ルパン三世PART5を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
電子の監視網が、英雄を見世物に貶す。狼男は牙を抜かれ、可愛いマスコットに堕す。古臭いアヴァンチュリエの居場所は、サイバーワールドはない。
そんなわけがねぇと、次元大介の銃弾が吠える。ルパンはまだ、終わっちゃいない。
実際クラシックだよ、お前ってヤツは。
というわけで、終章に向けてシリーズ全体を、"ルパン三世"を見つめ直し、自分たちの答えを堂々と打ち出すラス前である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
過去に敬意と目配せ、現在に誇りと努力、未来に希望と決意。
"ルパン"オフィシャルがどれだけ"ルパン"を理解し、愛し、夢を持っているか。24分のドラマで証明するような作りだった
斬鉄剣の一撃により、ルパンと五右衛門は立ち上がる気力を奪われた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
『自分はルパンに勝った、世界一強い男になった』
自分に言い聞かせる五右衛門はしょぼくれ、ヒロインのように長いまつげがうなだれている。ゴエちゃんホンマ、メンタル不安定なヒロインやな…可愛いで…。
不二子はヒロインの矜持を以て、檻に入り続けることを選択する。誰かに押し付けられて"女"であるのではなく、自分の身体とプライドをかけて"女"であり続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
後にルパンが宣言する『俺はルパン三世であり続けたい』という言葉と、何処か呼応する"あえて"の選択。
悪女、烈女、魔女。"峰不二子"というアイコンに寄せられる視線も、"ルパン三世"に負けず劣らずの重荷だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
だが不二子は自ら選び取って、物語の終わりに"峰不二子"らしく振る舞うことを選ぶ。"ルパン"が盗みたくなるほど魅力的で、力強い女性として立ち続ける。
シリーズの歴史、いつの間にか堆積された固定イメージが求める"らしさ"に流されるのではなく、キャラクター自身にそれを選び取らせること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
自発的な魂の選択が可能なくらい、ドラマを煮込み、過去を参照し、演出に凝り、ドキドキワクワクのアドヴェンチャーをしっかり書き切ること。
PART5が(そして"ルパン三世")がやってきたことをしっかり自覚し、プライドを持って走りきろうという態度があって、今回の不二子の、次元の、ルパンの、銭形の言葉はよく響く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
非常に強いメタ視点が介在しているのだが、同時に物語は独自の体温を保ち、ひどく熱い。PART5らしいクライマックス前だ。
狼男の被り物を着た次元は、あっという間に正体を見抜かれ、間抜けな逃走を繰り返す。キーアイテムのタバコだって地面から拾い、ライターはつかない。弾は最後の一発だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
キャラクターを代表するフェティッシュを欠乏させることで、困窮を描く筆がよく冴えていた。ここら辺はゴエちゃんの斬鉄剣も同じ
そんな次元を文字通り引っ張り上げ、相棒に対面するパワーを与えるのがアルベールなのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
フランス"国家"を維持する公安関係者として、ヒトログは切り崩さなきゃいけない。そのための尖兵として、次元大介に情報と銃を渡す。もう一人のルパンと、次元のコンタクト。
それはもちろん、"ルパン"を憎みつつ愛する"元ルパン三世候補"としての助力でもあり、ルパン三世に惚れ込んでしまった男としての共感でもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
EP2のように、自分が前に立っても良かったのだろう。だが、ルパンに大事な問いを投げる仕事を、アルベールは"次元大介"に任す。
『お前に引導を渡すのは俺だ。不二子なんかに譲れるか』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
このセリフを聞いた時、よく言った、と思った。"ルパン三世"と"次元大介"が積み上げてきた歴史が、一言に凝縮された言葉だと思った。
それが唐突に聞こえないように、PART5は物語を積んできたのだし、そのためだけに個別エピがあるわけでもない
次元がミラージュ二世と戦い、殺し屋軍団をぶっ倒し、フランスの宿屋で下宿していた歩みは、次元大介という個人の人生だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
そこには血があり、体温があり、息吹がある。仮想の人間からそういうモノを感じられるよう、小道具からストーリーラインまでしっかり組み上げて、PART5は進んできた。
”ルパン”という大きなモノを野心的に追いかけつつ、一つ一つの物語、シーン、アクションにエピソードをないがしろにはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
一話一話、一瞬一瞬を面白く、心に染み入るものとして描くために全力を尽くす。そんな物語製作者としての努力が、今回のデカいキャンバスを成立させている気がする。
血なまぐさいPART5の描画を受けて、今回の次元大介は殺しに殺す。銃派を弾くみたいなまどろっこしいことはせず、M500は防弾メットを貫通する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
それだけ"次元大介""ルパン一味"は追い詰められているし、それが"次元大介""ルパン三世"だということかもしれない。
第19話に引き続いて、次元の銃器がアップデートされているのが良かった。愛銃M19で打破できないなら、よりデカくて長い武器を持ち出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
今回初登場の銃もあったし、懐かしい顔ぶれもあった。未来と過去を引っ掻き回して、"次元大介"は現在に通用する武器を選び取る。スタイルに固執はしない。
むしろ状況に応じ、時代に向き合って自分を変えていくことこそが"ルパン"のスタイルであると、次元のガンアクションは語っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
ルパンがIT、それが後押しする政治情勢の変化にしっかりついていっているように。ヒトログをハックすることで、状況を変えたように。
言うまでもなく、そのスタンスはPART5全体のスタンスである。時代遅れの怪盗がどう”今"の物語になるかを考え、伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
ボロカスなオールドスクールの惨めさをちゃんと描いた上で、その再起を見せ、『お前ら”ルパン”はワクワクするだろ!』と問いかけてくる。
すごく好きだ。
次元の引退勧告は、否定されること前提の問いだ。『はい、時代遅れなんでやめます』じゃあ、お話にならない。今眼の前で展開される物語そのものの否定、市に至るニヒリズムだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
だが、その問を引っ張り出させた状況は、作中でも作品の外でもシリアスだ。
次元役の小林清志さんはご高齢で、オリジナルキャストで唯一現役である。他のメンバーが代替わりする中で、必死に"次元"にしがみつき、自分をかけてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
"次のルパン"では、次元は別の声かもしれない。ルパンファンは、みなその気持で次元の声を聞いてきたと思う。少なくとも僕はそうだ。
そんな次元が、自分を老いぼれだと、そろそろ潮時じゃねぇか、と問うてくる。画面の外のアフレコ事情は描かれないが、(間接的ながら)知ってしまっている身としては、どうしても外部の、しかし"ルパン"に密接した物語が流れ込んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
人は老い、物語は不滅だ。その時間差がルパンを"老いぼれた英雄"にしているのだし、2クールの物語を自己解析と再構築に当てさせもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
『アニメオタクは、ルパンはオワコンだとか吠えてるけど、さぁどうなんだ』
追い込まれたルパンに投げかけられる問は、そういう側面も含んでいるのだろう。
答えはもちろんNOだ。見りゃ解んだろトンチキ共が…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
ルパンは生きている。仲間に切り裂かれ、血を流してヘロヘロになり、最新鋭のシステムに追い詰められても、ルパンは生き続ける。
それは当然、"ルパンがルパンであり、ルパンであり続ける"という思考停止、甘えたトートロジーによってではない。
"ルパン"とはなんなのか問い続け、アクションとドラマによって答え、瑞々しい新たな側面を見せること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
"ルパン"がルパンらしくあり続けるよう、やせ我慢と必死の努力を続け、観客にそれを見せないこと。
ルパンの答えはそのまま、このPART5を作ってきた製作者の答えなのだと思う。
それを言うだけの資格は、何よりこれまで描かれたエピソードが証明している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
魅力的なキャラ、面白いプロット、野心的な挑戦、煮えたぎるドラマ。
PART5はルパンの総決算だとか自己分析だとかいう前に、まずアニメとして物語として、ぶっちぎりに面白かったのだ。
楽しいからこそ惹きつけられる、ピンチにハラハラし、逆転に膝を叩く。あに目がエンターテインメントである以上、面白くないやつに物言う資格はないのだし、ならばPART5に自作を、”ルパン"を語る資格は十分以上にあるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
そう思えるよう、今回のエピソードもシリーズ全体も組まれている。
シリーズに新鮮味をもたせ、風を入れる窓口になる新キャラ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
アミちゃんがクソ親父に傷つけられ心底可愛そうだが、ルパン最強のファンガールである彼女の仕事を、八咫くんが銭形に対しやってくれた感じがある。
正直あんま存在感がなかったが、今回一発で一気に盛り返してきた。
僕は銭形が好きだ。届かないと知りつつルパンを追いかけ、永遠の追いかけっ子を続けるタフガイ。愛嬌も十分で、尊敬している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
そんな僕の代わりに、八咫くんは怒ってくれたのだ。社会人としての栄達も、個人としての幸福も、"ルパン三世"という物語の中に置いてきた男を褒めろ、と。
アミちゃんが"ルパン"に父を、英雄を、恋人を見て惹きつけられる僕らの代理だったように、八咫くんは銭形を敬愛する僕らの代弁者になってくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
そういう立場のキャラを物語に配置すること自体が、"ルパン"を取り巻く環境、愛され忘れられてもいる現状をよく見ている証明だと思う。
八咫くんの怒りはそのまま、良い問いかけにもなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
『なぜ銭形は、ルパンを追いかけるのか』
第20話でも投げかけられた問いだが、銭形はそこに未来を投げ込む。
『警官の俺が、泥棒のルパンと真っ向一人間として向き合うためには、罪を雪がなきゃならんのだ』と。
永遠の追いかけっこを終えた先にある、銭形の勝利。彼が背負う秩序への信頼の勝利は、絶対にたどり着けない蜃気楼だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
ルパンは終わらない。終えてはいけないし、終わらないことがルパンでもある。それでも、銭形は自分が勝つ未来を見据えて、本気で一瞬一瞬、繰り返される永遠に取り組むのだ。
そうやって、"ルパン三世の終わり"に切り込むのは初めてじゃない。1stからずっと、当然問われてきた問いではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
でも、今回の銭形の答えはその前向きさ、清廉さ、"銭形らしさ"において、特に響く答えだったと思う。それを呼び出した八咫くんの言葉も、とても良かった。
ラスボス貼ることになったエンゾは株価急降下取引停止だったが、ルパンのいい鏡でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
次元に問われ、自分の根源、物語のコアを明瞭に述べたルパンに対し、エンゾは初期衝動を見失っている。
親子の情はいつの間にか、世界救済というデカくて薄っぺらいものにすり替わっている。
ルパンだってデカいものを狙う。巨大な宝石、国それ自体、あるいは世論や概念。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
でもそこには、いつだって生身の、斬鉄剣に切り裂かれ五右衛門に肩を借りる一個人がいる。自分が何処から始まって、何がしたいのかを見据えている。情熱がある。
エンゾにはそれがない。だから負ける。わかりやすい。
ルパンがヒトログの信頼性を逆手に取り、システムを正しくハック(クラックではなく)して逆転の手筋を作るのが、ITモノとして凄く良いな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
より良くなれる可能性があるのに、運用によってそのスペックを残っているなら、違法だろうとハックする。時代遅れの怪盗の、ワイヤード気質が唸る。
国家と企業がせめぎ合う現代の荒波を利し、国家スキャンダルを暴露しまくることで国を煽るのも、面白い手だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
EP2、あるいはEP3で描いた"国"の肖像。EP2では暴露できなかった黒革の手帖は、電子化されて今火を吹いた。国は揺らぎ、自衛のために動き出す。繋がっているのだ、ちゃんと。
世論を煽って有利な流れを作るのは、EP1の裏焼きだ。あのときは個人のどす黒い感情が前面に出ていたが、ルパンはあくまでクールに、糾弾されるべき不正を明るみに出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
今まで見えなかったものを顕にする。盗み出す。世紀の大泥棒の悪事は、しがらみを超えた正義の行いともなる。
エンゾが企む世界革命は、現行人類には早すぎるアップデートだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
国家を解体縮小させ、プライバシーの概念を書き換え、すべてを利便で塗り替える。それを支えるテクノロジーが実用化されても、運用に必要なしそう基盤はまだ未熟だ。
ヒトログが実現する幸福とは何か。娘を見捨てる男にはけして見えない
ルパンは旧時代の代表として、エンゾがアップデートする世界を切り崩す。そ自分の生存のためであり、"ルパン"という物語を続けるためでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
でもその方法は、自分の古臭さを押し付けるやり方じゃない。自分らしさを保ったまま、新たな時代の息吹を貪欲に吸い込み、自分を変えていく形だ。
そんな新旧の同居、アップデートとノスタルジーの融合こそが、"俺達のルパン"なんだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
今回のエピソードとPART5全体は、誇り高くそう言っているように思う。そして僕は、それに同意し称賛する。
いいアニメ、力強く面白いアニメだ。
PART5以降、"ルパン"がどうなるかは判らない。PART6があって欲しいけども、そればっかりは経済クラウドがどう反応するか次第だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
今回見せた総決算と未来への視線は、もしかしたら"ルパン"の終止符になるかもしれない。
仮にそうなったとしても、それは立派なエンドマークだ。
”ルパン”はこれほどいろいろな物語を描いてきて、キャラクターを人間として生かしてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
"ルパン"は今でも生きていて、本気で通用する物語なんだ。
"ルパン"を愛し、信じて、手間と知恵と努力をつぎ込んでお話をしっかり作り上げたこと…五回目のルパンとしてしっかりやったことが、思いに報いる。
そういう最高のエンドマークを、次回最終回、その先に続くだろう"ルパン"に夢見たいと、僕は心底思っています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
ちょっと早いですが、先に行っときます。
ルパン三世PART5,素晴らしいアニメでした。自作へのメタ批評とドラマの熱量を見事に同居させた、完璧なリブートでした。
次回が楽しみ!
あ、名前だけだけどレベッカが再登場してくれたのは、彼女大好き人間としては最高のご褒美でした。あの子ほんと可愛いからなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月11日
物語を終えたゲストも、あの世界で生き続けているんだという優しい視線は、PART5を"ルパンファン"が作ってる最良の果実の一つだと思う。