衛宮さんちの今日のごはん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
季節はめぐり、冬より始まった物語は冬で終わる。しんしんと降り積もる淡雪と、丸く縁取られた吐息。冷え切った体を温めてくれるのは、温かい鍋とみんなの笑顔。
今日も元気にいただきます、いっぱい食べてごちそうさま。そうして、日々は続く。
そんなわけで衛宮メシ最・終・回! である。士剣で始まり士剣で終わる、ありがとうUFO、ありがとうカップリングの偉い人。そんな塩梅のエピソードであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
マージで衛宮メシのセイバー描写は、過剰なポンコツいじりもなく、可愛い可愛い祭りで神輿練り歩き餅配りまくりの大盤振る舞い大サンキューだ
今回は衛宮メシの基本に戻り、静かに日常を切り取りつつ、そこに大きな地位を占めている”食事”を描くお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
それは一大イベントではなく、毎日毎日繰り返され、しかし季節を込めて心が躍る日々の楽しみである。美味を口に入れて喜ぶのは、舌だけではなく心もなのだ。
そういう精神的サプリメントというか、心身の養いとしての食事を大事に進んできたこのアニメは、食卓の外側、食事という行為の埒外を、非常に大事に書いてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
これは下ごしらえや実食の作法といった『メシに近い』描写だけでなく、それ以外の日常描写・季節描写も同じである。
藤ねえがこたつ攻防戦をする所、セイバーが洗濯物を取り込むところは地味に難しい作画を頑張り、コミカルな味わい、じわっとにじむ実在感が良く宿っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
それは食事とは関係ないが、食事を必要とする人々の当たり前の営みである。ああいうものがあって、食事がある。
そういう食事行為の遠近法をちゃんと創ることで、メシを食うということ、メシを作るということの意味合いも際立ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
このアニメは一年13話、そういう描写を一切怠けることはなかったし、ただ口に餌を入れて上手いの不味いの、上だの下だのの話はしなかった。
食事は生きるからこそ死んでいく人間の定めを、他の生命を奪って養う行為であるし、また食卓に綺麗で美味しいものが並び、それを肴に展開するコミュニケーション・メディアでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
食事自体が目的であるし、それに付随するもの、生まれるものが目的でもある。
本編では掠りつつ得られなかった平穏な日常を描くこの外伝は、Fate中毒者に穏やかな麻酔薬を処方するだけでなく、自分たちが選び取った”メシ”という切り口をとても大事に、しっかり考えて作られた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
ufotable渾身の作画、可愛らしいデザインと色彩、細やかな美術、ときおり吠える演出は、それに応えた
鍋はザックリ切ってバッサリ煮るだけになりがちだが、だからこそこのアニメの『メシ』の扱い方が目立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
魚は丁寧に下ごしらえし、生臭さが出汁を濁さないよう工夫する。シメの雑炊はコメを洗い、でんぷんを落として粘りが出ないようにする。(そのまま煮ると”おじや”で、腹を満たす料理になる)
どういう食事体験を、箸を取る客(あるいは家族)に受け取ってもらいたいか。士郎には食卓を通じた幸福のイメージがちゃんとあり、それを形にするために色々工夫をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
それを受け取る側も、器や箸を丁寧に扱い、一口一口味わいながら口に運ぶ。その過程をパッパと、しかししっかり切りとるのが好き
食事はただの栄養補給ではない。そういう側面もあるけども、食事を丁寧に、そこで交流する味とか言葉とか思いとかを味わいつつ食べたほうが、費やす時間の色は濃くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
非常に静かに冬の日を切り取り、当たり前のメシを当たり前に進めていく今回の話は、そういうメッセージが静かに、強く出た。
それはこのアニメでずっと言ってきたことなので、最後にそこに帰還するのは素晴らしいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
”冬”という状況を第一話と重ね、ぐるりと一年大回りして『振り出しに戻る』構成は、これからも彼らの幸福が続いていく余韻が少し残りつつ、確かな充実感を与えてくれる。
士郎とセイバーが食事を通じて感謝を交わし、二人でいること、みんなでいることの喜びを静かに噛みしめる展開が頭と終わりに来るのも、とてもいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
それはこれから公開されるHF2章で散りゆく星たちが、心底願って手に入らないものだから。咲く花も、散る花も、色は違えど美しい運命である。
Fateブランドも拡大し、ほんっと色々作品がある。もはや一ジャンルといった様相だけども、戦闘も殺伐も一切ないこのアニメは、独自の味わいを持ちつつ確かにFateだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
無印でも食事へのこだわり、日常への愛着は色濃く、確かにそこにあったのだ。だから、これがスピンオフしてくる。
そんな看板に甘えず、あの世界が厳しさや激しさと一緒に、たしかに持っている暖かさを大事に膨らまし、そのためのメディアとして選び取った”ごはん”を真面目に考え、描き、美味しそうに仕上げてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
一年間の長きに渡り、色んなバリエーション、様々な季節で楽しませてくれた。
サービス精神と信念がある、とてもいいアニメだったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
穏やかな日常をずっと続けていくことで、何かと圧力の強い作品が多かったufotableの別の腕前、穏やかにコトコト煮込む技術の高さを確認できたのも、アニメヲタクとしてはとても面白かった。
スタッフワークが多彩で、色んな人の味わいがエピソードごとに結構出て、個性を感じれたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
基本まったり調子なんだけども、時折アップテンポにギアを上げて、テンション高い演出やエピソードなんかも混ぜて、色々やって楽しませてくれました。
内村瞳子の柔らかなデザインとソフトな色彩がうまく噛み合って、ほっこり温かいムードをうまく創っていました。こういう優しくて可愛いFateも、やっぱ良いもんですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
その柔らかさの奥から、思い出したように鋭さが出てくるのが好き。”花”の気合の入れ方とか。
なにより出てくる料理がしっかり作画カロリー・演出力をぶち込まれで、毎回美味しそうだったのがとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
食べる仕草もフードポルノに堕さず、品位と敬意を持って食事を腹に収めていたし、そこに至るまでの準備もまた楽しそうに、一つ一つ丁寧でした。
月に一度のお楽しみとして、毎回心を豊かにしてくれるアニメでした。アニメの中の、そして現実の中の”食”に興味がある人間として、色々気づかせてくれるアニメでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月1日
何より明るく楽しく、見ていて元気になれる”ご馳走”でした。
一年間、とても美味しかったです、ごちそうさまでした。