に確実にあったからこそ、このお話はいろいろ盛り込みつつも、実感のあるドラマとして終わったのだ。
ひそねが神楽鈴(暗殺者の短剣でもある)を回収していたのも、結構好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
グダグダ決着に悩むより、決定権を持ってるひそねがスパーンと終わらせるための都合…という見方もあろう。
しかしそれより、棗がこれまで背負ってきた象徴を大事にしたかった気持ちを、あそこからは感じた。
棗の人身御供主義は、自由と権利が尊重される現代、”自衛官”になったひそねを主人公とする物語としては、否定せざるを得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
しかしそこには、間違っているなりの尊厳があり、積み上げた年月の重みがある。それを自分が蹴飛ばしてしまったことに、落ちる神楽鈴を見て、ひそねも気づいたのではないか
だからこそそれを拾い上げて、クソアマ同士がグダグダ言い合う未来に手渡そうと思って、拾っておいたのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
身勝手な補完なのだが、主人公の視野が広がり、他者への思いやりを形にできるまでを追いかけた物語としては、そういう見方が収まり良いかな、と思う。
ひそね-まそたん-小此木くん-棗ちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
四人の四角形はひそまそで決着! と見えて、案外複雑な含みを孕んだ。
棗ちゃんも小此木くんも、自分が狭い世間に閉じ込められていた事実を、”まつりごと”を蹴っ飛ばしたひそねの勇姿で思い知らされる。それはちょっと、恋とは違う角度からの衝撃だ。
棗ちゃんが”自衛官”を、生き延びてしまった後の夢に据えないとこが好きで。ひそねに思いっきり蹴飛ばされ、巫女としての生き様を否定されてしまった彼女だが、どっこいタフに生きている。自分の選ぶべき道は、ひそねが拓いてくれたものだけど、同時に自分だけのものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
だから、花屋が良い。
小此木くんも、一緒に死ぬ特別をまそたんに取られちゃって、彼氏になる前に勝ち逃げされちゃったわけだが、同時に二人の帰還を心から望んでもいて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
それはこの物語に関わった人、全ての思いでもある。(殉職した部下のため、毎日経文上げる前澤さんの誠実も、それはそれで大好きであるが)
第5話・第6話のミタツ島サバイバル編を最後に引用して、三ヶ月の休暇から二人が帰ってくるラスト。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
”まつりごと”の犠牲主義を蹴っ飛ばし、今を必死に生きるマジレッサーにふさわしい終わりで、僕はとても好きだ。自分が否定したものに自分が食われちゃ、マジレス甲斐がないからな!
竜という隣人が、とても特別な大切であり、竜にとっての人間もまた、とても特別な大切であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
ひそねとまそたんがたどり着いた答えも、このアニメらしいトンチキなもので、同時に良い答えだなぁと思った。74年前と違い二人で残ったから、二人とも生き延びられたのだろう。
ドラゴンを愛すべき隣人であり、恐ろしい怪物でもあると描き続けたのは、この作品のとても好きなところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
荒れ狂うミタツ様のアギトと、未来を噛み開くまそたん&ノーマの牙は、同じ竜の口だ。飲み込み、噛み砕き、言葉を発し、守る。色んな使い方ができる。
それは人間とは違う器官で、しかしだからといって同居できないわけでもない。恐るべきミタツ様との付き合いも、今回のミッションを経て変わっていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
ひそねが言ったようにディスカッションを重ね、犠牲を出さない方向にロジックとメソッドを変えていくかもしれない。
ひそねがマジレスを吐き出していた口が、他人を傷つける凶器を量産したり、”当たり前”とされている欺瞞を引っ剥がしたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
ドラゴンという異質な存在も、色んな表情、色んな危険、色んな喜びを作中で見せてくれた。あまり表立っては語られない部分だけど、その優しさと多様性は相当に好きなのだ。
そんなわけで大団円、トンチキお仕事ドラゴン青春ファンタジー絵巻も完結である。いやー、面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
エグみの強いキャラを、独特のデザインで包み込み、音楽や空戦、笑いというパーツパーツのクオリティで飲み込ませる。
独特の料理法は最後までパワーを失わず、元気に走りきってくれた。
根性ドブゲロのダメ人間揃い、どうなることかと身構えたお話も、独特の言語センスを光らせつつ、実感のある成長物語として完遂された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
すこし身勝手さに都合が良すぎるきらいもあるが、そういう操作を許してくれる所が、ファンタジーの良いところだと思う。ダイナシにするほど、甘くもなかったし。
強烈なキャラクターたちには独特の可愛げがあり、エグミと混じって存在感が強かった。そんな人達が個性をぶつけ、だんだん自分を変えていくドラマには、このアニメにしかない味わいがあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
色んな意味でオリジナル、でもスタンダードでパワフル。面白いアニメだった。
(圧倒的な”私”集団として青春を送りつつ、”公”の敗戦を食い止めきれなかった『シムーン』と、”私”を貫くことでマツリゴトの悪しき”公”をひっくり返した『ひそまそ』の対比は、岡田麿里の作家性を見る上で結構面白い対比だと、個人的には思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
どういう違いが、二つの物語の変化を生み出すか)
あ、ドラゴンがみんな可愛くて健気で良い奴らだったのは、やっぱ最高に加点ポイントでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
何かと動物を擬人化し、理解可能な存在に引き寄せてしまう物語が多い中で、怪物としての側面を否定せず、それでも主役と対話させ続けた”動物”の使い方は、彼らへの敬意に満ちてて最高です。
空戦シーンの迫力、笑いと可愛げの作り方、音響の妙味。ジョアや銘菓やキングダムを活用し、生っぽさとペーソスを生む技法。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月29日
キャラや世界の強さに、細やかな技芸が絡み合い、非常にパワーのある物語を走りきってくれました。息切れなく、最後まで面白かった。
いいアニメでした、ありがとう。