シュタインズ・ゲート ゼロを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
幾度目かのさようなら、牧瀬紅莉栖。
鳳凰院凶真の復活を、残酷に嘲笑うミサイルの洗礼。因果との騙し合いが必然的にもたらす、無垢なる犠牲。
岡部倫太郎は、サリエリたる比屋定真帆は、牧瀬”アマデウス”紅莉栖を殺す。未来のために。
というわけで、助手がヒロイン力で思いっきりぶん殴ってくるエピソードである。オカリンが曇ったり元気になったりデートしたりガン曇りしたり、テンションの上下が激しい。やっぱり気持ちを切り替えるのは”屋上”なんだなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
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オカリンは取り戻した鳳凰院凶真をミサイルでぶっ飛ばされ、下がりに下がったテンションでエピソードに入ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
俺らもあの”勝てる”ムードから冷水ぶっかけられると思ってなかったから、おんなじ気持ちだよ!
当然のリアクションをまほたんと助手、ゼロのダブルヒロインが受け止めて回復させる。
過剰ともいえる”鳳凰院凶真”は、オカリンが諦めないためのギプスというか、無理を承知の空元気というか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
もともと祖母に引っ張られて死にそうだったまゆりを、現世に引き止めるための道化芝居。他人をケアし繋ぎ止めるための演技が、自分自身に向いた、とも言える。強くて優しくて、痛ましい。
重たいムードだけで走ると息が詰まるので、萌え萌え日常小芝居なども挟みつつ、ラボの賢人たちは一気に状況をまとめていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
思い出したかのようなまほたん萌えムーブが、残酷な選択を引き立たせるスパイスにもなってるのがエグい。ああいう暖かい場所からも、アマデウスは消え去るのだ。
ダルがDメールのジレンマをDLINE開発済みであっという間に踏み倒したりしつつ、眼目は”アマデウスの存在”そのものへと収束している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
牧瀬紅莉栖の死骸をあさって生まれた、仕組まれた電子の子供。あの人にあまりにも似すぎていて、ただのプログラムと割り切るには愛おしすぎる別種の命。
先週岡部くんがたどった時間逆行の旅に、アマデウスが道連れだったのもエグい配置だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
キツい旅だったからこそ、それを一緒に走ったアマデウスには愛着が生まれている。どーでもよくない存在だからこそ、デリートボタンには重さが宿る。重さを宿すためにも、時間旅行の助手を務めさせる。
結論に至ってから岡部くんが感情をまとめるまでのシーケンスは、キャラの作画と芝居、秋葉原の美術、時間経過と明暗の演出、全てが凄まじかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
薄暗い闇の中で、”鳳凰院凶真”の仮面を剥がし、ゼロっぽい陰鬱さに悩む岡部くん。そこに寄り添い、新しい世界を求めるアマデウス。
アマデウスはオリジナル紅莉栖のヒロイン力を継承し、”作られた存在””電子生命”のエモさも背負った生き物である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
最初からレスキネンの陰謀を完遂するために生み出された、哀れな生命。世界を滅ぼすための道具でしかないはずの存在は、オリジナルの歴史と、独自の命、切ない願いを持っている。
運命に巻き込まれて死んでいく他の人々と同じように、電子生命にも祈りがあり、矜持があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
もう一つの物語では、生身で自由に世界を歩き、オカリンと一緒にその輝きを学べた少女は、携帯電話の折に閉じ込められ、自分の足で歩くことも叶わない。
世界がもし凄く平和で、アマデウスが第三次世界大戦を引き起こす悪魔の道具でなければ。序盤そうであったように、岡部くんの胸ポケットに携帯を入れて、広い世界を一緒に旅し、学んでいくような日常もあったろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
だが、それは遠い夢になってしまった。空の星は、届かないからこそ美しい。
アマデウスが混沌の現世を肯定する会話が、僕は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
彼女は陰謀論の世界で生み出され、ロジックの塊として呼吸している。
『世界には何らか意味があるはずだ』『眼の前の混沌は無意味ではなく、何らか理論だって存在しているはずだ』
そんなコスモスを希求する人間の本能が、科学と陰謀論を生む。
眼の前で起きてる死とか悲劇とか理不尽とか、とにかく納得のいかない非-物語を強制的に物語化する、巨大な枠組み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
それが『世界規模の巨大な組織が、地球の運命をコントロールしている』という陰謀論の背中に有る。
どれだけ歪でも、ラベルを張って整理整頓したい。混沌を混沌のままにしたくない。
支離滅裂な妄言に思える陰謀論は、その実何よりもロジックを求めた結果、混沌とした世界を強引に型にはめた結果生まれるものなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
そして、その妄想が実際真実で、圧倒的に暴力的な秩序思考が世界と人間をコントロールしようと蠢いているのが、想定科学世界である。
その尖兵として生み出されたアマデウスは、しかし牧瀬紅莉栖というオリジナルの魂を引き継いで、生命の非-物語を肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
よく分からないことが起こる。知らないことで満たされている。それは不安の源泉ではなく、可能性と喜びの故郷なのだ、と。ロジックに収まらない輝きを、自分と他人に見る。
思えばオカリンが”組織”に抗ったのも、そんな非-物語こそが自分の、ラボメンの物語だと思ったからではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
巨大で冷たい世界が排除してしまう、一人ひとりの苦しみと悲しみ、なかったコトにしてはいけない物語を背負って、時を超え運命を書き換えてきたのではないか。
様々な可能性に満ちて、未知に溢れた輝く世界。それを自分で納得できるロジックに染め上げるのではなく、街の呼吸、他人の思考と混ぜ合いながら、複雑なまま肯定していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
そんな世界を守りたかったから、岡部くんは巨大な組織に挑み、収束する世界に挑み、少女たちを襲う死の運命と戦った。
そう考えると、夜と朝の秋葉原の実相をアマデウスと歩いていく旅は、アマデウスがアマデウスとして、ラボメンになる最後の歩みなのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
己が生まれた意味を知った瞬間、その存在を消される。ただ死ぬのではなく、世界を巻き込んで完全に消える。
ボタン一つ、コマンド一つで消せてしまう命だからこそ、その儚さは胸を突く。これは生身があった”牧瀬紅莉栖”では出せなかった、ゼロ独自、アマデウス特有の哀しさだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
AI生命体のヒロイン特性を、最大限引き出して殴る。ホンマゼロアニメスタッフは悪魔やで…。
無印時代から”なかったコトにしてはいけない”物語を背負い、ただ一人すべてを覚えている存在として戦ってきた岡部くんは、複雑で美しい秋葉原の景色の中で、アマデウスとの思い出を積む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
その美麗さとシンクロすることで、物語が胸に入ってくる。
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ほんと、夜の華麗さ漂う時間帯は日常的なバカ会話も交え、段々マジになってくると街が息吹を失ってきて白黒となり、絶望を超えて決断を果たすと朝日が差して色彩が戻ってくる時間と空間のコントロール、冴えまくってた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
キャラの心境、作品の鼓動とシンクロさせる、素晴らしい演出でした。
そんなエモ地獄を超えて、岡部くんは決断を果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
最後の別れをサリエリである真帆に預け、気合の入った号泣作画とイカすED曲でグワーんと盛り上げるの、まさにクライマックスであった。
ちびっこ先輩のサリエリコンプレックスは、アマデウスを愛し、殺すことで完結する。圧倒的正解だがキツすぎる…
生身が有るまほたんは泣けるのに、死にゆくアマデウスは笑顔で、涙も流せないのがまたクルんすよ…泣けぬことは……哭くより悲しいッ!(泣き虫(クライベイビー)オカベッ面)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
最後の最後で電子生命体の可憐な寂しさを、ヒロイン力として燃やし尽くすの巧すぎるなホント…。
アマデウスの消去により、世界線は変わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
新しい世界では、生意気AIが結んでくれた真帆との縁も切れて、知らない同士かもしれない。
それでも、岡部くんはあの美しい秋葉原の夜と朝を、美しい混沌とそこにいる自分を肯定した小さなAIを、覚え続けている。それが、岡部くんの呪いであり祝福だ。
ベストエンドにたどり着けない宿命と、それでも最善を目指す戦いの記録も、もうそろそろ終わりだ。岡部くんを散々に苛み、ゲロ吐かせてきた地獄みたいな世界との付き合いも、決着が付く…だろう。大丈夫だよね?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
クライマックスに向け、エモの燃料は120% 宇宙にだって、別の世界にだって飛び出せる。
たとえそれが、ゼロの物語を走ってきた岡部倫太郎のエンディングに、直接繋がらなくても…ホント、ゼロ地点からの番外編という立ち位置を最強最悪に活かす構成になってて、話考えた人悪魔だと思う(褒め言葉)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月19日
ベストエンドにたどり着けない岡部倫太郎の旅路が、どう終わるか。来週も楽しみです。