ツルネ-風舞高校弓道部-を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
春風を割いて、矢は的へと未だ至らず。
穏やかな新生活をスタートさせた主人公・鳴宮湊は、中学時代に背負った早気を克服できず、弓を手放そうとしていた。
そんな彼は弦音に誘われ、夜桜の弓道場へと足を進める。そこで心を射抜いたのは…。
そんな感じの、京アニ2018秋の新作である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
男の子、スポーツモノということでどうしても”Free”を想起するが、キャラクターデザインも明暗の調子も、画面の情報密度も全体的に淡白で、よりオーソドックスで穏やかな物語を作ろうという姿勢を感じさせる。
キャラクターの味付けも非常に端整で、コミカルで濃い口な属性は極力抑えられ、シンプルでプレーンな仕上がりを、現状感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
エキセントリックな起伏の激しさよりも、淡々と流れる空気感、弓道と高校生活へ大真面目に向き合う真摯さで食わせる感じだ。
ここらへんは美術の表現にも反映されていて、早気が判明し主人公が立ち向かうべき問題が顕になるまで、世界は非常に平板に描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
綺麗で爽やかではあるが、だからこそ特別ではない。劇的な感情を込めないまま、フラットに切り取られる世界
©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会 pic.twitter.com/KuEtVeU3jA
これが問題が発覚し、主人公が逃げてしまった”弓”と向かい合う瞬間になると、驚異的な幻想に塗り直される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
正直この瞬間まで『圧弱いな…』と思っていたのだが、それは”その瞬間”の劇的さを高めるための、”あえての低音”だったわけだ。
©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会 pic.twitter.com/KL0OT1iXcB
この夜の美麗、圧倒的な光と闇の共存を見れば、”その瞬間”が特別であることはすぐに分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
例えば”ヴァイオレット・エヴァーガーデン”などでは、この劇的さであらゆる瞬間が塗り倒される過剰が作品の味だったわけだが、今回はそれで全てを塗りはしないようだ。
どれだけの劇的を作品に盛り込み、どう物語を奏じていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
それは作品の題材、テーマ、キャラクターやドラマに応じて調整されるべきものであって、たった一つ正解があるわけではない。
”ツルネ”は静かに静かに空気を積み重ねて、一瞬濃厚な色彩を乗せる方法を選び取った、ということだ。
その起伏が何を描けるか(また描けないか)は、正直今後を見ないとわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
話の展開としては非常にベーシックな”元天才の挫折と再起”を、素直に追いかけている。
凡庸とも、普遍ともなりうる切り出し方だと言える。その2つを分けるのは、ここからの運び方である。
湊は早気に侵され、本来の自分を見失っている。ある種のイップスとも言える状態は、身体ではなく心を復調させることでしか快復し得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
ココらへんが、残りの四人の弓道青年との関係の中で温度を上げてくると、なかなか楽しそうである。あと、ラストのお兄さんか。
静かに状況を運んでいく第一話、正直あまりキャラクターの内面は見えてこなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
三白眼の海斗くんが、不良っぽい外見に弓道への至誠を秘めた熱血漢だというのは、秒で理解できたが。ぶっきらぼうだけど競技大好きボーイ、俺だーい好き。
一度弓に背を向けてしまった湊に、決定的に刺さったのは部活ではなく夜の射であり、そこと学園パートをどう結びつけるかは気になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
ここら辺の立ち上がりがやや弱く遅い気もするが、さて、どう運ぶか。選び取った淡さを、独自の面白さに繋げられるか。
自然あふれる長野のローカルな空気、純朴な高校生たちの濁りのなさは、巧く活かせば相当に美味しくなりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
間合いとテンポを生かして、空気を食べていく作品にするか。その淡さと感情のうねりを対比させて、独特の味を出すか。
どちらにせよ、作品独自の顔が早めに見たい。
”部”としてスポーツとしての眼目をどこに置くかも含め、来週以降の目鼻立ちが大事かな、と思う。個人的には、やはり溢れる感情、”弓”をあえて主題に据えた意味を、濃く味わいたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
そういう意味では、京アニ(とアニメーションDo)の作画力は、強い武器になるはずだ。
射の書き方、何気ない芝居の付け方を見て、やはり人間の身体をアニメートする実力において、凄まじい制作集団だなと思い知らされた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
弓道というスポーツ、あるいは武道がどういう特徴を持ち、主役たちは何に挑むのか。絵の説得力を活かし、ロジカルに描いてくれると嬉しい。
圧倒的に美しい世界で、決定的に動き出してしまった運命。夜の弓道場が魅せた”強さ”と、それ以前の淡さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月23日
この濃淡がどんなドラマを作っていくか。今後の物語運びに期待大です。あ、クマは最高に可愛い可愛いドッグだったんで、今後もバリバリ出してください。