風が強く吹いている を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
冷たい雨の中、僕たちは走る。
敵と肩を並べ、知らない人の応援を受けて。
仲間を信じて、たった一人で。
走る、走る、走る。
箱根予選会、それぞれの死力を尽くした奮戦が続く。果たしてアオタケは結果を残すことが出来るのか。頂きは遠い夢か、確かな現か。
そんな感じの予選会後半、全スポンサー完全本名でお送りします。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
さすが日テレ放送、リアル駅伝の細かい取材が活き活きと輝き、非常に生っぽい予選会となった。地味ーに作画カロリーを下げる工夫が随所に見えたり、その分をリアリティのためのディティールアップに回したり、相変わらずIGは凄い。
さておき、予選会という公の場まで這い出してきたアオタケ。彼らはチームの主観と同時に、世界の客観で観測される存在になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
それを反映してか、今回は鳥瞰やメディアを通じた描写が多めである。無論、主観の荒い息、強い風もしっかり演出される。
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ハイジの身勝手で強力な誘因によって集まった十人の走りは、気づけば大きなヴィジョン、空からの客観で把握され、応援される場所まで来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
そんな状況の変化を肌で感じさせるべく、予選会のカメラは接近と離脱を繰り返す。ここら辺のコントロールが冷静かつ的確で、非常にこのアニメらしい。
客観に離れてみると、色んな物が見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
今回名も無きランナーたちが抱えるドラマを、所々に埋め込み風通しを良くしていたのはとても良かった。
アオタケの物語は当然アツい。一人一人個性とエゴがあり、それを押しのけてチームになる献身と憧れがある。最高の個人的物語だ。
しかし夏合宿で親父さんが言っていたように、ユニフォームを着て走る全ての存在に、それぞれの汗と涙がある。負けられない事情がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
そういうモノを全部冷たくぶっちぎって、走りの結果もある。冷たい客観と熱い主観の交錯は、アオタケの独占物ではない。人が生きて走ることは、全てドラマだ。
アオタケの主観だけで話を回せば、124番はハイジの古傷をエグッた”悪いやつ”だ。でも彼だって、転びたくて転んだわけじゃない。負けたくて負けたわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
棄権を問われても立ち上がり、涙で詫びる彼の姿を、カメラは冷静に捉え、置き去りにする。
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その温もりと冷たさが、僕は相当いいな、と思った。それは視聴者にも青竹にも関係ないドラマだが、確かにそこにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
それに過剰にフォーカスするのでも、無視してクローズアップだけで物語を作るでもなく、夢と現、客観と現実のバランスを取りながら予選会が走っていく。
ここら辺は群像劇を取り回す手腕にも繋がっていて、カケルとハイジを話しの主柱に据えつつも、10人全員が主役と言えるような熱量、適度なクローズアップがバランスよく配置されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
いるだけの賑やかしがいないことで、アオタケの物語には化学反応が生まれ、温度が上がっている。
ゾーンに入ったカケルの走りは、音声言語を許されない決死の競争の中で、何よりも雄弁だ。モノローグすら切り落とした、ストイックで厳しい極限状態の中で、カケルはただ走り、仲間はその光に笑顔を浮かべる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
しかめ面で走り抜くことだけが、勝利への道ではない。
口下手なカケルの才能は、やはり走りにある。愚直にまっすぐ走る才能が、知らず人の心を動かす雄弁な言葉となって、仲間に、商店街の大人に、モニターの向こうの観客に届いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
それと同じくらい、言葉でちゃんと自分の思いを伝えられるよう、メッセージを探す努力も怠らない。これもバランスか。
カケルが肩を並べるのは、名もない留学生の強豪だ。彼らの間に言葉はないが鋭い”眼”が意思を通じ、”走り”が思いを伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
29番のさりげないセレブレーションが、上手く社会に溶け込めなかったかけるの高校時代に報いるようで、少し泣けた。
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そういう俯瞰のドラマだけでなく、クローズアップの熱量も様々に渦を巻いていて、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
ゲロを吐いても走り切る、綺麗ばっかりじゃないリアルなスポーツ。王子は本当に頑張った。みんな本当に頑張った…。
それぞれ苦しそうな顔が違う所がいいよね。
今まで捉えてきた個性が視聴者に伝わっていると信じ、パパっと発表を待つ各人の震え、結果を出した時の喜び方で魅せる演出は、チームの個性とまとまりを感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
ユキの眼光、キングの逃避、ムサの祈りと号泣。それぞれ、不安と歓喜の受け止め方は違う
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迷いなく涙と感情を垂れ流すムサのピュアさとか、逃げ続け閉じこもり続けて決定的瞬間に遅れるキングとか、弱いくせに減らず口は衰えない王子とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
軽くスケッチされている反応は、これまでのドラマの中で色濃く描かれた彼らの個性だ。それは、どんな瞬間でも消えない。
そういうむき出しでバラバラの魂が、チームとなって一つどころに集まり、頂を目指す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
その姿は作品の外側で眺める僕らと同じように、作品内部の他人も感動させる。ちゃんとカメラマンさんの緊張と感動、取材対象への共感を描いている所が凄く良い。
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ハイジが一人で夢見た頂に、アオタケの10人は確かに足をかけた。儚い夢を確かな現に変えるべく、嘘も空言も使い倒してきた歩みは、一つの結果にたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
それはたった一人の身勝手な思いで、でも誰かに届く。半年前前ではかけらすら興味のなかったユキが、熱く”勝つ”ためのメソッドを吠える。
これまでアオタケに近いサークルにとどまっていた情熱と共感の伝播が、カメラマンさんという『その日であったばっかりの他人』に、彼が抱えるメディアを通じてもっと広い場所に広がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
個人的な夢が、客観的な現になっていく。
そういう過程を、無言ながら非常に雄弁に語るエピソードでした。
現というのは急に現れるものではなく、常に隣りにあるものだ。その存在に気づかないだけで、それはいつもそこにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
戦い終えた双子が、陸上ランナーの眼で記録ボードを見据えた時。ハイジのハイテンションがかけた麻酔が、夢から醒めていく。
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ここで”速さ”のリアリティに戻ってくるのはナイスなタイミングで、それを問うことは終盤戦の目標設定を明瞭にするし、アオタケの走り(それが背負うこの作品のテーマ)が何を目指すかも、しっかり伝えるべきだからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
どれだけ夢を見ても、ストップウォッチに刻まれた結果が、それを判断する。
そういう冷たさと厳しさに、アオタケがあまり目を向けていない様子は、自分の記録、チームの勝利を事前にチェックしない姿勢からも判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
後に予選会を上位で抜けていくチームは、確立された確かなメソッドに従ってタイムを読み、大体の成否を革新していた。ここら辺の静かな対比が相変わらず巧い。
一番調子に乗ってた…ように見えて、”サッカー”という別ジャンルで勝負の厳しさを知ってもいた双子が、”速さ”に目を向けるのは印象的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
お話もチームも、荒い息でひた走る個人も、そういう場所にようやくたどり着いた。双子の疑問に、ハイジと作品はどう答えるか。目指す頂はどこか。
”箱根”と夢を繋ぐハブが、どんな形をしているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月5日
次回はハードな走りはないが、なかなか大事な話になりそうだ。音響を上手く使って、主観と客観を切り分ける演出も今回冴えてたなぁ…”走ってる感じ”が色濃く出るのは、やっぱり良い。
その鋭い視線が、レースの外でどう生きるか。来週も楽しみ。