はねバド! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
誰かの決戦前夜は、誰かの決戦当日。男子予選を前に、綾乃は幼い挑発を繰り返し、なぎさは進退に思い悩む。
そんな才ある主役たちと、パラレルに繋がりつつ進む"モブ"の試合。
どれだけ打ちのめされても、やっぱりバドが好きだから。まだ、まだ終わらない、負われない。
そんな感じの北小町バド部が主役のエピソード。作画がちと疲弊してきたのが残念だが、負ける側、才能がない側を大事に進んできたはねバドアニメらしい展開で、葉山先輩が好きな自分としてはありがたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
やっぱ群像劇として解体・再構築された別モンだな、アニメ版。そこが良い。
展開としては、停滞し続けてる綾乃をプロローグとエピローグにおいて、悩みつつ交流し、前に進む"部"の面々を挟み込む形。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
綾乃は相変わらず根性ドブゲロ最悪人間で、ガキっぽくて仲間にも競技にもリスペクトを持てないキャラである。主役をここまで冷たくサゲるの、やっぱマゾの劇作よな。
真っ当なコミュニケーションから阻害された綾乃は、部員眼の前にして『相手にならない』と断言しちゃうわ、食卓にはつかねーわ、やりたい放題し放題。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
『相手と正対しない』スタンスは、あらゆる場所で貫かれている。
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相手との相手にある線から身を捩り、ねじれの位置に自分を置く。会話するにしても鏡越し、食事にはラップを掛けてマトモに食わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
母不在のまま情緒を凍らせてしまった綾乃の幼さは、他人との境界線に向かい合う強さを、彼女に与えない。酷いというよりは幼くて、見てて痛ましい。
バドだけが全て(と母に教え込まれ、それを是正する前に母がいなくなってしまった)な綾乃がマトモに他人と向き合うのは、コートに立ったときだけ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
それも前回のコニー戦や、今回の練習風景を見ていれば、相手のすべてを受け入れるようなコミュニケーションではないのは明白だ。
その状況は、今回のエピソードでは動かない。描かれるのは少しの揺らぎ…『お母さんは、私が捨てる』と自答した時のハイライトのない目から、『一緒に暮らす?』と問われた時の揺らぎへの遷移である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
傍若無人な暴君だけが、綾乃というわけではない
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どうにか、母と"マトモ"で温かい関係、正面から向き合い交流する繋がりを再生したいのに、ねじれきってしまって出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
母を拒絶することで自分を守っていた幼さに、有千夏は無遠慮に踏み込んできて、"家族"特有の踏み込みをこそ、望んでいたりもする。
そんな、人間らしい揺れ。
有千夏が綾乃の幼さを受け取るに足りる人格を持っているのかは、未だ描かれない。"母"との関係に帰還することが、綾乃(とこのアニメ)にとってのハッピーエンドなのかも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
そこに幸福の兆しを強く感じていること、それでも踏み出せないことだけが、今回のお話を挟んでいる。
綾乃の防壁は硬くて強くて、なかなか踏み込めない。"母"との狭い関係に幼いまま取り残されてしまった彼女に、"他人"が出来ることはないのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
それでも、高校まで進んでしまったなら社会は勝手に成熟し、綾乃の外側では複雑なコミュニケーションがパラレルで進んでいる。
今回のお話は悠と葉山先輩という『負けても続ける人たち』と、なぎさという『勝って続ける人たち』の交流のお話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
第1話.第2話で自分のエゴを理解し、他人と向き合うことの意味を教えられたなぎさは、綾乃のような斜の構えは取らない。
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自分と似た立場の先輩に、あるいは守るべき後輩に、しっかり向き合って思いを伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
第2話で退部組とコーチが、第6話で理子が教えてくれたものをしっかり受け止め、悩んでも"マトモ"に姿勢を戻し、正しい行動につなげる。
自分一人で閉じこもらず、相手を入れる度量がある。綾乃と正反対だな…。
なぎさが迷い込んだ迷宮は(相変わらず)暗くて濃い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
呪いのようなスポットライト、禍々しい赤信号。停滞し、自閉し、答えをだすなと呼びかけてくる無機物立ち相手に、なぎさはムッツリと黙り込む。
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どれだけ暗い場所にいても、最終的には青信号。理子もいれば、周囲を気遣いつつヤバイ空気を敏感に感じ取り、一歩引いちゃう悠ちゃんもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
自分の過去と照らし合わせてアドバイスをくれるコーチと、その真意を解読してくれる先生もいる。
人に恵まれている自分を、なぎさは二度見失わない。
同じ凡人である、葉山先輩の影の努力。悠ちゃんはそれをしっかり見ながら、どう踏み込めば良いのかわからない。思いやりを込めたポカリスエットが、行き場を見失って迷う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
努力して挑んでも、傷つくだけなら。もう努力しなくても良い。
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試合前に思わず漏れた言葉は、自分に言い聞かせた内言なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
勝てなくても、惨めでも、競技を続ける理由は何処にあるのか。
その痛い問いかけは、『勝ちが全てなんだよ』とうそぶく綾乃と鏡写しにある。負けてもなお、戦う意味があるとしたら。綾乃を支配する歪んだルールは間違っている。
なぎさも悠ちゃんも、葉山先輩も学くんも、皆そういう形のない問いかけに、自分なりに向き合おうとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
もちろん迷う。悩み、傷つき、逃げ出そうとして、同じ悩みを抱える仲間に向き合ってもらって、受け止めてもらって、もう一度向き合い直す。
それが出来る場所を、"部"と呼ぶだろう。
負けるために戦いに赴く葉山先輩から、悠ちゃんは距離を取る。"部"との間にある境界線、弱さの闇の濃さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
しかし"部長"は、それを孤独に放置はしない。向き合い、踏み込み、隣り合う。かつて理子がそうして、理子にそうしたように。
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なぎさが隣り合ったことで、悠ちゃんは自分の中に溜め込んだモヤモヤと向き合う強さを手に入れ、葉山先輩の敗北をちゃんと見れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
それは自分とよく似た、でも違う人の姿。バラバラだからこそ、自分の姿をよく見せてくれる鏡。そういうものとは、ちゃんと敬意を持って繋がったほうが良い、と。
第1話・第2話で荒れていた経験からなぎさは学び、その経験を後輩に分け与えようとする。リタイアを進める立花コーチのように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
そういうふうに思いやりを乱反射させることで、"マトモ"な人たちは自己像を取り戻し、真っすぐ進んでいく。終わっても、終わりじゃない。
ギリギリのスコアで破れた学くんは、大学に行ってもバドを続けると決めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
声がムカつく対戦相手に負けても、葉山先輩は礼を失しずちゃんと向き合った。
"マトモ"な人たちは、敗北の痛みを噛み締めた上で、前を向き直す。
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コンプレックスにネジ曲がりつつ、バドへの敬意と愛情で、自分を追い抜いていったライバルと肩を並べ直す。負けの先にも道はあると信じて、ラケットを握り続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
そういう道に自ずから立てるものと、危うくフラつきながら道に戻ってくるもの。そして、道自体が見えないもの。
色んな人の表情と交流を描くエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
悠ちゃんの胸に広がる苦味と高鳴りは、葉山先輩個人ではなく、彼が背負う"諦めの悪いバド"への憧れという形で決着。
ここで色恋ではなく競技に行く所が、はねバドアニメっぽいなぁ、と思う。そういうデカいモノへの敬意が、すごく大事なのだ。
悠ちゃんの感情が結局、まかりまわって自分に返ってきたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
なぎさはあくまで過去の自分に勝つため、今と未来の自分のために、膝の爆弾を押して綾乃と対峙することにした。
どんなスコアだろうと、ラケットを握って競技をするのは自分だ。そのたった一人のプレイヤーは、とても大事なのだ。
なぎさはそういう原則に立ち戻(るために様々な人と交流し、支援してもら)って、決戦に挑む。自分が一人であり、一人ではないことを誇る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
そんな尊厳ある立ち姿が、なぎさ自身を通り越して綾乃まで響くのか。"部長"のシャトルは"後輩"に届くのか。
ココらへんを問うのが、インハイ予選決勝となる。長かった…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
バドの特権性を強くルール化している本作、早々簡単に綾乃は変われない。第3話で突破の気配を見せ、変化の予兆とゴールの在り処を予感させつつも、突破し切るためには時間と状況が必要になる。
早々簡単に変わることが出来ない綾乃の歪み、壁の高さと、彼女がたどり着けない敗者の楽園の姿。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
クライマックスに至るまでにみっしり積み重なった描写が、しっかり着火して爆発するか。予感以上のものを、決戦の中に込められるのか。
なぎさは"母"の檻から、綾乃を連れ出せるのか。
色々楽しみになる決戦前夜でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月5日
話の柱は綾乃となぎさの決戦なんだが、その途中経過で描いた様々な敗者、凡人の表情がそれぞれ輝いていたのは、僕はとてもいいと思う。
そこから学べない子供と、不器用に学んできた少女。二人のバドが激突する次週、とても楽しみです。