ペルソナ5を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
揺れる心は猫柳、追っては逃げ、逃げては誘う。
心と体に傷を追ったモルガナが、出会った少女もまた、孤独と抑圧に傷ついていた。二人きりの新生怪盗団と、モナの復帰を望む仲間がすれ違う。
父の真実を求める春、感情こじらせた猫。
新旧友情伝奇絵巻が、渋谷できしむ。
そんな感じのモナ&春メイン回。回復した作画力、田口監督の演出力が存分にうなり、暗喩の奥行きと青春のドラマが同居した、切れ味鋭いエピソードとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
冒頭一発目の仕上がりで『お、少し違うな…』と理解らせる…勝負回で勝てるのはやっぱ”強”い。
さて、今回は家出したモナとはぐれた春、二人の迷子と怪盗団が向き合う話である。前半のギャグ調子でうまく空気を抜いて、離れてしまったモナの心、まだ距離がある春の心に、段々と接近していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
すれ違いがあり、傷ついて初めて分かる真意があり、理解と許容がある。モナちゃんまじヒロイン!!!!
ホント先週、ボッコにされたモナちゃんが心配だったので、春ちゃんと仲良く楽しくグダグダやってる姿がドドーンと来て、とても安心した。バカやれてる間は大丈夫、多分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
心も体も傷ついたモナを、春は庇護して怪盗となる。新しい道を見つける。モナもまた、新しい仲間に癒やされる。
しかし二人の関係はどっかズレていて、楽しくも危なっかしい。より多くの仲間を見つけ、思いを共有することで彼らは安定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
そういう現在の姿、未来の像をギャグに混ぜて見せる手腕が、よく冴えていた。視聴者のムードをコントロールする技量が高い。
暗喩は全体的に冴えた使い方をされていて、冒頭、猫のいない寝床の空疎を見せるところからして、切れ味が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
そこがしっかり埋まり、在るべきものが在るべき場所に変えることで、物語は埋まる。傷は回復され、調和が戻る。
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project pic.twitter.com/2pNKmFDEhT
物語がどう始まり、どう終わるのか。キャラクターはどんな心理状態にあり、そこに誰がどのように踏み込むか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
”部屋”という心理反映空間を的確に使うことで、説明を省いてロードマップを見せる演出が、今回は冴えている。パレスという伝奇空間でなくとも、”部屋”は人の内面を写す。
奥村のパレスから一旦退却し、スピーディーに春の正体にたどり着いた後、怪盗団は花壇に踏み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
”大胆”と”純粋な愛”、一見相反する花言葉を持つなでしこの城で、美少女怪盗と怪盗団は語り合う。
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project pic.twitter.com/F112B0LiDX
モナとのすれ違いもあって、春は最初怪盗団を警戒している。可憐な花に水と栄養をやる優しさに、怪盗団は寄り添い、じょうろに肥料を足していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
花園は春の心であり、青年たちはそこに踏み込み、お互いを確認していく。そのことが、自分を見つける助けにもなる。
『ダチも守れんで、何が怪盗団か。他人の心を暴くのは、チヤホヤされたいだけじゃないか』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
まだ怪盗団になっていない春は、”部屋”に入りきっていないからこその鋭い指摘を投げかける。それが竜司に己を反省させ、モナとのわだかまりを解く鍵ともなる。
ドメスティックな共犯関係。身近だからこそ、簡単には剥がせない癒着。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
竜司とモナの対立を、距離が遠いからこそ春は切開できるわけだが、そんな関係は春にも投影されている。
パレスの主と新キャラに、濃厚な関係があったほうが話は面白くなるので、”親子”というのは良い間合いだと思う。
パレス内部の美少女探偵に比べ、現実の春は静かで控えめだ。親に逆らわず、可憐な大和撫子として性を売買される。奴隷の従順を強要されるヤダ味は、婚約者から溢れる性欲と暴力、デートDVの荒々しさから見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
春と怪盗団はお互いの領域に踏み込み、心を許して繋がっていく。それはモルガナの迷路に出口を与え、モルガナを迷わせてしまった怪盗団(特に竜司)に居場所を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
しかし春と父の問題は、まだ未解決のままだ。それはオクムラ・パレスを攻略する、今後の物語が語る部分だからだ。
春が見据える、連の屋根裏。モナがかつて共有し、逃げ出した場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
怪盗団との青春を経て、空っぽだった部屋にはモノが増えている。それは思い出であり、生きる縁なのだろう。人生の潤いを与え、与えられることで、絆は深まっていく。
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project pic.twitter.com/Mdkmtcgxbw
蓮の屋根裏はつまり、彼の善なるパレスなのだ。そこに春を招き入れるということは蓮の『認知が変わった』『鍵が空いた』ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
モナの新しい友達は、自分たちの仲間になりうる。そうやって心を開くことで、春は蓮たちの真実を見据え、モナが見落としているものを探り当てる。
モナの強がりツンデレに切り込むのが春なのは、良い展開だった。花に猫、春は弱いものに優しく出来る子供だ。同時に真実を見落とさない、強く賢い子供でも在る。怪盗団がみな、そうであるように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
モナに適切な問を与え、本当の気持を吐露させる儀式は、彼女が仲間足り得る証明でもある。
竜司の何気ない一言がモナを激高させ、モナも自分を見失って傷つけられる。前回と同じ結論は、新しく加わった仲間により、別の結末にたどり着く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
モナも竜司も、思春期のグネグネを乗り越え素直になれて、本当に良かった…意地はって傷つけ合うのほんと良くない…モナちゃんほんと面倒くさ可愛い…。
竜司の軽率さは、モナを傷つけ自分を偽るだけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
探偵団のサークルを、外側から覗き込む明智。ソーシャルハックへの危機意識の低さが、致命的な情報漏えいを招いている様子が、じっくり積み重なる。あのパンケーキ野郎…何を企んでいやがる…。
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project pic.twitter.com/3iz2gwtXgj
敵さんが”汚い大人”の知恵をフル回転させ、社会性と情報の優位を隠微に気づきあげている様子。外堀をガンガン埋め立てられている様子と、怪盗団の浅はかさは明白に対比されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
子供の快進撃と、裏腹な足元の危うさ。その地雷が爆裂する準備が着々と整ってるけども、さて、どう使うのかな。
傷ついたモナをかくまい、手当をし、本当の気持を導く。怪盗団新たな一人としての資質を、しっかり証明した春だが、彼女の物語はまだ始まっていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
従業員も娘も、パワーの道具としてしか捉えない父。冷たい檻をぶち破り、真実に近づきたいと願う視線
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project pic.twitter.com/XmvDHokcC0
それは孤独なクローゼットの中にあり、不自由を感じつつも春は脱出できない。冷たい人間だと判っていても、愛を信じたい幼子は、暗い部屋で光に背中を向け続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
家族との愛憎、無力な自分。怪盗団に共通する傷を、春もまた抱え込んでいる。
それはこれまでと同じように、パレスという超常の世界を突破することで、決定的に変化するものか。”クソみたいな大人”の支配を抜け出し、自由で奔放な真実な自分にたどり着けるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
それは先の話だが、粘着DVクソ男を『キモい! マジ無理!!』と言えるようにはなったわな。いや、GPS監視はマジ無理
奥村との屈折した距離を、ガラスの反射で見せる演出も良かった。見えているのに届かない、真実が掴みきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
モナと竜司は巧く突破できた透明な檻に、春はまだ囚われている。二人が仲良くなれるよう、心を配ってくれたのに。
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project pic.twitter.com/U8nUbTyMbw
義を見てせざるは勇なきなり。同じ傷を背負った仲間、助けてくれた友達を見捨てるようじゃ、義賊は名乗れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
怪盗団が春の問題にどう切り込んでいくのか。かけがえのない仲間を取り戻してくれた美少女怪盗に、どう報いるのか。
オクムラ・パレス攻略は、なかなか面白くなりそうだ。
ほんっとモナCH@NGがめんどくさくて可愛くて、最高の回でした。喋れるだけの猫で、何も持ってないと思いこんで、記憶もなくて不安で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
マスコット顔で色々頑張ってくれてたけど、内側に抱え込んでいたグダグダに丁寧に向き合って、開放するまでしっかりやってくれました。
モナをヒロインにすることで、何かと厄介ごとの起点を担当しがちな竜司のナイーブさも巧く描かれて、凄く良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
お互い思春期ツンデレ同士、素直ないい子じゃいられない。でも心の奥底では、仲間を強く思い合う。怪盗団の劣等生二人がキラッと光を放つお話、凄く良かったです。
拗ねるモナ、ちょろいモナ、熱いモナ。いろんなモナが大量に摂取できて、多幸感で溺れ死ぬ寸前だったなぁ…パレスより現実重点で進むんで、デフォルメよりリアル猫多めだったのも最高。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
蓮クンの心にモナが深くぶっ刺さってる様子を、1カットで見せる冒頭”…やっぱ感情の質量と質感ですよ。
思わず個人的な情動の感想もモリッと飛び出す、モナエピ終着点であり春エピ開始点でした。モナに優しくしてくれたことで、俺の中の春評価は超高いです。優しいポンコツ好き…声もとまっちゃんだし…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
内部のゴタゴタも一段落ついて、次回からはパレス本格攻略。鬼が出るか蛇が出るか、次回も楽しみ。
追記 夢を特権視せず、夢を悪用する現実に一旦踏みにじらせてる所が、なかなか面白いバランス感覚だと思う。ストレス溜まる劇作ではあるけど、片手落ちにしないためには必要な作り。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
現実世界多め、”部屋”の描写多めで進むことで、一見ペルソナとパレスという超常で描かれる『特別な物語』が、とても普遍的な人間と青春に関わる話なのだと実感させる。
作品のリアリティラインがどこに引かれ、どこを狙っているのか見せる意味で大事な回だったと思う。
異能で戯画化されているものは、何も特別なものではない。どこにもである悪、どこにでもある善を、よりわかりやすい形でショーアップした結果がペルソナであり、パレスなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
それがより目立たない形を取ると、どうなるのか。静かで力強い今回の演出は、現実と異界の線が思いの外薄いことを教える。
それはつまり、異界の超常的な悪が、簡単に現実を侵食する、ということでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
クソ汚い政治力と経済力、コネと金に塗れた汚い大人は、子供をスーパーヒーローに変える異能を握り込み、より凶悪に振り回している。
怪盗団は、まだその事実に気づいていない。
異能で武装した怪物に、綺麗な夢が踏みつけにされる未来。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
時系列をザッピングし、顔面ボコボコでどうなのオバサンに尋問される状況を挟むことで、怪盗団が”現実”に敗北する物語は可視化されている。
そこを超えた先…クソみたいな現実に一旦負けた後の物語は、まだまだ先の話になるか。
それぞれの小さなパレスに進入許可を出すことで、今回青年たちは心をつなげた。ペルソナの異能がなくても、心を変えることは出来る。あった場合は、もっと派手なことが出来る。物語は普遍であり、同時に特別でも在る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月18日
そういう現実と夢の、不思議な境界線と往来を、鮮明に見せるエピソードでした。