ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
”鏡の世界”を支配する強敵・イルーゾォを前に一人、また一人と倒れていく仲間たち。それぞれの力、それぞれの覚悟が試される中で、フーゴは、アバッキオは、ジョルノの奥に光を見る。
どん底から引き上げてくれた、俺たちのリーダーの顔を。
そんな感じのVSマン・イン・ザ・ミラー、決着のエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
ホルマジオとの大激戦に比べると、お互いが視力を引き出し生き様を比べ合う感じにはならなかったが、まぁスタンドが世界支配系の一方的ボコ殴りキャラだしね。形を覚悟で崩された時点で、戦型が非対称になるというか。
しかし強敵は強敵で、アバッキオは腕を切り落とし、ジョルノはウィルスに感染しなければ鏡の世界にはヒビが入らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
一方的にルールを押し付け、圧倒的優位を取って殴ってくる相手だからこそ、ハードな代価でチームの結束…というか、それぞれバラバラの方向を向きつつ魂の圧力が響き合っていく。
アバッキオは死に絶えた心を二度と動かさないため、命令を遂行するだけの機械になろうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
考えるのは、誇りと野望を兼ね備えた立派なやつの仕事。その光を欠片でも遂行することで、なにか偉大なものの一分になったような気分になれるなら、死んでもいい。
そんな自暴自棄は『なにか偉大なものを成し遂げたい』という、彼を”警官”にした望みがまだまだ死に絶えていないことを、裏側から照射している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
肉体を死に追い込むとしても、精神と覚悟はけして負けていないということ。アバッキオが守りたい”プライド”は、チンケな自尊心ではない。
アバッキオの世界は決定的な失敗により、真っ暗な闇だ。そこで諦めて(それこそ暗殺者チームのような)暴力の機会になっていいはずなのに、彼は『ミッションの達成』という価値にしがみつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
”悪”であろうと、覚悟を貫いて一つごとを成し遂げることには、人の尊厳(プライド)があると。
死中に活。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
アバッキオにとって”生きる”とは息をし続けることではなく、ブチャラティが一瞬見せてくれた光を確かなものとするため、玉座への道の礎となることだ。
彼にとって、そういう形でしかもう”生きる”ことは許されない。右手から流れるのは、死んだ同僚への贖罪の血なのだ。
アバッキオのモノローグで、『唯一の安心』(つまり、アバッキオは”安心”したい。生者全てが望むように)とされているのはブチャラティだけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
組織の上役、権威にひれ伏し従いたい、疑いたくないという想いが強い
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それは”法”と”権力”という巨大な正義に一度は身を投げた”警官”の生き方が、まだ染み付いている証明だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
戦場の兵士のように、法執行に身を捧げる捜査官のように、偉大な目的の一部となって身を投げ出したい。何も考えず、歯車のように任務を遂行したい。そういう機械化願望みたいなものが、彼にはある
それが『三人のうち一人でも生き残れば勝ちだ!』という、他人も歯車として見る言説に繋がってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
しかしそこで、一番最初にぶった切るのは自分の腕であり、犠牲にするのはまず自分なのだ。そこに、闇の中でも消えきらない光が、アバッキオの生の残滓がある。
アバッキオの自己犠牲主義に対し、ジョルノは別種の覚悟を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
周到に生存のための準備をしつつ、最後はすべてを敵に賭ける。自分の生も死も飲み込み、仲間の命もミッションも両方達成する方向へと踏み出す。
それは時に、己を犠牲にするよりも難しい決断だ。『もしかしたら』という希望がある。
ジョルノは堂々、『死にたくない』という態度を見せる。イルーゾォが『外に出る』という決断をした結果活路が見えた時、『とても嬉しい』という。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
死ぬことは怖くない。でも、生きていればこその喜びも確かにある。静止は対立する概念ではなく、相補い合う双子だ。
その認識はかつてブチャラティが心に抱え、いつの間にか腐らせてしまったものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
死んでも生き抜く。誇り高さを抱え、ただ息をするのではなく魂を輝かせる。部下を魅了するそういう生き方に、ブチャラティを戻したのはジョルノから吹く”黄金の風”である。
この毒消しは、効く相手にしか効かない。全てを諦めてしまうのではなく、どこかで死の中の生、絶望の中の希望を探しているものが、GEの拳で再生していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
ジョルノの歩み寄りが、彼を認めないアバッキオやフーゴに突き刺さるのは、彼らがギャングでありながら人間でもあり続けようとするからだ。
結果として、アバッキオが出した”三人のうちの一人”な答えではなく、ジョルノの”三人全員”の答えが正解となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
それを掴むには周到な準備と冷徹な知性、死を前に表情一つ変えない覚悟、不確実性を恐れない勇気が必要となる。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。
イルーゾォは『鏡の中』というシェルター、自分のルールが完全に世界を支配する庭で戦う。そこを出ると、途端に弱い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
”四歳児並の力”でも、人は殺せる。しかし敵に勝つ、となると、覚悟持ちからもないやつには難しくなってくる。強能力に甘えちゃったか~。
ここら辺、”下らない能力”だからこそ応用法、必勝形を様々に考え、実践で使い込んできたホルマジオとの違いがちょっとみえて、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
まぁ習熟して身につけたのは、毒蜘蛛でドロドロに溶かして拷問するとか、ミニカー巨大化させて押しつぶすとか、軒並みロクでもねぇけど。
アバッキオに一杯食わされた後、その復讐をするかのようにイルーゾォは鏡のペニスをしゃぶらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
とっととフーゴをぶっ殺しておけば、アバッキオの息の根を止めておけば。逆転もなかったのに、鏡の優位性に舌なめずりをする
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今回の勝利はジョルノの不屈、アバッキオの覚悟、フーゴの能力が組み合わさった、チームの勝利だったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
孤独に襲いかかって、力を託す仲間もいないまま己の弱さに飲み込まれたイルーゾォとの対比は、なかなか興味深い。この激戦を経て、三人の絆はたしかに深まっているのだよね。
『腕切るくらい俺にも出来らぁ!』とばかりに、腕を捨てて外に出た結果ぶっ殺されるイルーゾォくん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
逃避としての覚悟と、前進としての覚悟の差は、彼をホラーの犠牲者に落とす。パープルヘイズは味方のデザインじゃないな!
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イルーゾォを食い尽くしたヘイズの毒は、ジョルノが生み出した血清(今見てみると相当に無茶な理論だが、”凄み”があるのでオールオッケー)で乗り越えられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
フーゴが秘めた無軌道な暴力を、ブチャラティは丸ごと飲み込むと宣言した。ジョルノのGEも、同じ輝きでパープルヘイズを包む。
これが未来への導きとなるか、より激しい試練がチームを引き裂くか。なかなか予断を許さない所だが、とりあえずイルーゾォは撃退して鍵ゲット、話は次に進む! という感じである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
苛烈な状況でも仲間を信じ、メッセージを託す。それが勝利を呼ぶ。そういう戦いでもあったと思う。
これはシーザー最後のシャボンとか、花京院の”時計”から続くジョジョの大事なモチーフだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
たとえ命は尽きても、思いと覚悟、知恵と勇気は引き継がれる。その際ギリギリまで踏み込むことで、チーム全員の命を拾ったジョルノの勇姿に導かれ、仲間も光に目を向ける。
やってることは疫病ドロドロめちゃヤババトルなのに、妙に爽やかな読後感を与えるバトルだった。そのための当て馬となったイルーゾォくんは、まぁご愁傷様。やっぱ三部や四部に比べ、バンッバン死ぬな五部…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
ここで生まれた信頼感が素直に仕事するわけではなく、また二転三転あるところもいい。
謎めいた”鍵”が何を意味するかはまだ伏せ札だが、暗殺者チームの長い腕は未だ緩まず、次々と危機は襲いかかってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
希望と覚悟を抱えて生き抜くということは、命がけの試練を幾度も乗り越える、ということでもあるのだ。麗しきイタリアを舞台に、血と暴力の人間試験はまだまだ続く。次回も楽しみ。