ヤマノススメ サードシーズンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
群馬いいとこ一度はおいで!
彩度を落とした空間の中で、すれ違っていく思いと思い。あおいはほのかと、ひなたはここなと、それぞれ相手を変え、場所を変え、楽しい時間を過ごしていく。スムーズな摩擦の中で、蓄積されていく感情の色合いは…。
そんな感じの、赤城山に重力反応! な回。池袋でエアあおい、赤城山であおい想い。明るく振る舞い社交性が高いひなたが、どんだけズブズブなのかをどっしり見せられて、サードシーズンの本気を感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
よくあるボタンの掛け違いから、お互い”待ち”で状況が悪化し、溝が深まっていく様子をジットリと
このすれ違いは相当引っ張りそうだが、お互いがいない世界が色彩を欠いている、というわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
これまで描いてきたように、二人が出会って広がった世界は綺麗だ。それぞれ気にかけてくれる友だちもいる。山でも温泉街でも、群馬は楽しい。山に登らずとも、あなたがいなくても、世界は輝いている
しかし、それだけではどうにも足らないのだ。特別なあなたと出会い直すことで始まった物語は、やはり特別なあなた、特別な場所を求める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
二人で山頂を手に入れた瞬間の、特別な色彩。相変わらずのロケハン力が唸る今回のお話は、楽しく進みながらどこか、灰色が伸びている。
サードシーズンは山以外のエピソードが多く、あおいが様々な角度、深度から世界とコンタクト出来ている様子を、丁寧に肯定してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
友だちが出来たり、バイトしたり、街を歩いたり。山をひなたと歩く以外にも楽しいことはたくさんあって、それが内弁慶のダメ人間をちょっとずつ変えていく。
それは寿ぐべき慶事、望ましき成長なんだけども、(他の慶事と同じように)必ず取りこぼすものがある。広がった世界はいちばん身近なものを見落として、勝手に進んでいってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
その危うさ、当たり前に損なわれていってしまう特別な関係を、今回のお話は丁寧に追いかける。
冒頭、電話と家でキャラクターの環境を見せるシーケンスが、とてもヤマノススメっぽかった。夜のあおいハウス、私邸通り越して美術館みたいだな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
一人だけ固定電話(しかも黒電話)で連絡受けるここなちゃんが、あおいの寂しさの受け皿になってくれて良かった。
とにかくひなたのあおキチっぷりが尋常ではなく、池袋で見せた重力の片鱗を、さらなる重たさ粘度で大開放。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
電車乗ればあおい、山登ればあおい。
『今お前の隣りにいるのはここなちゃんだぞ!』と言いたくもなるが、あおいリアクションは無意識だからしょうがない。
あおい自身はこの状況をすれ違いとは認識していなくて、ひなただけが重たさを溜め込んでいる感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
明るく社交的な表情の奥に、特別な誰かを思い続ける劇烈さを秘めてるひなたは、すれ違いの溝があおいより深く刺さる。そのアンバランスが、溝をさらに深めもする。
どーんと自分からブッこんで存分あおひなすればいいのに、作り上げた関係が邪魔をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
明るい自分は重たくないから、誰とでも付き合えるペルソナを持ってるから。みんなを助けるひなたの仮面が、今回はひなたを縛り付ける。だから、いつもみたいにワガママ言ってくれればいいのに…。
しかし色んな経験を経て、自分の感情、周囲の世界との付き合い方を学びつつあるあおいは、すれ違いを『まぁそんなもんか』と受け入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
実際、ほのかちゃんと歩く伊香保温泉は面白い。ガーリィな私服と、ガッツリ登山服の対比が面白い。そこに優劣はなく、どっちも良いものなのだ。
良いもののはずなのに、没入しきれない。そこにいないあなたを求め、あるいはあなたがそこにいないことを忘れてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
そういう感情のすれ違いが、楽しさの中でジワジワと発酵して、何かを育てていく。それは内向的なあおいではなく、外向的に見えるひなたの中で育つ怪物だ。
ひなたの社交性、開放性は、ここまであおいのダメダメっぷりを、色んな意味で支えてきた。しかしそれだけで倉上ひなたが構成されているわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
快活なペルソナと相反するように思える、ジットリと重たい”たった一人”への視線。それが同居し、あるいは対立するところに、人間の面白さがある。
ひなたが貯め込む重力に、あおいが感づいていないのも、キャラクターのパーソナルが反映され面白いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
他人なんて関係なし、基本否定から入って距離を取り、自分を守る。そんな処世術を身に着けてしまったあおいは、自分を特別な場所に誘ってくれた特別な少女の変化に、なかなか気づけない。
他人へのアンテナ低いからダメ人間なんだが、そこを補ってくれてたのは他でもないひなた。なかなか根が深い、一見幸福そうにも見えるすれ違い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
ようやく手に入れた世界の広さが、そこに導いてくれた特別さを損なう時、どうやってケアしたら良いのか。損なわれるままに任せるのか。
そういう問題提起を、2つの群馬行をポップに駆け抜けつつ叩きつけるエピソードでした。とにかくひなたのあおキチがディープ&コアで、根が深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
派手に喧嘩してぶつかったなら、逆に突破口もあるのだが。そう思わせるジットリした運びが、普遍性を帯びて良かった。あるわー、こういう空気こういう青春
感情の歯車がズレても、楽しい日々は続く。山に街に、輝きは満ちている。そんな世界を歩きながら、どこまで二人は進んでいくのか。進んでいってしまうのか。そして、そこからどう歩き直すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月20日
不安と期待がじわじわ高まる、いいイントロでした。迫りくる感情爆裂に向け、ハラを決めて次回を待ちます