ブギーポップは笑わない を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
未だ形を取らざる虫のような感情が、人と合成人間の中を這い回る。死にゆくものがそれでも付けた傷を、どう受け止め、どう活き、どう死ぬか。
散りゆく者たちを看取りつつ、”不気味な泡”と”炎の魔女”は初めての邂逅を果たす。それは、夜明け前の物語。
というわけで四話連続特番、ブギーポップ・エピソード・ゼロ大公開って感じの”夜明け”である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
ブギーポップが、霧間凪が、水乃星透子が、何故今の形になったのか。そのオリジンを探る話であると同時に、”VSイマジネーター”で登場した合成人間達の内面と死に、深く切り込んでいくお話だ。
巨大なシステムの中で、先も見えず虫のように生きる合成人間達。彼らは異能を持ちつつ生き方に迷い、人に憧れつつも人には成れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
人非人が人を演じつつ、せめてもと夢見た人のあり方。その対価は高く、スケアクロウもピジョンもモ・マーダーも死んでいく。
その不自由と想いが、人間よりも遥かに人間らしくて、”夜明け”には一種独特の熱量がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
例えばあまりに正しすぎる末真とか、白々しい振る舞いが目立った正樹とかに比べると、統和機構という巨大すぎる檻に閉じ込められ、一瞬の人間らしさを輝かし、対価に命を払って散っていく彼らは、妙に人間臭い
ブギーが初めて対応する”世界の敵”たるフィアグールも、恐怖に支配されるあまり世界を恐怖で包もうという、あまりに人間的な欲望で世界を飲み込もうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
恐怖を我が物にし、あるいは自動的なシステムとして溶かした存在を前に、その人間臭い邪悪は極めて無力だ。
『こいつぶっ殺せば、少しは世の中良くなるだろう』という解りやすい悪役がいることもあって、三作目となる”夜明け”は”笑わない”あるいは”VSイマジネーター”よりも、より解りやすいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
志半ばに散っていく者たちの死体が、みっしりと積み重なりつつ、その想いは継承され、未来に届いていく。
うまくいくか分からない、自分らしくもない一瞬の気の迷い。でもそれは、ずっと心の何処かで望んでいた真実でもあり、その対価は常に重い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
現在を維持しようとする巨大な社会(霧間誠一を”社会の敵NO1”に仕立てたもの)に抗い、正しくあろうとする代金は、いつだって命だ。
しかしそれを超えて継承されるものこそが、人を柔弱に貶める恐怖を乗り越えさせる唯一の特効薬であり、もし恐怖を克服したいのならそれを唯一絶対の真実として拡散するのではなく、己の中にある恐怖を見据え、戦う意志を奮い立たせる以外に道はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
フィアグールは、その道に立ち損なった。
同じ進化薬を受け取って、霧間凪は”人類種としての成長痛”を乗り越え、一人間として”正義の味方”に脱皮していく。スケアクロウが果たせなかった夢を背負い、彼の事務所を後々アジトにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
来生真希子は同じ薬を、自分の中の歪みを増幅させ、犠牲者を増やすための凶器として使う。
『蟲(ノミ)の勇気は勇気にあらず! 人間の素晴らしさは恐怖を我が物にすることにある!』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
ここら辺の”恐怖”との向き合い方は、上遠野浩平が多大な影響を受けたジョジョ、特に一部のツェペリさんそのまんまである。同じクールに四部アニメがやっていることに、ある種の運命を感じるな…。
さておき、死の恐怖を前にしてそれでも、自分の中の良心という虫、優しさという蟲を殺さず、それに従って次代に何かを託すことが、今回は連続していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
あるいは、生物の根源的防衛本能でもある恐怖に支配され、歪んだ道に身を投げてしまう愚か者たちの在り方も。
物語はスケアクロウの生と死から始まり、彼を殺したモ・マーダーの生と死で終わる。二人の合成人間おじさんは皆、霧間凪の屈折のない生き様に己を見失い、『らしくない』生き方を選んで死んでいく
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
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彼らは合成人間として、時分を製造した組織に縛り付けられ、探偵、あるいは殺し屋という役割を演じる。そこからはみ出すことはすなわち死を意味するが、霧間凪という毒薬は彼らに染み入って、彼らが本当にしたかったことを果たさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
そして霧間凪は一人生き残る。神木城直子の時がそうだったように
”社会の敵”と成り果てても、人が望む在り方を開放し、背中を押す。それが危険な可能性となるか、より善い希望となるかなど誰も知りえないまま、それでも前へ進まなければ終わらない鼓動を活性化する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
これは作家・霧間誠一がその著作で果たしたことと、強く繋がる。血は争えないね。
あるいは世界に可能性の種を蒔き、様々な”突破”を引き寄せる力は、後のイマジネーター・水乃星透子と繋がりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
あの公園での出会いが、”世界の敵”を決定的に確定させてたのなら…
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可能性は常に善悪両面に開かれていて、少女との会話は決定的に死にゆく霧間誠一を救ったかもしれないし、水乃星透子をイマジネーターに仕立て上げる決定打だったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
その判断は、誰にもつかない。ただ霧間誠一は己の中で渦巻く願いに素直に、”社会の敵”を言葉によって量産した。
(言語によって未来の可能性を突破する人材を、燎原の火のように押し広げる霧間誠一のスタイルが、上遠野浩平そのものであるというのは、よく言われることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
ブギーポップがあったことによって、奈須きのこだの西尾維新だの時雨沢恵一だの、山のような作家がが新たな言葉を作り上げている)
(西尾維新の上遠野信者っぷりは、例えばファウストVol5のインタビューなどからも見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
ブギーチルドレンの諸作品がもはや古典(であると同時に現役のポップアイコン)となり、新たなMPLSを生み出している様も含め、リアルはブギーポップ的だ)
”突破”を試みる意志は必ずしも、善なる結果へはつながらない。想いが継承されることがどれだけ破滅的かは、イマジネーターに行き交ってしまった仁兄さんの末路を見れば、よくよく分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
それでも、人は自分の中の熱情を沈めておく訳にはいかないし、未来は不確定な可能性の中にしか無い。
”社会の敵”、あるいはシステムからの逸脱者として排除されるとしても、己の生き様を一瞬輝かせ、傷跡を残すこと。それを継承した誰かを信じ、恐怖と向き合い前に進むこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
”継承”というテーマが明瞭であることが、おじさんが似合わぬ夢を見て、バッタバッタ死んでいく話の、爽やかさに繋がるのだろう
思えば”笑わない”は過去と現在と未来を行ったり来たりしつつ、複数視点が絡み合うエピソードだった。”VSイマジネーター”は終わった過去の残滓であり、その原因は明瞭ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
対して”夜明け”の先にある輝きは、”世界の敵”を事前に排除するブギーポップの活躍、呪いに苛まれつつ戦う霧間凪で明瞭だ。
時間を遡っての過去編でありつつ、その”先”が明瞭であること。散っていったものが無意味ではなく、『正義の味方』を夢見たスケアクロウの想いは確かに継がれていると確認できることが、曖昧なテイストを残しつつ何かを成し遂げたような、”夜明け”独自の読了感に繋がっているのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
映像表現としてはやはり明暗がクッキリしていて、闇に向き合い飲まれるもの、闇の中に沈み続けるもの、光から闇を見てそれでも己を保つものと、これまで以上に日常と非日常の境が際立っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
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スケアクロウは進化の系統樹を刻んだ病院を訪れ、自分の追い求める進化の体現を見つける。
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明るく朗らかな凪ちゃん(まるで可憐な美少女みたいだ…高校生になるとアマゾネスなのに…)はしかし死病に侵され、死の陰りに密接している。スケアクロウは、そこから彼女を救いうる立場にある。
足を固定されたカカシのまま、統和機構の中で役割を果たすか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
”探偵”というカバーにつきまとう浪漫(『コーヒーを美味しくいれるもの』)を己のものとして、愚かに突き進むか。
結局スケアクロウは試薬を盗み出して凪を救う道を選び、それがフィアグールを覚醒させることにもなる。
可能性は様々な方向に開かれ、善悪全てが引き寄せられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
スケアクロウの満足を知らないピジョンは、後悔に苛まれて愛に殉じた。探偵が夢見た正義の味方を、高校生の凪はずっと続けている。
そしてスケアクロウ自体も、後悔と満足の間、曖昧な霧の中で己の死を見つめる。
そこでブギーポップが現れたのは、一人寂しく朽ちていく案山子を哀れんだとも見えるが、その殘念が世界の危機に繋がる可能性を切断しに来た、とも取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
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エコーズの残響(エコーズ)が、イントロとアウトロに響き渡るように。あるいは水乃星透子の残響がどれだけの惨事を引き起こしたかを思えば、スケアクロウの後悔の霧を晴らし、青い空を夢見させて終わらせた対話は、実は”世界の敵”との戦いであったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
そこはいつも曖昧なままだ。
どちらにせよ、探偵の帽子をぶっ壊され、中身の機械(組織の端末でしかないスケアクロウの内臓)を顕にした黒田慎平は、曖昧な霧ではなく、かつて身を置いた真っ黒な闇でもなく、青い空を夢見ながら死んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
彼を死地に送ったモ・マーダーもまた、霧間凪によってそんな空を見ることになる。
霧間凪の異常な熱量(これが持つ伝奇的な意味を知りたい方は、是非に”ヴァルプルギスの後悔”全四巻をお読みいただきたい)が、スケアクロウに刻んだ傷。それはマ・モーダーも刺す。
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あるいは凪の父である霧間誠一も、彼の教えを受けた少年も、様々な傷を残し、殺戮機械を狂わせていく。
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その先にあるものが無慈悲な死であったとしても、新たな何かへと突き進まざるを得ないような、燃え盛る熱情。霧間親子は、そういうモノを他人に感染させるのが得意である。
そんな”熱”を別の形で受け取って、来生真希子はフィアグールへと変生する。凪の熱を止めた試薬は、恐怖に怯える”普通の人間”を覚醒させ、恐怖を啜る蛇へと変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
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舌なめずりし、血をすすり、鼠を丸呑みする。待ち伏せ、のたくり、這い回る。
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檻に閉じ込められつつも空を夢見る”蟲”に、合成人間達が擬せられているのに対し、今回の”世界の敵”には”蛇”のイメージが重ねられている。原作を拾った、良い描写だと思う。
恐怖を克服するために、より強いものの脳を食べる。自身が恐怖の体現となり、世界中に恐怖を撒き散らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
原始的な共感呪術にもにた、フィアグールの行い。それは恐怖を正面から見据え、世界と戦う霧間凪(あるいは末真和子)的なスタイルとは、大きく異なる。凪の熱に当てられた合成人間とも。
末真和子は画面の端っこで、決定的かつ大間違いの”継承”を果たしてもいる。
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フィアグールのスケープゴートにされたモ・マーダー。その餌食として狙われ、無力だった恐怖が、彼女を博士に変えていく
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”炎の魔女”や”不気味な泡”のゼロ地点である今回は、間違いなく末真和子の基準点でもあるのだが、後の物語でそうであるように、今回も彼女は世界の裏側の闇には踏み込めず、友人の相談に真摯に答え、熱血をたぎらせ不正に怒っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
その蚊帳の外感が、彼女の中の”蟲”だとも言えるか。
凪は父の死に立ち会い、『普通とはなにか』という謎掛けを埋め込まれたことで、メサイアコンプレックスを発現させた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
それがフィアグールとの決定的な対決、『正義の味方』としての初事件にも繋がるのだから、彼女もまた”蟲”に突き動かされた一人なわけだ。
皆、人は己の起源と衝動に突き動かされる。
社会(あるいは世界)との距離感を掴めないまま、光や花や炎に引き寄せられ、無目的に走り回る虫。それに宿った五分の魂が、命の器を失ってなお、どう拡散していくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
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それがブギーポップの物語なのだろうし、彼が敵対する”世界の敵”は虫を引き寄せる光を踏み砕く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
闇の中にい続けたスケアクロウ、あるいはモ・マーダーにとって霧間凪が光(あるいは花)であったように。
フィアグールにとって、恐怖の闇こそが絶対の真理であり、世界を道連れに全てを連れ込んでいく。
ピジョンはスケアクロウ無き無明の世界を、それでも生き延びてしまっている。フィアグールが身を置く暗い闇に、自暴自棄に、あるいは孤独に生き延びるという”恐怖”をつかれて引き込まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
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花は孤高に、なんの意図もなく咲き乱れるのに対し、蛇は狡猾に誘惑し、世界を己の信じる形に変えていく。そんな差異が、凪と来生先生の間にはあったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
だからこそ、決戦でフィアグールは凪を執拗になぶり、それが決定的な敗因に繋がったりもする。真に恐ろしいものは無視できないのだ。
フィアグールも霧間凪のように、恐怖を突破し己のものと変えていきたかったのかもしれない。だが試薬と出会い、”世界の敵”へと変じてしまった彼女には、もう人間の持つ光は遠すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
憧れて、でも届かないものを足蹴にしさえすれば、自分の生き方が、恐怖が肯定される。
その普通の弱さこそが、社会システムの急所を突く”世界の敵”の条件であり、巨大すぎる統和機構はときにそれを見落とす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
上手く適応できれば新たな可能性たりうる”社会の敵”は、案山子や暗殺者を使って排除するのに、だ。ブギーポップも、後始末がなかなか大変であるね。
全てが終わった後、二人の少女は生き延びる。虫のように光に誘われ、宿命を突破できず死んでいった様々な人々。その光、その闇に背中合わせに立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
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凪はあくまで光の側、日常の側、人間の側に立ち、自動的なブギーポップは闇の側、非日常の側、異能の側に立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
それでも凪は死と異常が渦を巻く世界の真相に目をやって、恐怖には飲まれない。後悔にも、愚かさにも囚われないまま、ただただ正義の味方を続けていく。
その正しさは自動的なまでに純化されており、そういう意味で”炎の魔女”と”不気味な泡”は共に、虫の宿命を遥かに飛び越えた高潔な存在なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
だからこそ、虫はその光を仰ぎ見る。憧れ、焼かれ、地に落ちて、最後に言葉を残す。凪が正義の味方スタイルを継承したように、ブギーも衣装と名前を継ぐ
そういう継承の物語を描くために、時間軸がゼロ地点まで戻った…とも言えるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
父から、探偵から、暗殺者から受け継いだものが、高校生となった彼女たちの中でどう活きているかを、僕らはもう見てきたはずだ。それは、無駄ではなかった。
アクション面でも気合が入っていて、第1話でのスケアクロウVSモ・マーダーの合成人間対決は、彼らが身を置く超常の領域をダイレクトに描き、大興奮であった。叔父貴まじかっけぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
異能を扱い切るオジサン二人に対し、四話の先生は力に振り回されていて、キャラを焼き付けた良いアクションだった。
既存の社会を殺す”社会の敵”は組織が殺し、人類社会を終わらせる”世界の敵”はブギーが殺す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
不倶戴天の敵のようでいて、お互いを補う自動的な処理装置でもある不可思議。
スケアクロウとピジョン、二人の合成人間の死に立ち会ったブギーの、常人には両義的に見える対応。
ピジョンにとっては『君は地獄行きだ』という引導こそが、焦がれた案山子にたどり着くためのオリーブの葉であったのなら、ブギーはやはり殘念を殺し、意志の残響が世界に悪影響を及ぼさぬよう、自動的に最適な言葉を選んでいるのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
それが暖かく見えるのも冷たく思えるのも、人間の勝手だ
そんな風に様々に多義的な諸相が描かれつつも、確かに芯のある良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
それは原作からの大事なテイストであり、同時にアニメでしっかり捕まえ、楽しいエンタメ、寂寥感と爽やかさが残る物語に仕上げてくれたのは、非常に良かったと思います。
学園を舞台に閉じた世界の物語を複数軸で描いた”笑わない”から、”街”を舞台に複数主人公で物語が展開する”VSイマジネーター”へ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
だんだん世界が広がっていって、合成人間が囚われた統和機構という檻、それが組み上げた世界の様相に深く踏み込む”夜明け”へ。
アニメのエピソード選択は、かなり面白い。
この先に1stシーズン(ですよね?)を〆る”歪曲王”が待っているわけだが、それは今回の病院のように、寺月恭一郎の奇っ怪なる建造物に閉じ込められつつも、そこを遥かに超えて自由で、同時に不自由で残酷でもある世界に繋がった物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
”セカイ系”の始祖ともされるこの作品は、虫でしかない人間のちっぽけさ、不自由な弱さを、ずっと見据え続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
何者にもなれる可能性を持ちながら、己の中の恐怖や弱さに押し流され、世界を道連れに”世界の敵”になってしまう普通の人びと、その卑劣さの犠牲者を、しっかり見据えていく。
そんな虫の集合体である社会も、日常の陰りに身を潜める統和機構も、万能でもなく無敵でもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
間違え続けているのに、可能性を”社会の敵”と排除し、合成人間の良心を檻に閉じ込めて、残酷に処罰することしか出来ない。ちっぽけな虫は、その間違ったシステムに対抗も出来ない。
それでも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
それでも受け継がれるものがあり、未来には可能性がある。それが善悪どちらに繋がるかは、常に判別できない。大概は虚しい結末に終わり、しかし死に絶えることなく継承される光の尊さがある。なければならない。
曖昧なようでいて鮮烈な、ブギーポップシーズの一つのメッセージ。
それが4話連作の中でわかりやすく伝わった、非常に良いエンターテインメントでした。可愛い凪ちゃんとか、熱いアクションシーンとか、俗っ気込でいい仕上がりだったなぁ…非常に面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月28日
この勢いを駆って、さて”歪曲王”。非常に楽しみです。変則放送多くて、感想書くのは大変だがな!