イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Free! 一期感想(第5話~第8話)

・ Free! (一期第五話『試練のオープンウォーター!』)
無人島でスタミナの特訓をしようじゃないの回。
冒頭から、まこちゃんが部長らしい仕切り力と、旦那の不機嫌ポイントを巧妙に察知するお嫁さん力を魅せつける展開。
まこはる、どんだけアイコンタクトすんねん。
仕事は出来るけど変人(このアニメの登場人物、全員そうだけど)な江ちゃんが、昔やってた合宿を発掘したよ。
凛ちゃんの練習メニューといい、色んな物を見つける子だね。
そして今回も、水泳部の懐事情が釘を刺す。

帰り道、五人で一緒に帰るシーンのなかよし感グッドですね。
おいマコ、この前もやってたけど何の迷いもなくアイスを遥に半分渡すな。
どんだけだよこいつマジよー……。
そして合宿成功のために前に出るマコは、どんだけオカンやねん。
頼りになる高校二年生やわぁマジ……。
そら、弟妹も密着しようとするわ。

意味深に写ってたお墓の伏線を回収しつつ、困った時の大人頼みということで、元コーチのイカ釣り漁船で渡航費を安く上げる戦術。
ガソリン代も馬鹿にならんだろうに、笹部コーチはいい人だなぁ……。
早く本格参戦して、実技指導してくれないかな……。


一年トリオをお見送りして、こっからは夫婦の時間。
海辺を二人で歩くというシチュエーションは同じですが、前回と違うのは遥から真琴を気遣う動きが見れること。
ココらへんは「一方的に世話を焼いてるわけじゃないぜ」という弁明になっていて、まこはるの関係がさらに深まってるね。
昔の話と言いつつ、吹っ切れてないのも前回と同じか。
七人ミサキっぽい回想シーン……マコちゃんと海の間に、いったい何が。

御睡なのにお見送りする弟妹はどんだけマコ兄好きなん? と思いつつ、合宿スタート。
イカ釣り漁船のディテールが細かすぎて、ひとしきり笑う。
俺、集魚灯あんなに細く描いてあるアニメはじめてみた。

ご多分にもれないゲロインっぷりを怜ちゃんが発揮しつつ、島に付くと鮫塚も合宿してた。
御子柴部長がむっちゃ声出る系スポーツマンで、オンオフ切り替えできるところといい、気配り細かいところといい、マコとは違うタイプの優秀な部長だよなぁ。
おいそこのギザ歯、匂いとかあざとい事言ってんじゃないよマジ。


初心者竜ヶ崎、12kmスイム(OW)+5kmランというメニューはキツい。
キツいがプライドが高く仲間思いなので、早く補助なしで泳ぎ切りたい系男子。
イイねーメラメラしてるねー・
……すごく良くないフラグな気がするのは、気のせいってことにしておこう。
「りろんはかんぺきだぞ!」から眼鏡クイッ→眼鏡ないのコンボが、最強にあざとかったしな。

やっぱり海には何かがあるのか、「緑色の目の怪物」こと真琴の闇(ダークネス)が目覚めるオーラ。
今回はハルが背中を見つめる展開だなぁ。新鮮だ。
そして君らはアレだな、言葉よりも瞳のほうが、お互い心が通じ合う仲なんだな……。

俺フリーのセリフ無しシーン好きなんですが、今回も江ちゃんの水着(約2秒)とか、元陸部の利点を生かしてランで追いつく怜とか、スイムで離されたらハルがフォローに行って意外そうに見てる二人とか、情報量多くてよかった。
怜ちゃんがやはり、初心者であることに焦っている描写が強調されつつ、初日の練習終了。
極めて不安だ……。


買い出しに行くついでに、松岡兄妹のシーン。
江ちゃん相手だと声が柔らかくなる凛マジ好き。濡れ髪あざとい。
海で泳いでる言うたら、ぽろっと「大丈夫なのか」とか言っちゃうとかマジ……。
いいですか凛くん、あなた一応ライバルキャラって設定ですからね!
江ちゃんがマコ×兄のラインを確認しつつ、エスコートできる系男子たる部分を魅せつける凛。
お前マジよー。

ご飯食べつつ、かまって光線を出す怜と、それに気付けない渚の距離感が面白い。
今回ははるまこのツーカーな間合いが目立ったから、此処でのすれ違いは印象に残るなぁ。
そして即座にフォローに来る、我らが部長。流石や。
マコは「楽しみたい」と「勝ちたい」の中間にいるんやな。
そういう意味でも遥と凛の間でモヤモヤする立場なんだなぁ……大変だ。

当然のごとく夫婦で寝ることを主張する二人に、渚が食って掛かって怜ちゃんが妬く。
ここは露骨すぎてビビったが、こういうシーンは本家の方々どう云う受け取り方なんだろうなぁ。
あざとすぎると感じるのか、ktkr的反応なのか。
自分の見える範囲にいるFree!沼に沈んでいる方は、そういう問題じゃなくどっぷりハマっているので、あんま参考にならん。(失礼)
シーン終わりの江ちゃんの台詞は、キャラの疑問でもあり、視聴者に考えさせるための地雷でもあり、って感じか。

そして積みに積んだフラグを、回収する時間が来た。
焦りから「夜の」「荒れた」「海」に「一人で」飛び出す怜。
無論溺れる。
お前ホント、追い込まれると理論派の仮面を脱ぎ捨てるなぁ……。
かなり死にかねないシチュエーションですが、マコが回収に……あああん、何かトラウマ発露しとる!!


Free! 初の前後編らしく、強めのヒキで終わりました。
これ無事死人無く乗り切ってもあまちゃん先生の責任問題になるんじゃねぇの? とか考えましたが、まぁ多分大丈夫(ノー理由)
今回はまこはるの関係性を確認しつつ、真琴のキャラを立てるべく「見守る役」「危なっかしい役」が逆転してました。
海のトラウマとか、金魚とか、アイコンタクトとか、じっと耐え続ける重い女っぷりとか、マコの闇(ダークネス)も剥き出しになってきたなぁ……。
今回も丁寧な演出と、王道路線を驀進する展開で大満足でありましたよ。


・ FREE! (一期第六話『衝撃のノーブリージング!』)
ついにFREE!でも死者か……というところで引いた前回。
味方のピンチにはぼやっとしていられないので、やれやれ系も飛び込んでいきます。
荒波の作画、すげー迫力だな。
この「水が壁になって落ちてくる感じ」はすげー恐怖なので、アニメと判っていてもビビる。

そして、フラッシュバックする過去。
いったいマコに何があったんや……と気になるけど、このアニメは説明してくれるアニメなので、じっくり待とう。
まこはるは岸に着いたけど、マコちゃん死んじゃった……。
ブルりつつも心音確認、外傷の確認、呼吸の確保としっかり手順を踏むおハルの頼もしさ。
そして人工呼吸……キャンセルかよ!!!!!!!
まぁマコが死ななくて良かった……。

ハルの信頼どうり、岩鳶一頼りになる男渚先生はキッチリ怜ちゃんを救助してた。
マジアイツ……生き死にのやり取りした後に、ふんわり笑える器量にじゅんじゅん来るわマジ。
パニクった時、気弱になっちゃった時に「大丈夫」って言ってもらえるかどうかは、マジ生死分けるなぁ。


そして語られる過去と後悔。
いつも頼れるおかーさんだったマコが、ここまで追い詰められているとなんか強めの罪悪感がある。
なんつーか、アイス食いに夜中に台所に降りてきたら「あ……お母さん泣いてる」、みたいな。
でも普段は何考えてるか判んないおとーさんが肩を抱いててくれたので安心、みたいな。
マコの背中でけーなマジ。

マコの乙女・純情期・つぼみだなんて そんな言葉じゃありふれてる だって微妙なもどかしさを 誰か解って!(作詞:畑亜貴)な告白が、「ほんとこのアニメ、基本的な文法は百合だな」と思わせる。
思わず「少女迷路でつかまえて」も引用しちゃいますよ。

 

あこがれよりあこがれ以上の 夢を抱いてる だから少女じゃ いられないほど愛を呼ぶ(作詞:畑亜貴)わけですよ。
わたしだけじゃ わたしだけじゃない みんな恥じらいつつ 止められない なぜ会いたくなるの(作詞:畑亜貴)ですよ。

マジでマコは重い。
普段は笑顔で気配りできて、トラウマにも構わず海に飛び込んじゃう頼れる存在な所が特に。
その奥にこう、ドロっと重たいハルへの純情を、布に収めた懐剣の如く隠し持っている所がこう、ヤバいね。


叱ら(れ)ない系男子であるマコに代わって、怒る役を担当するハル。
普段支えてもらってる相方が、弱ってる時は仕事変わる気配り。
ハルはほんと、ただのヤレヤレ系ではないよね。

そしてフォローを入れる渚先生と、「誰にも言われなくて……400本やったのか!」みたいな顔になるハル。
ハル的にも、自分をあこがれよりあこがれ以上(作詞:畑亜貴)として追いかけてくる後輩は可愛いらしい。
すいません、ストパニとか好きで……。

でもまぁぶっちゃけリアルだったら四人全員水死体、あまちゃん先生引責っていうルートだったがな!!!
このアニメが京アニ制作でよかったな、リアルだったらオマエ死んでるぞ(唐突なブロ語)
つーか、「まぁ生きててよかったネ」方面で話をまとめきってしまう、渚の交渉能力の高さが怖い。
場の空気読めすぎだろ。


カップル×カップルな空気が高まりつつ、雨宿りの流れ。
ビビってビート板で顔隠す怜ちゃんが、クッソあざとい。
カメラの置き方と画面の作り方が、典型的ホラーでよく出来てんなぁとか思う。
そして水着エプロン×4……すぐ脱ぐのかよ!
飯食って水飲んで温まるのは、追い込まれた時重要だよなぁ。

「あいつら大丈夫かなー……雨すげー降ってんけど」と言いたげな凛ちゃんをつまみ食いしつつ、一行はサイコロトークに移行。
ハルの恋話で、「俺は不倫しかやらない……(キリッ)」つーネタが有ると思ったんだがなぁ(おっさん)。
つーか、ショタ時代が描きたいだけやないか!!

渚先生のおどけた態度や無理くりな明るさは、ハルの後ろめたさを読み取ってのことであった。
狙って道化が出来るやつは、マジで優しくて強いぜ。
ハルのプロテクトを受け入れつつも、マコちゃんのカムアウト開始。
……この男の闇はあんま掘り返さないほうがいいと思うが、まぁ言うタイミングか。

金魚もジジイも死ぬ。
いつも泳いでいる水は命を奪い、日常はその裏側にバケモノを飼っている。
その海が心に刻み込まれてる、っつーことかな。

心の柔らかい部分を告白するつーのは、集団にとって特別なことであり、その集団が特別なことを担保する行為だと思います。
渚がここまで読んで状況を整えたかはさておき、マコが抱えてた傷と、その傷を超える理由をマコの口から言わせたのは、結束を強める起爆剤になったんじゃないでしょうか。
……怜ちゃんの唐突なあれがデネブ、アルタイル、ベガ 君は指差す夏の大三角(作詞:Ryo)に君の知らない物語不可避。

 

マコの話で「どこまででも行ける」つーモチーフを作っておいてから、四人で星空を見上げる絵で即座に回収するのは、スゴく巧いやね。
その後足元に映る星にカメラを戻すことで、高い目標から現実の仲間に意識が行く。
スゴく計算された構成。
さり気なくチェックに来る凛ちゃんがあざとかったり、みんなでマコのトラウマを克服したりしつつ、今週は終了。


前回と合わせて、どっしりと隙のなかったマコの弱い部分を見せて、乗り越える回でした。
起きるイベントが生き死に関わり過ぎでビビったりしましたが、まこはるだけで関係が完結するのではなく、四人で乗り越える展開になったのはとても良かった。
無論、マコがハルに支えられるだけではなく、ちゃんと相手を見て必要なタイミングでは手を伸ばせるやつだ、と確認できたのも。

来週は県大会……県大会!?
早くねーかマジ!!
此処で凛ちゃんと和解するなら、残りなにやるんだ……バンドでも組むのか?
もしくは完全には和解しないで、もうちょっと引っ張るのかなぁ。
さっぱり読めないので、来週を楽しみに待ちたいと思います。


・ Free! (一期第七話『決戦のスタイルワン!』)
県大会直前っつー事で、江ちゃんがテンション上がってる。
コーチを探すの探さないので悶着してるけど、ハルの余裕が足元救われる隙に見える。
凛ちゃん、相当余裕ねーぞ。

そんな余裕のない男が、異常にジリジリするハルハウスに乱入。
この過剰な白さ、押井っぽいっすね(ニワカッ面脊髄反射で類似点を指摘。多分あんま似てない)
と思ったら金魚が伸びたり増えたりしたので、悪夢だと判る。
やっぱ押井じゃないか!(夢ネタが出たら即押井という脊髄反射

水死した父親、全然こっちを見ないライバル、空回りする自分と、不安要素だけ詰め込んだイヤーな夢だった。
そっか、松岡兄妹は父と死別してんだな。
そらぁ兄は妹に甘くなるし、妹は兄べったりだわ。


「なして江ちゃんは天方先生呼びか。気を使ってるのか、はたまた」などという疑念も湧きつつ、ほんわか岩鳶水泳部。
対比するかのように、一人でどんどん尖る凛ちゃん。
ライバルと戦うために専門を曲げるという動きは、力石思い出しますね。
にとり水だぁー、水をくれぇ!!!(カラッカラのプールと、針金でぎちぎちに固められた主水栓をハーモニーで)

「水に乾いていたはずのハルが友との交流で鈍っていって、たった一人で延々過去と自分に立ち向かい続ける凛ちゃんが尖っていく」という構図はなかなか面白い。
四月からハルがメドレーを教えてくれたかつての凛に、凛がフリー以外泳がない過去のハルに、それぞれ寄ってるんだな。
県大会での激突はつまり、過去との自分との戦いにもなる、と。
おもすれー。

「奴には奴の考えがある」と突き放す御子柴部長。
彼が冷たいのか、とりあえず様子を見るタイプなのかはここだけだと分かんないスけど、岩鳶と違って鮫柄はスポーツ強豪校だし、「戦って勝つ」という孤独な行為に意識的なのかなぁ、とか思った。
今までの描写を見るだに、御子柴が非常に優秀な部長なのはわかるしねぇ。
作劇的には、べったり支える岩鳶との対比なんだろうけども。
さてはて、どっちの方法論がいいのやら。


メドレーリレーの話ばっかして個人競技にのめり込んでない時点で、「あ、ハル負けるな」と思う。
なるほど、この段階では岩鳶式に一回NOが出るのか。
コーチの話が出たのも、この後贅肉を絞り落とす伏線か。
これなら、七話で県大会やるのも納得。

メドレーへの情熱をアツく語る怜と、それを見守るマコ渚にほっこりしつつ、にとりの嫉妬が燃え上がりすぎ。
にとり、健気系と見せかけて存外自分勝手だなぁ。
でも素直に自分の心情を告白するにとりと、その真心に何かを返さないと気が済まない凛ちゃん、僕好きやで。
凛ちゃんがただただギラギラして、ハルや自分の過去をぶっ殺すマシーンになっちゃったら、あまりに寂しいし殺伐としすぎる。
そういう意味で、にとりは非常に良い仕事をしてると思う。

父への思いを語ることで、「勝つ」水泳に拘る理由、ハルに勝ちたい理由も告白する凛。
ここら辺のモチベーション開示は、スムーズかつ印象的でとても上手い。
凛にはこれ以上ないほど「勝つ」理由があり、ハルには凛との約束以外現状何もない。
構図的には典型的な天才-秀才なんだな。


そんなこんなで始まった県大会。
マコが部員にかけた「自分のベストを尽くして、悔いのないように」て言葉が、そのまま現状の岩鳶イズムなんだな。
同社ってことでたまに比較されてるけいおん! はこのイズムのまま走りきって表現を終わらせたアニメだったけど、真ん中でこれが言語化されるということは、やっぱり「勝つ」っていうことにシフトしつつ、此処に戻ってくる感じなのかなぁ。
あんま先読みし過ぎても良くねーけどな。

バチバチ青春の鞘当てをしつつ、凛ハルがスタートラインに着く。
全体的に水作画が冴えている今回でも、一番のエフェクトに気合が見えるなぁ。
ターンのムダのない、切羽詰まった感じの作画がスゴくいい。
ターン時点で付いてた差を詰め切ることが出来ず、凛の勝利。

ドヤ顔で勝利宣言しているが、瞳の奥が揺れてる凛ちゃんのツンデレ完成度がヤバい。
「本当はアレだろ、自分と同じように負けを奥歯だ噛み締めて悪夢も見てそれでも折れずに自分を鍛えあげて、決戦の場で凌ぎを削って欲しいんだろ? 自分が惚れ込んでる天才に、本気になって欲しいんだろ?」とかけして聞けないネ。
あの子健気だからねぇ。
そして敗北を知った天才は、どう云う選択をするのか、と。


「楽しむ水泳」と「勝つ水泳」はどちらが正しいということではなく、排他的なものでもないと思います。
勝つから楽しいって部分もあるし、楽しんだら勝てないというわけでもない。
ですが一見矛盾する要素なのも事実で、将来的に止揚するための「勝つ水泳」の一時優勢かなぁと、ハルが負ける展開を見て思いました。

その上で巧いのは、凛の孤独な闘いや内面を的確に描写することで、「『勝つ水泳』も悪く無いかな」と視聴者に思わせていることです。
冒頭シーンの悪夢感や、にとりに見せた追い込まれながらも消えない優しさ。
ポイントをしっかり抑えるからこそ、作中人物への共感が生まれ、そのキャラクターが背負うテーマへの理解も自然と発生する。
Free! は本当に、絵が綺麗であることの意味を考えてアニメ作ってる感じがします。

追う側に回ったハルですが、予選がタイムレースであることと、露骨に張られてたコーチの伏線と、再起のための場均しはすでにされている印象。
ブースターになる仲間の後押しも十分な量描写されているので、あとはハルの中での「勝ち負け」にどうやって答えを出すか、が大事になるのかなぁ。
Free! は勝負論ど真ん中な部分を、綺麗に整えつつ真っすぐ走ってるアニメだと思います。

来週は県大会後半、メドレーリレー
一人で勝った凛がかつて見せた光景が、ハルの負けを補うのか否か。
ベッコベッコにされて全員焼け野原から再出発もありうるのが、このスポ根アニメなので、予断を許さない状況。
いやー楽しみ楽しみ。


・ Free! (一期第八話『逆襲のメドレー!』)
凛ちゃん衝撃の勝ち逃げ宣言(実質誘い)で引いた先週。
笹部コーチがわざわざ試合を見に来てくれていて、ほんとこのオッサン面倒見いいなと感心。
アイカツのジョニーといい、面倒見のいいおっさんに好感を抱くようになった、己の年を自覚。

天才七瀬遥、人生初の敗北。
なんかベッコベコに凹んでますが、ハルが勝ち負け関係ない場所にいられたのは、一度も負けたことがないという超特権的立場のおかげだった、つーことかなぁ。
自由と不自由に縛られる、我らが主人公の明日はどっちだ。

一方凛ちゃん、積年のライバルにしっかり勝ち越して満面の笑みです。そらそーだ。
御子柴部長は競技者としても相当なんだなぁ、予選で大会新だもんなぁ。
にとりの競技的な扱いといい、鮫柄は強豪校らしさが素直に出てて、スポーツフィクションとしてのFree! の輪郭をしっかり保持している感じだ。


そんな強豪校の仕事を果たすべく、仲良し岩鳶チームをきっちり煽る凛ちゃん。
”緑色の目の魔物”ことマコに真実を語られ、即座に玉砕。
そんなオマエが愛しい。

ここでも「勝つ水泳」と「楽しむ水泳」、小六と高二の捻れた関係が出てきます。
「楽しむ水泳」を小六時に教えた凛が、今は「勝つ水泳」にこだわりすぎてる(が、内心昔の仲間と楽しみたいと思っている)。
そしてハルは負けたことで水泳が「楽しく」なくなってしまっている(が、その先にあるものを無意識に追い求めている)
()の中を今までも細く細く演出しているのが、Free! の巧さだと思っています。

もつれた場を渚がまとめ、マコが結論を出すいつものスタイル。
しかし、この緊張感高まった場でそれは通用するのかしらん。
まぁしたらしたで岩鳶スタイルの強さが証明されて、しなかったら不安定要素を取り除けばいいわけで、どっちに転んでも美味しかろう。


ぐーにゃぐにゃぐにゃぐにゃ、自分が泳ぐ意味なんぞ考えるハル。
今までそれなしで泳げていたというのは、強さでもあり脆さでもあり、やっぱり天才ではあるんだなぁこの子。
一人でぐにゃぐにゃしててもあんま良いことないので、司会進行担当こと渚先生が引率に来てくれました。
君は本当に仕事をするPC3だなぁ……。

オッサンの暑苦しい応援で、応援席の温度はちょっと上がっていた。
あえて空気を読まない対応、俺好きだわー笹部コーチ。
こうやって細くイベントを入れることで、笹部コーチが岩鳶に入っても浮かない空気を仕込んでおくのは巧妙っすね。

応援席の空気や仲間の泳ぎでだんだん瞳に光が戻るハルと、バスでぼーっとしてる凛ちゃんの好対照。
負けたハルがぐにゃるのはわかるけど、オメーもぐにゃぐにゃすんのかい!
いいんよ、青春という季節なんやし思う存分ぐにゃぐにゃしなさい……。

怜くんがメガネに手をかけると思わず吹き出してしまう辺り、すっかりギャグキャラとしての位置を不動にしたなと感慨深い。
オマエのメガネクイッ芸は面白すぎる。
此処で安易に怜を勝たせない辺り、やっぱしっかりスポーツフィクションしてるなぁ。
ロジックマシーンだった怜が負けて「燃えてきました!」という感想を言った時、ありがちな展開だなぁと思いつつも俺のココロも燃えたよ。
頑張れ、岩鳶水泳部。


とか思ってたら、江ちゃんの暴走がいい方向に動いてリレーに出る方向に。
ここでも怜が一番熱いのが、男の子としては気持ちの良い展開だ。
帰らぬハルを先回りして待つ、熱血集団岩鳶水泳部。
一切動揺を表に出さずどっしり待つお嫁さんの背中に、安心感と恐怖を感じる。

そのハルは、「およげば……およげばげんきでる……」くらいの表情で、深夜のプールにいた。
本当ミズキチやな、と言いたい所だが、そのミズキチを担保していた天才性が負けで揺らいだ結果一番落ち着く行動を取りに来たんだろう。
ここら辺のテンパリ加減が、追い詰められた心境をよく表していると思います。

ぼーっとしても答えは出なかったので、オウチに帰ったらお嫁さんが待ち疲れて寝てた。
頬に涙の一筋二筋、残ってておかしくないシチュエーションだな!
メッセージを聞きつつ、仲間との日々が走馬灯のように蘇る。
ここでマコが寝てるのが、ハルが自分の中にあるものに気づく展開を支えてて好きだ。
起きてると、答え言っちゃうからねマコ。

己の才覚のみを頼りに泳いでいた道を見失って、仲間と泳ぐ道に立ち返るハル。
それをじっと見つめる怪ぶt……親友、マコ。
「勝ち負け以外に何がある!」とか言ってたくせに、思い出のリレーが自分抜きで始まるとむっちゃイライラしてる凛。
三人の思いを載せてメドレーが始まります。

特に凛!
オマエ、どんだけ岩鳶の泳ぎしっかり見てんだよ。
怜ちゃんにもメラメラジェラシーだし、ハルとは♪目と目が合う瞬間 好きだと気付いた だし。


いろんな人の思いを載せてメドレー最終、フリーにハルが飛び込む! というところで引き。


ぬうううう、熱い展開だ。
今回はハルが「泳ぐ理由」の無さに悩み、それを再発見するお話でした。
終始背中を見つめ続けるマコの視線の重力にぶっ殺されそうでしたが、まぁ橘真琴だからね、仕方ないね。
しっかりと「仲間と泳ぐ」競技であるメドレーをしっかり入れ、彼らの泳ぎがなんか凄そう! という感じを凛の解説で生み出していたのが良かったです。

放送序盤にハルのミズキチを強調していた動きが効いてて、面白いシーンとして視聴者をフックするだけではなく、今回ぐにゃぐにゃ悩むハルに説得力を産んでました。
「自分の気持よさと才能軸で動いてんだなーこいつ、だからそれが負けで壊れると悩むんだなぁ」つーのが、台詞ではなく絵でしっかり納得できた。
そこから引っ張り上げるための仲間たちとの描写も、今まででこれでもか! とばかりに積んできたので、今回のハルの決心は非常にカタルシスのあるものでした。
やっぱ丁寧に組み立てられると、快楽の量が違うなぁ。

来週はいわゆる抜き回でありお祭会みたいですが、メドレーの勝ち負けがどうなるかも気になるなぁ。
正確に言うと、勝つか負けるかの結果よりも、出た結果を岩鳶の面々がどう受け取り、ハルと凛の対決にどう影響するかが気になる。
結果より過程がおもしれぇってのは、(他ジャンルでもそうだけど特に)スポーツフィクションでは大事ですよ、ウム!