ヤマノススメ サードシーズンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
深まる秋の気配と、形のない鬱屈。あおいの狭い世界が広がるたびに、ひなたの日だまりに影が広がる。
苦いコーヒーを無理くり飲み干して、作り笑顔で彷徨ってみる。慣れ親しんだはずの街に、貴方はいない。
飯能に高重力反応!!
そんな感じの、どっしり重たいエピソード。第2話で一人原画・コンテ・演出・作監を努めたちな氏が再登板し、バッキバキのセンスで画面と芝居を作り込んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
あらゆるシーンがほんとバッキバキで、ありふれた青春のすれ違いが特別な重たさ、湿り気を宿す。尖ってるなぁヤマノススメ…好き…。
セリフや心情を絵が追いかけていく演出がとにかく上手くて、日常…というにはあまりに解像度が高い世界にどんな想いが詰まっているのか、しっかり届く作りだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
輪郭をクッキリ取らず、少女を"感情流体を閉じ込めた瑞々しい存在"として書き続けるデザインの妙。15分だからこそやれるのか。
このアオリのレイアウトとかマジバッキバキで、日常アニメの緊張感じゃないけども、『当たり前にすれ違い当たり前に成長していく当たり前の青春とは、ここまでドラマチックなのだ』と画面が吠えている感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
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光と闇の色が濃い、秋の世界。冬の気配をはらんだ風がひなたの憂鬱を色濃くする中、あおいは身勝手に、当然に成長の光へ漕ぎ出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
コメディ調の第4話で繋いだ縁が、あおいを別の繋がりへと連れて行く。
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あの時、新しい友人との出会いは『日常百合アニメによくある風景』だった。ひなたは新しい風景、新しい光景に飛び込んでいくあおいを後ろから頼もしく見守り、祝いでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
その祝福は、すれ違いの果てに身勝手な呪いへと変わり、自分をさいなんでいく。
誰が悪いというわけでもなく、目立った対立もなく。ただただボタンが描け違い、すれ違っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
ひなたの中で肥大した愛情が居場所を見失い、誰にも気づかれないまま怪物と化していく様子を、徹底的にジットリ追うカメラは、実はホラーのそれである。
第6話で『お子様なままのあおい』『苦味も受け止められるひなた』を象徴していたコーヒーを、ひなたは今回も飲む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
苦味を飲み込めきれず付け足したミルクは、混ざりきらずに白と黒。それでも飲み干そうとする
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そんな世界からの脱出口は、存外身近な部分にあいている。意外な取り合わせだからこそ美味しい、せんべいとコーヒー。かえでとゆうか。あなたとわたし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
日常的アイテムの使い方が、相変わらず上手い。
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二人きりの思い出を詰め込んだピクセルは、すぐさま"みんな"の喜びへと変容してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
ひなたが留まりたい、圧倒的に特別な閉鎖性を、ひなたが足場を置く公平な世界は許してくれない。
色んな人と仲良くなれる。その美質があおいを変えたのに、ひなた自身はそれを見失い、それに傷ついている。
変わり者だからこそ繋がれた、特別なあなたと私。その先にある、高い峰からの景色。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
これまで手に入れたものの価値はそこら中に転がっているのに、今のひなたはそれを見れない。奇妙な息苦しさと閉塞感が、美しい秋の飯能には宿っている。
そんなあおいの揺りかごを丁寧に描きつつ、ひなたが"池袋"というホームタウン・飯能の"外部"で出会った光の意味は、ちゃんと切り取られている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
クレープ食べて、楽しく騒いで、すすきのフクロウを飼って。あおいは"ひなたならしそうなこと"をトレースし続ける。これまでと同じように。
あおいの独歩はこれまでと同じく輝き、価値の在るものだと描かれ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
ホームへと帰る電車の中で、明瞭に引かれた扉の境界線。そこを超えて差し伸べられた手と光を、あおいはしっかり握りしめる。
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ひなたがどれだけセンチメントに食い殺されそうになっても、あおいの成長と変化は良いことなのだ。なぜなら、それはひなたの属性であり、ひなたが導いたものであり、ひなただからこそあおいも追いつこうと思った光だからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
開かれ、輝く。それを望んでいたはずなのに、いざ形になると寂しい。
ポジティブで社交的なひなたの特性が、自分の内側でうごめく怪物から目を背けさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
自分の闇に引き込みたがる心理を前に、ひなたこそが変容を前に立ちすくんでいる。
地面に刻まれた、停滞の呪い。
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内省的な陰キャがうだうだ悩むのはあおいの特権、そこから引っ張り出して新しい世界を見せるのがひなたの仕事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
そんな"お約束"はいつの間にか逆転し、出会いを導いてくれた陽キャは人知れず、自分の中の"あおい的な部分"を持て余している。
それは、貴方があまりにも深く、私の中にいるから。
二人の間に構築されたスタンダードが、二人の間を邪魔する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
"いつもの二人"でいては抜け出せない薄暗い闇を、しっとりと追いかけるエピソードでした。
クズ人間だからこそ伸びしろがあったあおいと、そのお世話役で足踏みして(させられて)しまったひなたの残酷な対比が、冷静な自己批評性ともなる
自分たちが何を描いてきて、これから何を描くのか。何が大事で、真実そこにたどり着くためにはどういう質感の停滞に向き合うべきなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
サードシーズンスタッフが、己の作り出している物語、世界、アニメーションをしっかり握り込んでいることを、丁寧に伝えるエピソードだったと思います。重い!
"いつものヤマノススメ"を切り崩すのは、そこから伸びていく新しい関係性を見せたいから。そしてこの暗がりは、"いつものヤマノススメ"にしっかり埋め込まれてもいた。("ひなたの10/28"再履修必須!)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
気づけば手を振りほどいて、勝手に大人になってしまう親友。離別の痛み、青春のありふれた成長痛。
すれ違いにナイーブになって、まるであおいみたいなひなた。他人の手を取り前に進んで、まるでひなたみたいなあおい。侵犯し合う黒と白。混ざり合わないあなたとわたし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月3日
二人の歩みがどこに行き着くのか。そこを超えた先に、どんな景色が在るのか。叙情性の弾頭は、静かに迫ってきている。楽しみだ。