青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
かえでは消えた。二年間。誰も知らない、小さなシェルターの中での思い出は、泡沫のように弾けた。
それでもやってくる朝日の中で、梓川咲太はひとり叫ぶ。その慟哭を受け止めるのは、一体誰か。その先に来る明日に寄り添うのは、一体誰か。
というわけで青春探偵ブタ野郎最後の事件も、無事完結である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
いやー、良かった…二年間ともに生きた家族を失い、それでも生きていかざるを得ない高校二年生のことを考えると無条件で『良かった』とは言えないが、それでもいい話であった。
咲太は悲喜交交、人生をスープごと飲み込んでて偉いな…。
正直かえで一本軸で終わると思っていたので、後半を麻衣さんと翔子さんとの三角関係に回したのは意外であったが、麻衣さんも完全無欠のお嫁サイボーグではなく、傷つき心を暴走させる人間であることが見て取れ、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
誰だって傷を受け、迷い間違える。それを、受け止めてくれればこそ。
前半の咲太のダメージ描写が、そのまま麻衣さんとのすれ違い、麻衣さん自身の傷と快復に繋がってもいて、このアニメらしい裏腹な複雑さを最後に見せてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
麻衣さんで始まり、麻衣さんで終わる。キャラクターの質量がデカいメインヒロインに相応しい”行きて帰りし”であろう。
お話はまだまだ人生にマルをつけたかった模造妹、かえでの消失から続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
辛い。KEY全盛期みてーなベタ足人格消失ネタが、だからこその威力で思いっきり殴りつけてくる。消えた後に遺書読むところとかホント葉鍵の闘法で、ぶん殴られながらある意味気持ちよくなっちゃった。
かえでとの二年間は、窓を閉ざした”家”の中の物語であり咲太(と、その終わりに敷居をまたいできた幾人かの女たち)以外には知られざる物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
誰かが肩をたたいて、『あの子も必死に生きたよ…』と言ってくれるわけではない。気の迷いのように吹き荒れ、去っていく青春症候群の申し子。
そんな咲太の孤独な哀しさは、金沢で仕事中の麻衣さんではなく、存在すらあやふやな翔子さんが受け止めることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
日記とはプライベートなものであると同時に、読まれることを前提にした記述であり、パブリックなものとなり得る可能性を秘めている。
かえでが自分の筆、自分の文字でその思いを、二年間の足跡を残していたことが、兄に、翔子に、花楓自身に自分の思いを解ってもらう窓になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
閉じていたように思える”家”の空気は、日記という窓を通じて世界と他者、共有地としての記憶に対し開かれていた。
そういうことを、すりガラス越しの対話は咲太に教え直してくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
石川プロの演技がぶっちぎりで、ぶっちゃけこのまま死ぬんじゃないかと思ったので、翔子さんのケアはありがたい。麻衣さんの仕事だけどな本来ッ!
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/MjUnTPq6oI
隣り合って、しかし窓の向こう側には踏み込まないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
ガラス越しに、自分が忘れている自分を思い出させること。
今回翔子さんがやっているのが青春探偵の仕事そのものであることが、彼女のアニマ性をより強めている。性別を超え、転写・再生される咲太の優しい行い。https://t.co/1gqmy3Ae26
翔子さんの正体は映画版への謎として残るとして、三本爪の傷は暖かなお湯とかえでの遺した言葉、隣りにいてくれる人の存在で癒やされ、咲太は青春を生き延びる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
あれって、MAD CATZ時代のウメちゃんみたいだよね。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/auMbIiupHm
カーテンに閉ざされ、外界への接点として機能していない”窓”
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
これまでもそうだったけども、今回は特に”窓”の描写がキャラクターの心境・社会的状況と巧くシンクロして、表現力が高い。
”窓”の大きさ、描き方を見いていると、傷ついた少年少女がどう自分と社会に向き合うかは、よく見えてくる。
翔子のケアを受け、どんなに悲しくても腹は減る事実、それを”かえで”はもう食べない悲しみを腹に入れていく咲太。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
鬼気迫るむき出しの”食”が冴える描写だが、小さく開いた”窓”の描写もいい。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/pxgLs9g2jA
そこからはたしかに青い空、未来へ伸びる光が見えて、でも小さい。とても咲太が身を乗り出せるサイズではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
飾りのないメシをガツガツかっくらい、クソダサ部屋着で生きるしかない咲太の心は、まだ外側に向く気力に満ちていない。
しかし、メシ食って力つけて、生きようとする本能に火が入る。
もともと咲太は”窓”の外にある空気…花楓を殺し、かえでを生み出したものに対して価値を置いておらず、内向的な少年である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
だからといって他者に冷淡なわけではなく、むしろ傷ついたからこその強さと優しさでもって、同じ傷を受けた仲間を放っては置かない。窓を開け放ち、自分なりの歩みで心に入る
他者との接点が無条件に開いているわけではなく、自分で選び取って望ましい相手と繋ぐ。その時相応しい顔を、ちゃんと創る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
麻衣との通話前に、彼が”鏡”を見て自己と対話していること。麻衣の部屋にも”鏡”があること
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/KyBT9eSyUX
妹を殺した”電話”を的確に使って、コミュニケーション(鏡で確認した自己像の、他者への投影)を適切に行うこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
そこにある強がりと嘘(空気を共有するためのエチケット)を、お互い見抜くこと。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/PwUPhmxsTe
麻衣の部屋には光が溢れ、カーテンで”窓”を閉ざした咲太の側は薄暗いこと。そのヴィジュアルが、電話越しには伝わらないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
”住”空間に託したメタファーが豊富で、このアニメらしい。的確でもある。しっかり整えられた麻衣の”よそ行き”と、ブタ野郎のズボラな服装…”衣”の使い方もいい。
ここで恋人の乱調を察した麻衣さんは、無敵の行動力で金沢から藤沢(第体三時間半、一万五千円)へと飛ぶ。車からの視界はクリアだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
それを待つ咲太と花楓の病室もまた、カーテンに守られつつ、”窓”は開いている。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/rG3KczOTkr
ブタ野郎らしく全裸(一切の鎧をつけなくていい姿。翔子にも見せていないあり方)を麻衣さんに見せつつ、アニマが遺したメモが波乱を呼ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
一番大事な人がかつてそうしてくれたように、ズタズタの心を受け止めてあげたかった。それは自分であってほしかった。
完璧な少女の心が、再度揺れる。
それが最後の事件になるのは、なんか良いな、と思った。”振り出しに戻る”構造がお話全体をまとめているのもあるし、麻衣さんのキャラとしての強さを信頼したシュートだとも感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
この話はひとりの少年が、恋人と出会って人生を託し、お互い支え合うまでの凸凹物語なのだ。だから、麻衣さんで終わる
やり場のない気持ちに導かれるまま、咲太に背中を向けた麻衣さん。それを追いかけて一応の”よそ行き”を整えたブタ野郎だが、足は裸足である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
装う余裕がない。ない相手なのだ。かえで相手と同じである。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/dyQOCC5Wki
深い断絶、強い傷と痛みを描いてるシーンなんだが、麻衣さんが向かうエレベータは明るく開けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
咲太が身を沈めている個人的な領域よりも、麻衣さんが帰還するパブリックな仕事の場のほうが、”窓”はデカい。個人的交際がスキャンダルにもなるような、”空気”に満ちた全国規模だ。
麻衣さんはそういうものの重たさ、大事さをちゃんと理解し、恋人との個人的なつながりを大事にしつつも、その光の中に帰還していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
咲太と付き合っている自分だけを唯一のパーソナルにせず、麻衣さんには麻衣さんの世界があるところ、それが咲太にも光となるところが、結構好きである。
生まれた一瞬のすれ違い、特異現象を産まないありきたりの青春症候群の中、咲太は戸惑う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
これまで彼が癒やしてきた少女がそうだったように、暗闇の中一人きりで道を見定められるほど、人は強くない。誰かの助けが必要になる。
ここでのどかがデカい仕事をするのが、非常に良い。
義兄であり命の恩人でもある咲太を前に、彼が忘却していた誕生日と麻衣さんの傷、同じ痛みを思い出させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
まだ解っていない冒頭では車が”窓”を隠し、画面を不安定にする。その後、”携帯電話”で道を探るのも良い
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/tdhWVZsaVT
それは妹を殺した凶器で、咲太にとっては海に投げ捨てるべき毒ガス発生装置だった。双葉もこれで苦しんだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
でも今大事な人に追いつくために、咲太は迷いなく過去自分たちを傷つけたものを使いこなし、前に出る。過去の傷を乗り越え、光の方に進んでいく。
その視線は”窓”を通して世界へ、そこに反射する自分へと向かう。”窓”と”鏡”を同居させた車中の自己洞察は、喪の語りが収まるべき場所へ進む大事な足場だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
誰かが開けてくれた風穴から、自分が良く見える。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/UZhiHRzuUA
残り少ないタイムリミットを自覚したかえでが、窓から外に出ようと、日記を遺して窓にしようとしたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
生き残ってしまった咲太も、”空気”に満ちたこの世界の中で生き延びていくしかない。その時、窓を閉ざし続けて心を守るか、寒風に身を晒して誰かと繋がるか。
かえでとの生活を見守る優しい筆は、そのどちらも正しいことをしっかり描いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
外に出ていくこと、”空気”と繋がることが無条件に正しいわけではない。ただ君の心がそれを望むのならば、数多の苦難を乗り越え、傷を受けてでも”窓”を開け放つ理由にはなる。それは意味のないことではない。
どこかへ行き/生きたいと強く願い、それを叶えられなかった妹の代わりのように。咲太は知らない街へたどり着き、全力で走る。荷物を振り捨てて、想いのまま。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
それはホームタウンでの傷だらけの歩みとは、少し違う
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/AbVyLmgqO7
かえでを押し留めた赤信号の再登場、柱ですべてを脱ぎ捨てる瞬間をあえてブラック・アウトさせる演出と、今回の”走り”は非常に冴えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
藤沢での走り、金沢での走り。その中間を埋めるものを見れば、咲太が失い手に入れたもの、そこで生まれた変化はよく判る。
自分が見失い手を離してしまった、もう一人の自分。鏡に写ったあやふやな像を追いかけるように、咲太は麻衣を探し、見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
寒さを遮る”衣”には、今麻衣が背負っている対外的責任が刻まれ、咲太もそれを共有する
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/SyGVt7zWLZ
ここでも車の”窓”は開いて、マネージャーさんは咲太が麻衣の恋人であるプライベートを認め、信頼してくれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
時に無視し時に殺すだけでなく、顔を持って優しく近づいてもくれる”空気”の不思議。公私の領域を隔て、また開放するツールの使い方。
麻衣の”仕事”は様々な人が関わるパブリックなものであると同時に、彼女だけの能力と尊厳が関わるプライベートな領域でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
本来咲太が踏み込む筋合いではないところに、彼は自分の気持を持ち込む。公的領域を包む”空気”も彼を認め、スタッフジャンパーを差し出してくる。
『”空気”なんて関係ないね』と、校庭の中心で愛を叫んで伴侶を得たブタ野郎が、”空気”に公認され私的領域を広げる…公的空間を私的領域に取り込んでいくことで物語が終わるのは、僕には非常に面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
スタッフジャンパーは”空気”からの公認証であると同時に、寒さに凍える恋人を守る鎧にもなる。
それは咲太の衣装であると同時に、麻衣が足を置く領域のアイコンであり、麻衣がいてこそ手に入れられたものでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
そうやって貸し与えたものを返され、かけがえのない温もりを回収して、二人は美しい景色を見る。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/f3vRojK3DM
雪は冷たく、美しく、優しく降り積もる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
花楓との新しい生活、二年間の空白を埋めていく戦いが、咲太の前に広がっている。でもそれは、もう孤独で閉じた戦いではない。麻衣がいる。”窓”が広がっている。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/gC02fzTTcL
花楓はもう一人の自分が遺した思いを、ちゃんと受け止めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
兄と父が用意してくれた優しいクローゼットの中で心を整えながら、かえでが確かに生きた物語を嘘ではないと証明するように、彼女なりの人生を生きていくだろう。かえで自身がそうしたように。
花楓はパンダは好きじゃないかもしれない。いかにもラノベ妹した甘えた態度は取らず、生っぽいザラつきを作品に持ち込むだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
でも、それは花楓自身のまとう”空気”、尊重するべきとても大事なものだから。愛すべきブタ野郎は、かつてそうしたように妹を愛し、支え、お兄ちゃんらしく強がるだろう。
その歩みが幸あるものだと示すように、兄と妹はカーテンの向こう側に歩いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
しっかり”よそ行き”で整えた/武装した咲太の後を追って、花楓は弾むように走る。色々大変だけど、多分大丈夫。
©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project pic.twitter.com/MzlOO9rItA
そう思えるようなステップで、物語が一つの終わりにたどり着いた瞬間、僕はとても嬉しかった。爽やかで満たされた気持ちだった。『このアニメらしいエンディングだな』と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
映画版はあるし楽しみだが、TV版はここで終わりだ。良い終わり、いいアニメだったと思う。
『ちょっと若い子に流行りのお話でも見るかぁ!』という、決定的にズレた気持ちで見始めたこのアニメは、なんだか懐かしい匂いがした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
シニカルを装いつつ熱血で、他人の痛みがよくわかり、自分の痛みを誇り高く我慢し、愛のため友情のため本気で走る主人公。
そんな彼を取り巻く女の子たちは皆魅力的で、不思議な事件は面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
青春のセンチメンタルと、失われたものへのノスタルジーをたっぷり込めて、ライトな語り口と自意識にどっしり向かい合った青春物語は、強く真っすぐ進んでいった。その真剣な強張りが、大真面目な語り口が、僕には嬉しかった。
”空気”というものが持つ多様性を、咲太の傷だらけの青春に反射させながら様々に切り取っていく視座は、非常に面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
それは可塑性で、毒にも薬にもなりうる。強制的に押し付けられるものでありながら、拒絶すれば死んでしまう。しかし、どの”空気”を吸うかは選ぶことができる。
今まさに窒息しかけている百万人に、『こういう吸い方、生き方もあるかもよ?』と静かに語りかけてくる語調。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
青春のサプリメントとしてのジュブナイルのあり方(使命、と大袈裟に言っても良いかもしれない)に非常に真摯で、かつて少年だった自分に優しくしてくれているようで、なんだかホッとした。
青春症候群という謎めいた現象で、ありふれていればこそ重たく強い感情のもつれを、強く物語に焼き付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
SFギミックの使い方は的確だったし、それまで救いとなっていた症候群の『治療』が、かえでの喪失につながる最後の一撃にも生きていた。ほんっと悪魔よ、この運び方。
最初はいかにもラノベっぽい味わいの濃い口キャラだと思っていた人たちが、凄く生っぽい感情を抱え、ナイーブで優しい歩み寄りでお互いを預け合うのだと判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
そんな物語体験が、ストーリーとキャラに愛着を生み、独特の手触りを教えてくれた。このアニメが好きになっていった。
そういう歩みを見落とさないよう、細やかな芝居、的確なメタファーで映像を埋めて、しっかり情報量と情緒量を跳ね上げたアニメの作りも、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
喋るべきシーンと黙るべきシーンの見極めが優秀で、メリハリがよく効いていたと思う。情緒で殴るアニメには、とても大事なことだ。
全キャラ良かったが、とにかく咲太が良い。下品でバカで、でも真っ直ぐで熱い。それが記号ではなく、実のある行動とエピソードで迫ってくることで、年下で架空の彼を尊敬できた。ホントお前は偉いよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
無敵の青春探偵してた彼を、妹の消失でズタズタにする話が最後に来るのも正解だ。
麻衣さんというぶっとい柱を軸に、ハーレム恋愛ストーリーとはちょっと違った味わいで、可愛い女の子がドンドコ出てくるのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
後輩、親友、義妹、妹。それぞれとの繋がり方を変えて、恋人以外の関係の大事さ、面白さを掘ることで、逆に麻衣さんの唯一性、恋と愛の強さが際立つ構成も良い。
個人的には咲太が『兄』なのがホント痛ましく、尊く、『なんて強く、優しいやつなんだ…』と毎回感銘してた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
世界で一番弱いかえでの前では、シニカルなブタ野郎っぷりが鳴りを潜め、ほんとに優しい視線になるところがアイツ…アイツ! って感じだった。男の全裸風呂シーンで泣いたの初めて。
麻衣さんとの恋愛は高校生のレベルを一足飛びに超えて、一人では耐えられない人生の重荷を分かち合うパートナーシップを、しっかり描写していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
最後親父さんにちゃんと紹介するところとか、ラノベで軽視されがちな当たり前の社会性をすげー大事にした描写で、マジ好き。
二人の恋が少し揺れつつも、甘く暖かい距離感でどんどん深まって、その繋がりが巨大過ぎる波をくぐり抜けて、更に強まっていく歩み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
将来的には結婚とか出産とか、ありきたりのシステムにくりこまれるだろう当たり前の恋愛。それは凄く強くて大事で、恐れるものじゃないんだ。
そういうメッセージをかなりダイレクトに、若い読者に投げかけているように思えたのも、僕には凄く好ましかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
『あるべき人生』というモノへの確信と、それを邪魔する人生の厳しさが、かなりクリアに鴨志田先生には見えているのだと思う。ヒネたところのない、素直な作家性が活きた。
良いところが沢山ある、面白いアニメでした。僕がかつて好きで、今も好きなものが、たぶん今の若い子にもちゃんと響いて評価されている。自分の感性は、まだ死んでない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
そういう確認をして安心したかったから正直見始めたけども、身勝手な投射を易易乗り越える独自の強さがある物語でした。
主人公の熱さと強さと真っ直ぐさ、迷いのない優しさをコーティングする少しのブタっぷり。彼を取り巻く人々の光に導かれ、最後までとても楽しく見ることが出来ました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年12月29日
僕はこの亜に目がとても好きになったので、翔子を軸に進むだろう映画も、とても楽しみにしています。ありがとう、面白かったです。