・前置き、あるいは言い訳。
（これからはねバド！ のアニメ感想を描いていくわけですが、その前にちと言い訳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
北海道地震の影響で一話相手、何かのリズムがズレてしまって、感想を描くルーチーンから外れた結果、三週分もタメてしまいました。申し訳ない。作品が嫌いになったわけではないので、今更ながら感想書きます）
（ここで歯止めがかかっちゃったのは作品を咀嚼する時必要な顎の強さ、消費するカロリーを嫌った感じもあって、それは今でも相変わらずなんですが、ようやっと向き合う姿勢が出来た、という感じです。大げさに言えば。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
定形のスポ根、定形の青春をことごとく外してくるので、顎使うんですよね…）
（しかしそれは作品独特の歯ごたえ、アニメで徹底的にアレンジしてでも描きたいテイストがあればこそであり、そのクセの強さが魅力の作品でもあります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
そこを楽しみながら感想、再開させ完走したいと思います。今更ながらですが、お付き合いの程を）
・感想本編
はねバド！ 第11話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
決戦を前に、静かに胎動する思い。
”部”にも”母”にもバドミントンにも向き合いきれないまま、嘲笑を浮かべて自分を守り続ける綾乃。
言葉少なく自分を追い込みながら、適正距離を探していくなぎさ。
二人の運命は様々な人を巻き込みつつ、今コートで衝突する。
そんな感じの、試合前の風景と試合直後の風景。ここでじっとり、足踏みしたり助走したりする少女（だけではないけど）を描くのが、アニメはねバド！ っぽいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
視聴者としては時に、『それはもう良いんじゃない？』と思うほど周到に、一つのことを掘り下げ、その複雑さを掘っていく。
カメラは徹底的に綾乃となぎさの日々を追い、その心理を情景に託しながら描いていく。明暗は色濃く、複雑な色彩で混ざり合わないまま、決勝を戦う二人の周囲を包囲していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
その周辺に母やコーチ、先生といった大人、あるいは”部”の仲間が所在なさげに立ち尽くし、自分の物語を語っていく。
過去が全て終わったかのように、気さくに話しかけてくる有千夏。前回のお誘いを受け、食卓を同じくするようにはなったが、追加のケーキを一緒に食べるには至らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
食事マナーの悪さで人格の未成熟を見せもする、フード理論の演出。
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今回（に限ったことではないが）綾乃は闇の中だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
過去の思い出、孤独で幼い自己像に閉じこもったまま出てこず、”部”という外界を揶揄し、エレナとも距離がある。産道が開かないまま、母との対面は遠い。扉越し背中合わせ、交わらない心。
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この距離感は家に限った話ではなく、決戦前夜のエモい空気で、かつて過去を共有していた思い出の場所に立っても、コートラインと扉、二種類の境界線が二人を阻んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
捻じくれ、拗れ、どこにも行き場がなくなってしまった二人の関係…有千夏は行き場のない綾乃を置き去りに、一人先に進んでいる。
勝手に決着させて、勝手に金髪少女養子にして、”綾乃だけのお母さん”ではなくなってしまって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
有千夏のカラッとした対応は、綾乃の幼さが強調されればされるほど、身勝手に（僕には）映る。
バドミントンだけでなく、ちょっとは母親をやってくださいよぉ！（富野調の指弾）
今回『空から雫が落ちる』演出が幾度もリフレインするんだけども、それは一回も涙ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
ポカリスエット、汗、あるいは雨。貯め込んだ感情が開放されるような予兆だけを写して、決定的激発には至らない。クライマックスにはまだ早いのだ。
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怪物のように、暗闇の中ポカリスエットを垂らす綾乃。その奇っ怪な姿が、僕には痛ましかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
大声で泣き叫んで、自分の感情を外側に出す手段を、今の綾乃は失っているのだ。だから、アイソトニック飲料の偽涙を、ポタポタ垂れ流しにするしか出来ない。
それは子供時代、泣き叫んでもお母さんが止まってくれなかった経験が、決定的に破壊してしまった場所だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
有千夏は扉を開けて、哀しい一人芝居をやめるよう抱きしめてはくれない。そういう人間としての当たり前を期待するには、二人の怪物はすれ違いすぎている。
今回確認されるのはその現状だけであって、痛ましくすれ違う状況は加速こそすれ、開放はされない。その過剰とすら言えるフラストレーションの溜め込みは、やっぱアニメはねバド！ っぽいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
『早々簡単に心が開放されるなら、バドミントン主題で彫り込む必要もないんだよ…』みたいな。
綾乃は露悪的に、あるいは幼稚に他人を煽り、不適切な態度を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
光のコートを前にお互いの起源を語り合えそうなときでも、先回りしてなぎさの答えを潰す。
『バドミントンが好き』
シンプルな真実の形はみえていても、それを自分のものとして引き受けるには、あまりに遠い。
素直になれば一発で解消される、絶望的なわだかまり。それは綾乃の人格成長を妨げ、孤独の中で貼り付けにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
その克服がクライマックスのドラマを呼ぶと、アタマでは理解してても。傷ついた子供が倦むままに在る姿は、とても痛ましい。なんとかしてくれ！
ここまで拗らせてしまうと、なんとか出来るのはコートの中だけであり、その外側は無力だ。なので、試合前の風景で綾乃は孤独に、闇の中にあり続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
第5話で憧れた”部”の輪から一人外れ、孤立し続ける。
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葉山先輩がぶっ潰されたプライドをそれでも飲み込んで、最低限の礼を尽くす中で、綾乃は背中を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
ガキを相手にしてくれる部員、バドミントンというコミュニケーション・メディアのあり方、成長の兆し。全てに目をそらして、ラケットだけ見る。
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なぎさとの試合中でも強調される、無意識の仕草。自分が無力ではなく、何かを掴めるのだと、誰かをブチのめし意思を通す力があるのだと確認するかのような、ガットいじり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
その危うい幼さには、不気味さと悲しみがしっかりこもっている。幼児が糸を掴んで、抜け出したい迷宮はどこにあるのか？
その外辺をスケッチするかのように、”マトモ”な高校生の明るい青春が、対比で描かれる。明るい日差しの中、共鳴するサークル。万色の複雑さを、頬を撫でる自由な風を感じながら開けた場所に向かうなぎさちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
その開放感と、思い出の屋内練習場に沈む、綾乃の閉塞感。 pic.twitter.com/YnJf4X9g4e
クドくて強くてヒドい表現で、綾乃の停滞はずっと続いていく。”部”を否定するかのような言い草にエレナがキレたときも、綾乃は柱の陰に隠れ、第二の”母”に正対しない。出来るほど、人間の体幹が仕上がっていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
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茶化してスカして反射で逃げることでしか、綾乃は傷ついた自分、停滞したまま成長できなかった自分を守る手段がないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
そこに飛び込めば、全てが終わると分かってはいる。でも日常の温度では、絶対に飛び込めない。それが唯一できるのが、勝敗と、勝敗を超えたものがラリーされるバドミントン。
凝縮された時間は、まだ訪れない。綾乃の幼年期は終わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
そのかわりのように、ゴミみたいな親友の代わりに身勝手な母親と対峙するエレナが、立派すぎて涙出た。
外は曇り、時々涙雨。がんばれエレナ…透かし顔の人間失格に理解らせてやれ！
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第2話までの間違いで自分を見つけ、揺らいでも自力で己を正し、背筋を伸ばし直す。なぎさちゃんはちゃんと前に進む”いい子”で、綾乃を見ているより全然楽である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
それでも、コーチという立場にあるなら、両方見なきゃいけない。”悪い子”の綾乃も。今回、そこら辺掘りに行く話でもある。
”大人”とはいえ大学生、穴もあれば背筋も曲がる。立花コーチを太郎丸顧問が穏やかに諭す階段のシーンは、このアニメらしい横幅広い視野が生み出した、とても好きなシーンだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
あのギスギスした部でも、綾乃を見てくれている人がいたなぁ、という気分になった。まぁ八割綾乃が悪い孤立だけどな！！
蝶が羽ばたくためには、一回体をどろどろに溶かし、蛹の硬い殻に閉じ込めた上で、自分を再生産しなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
太郎丸先生に言われて初めて、自分がなぎさに偏った向き合い方をしていたと気づいた立花コーチは、踊り場で自己を解体する最中だ。
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このシーンは立花コーチが新しい自己に出会い、より善い”大人”になっていく見せ場であると同時に、これから始まる決勝の予言でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
綾乃が最悪の態度を振り回すのはなぜか。頑なに自分を変えないのはなぜか。
自己防衛しなければ維持できないほど、弱い魂が詰まっているからではないか
それを蛹と見ることで、綾乃の必死の身じろぎと身勝手さ含めて、未来に繋がる必然の過程なのだと慰めてくれているようで、僕には嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
どうもアニメはねバド、綾乃の幼さと過剰に共鳴しながら見ている部分が強くて、それがある種のしんどさに繋がっているようだ。魔王扱いだもんなぁ…。
試合の方は膝への負担を抑えつつ、ゴリラパワーなぎさの賢いプレイングが展開する。ヒキまで最悪だな綾乃ちゃん！！
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
薫子ちゃんがバドミントン雷電として、観客席から見事な解説をしてくれた。頭脳スポーツでもあるバドミントンの、圧倒的な”速度”を補強してくれて、ありがたい限りだ。
試合が始まっても、自分の内側を開放し、内言する特権はなぎさ側のものだ。綾乃はそれを語る立場にまだないし、語れる内面も育ちきってないのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
蛹はまだ飛ばず、二話で先に”大人”になれたなぎさちゃんが、今の対戦相手、過去の自分にスマッシュを…打たずに打つ。
ズドバンと決まる大砲を打たないのは、試合の盛り上がりを後半に持ってくるための操作でもあるし、パワー一本槍で行くしかなかった過去を克服した姿を、プレイの中で見せるためでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
しかしあえて打たないことで、力強く過去を振り払えはした。なぎさは変わったのだ。
そこら辺の転倒が好き。
かくして勝負は始まり、クライマックスはまだまだ遠い。綾乃は幼いまま自分と周囲を傷つけ、なぎさはただラケットを構える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
闇の通路を抜けて二人が向かう先は、光に満ち溢れている。黒白の廊下は、ここに至る物語に似ている気がする。
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おんなじように”バドミントン”を背負って、一人は吹っ切れた。もうひとりは、幾重にも重なった殻の中にいる。それに切れ目を入れて、蝶を羽ばたかすことが出来るのか。スマッシュは炸裂するのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
なぎさ…エレナがシャトルを握れない以上、お前が産婆役をやるしかねぇんだ。頼むぜマジ…。
あ、退部組がゾロゾロなぎさの晴れ舞台を見に来たのは、彼女ら好きな僕としては最高に嬉しかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
別のところに飛んでった蝶々も、ふらりふらりと戻ってこれる。その再生力も人間の力なんだけども、綾乃ちゃんは信じきれないよなぁ…怖いよなぁ…。
もー言葉で何言ったって分かりゃしないんだから、プレイの中に魂込めて届かせるしかねぇんだが。薫子にしてもコニーにしても、実力で殻ぶっ壊せないと届きゃしねぇんだよな…それが綾乃の不幸でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月3日
さて、光のバドミントン戦士はゴリラパワーで、硬い孤独をぶっ壊せるか。最終局面、楽しみですね
