青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
好きで、嫌い。消えてほしくて、アナタになりたい。
再び、桜島麻衣が青春症候群に囚われた。複雑な感情に絡め取られ、入れ替わった姉妹。まさにcomplexな状況の中で、咲太は少女に寄り添っていく。姉妹、家族、過去。鎖は重たく、思いを繋ぐ
というわけでブタ野郎物語も新章、姉のことが好きすぎて頭がオカシイタイプの内田真礼登場である。とんでもねぇ、待ってたんだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
いかにも真礼真礼したノーテンキボイスを堪能できるとGet Readyだった僕としては、いきなりお姉さんボイスで肩透かしだったが、三秒聞いたら『これはこれで』ってなった。
今回は早めに症候群を発生させて、大まかな原因も手早く特定するお話である。症候群の原因特定をエンジンに走ってきたこれまでのエピソードとは、ちと風情が違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
『読者もいい加減慣れてきたし、別の風合いで楽しませるか!』というチャレンジ精神、サービス精神が、嬉しい限りだ。
ポニテになったフタバえもんが指摘するとおり、入れ替わりの原因はコンプレックスだ。バラバラにねじれた感情が、身体を分割させ、あるいは入れ替える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
双葉が罹患した青春症候群と、今回の事件はよく似ている。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/xJsZddKjhE
いつもどおりの白衣と、少し変わったポニーテール。夏休みの冒険を経て、双葉は『見られたい』と『見られたくない』に分割していた自分を、無事統合できた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
姉妹もそうすれば解決なんだけども、嫌いといっただけでは問題は解決しなかった。正解は別の場所にあるのだ。
俗な利用に揉まれすぎて、complexはシンプルに『激烈な感情』という意味になりかけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
しかし原義をたどれば『複雑さ』であり、好きと嫌い、排除と融和が絡み合って簡単に解けない、答えを見つけられない複合感情を表す言葉である。
原題たる『シスコンアイドル』とは、姉(妹)を嫌いつつ愛し、母を憎みつつ求める二人の少女の関係、それが抱え込む問題解決難度を、巧く表現している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
それはcomplexyなのだ。シンプルに感情にたどり着けば終わる、というわけではない。謎があり、顕にならないものがある。
それを紐解いていくのが青春探偵・梓川咲太の事件簿、ということになる。黄前久美子めいてきたな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
初対面ののどかの謎を追うことは、知ってるようで知らない麻衣の家庭事情、”血”の複雑さを共有していく作業でもある。半分以上、麻衣さんの話なんだな妹エピ。
二人の母の間にある、プライドのぶつかり合い。それの駒として便利に扱われつつ、当然子供には独自の意志があり、自我がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
始原にあったのは、真似をするほどお互いが好き、という鏡像関係だ。言うべき言葉は『大嫌い』ではなくて『大好き』なんだけども、姉妹のcomplexはそれを覆い隠す。
幼い『好き』を覆い隠してしまう霧は、一つには母親の過干渉がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
麻衣に…麻衣の母親である”あの女”に勝つための、同じバトルフィールドに立った駒としてしか、娘を見ない母の醜悪。
それが顕になるのは、やっぱり”携帯電話”である。善も悪も連れてくる、”空気”へのアクセスメディア。
父も前妻も後妻もクソすぎて、しかしそれをクソだと切り捨てられない情が娘たちにはあって、なかなかに複雑怪奇だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
代理品として便利に使われる冷たさは、第1エピソードで麻衣を取り巻いてた”空気”でもある。”血”を共有し、満たされない欲望と親子の擦過傷を共有する、優しい姉妹。
あれだけ干渉しておいて、のどかの”食と衣”がずさんなところが、良い演出だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
母親が娘に教え与えるものが、根本的にすれ違っているからこそ、麻衣さんの部屋はあっという間に荒れたのだ。
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乱雑に脱ぎ捨てられた服、見捨てられた食事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
サラリと描写される麻衣が『食事を取れない』現状と合わせて、のどかの長閑とは程遠い精神状況、家庭環境を巧く見せている。
ことアニメにおいて、衣食住の乱れは心の乱れ、キャラクター性の混乱である。『象徴する』とか『意味する』ではない。そのままだ
これを正し、マトモな飯を食わせ風呂に入れる役が咲太なのは、まぁ主人公だな、という運びだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
衣食住の乱れが心の乱れなら、それを正すのは心を正すこと。そういう特権と能力を、咲太は主人公として持っている。ねじれて複雑で、”家”と強く結びついた距離感の問題。自立しきれないが自我のある年の話
咲太自身も、”血”で繋がった妹を救いきれなかったコンプレックスに突き動かされて、ノラネコを拾うように女の子を家にあげ、カウンセリングし、問題を指摘し真正面から向き合っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
離れきれない”家”への愛着と憎悪を、どう処理していくか。それも青春症候群の処方箋なのだ。
異母姉妹のコンプレックスは”家”との感情複合でもあるから、そこの爆弾解除をしないと、二人の立場はもとに戻らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
健全なお付き合いを続けている彼氏として、厄介な”家族”に踏み込む特権も、咲太は手にしたわけだ。そら、合鍵も渡してもらえる。ラブラブだなぁ…。
青春探偵がいかなる思春期施術を見せるかは来週のお楽しみであるが、問題は”家”の問題であると同時に、二人の問題でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
『もし、アナタに為れたなら』と、世界と自分を歪めるほどに強く思ってしまう濃厚な感情。それが実際に現象を連れてくるのが、青春症候群(をテーマとするこの作品)の特徴だ
実際憧れの(そして憎悪の)桜島麻衣になってみて、のどかは過呼吸になる。”空気”を過剰に吸いすぎて、”空気”に殺されかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
かつて透明になって逃れたかった、過剰な重責。桜島麻衣であることが強制的に連れてくる、信頼と欲望。それに憧れていたはずなのに、背負ってみると死ぬほど重い。
自分が同じ立場になっても、潰れない自信があればこそ。のどかは麻衣に成り代わることを望んだが、実際なってみると、麻衣が吸っている空気は毒ガスだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
憧れとないまぜになった劣等感は、正しい現実認識でもあった。完全未体験のアイドルジャンルを、麻衣=のどかが乗りこなしてるのがスゲェ
奇しくも、憧れの姉にやっぱり追いつけない自分を思い知らされた形だが、そこで腐るか、新しい何かを見つけるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
咲太が姉妹に色々おせっかいを焼くのは、それが善い結末になってほしいから、自分と楓の兄妹のような失敗症例にはなってほしくないからだ。
そこには間違えきった過去を他人で代償するエゴイズムと、大事な誰かとその血縁、偶然知り合った新しい友達の幸福を願う気持ちが、複雑に同居している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
消えない胸の傷は、いまだ未解決なる咲太のcomplexなわけだ。これを解くのが、楓のエピソードになんのかなぁ?
さておき、今は異母姉妹の物語である。スムーズな状況進行に合わせて、青春ブタ野郎は名カウンセラーぶりを発揮し、必要な情報を集めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
国見くんの彼女操縦法があまりにスマートで、『やっぱイケメンはチゲぇな…』と痛感する。悩んでいる風味のダチに、自分が差し出せる助けを、最大限。
こういうことをサラッとやれちまうから、双葉の心も救えるわけだ。はー、国見くん好きぃ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
『好きとか嫌いとか、シンプルな答えじゃない』
出来の良い姉を見上げる妹の複雑さを、クソアマの証言をもとに学び取った咲太。出来の悪い妹の面倒を、必死に血を流しながら見続けている兄には見えにくい感情
そこに的確に分け入って、”家”や”血”と複雑に絡まったcomplexを解決しうるのか。麻衣の体に宿ったのどか(この倒錯が、そもそもややこしい)との距離を詰め、幾重にも重なった境界線を越えていけるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
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全体的にいかにもラノベっぽい画作りなのに、時々こういうバロックな構図が顔を出すのが、このアニメの面白いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
被写体の前を邪魔するように、幾重にも重なった障害物。のどかの心と咲太の言葉には、これだけの障壁がまだある、ということだ。
さて青春ブタ野郎、これを乗り越えられるか。
それは新ヒロイン攻略というよりは、複雑な家庭の事情と感情を抱え込んだ恋人の心に、もっと近づくための通過儀礼なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
つくづく、一巻で勝ちきった正ヒロインが永遠に君臨し続けるアニメである。咲太は一生先輩LOVEだし、先輩も強すぎる…潜水艦ごっこ二人でするのか! ファッカー!!!!
思わず興奮してしまったが、咲太は良いやつなんで是非にも幸せになってほしい。そのためには未来の妻、未来の義妹を縛り付けるコンプレックスを切り裂き、青春症候群を寛解されるのが大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月2日
青春探偵が解決すべき謎を、しっかり見せる良いエピソードでした。来週も楽しみ。