色づく世界の明日から を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
女の子の魔法の杖は、甘いプレッツェル。
ステイ先で魔法を学び、部活に入り、少し転んで前に進んで。
60年前の世界で、日常を手に入れていく瞳美。たしかに繋がっていく心。
雨降って地固まる、あるいは人生万事塞翁が馬。
そういう意味のハワイのことわざ。
そんな”No Rain, No Rainbow”回である。これ聞くたびにコウジくん思い出すな…。(プリリズRL脳)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
柔らかなトーン、緩やかなテンポは相変わらずで、瞳美ちゃんに土砂降りの激しい雨は降らない。世界はとても穏やかに優しくて、恥や痛みは弱い彼女が耐えられるくらい、ソフトタッチの彩雨である。
激しい試練がない世界で、少女は非常にゆっくりと、傷ついた自意識を取り戻していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
『ちょっとずつ、出来ること増えていくと良いね』という曾祖母の言葉は、あの世界全体が瞳美ちゃんに向ける優しさを、お話全体のトーンを象徴しているように思えた。
色盲という基質障害は、瞳美ちゃんからプライドを奪い、おどおどした態度を取らせている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
色を奪われることは、魔法を奪われること、自己表現のメディアを略奪されることでもあり、それを取り戻すことはつまり、健全な自我を回復させていくリハビリでもある。
これが魔法・美術・恋という三要素に分割され、連動している所、それを詩情たっぷりに表現できているところが、このアニメのいいところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
『色を知る』という慣用句のとおり、瞳美ちゃんは恋に出会うことで、世界を色づかせていく。
灰色の美術室の中で、唯翔クンの絵だけが色づいて視えるのは、まぁそういうことである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
その形がどんなものであるかわからないまま、時間を超えて出会ってしまったモノ。特別な人との特別な関係に名前を付けていくことで、瞳美ちゃんは色を再獲得していく。
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それは美術との出会いでもあって、瞳美ちゃんは唯翔クンの領域にも、おずおずと入っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
色がわからないからこそのアバンギャルドな色彩は、現実を切り取ってはいないけども、とても良い。しかしその良さを、瞳美ちゃん自身は知ることが出来ない。
ここに少しの哀しさがあるけども、世界はそれを露骨に暴き立てる前に、特別な男の子と二人きり、一緒の世界を共有する時間をくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
写真が”みんな”と接触する行為であるのに対し、絵画はあくまで唯翔クンとの個人的な時間…”特別なあなた”との象徴として使われていくようだ。
その両方が、瞳美ちゃんの世界に色を戻していく。恋だけが、無色彩の世界の特効薬ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
ポッキーを魔法の杖に、魔法への自信を少し取り戻してくれたママン。
部活見学を、優しく進めてくれた先生。
当たり前の学友として、制服の違う瞳美ちゃんをするりと受け入れてくれる教室。
色んなメディア、色んな繋がり方で世界は優しくて、その優しさが無自覚に、瞳美ちゃんを染めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
恋の特別さを大事にしつつも、そういう多角的な世界の有り様を忘れていないところが、なかなか良いアニメだな、と思う。悪意がなさすぎるけども、おとぎ話だから良しッ!(暴言スレスレの言い切り)
プレッツェルの魔法の杖で練習していた浮遊魔法(詠唱が”短歌”っぽいのが、別の芸術メディアへの広がりを感じさせて好き)は、星砂の補助なしで瞳美ちゃんを浮かせる準備にもなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
色んな場所で手に入れた力が、少しずつ瞳美ちゃんにしか出来ないことを増やし、プライドを養っていく。
おっかなびっくり流されるまま、自分に自信が持てなかった少女が、Art(”芸術”という余芸であり、生存のための”技術”でもある)を通じて己を取り戻し、灰色に思えた世界に色を付けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
そのゆっくりした歩みを、そこに関わる様々なモノや人を綺麗に描いていくのが、このアニメなのだろう。
ド派手なイベントは置きないし、瞳美ちゃんは基本うじうじ根暗少女のママだけども、そのコンパクトで綺麗な歩みこそが、僕は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
瞳美ちゃんを主役にすることでしか描けない、この作品独自の情景も美麗に描かれ、目を楽しませてくれる。
ほんっと美術の暴力でぶん殴ってくるの最高。
怪物的に美しい、長崎の夜景。無言で切り取った風景を、瞳美ちゃんの屋根裏の孤独と憂鬱を挟んで、灰色に塗る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
そういう無言の情景描写があればこそ、瞳美ちゃんの戸惑いと、それを埋めてくれる青春の鼓動、世界の美しさも見えてくる。
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喋るところと喋らないところのバランスが結構良くて、余韻に思いを広げつつ、キャラクターが何を感じているか、作品が何を捉えているかに迷わずにすむのは、非常に好みだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
その奥行を、徹底的に麗しい背景美術で担保する。微細な心の震え方を、焦らない話運びの中で踊らせる。
そういう作品の足取りが、三話目にして体に馴染んできて『あ、俺このアニメ相当に好きだな』ということを、じわりと実感することが出来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
出てくる人らが、基本善人なのが胃に優しくてありがたい。エブリデイ・マジックのホワッとした空気と、よく噛み合ってると思う。
唯翔クンは不器用美術バカだけども他人の痛みがわかる…わからない時は想像しようとする少年で、瞳美ちゃんの秘密にもすっと切り込んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
色が見えないという恥の意識に、唯翔クンは『かわいそうだね』とも『大変だね』とも言わない。安易な同情を押し付けれるほど、器用な男ではないのだ。
ただ空を見上げて、色のない世界がどんなモノか考える。それがわからない自分に、誠実であろうとする。そのゴツゴツとした真摯さが、僕にはとても好ましい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
二人だけの秘密を共有して、また一つ、少女の世界に色が増える。それは多分、少年にも同じだ。
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写真美術部の”みんな”とじゃれて、空には虹がかかる。それは雨粒が作った本物の虹ではないが、確かにそこにある色彩で、青春の甘い七色ドロップである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
ポポッキーの魔法の杖だけが、瞳美ちゃんを餌付けするわけではないのだ。そんなスウィーティーな世界認識が、僕は結構好きだ。
恥と無力感の暗がりの中で、その秘密を共有してくれる人と出会うこと。安易な共感ではなく、『判らない』ことを前提に自分の距離を慎重に測ること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
瞳美ちゃんにとって、唯翔クンはいつでも光の側にいる。そこから溢れるものが、世界を色づかせていく。
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翔クンがモノクロフォトグラファーなのも上手い配置で、彼に寄り添う時、瞳美ちゃんは色が視えるふりをしなくて良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
白黒のまま、無力なままでも視える世界には美があり、価値がある。モノクロの写真は静かに、そのことを教えてくれる…のだが、瞳美ちゃん自身は色彩を取り戻したいのよね。
そしてそれを与えてくれるのは、”絵”を描く勇翔クンだけである、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
恋とは誰かを選ぶことで、つまり誰かを選ばないことでもある。そういう残酷さも静かに優しく語ってくるところが、恋愛ドタバタ劇としての奥行きを感じさせて、とても良い。
将クンにあさぎちゃんが想いを寄せていることも、今回見えてきた。四角形の恋模様を描く時、世界はゾンビの王子様と異世界のお姫様のロマンスにフォーカスし…写真家はシャッターを切らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
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翔クンが自分には向けない視線を、瞳美ちゃんに向ける時の、あさぎちゃんの惨めさ。人生を襲う嵐は明瞭にではなく、あくまでさりげない演出の中で語られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
この四角形の恋模様がどう転がっていくかも、今後の見どころである。失恋、すれ違い含めて、色彩を豊かにしてくれると良いね。
瞳美ちゃんは自分に魔法をかけて、”みんな”のまえに歩み寄っていく。モデルを引き受け、フェンスを超えてプールに入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
そういうちょっとずつの歩みの中で、静かに静かに、60年前の世界に色がついていく。二人きりの色に出会った屋上が、魔法のためのシェルターだ。
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キツいことがあると唯翔くん(つまり”私たち”)のフィールドに駆け込んでしまうところが、いかにも恋だねって感じで甘酸っぱい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
耐えられない恥ずかしさ、無力感に押し流されても、一時逃げても、この世界は許してくれる。そこで息を整え、自分に魔法をかけることは、良いことだと規定されている。
その優しいプロトコルが、僕はやっぱり好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
ド派手にへし折れたわけでも、巨大な傷が残るわけでもない、ありふれて当たり前の青春の蹉跌。
それ凄まじい美術で麗しく書く必要は、やっぱりあるのだ。ありふれた青春の特別な魔法こそ、大事なものなのだ。
そういう意気込みが、画面のクオリティと話の運びからしっかり立ち上がる第三話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
すごく綺麗で特別なものを描くのに、それがごくごく当たり前のものとしてスルリと流れていくのが、作り込みを感じさせて好きだ。魔法を作るシーンの小さなイベント感とか、とてもいいと思う。
そして、新しい虹が来る。ここまで三話、もう一人の主人公をあえて切り離して静かに、優しく進んできた物語だが、魔法暴走超特急がやってくることで、どういうテンポの変化があるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
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少年と出会うことで色づいた少女の世界に、少女との出会いはどんな色彩を足すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
非常に楽しみである。瞳美ちゃんと唯翔クンの間では、非常に淡い色彩で描かれた虹が、フェリー級のデカさと派手さでボーディングしてくるところに、琥珀のキャラ性が視える気がする。
恋、美術、魔法、日常。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
青春を構成する様々な色から、瞳美ちゃんが自分の虹を取り戻せていけると良いなと思う。それが”みんな”の、”あなた”の青い空に広がって、一緒に見上げられると良いなと思う。
琥珀の色が加わって、雨も虹も激しさを増しそう。来週も楽しみですね。
追記 千種後輩はうぜー以外のキャラをそろそろ見せて欲しいところだな。
色づく追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月20日
胡桃と千草のキャッキャを抜け目なく切り取ることで、恋愛バトルのリングがあくまで四角形なのだと、その二人はミソッカスだと見せてくる筆とかも、情報圧縮が巧みで凄く良かったですね。群像の処理がうまい。
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