あかねさす少女を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
砕ける波から還る残響(クラッター)が、平和な世界を犯す。
アスカの消滅を受け入れられないあすかは、10年来被ったお調子者の仮面を強化する。幼馴染の健気な嘘を、優は壊しきれない。
静かに迫りくる黄昏の中で、人々は最後の日常を謳歌していた。
というわけで、シリアスカが死んでもシリアス続行! 今までの要素が全て腹を殴ってくるヘヴィな回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
ちくわキチとか過剰なハイテンションとか、あすかを見て『うぜー』と思う部分全てが鎧であり、弟を失った傷を埋めるための補修材であったことが判明する展開は、なかなか殺傷力が高かった。
あのノリを『うぜー』と言いつつ好きで好きで、肌にあった連中しかこのアニメもう残ってないわけで、あすかが”変わって”しまったように見える今回はしんどい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
『いつものように、テキトーにトンチキぶっこいてくれよ!』と思ってしまうわけだ。
しかしその重たさは急に変貌した結果ではなく、彼女が弟の消失以来続けてきた演技であり、また彼女の善性…ある種のエンターテイナー意識の表れでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
優の糾弾に『人を楽しませるのがそんなに悪い?』と尋ねたのは、確かに欺瞞でもあろう。しかし、本当のこともであるのだ。
たっくんの消失を埋め合わせるために選んだ、味噌屋の夢、道化の仮面。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
優はそれを外してくれないあすか、引き剥がせない自分に苛立ちつつ、幼馴染とのどうにも踏み込めない距離を生きてきた。
しかしそれが欺瞞でも、10年続ければ真実味を帯びる。他人を幸福にする嘘なら、なおさらだ。
それでも、嘘は人を不幸にもする。”味噌屋になりたい”という夢が、家族と弟を守りたい故のセカンドチョイスでしかないと見抜いていたから、親父さんはそれに反対した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
あすかが家族の幸福を祈るように、親父さんもあすかに自分らしくいて欲しいと願う。その思いは時に衝突し、時に結びつく。
コミュニケーションに失敗し、重たい空気を持ってくる。非常に変則的で負け続きなんだけども、今回はしっかり優回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
ずっと同じ時間を共有していたからこそ、見えるもの、踏み込めないもの。優だけの優位性と脆弱性が、重たくメランコリーな曇り空の下で活写されていた。
その灰色の空気は、トンチキない世界修学旅行と打ち消し合うわけではなく。あすかの心は、ずっとそういう色だったのだ。それに強がって、空元気を振り回して、弟のいない世界でなんとか生き延びてきたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
そういう強さと痛ましさは、思い返すとずっと彼女に寄り添ってきた。ウザいだけではなかった
ここら辺は当代随一の”上手い系”黒沢ともよが、地獄の酷使を乗りこなしたお陰であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
シリアスカのピリピリした雰囲気とも通じる、仮面を外した後の無表情。刺々しく自分を防衛する、あすか”らしくない”あすか。しかし異世界の自分に似た姿は、鎧の奥の生身でもある。
同一キャストで演じきることに意味がある難しい演出プランを、見事にドラマのエンジンとして使ってくる展開で、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
3人目の使徒アスカの得体の知れない感じも良かったし、三人の黒沢ともよがどうなるか楽しみである。三人が融合してシン・アスカだな。アンタラまだソシャゲがしたいのか!
戦乱の異世界で人間鍛えられたたっくんが、誰もツッコまなかった大問題…『人格書き帰って、不当な侵略じゃね?』に踏み込んだのも良かった。まぁそりゃそうだよな!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
手に入れた異能力に浮かれるアーパーJKより、地獄で魂を揉まれたボーイのほうが落ち着いて、本質が見えているのは面白い逆転だ。
あすかの重たさにしろ、みんな本質は見えていた。でも、それを表に出しても誰が幸福になるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
しかし状況が変わって、世界はシリアスになった。黄昏色の滅びが迫る中で、アホバカやってる余裕もない。なら、世界観の根っこにあるわだかまりにも踏み込んで、スマートに運んでいきましょう。
良い見切りだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
あすかが仮面を外して傷を見せるシーンで、一度も顔を映さなかったり。
波が迫る世界に黄昏が訪れる瞬間を、ここぞの背動を駆使して印象的に見せたり。
”急なシリアス”がしっかり刺さるよう、良い演出を随所に入れてきた。ここら辺の表現力、存外高いのよねこのトンチキアニメ。
同時に今まで楽しかった部分、信頼してきた部分も大事に運んでいて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
”作り”のアホバカであるあすかに、心底アーパーである奈々をマッチアップさせることで、明暗をはっきりさせる運びは良かった。奈々の陽性がみんなの希望となり、重たい空気を抜く仕事も鮮明だったし。
アホバカに眼鏡優等生にはわわ系にクール外国人にギャル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
凸凹だけど仲良しな鉱石ラジオ部は、それぞれ違っているからこそ支えあえる。トンチキ異世界巡りの中で、『うぜー』と思いつつも確かに楽しかった部分、好きだった部分が、シャレにならないシリアスな状況でも、彼女たちを守る。
そういうチームとしての魅力が、ただ重たいだけじゃない希望を巧く運んできて、バランスが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
最終的には優がぶっこむんだろうな、という予感を丁寧に作っていたのも良い。俺は正反対の幼馴染同士が、最後の最後でお互いを噛み合わせて勝つ系百合が三度の飯より好きでね…(ピーキーな注文)
10年間積み上げてきた仮面が無駄ではないように、10年間友達やってたことだって、無駄じゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
優は『あすかのこと知らない』と言うけど、高校からの友達はもっと知らないのだ。愛を取り戻すため、大事な友達を守るため、眼鏡女は来週頑張るしかない。頑張れ!
これまで他人事だった黄昏の侵略が、ついに”現実”に伸びる。異世界旅行が異世界旅行でありえた、愛しきホーム。アスカが奪われ、自分のすべてを捧げて守ろうとしたもの。ペンダントと一緒に託したもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
それを背負う余力が今のあすかにはない。弟が消失した幼き日そのままに、道化の仮面で自分を守る
それを引き剥がして、味噌よりちくわ、明るさより暗さな自分自身に向き合うことが、解決への道となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
『真実の自分を知る』
非常にストレートでストイックなジュブナイルの問題設定が、クライマックスで表に出てきた。とても良い運び方だと思う。
まぁなんだかんだ、真面目なアニメなわけよ。
しかしそれは、あすか一人で背負うには重たすぎる荷物だ。きっと友情だけが、世界を、自分を背負う支えになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月3日
迫りくる黄昏を前に、クソダサスーツ以上の力を鉱石ラジオ部は引き出さなければいけない。多分ど真ん中の熱い友情、自己発見のドラマが、どどんと押し寄せるだろう。
来週、とても楽しみだ