どろろ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
戦乱の中世。飢えと病が領民を苛む末世に、一人の男が道を踏み外した。
己の赤子を悪魔の贄に栄達を手に入れても、民草は明日の糧も定かならぬ身。
薄暗い闇の中から鬼神が手を伸ばす時、人にして人ならざる魔剣士・百鬼丸の刃が閃く。今、冥府魔道の扉が開く…。
そんな感じの手塚ゴッド原作、古橋監督×靖子にゃん×MAPPAの強烈な座組でお送りする、和風ダークファンタジーの伝説、奇跡のリバイバルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
なんでこの時期に”どろろ”なのかはサーッパリだが、控えめに言って最高なのでありがたい限りだ。マジこのおどろおどろしい雰囲気、たまらねぇぜ…。
主人公は悪魔のいけにえにされて全身欠損、武士も民草もお互い奪い合い殺し合う血みどろの修羅界が舞台と、まー暗い出だしである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
それが原作のテイストでもあり、変に日和らずきっちりカロリー入れて、非常に泥っぽく薄暗く仕上げてくれたのが、まず良い。
因縁の始まりとなる地獄堂の妄執からして、父の野心、母の愛情、赤子のひたむきな生きたいという気持ちがないまぜとなり、カルマが濃い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
したりズラで説法するかと思ってた坊主が、十文字にぶった切られて『ここで死んでおけば、仏法を疑わないまま終われる…』と礼を言って死ぬ辺り、マジ末世である
鬼神の力を借りて平穏と反映が生まれたとは言っても、それは醍醐の屋敷に限ったこと。世間は騙す奪うが当たり前の小林靖子時空のままだというのが、どろろと親方の生々しいバイオレンスからも見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
ココらへんも日和らずギガバイオレンスなので、本気加減がよく伺える。幼女殴打ノーマーシー!
手塚テイストを残しつつも、現代風にしっかりアレンジしセクシー&スタイリッシュに仕上げたデザインも秀逸で、それがMAPPAの作画力を受けて、丁寧に動く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
泥っぽい世界の生っぽい感情が大事な話なので、細密な動きに体温が宿っているのは凄く良い。
この恩恵を最大限に受けたのがどろろchangで、まー可愛い可愛い。可愛いんだけどもノーモーションで殴打、反撃の投石、さらなる殴打である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
感情の起伏も表情の変化も大きいどろろが隣り合うことで、声も顔も奪われた百鬼丸の異質さ、人形めいた動きに宿る人情もより目立つ。
演出面で言うと、悲しみのあまり片袖を引きちぎったり、百鬼丸の肉面がゴトンと落ちたり、日本古典の演出をところどころに取り込んで、悪目立ちさせず使いこなしているのが上手かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
何しろど真ん中に和風ダークファンタジーなので、歌舞伎のケレンを繋ぐのは大正解。からくりサイボーグだけにね!
お話としては非常に巧みに物語の構成要素を並べ、アクションも世界観もキャラクターも見せる、見事な第一話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
あくまで触りなんだけども、家族の因縁、全てを奪われたものの復讐、魔物の跋扈するおぞましい世界、そこで培われる二人の絆と、話の道糸がしっかり配置されている。
血みどろの赤子として死にかけた百鬼丸と、親方に溺死させられかけたどろろがともに”河”に身を浸すのは、彼らを繋ぐ運命のシンパシーを上手く重ね合わせており面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
河原は境界であり、人のルールが通用しないアジールでもある。そこの水に身を浸したものは、半分妖でもあろう。
怪物を殺す怪物、奪われた肉をからくりで補う百鬼丸の異様が、舞うが如き橋上の殺陣で光るのも良い。そういや、橋も”境”だわな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
異形だからこそ可能な双腕埋め込み剣術のケレンは、美しくも妖しく、どこか哀しい。本来ならそうなる必要のない、奪われたものの刀法。
今後百鬼丸がパーツを取り戻す(『のが、お話の基本軸なのだよ』つーことを、しっかり第一話に盛り込んであるのは流石の手際だ)うちに、その闘法も変化していくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
進むも地獄、引くも修羅。どちらにせよ戦いが避けれない宿命に身を置く彼が、人に戻るとはどういうことなのか。
いい塩梅のバトルが興奮だけでなく、一筋の哀切をしっかり帯びそうな期待感が、今回のバトルにはしっかり薫っていた。いいよー、凄く良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
皮ゲットシーンがあんまハッピーな感じじゃなくて、血みどろでグロいのが良いんだよね…『この地獄で”人間”でいることがそんなに上等かぁ?』みたいな。
百鬼丸は喉を奪われているので、言葉で自分を表せない。しかし登場シーンでしっかり傀儡の足音をさせ、名も知らぬ子供(かつての自分でもあろう)を死地から助け、ただの人間でも戦闘マシーンではないヒロイズムを匂わせている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
ここら辺の語り口の巧みさ、演出の巧さは流石である。
背景世界が何しろ重たく埃っぽいので、巧く雰囲気を壊さずに必要な情報を出す手際が求められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
映像サイドも文芸サイドも非常に練られていて、ここに不安はないかなと思った。泥くせぇ世界を楽しんでいくうちに、スルスルと『このアニメがどういう話か』が入ってくる。作品を食わされる。
第1話の仕事はまず『そこ』にあると思うので、欠損や血飛沫、因業と暴力を恐れない臭み含めてスムーズに見せた出だしとして、120点の仕上がりだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
いやー…”獣兵衛忍風帖”…”ストレンヂア”…”サムライチャンプルー”…”サムライセブン”…好きなんだよ、アニメのトンチキチャンバラもの。
どっしりと胃に貯まる重たいドラマ、ひりついたキャラクター(琵琶丸の強キャラ感がスゲェ)、ハイカロリーな作画力を、丁寧な世界観構築とスムーズな演出、確かな物語の骨格で美味しく食べさせてくれる、素晴らしい第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
『臭くて美味い! もう一杯!!』って感じだ。
鈴木梨央さんのどろろがマジでベストマッチで、血みどろの因果に咲く一輪の花として、いい感じの清涼を与えてくれそうでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
後に濃い縁で結ばれる面々も良い顔見世をして、さて宿縁の果ていかなる幕が待ち構えるか、期待は高まるばかりである。次回が楽しみだ。
追記 描写をシングルヒットで終わらせず、後々巧く使うことで大量得点に繋ぐ。物語エコノミーが異常に上手い。
どろろ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
琵琶丸の盲た視野を先行して見せておくことで、アヤカシを感知する百鬼丸アイを特に説明なく食わせて、主人公が特別な存在であることを肌で感じさせるところとかも、非常にスマートだった。
全体的に設定の食わせ方、状況の魅せ方がアホみたいに美味い。無駄なく楽しい。凄い。TRPG者は見ろ
追記 なんの罪科もねぇのに赤剥けのデクにされて、必死に化物倒して体取替したら他人が不幸になるという、なかなかのハードモードな百鬼丸くん。正しく靖子主人公だなぁと思います。
どろろ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月8日
領地安堵を鬼神に願った因縁が祟って、百鬼丸が体を取り返すたびに神話級の不幸が起こる描写がスキなくねじ込まれていて、『あ、これでヒドイことになるな…』という予感が凄い。
醍醐が野心の人なのも事実なんだが、実際鬼神力で天災から守られてるからなぁ…靖子がどう転がすか…。