マナリアフレンズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
女と女の心の中に、今日もしとしと雨が降る。自分から言いだした隠れんぼで、どうしようもない寂しさを堪えきれず崩れ落ち、手をつないで雨上がりに飛び出していく。
そんな隠微な距離感が、みっしり画面を埋めていくエピソード。
つうわけで今週も、特に進展はねぇ百合やおい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
比較的オープンエアで唸っていた美術力が、巨大図書館を描写する細密な筆で唸り暴れまくり、巨大建造物フェチは大興奮だ!
やっぱこういう静かな話のほうが、静物を描く強さがムードと噛み合って、クオリティを活かせる印象だ。
『女と女の湿度を上げるためには、雨を降らせりゃ一発!』という真理を背負い、第3話以来の雨回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
美術の強さが目立つけども、やっぱ音響も無茶苦茶リッチで、二人を包み込む空間の広大さ、しとしと降り積もる雨音、途絶えることのない時計のチクタク音が、世界を作る。
お肉アピールを抑えめに、正統派短編映画的な作り方をしている今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
BGMも状況や心理に合わせて弾んだり、沈んだりする作りとなっている。アニメだと、”イカ娘”とか”ゆるゆり”のOVAが時々やってた作りだと思う。ディズニーっぽくて好き。
そこで描かれるのは無邪気な子供の楽園などではなく、淫靡な挑発を込めた慎重な心理的距離戦なわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
直線的な肌色勝負を封じ込め、徹底的にヴェールの奥にエロティシズムを隠した運び方が、非常に良かった。谷崎っぽかったなぁ…『濡れちゃうね…』ってそういう。
過剰品質を心理切開に使い倒す今回や三話の方向性のほうが、自分としてはやはり食べやすい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
細かく静物に逃げるカメラ、表情ではなく末端を追うフェティッシュ。日常的な友誼の中に、確かな体温を込めた交流。
”しっぽ”を感情の表現メディアとして使えるのは強み。
©「マナリアフレンズ」製作委員会 pic.twitter.com/gCYbYbftsE
吐息に、指先に、視線に。感情を屈折させてエロティシズムと愛おしさを積んでいく作りが、豊かな図書館の美術と噛み合って、非常にいい匂いがした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
馥郁と焚きしめられた確かな発情は、”隠れんぼ”という子供っぽい遊びの中だからこそ、麝香のように色濃く立ち上る。幼さと成熟の対比がいい。
アンは自分から遊びに誘っておいて、一人だと自覚すると寂しくて折れてしまう。その身勝手な弱さを、グレアが追っているのか。グレアもまた、寂しさの中でアンを追い求めているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
その距離感は複雑で、手のひらの中を滑り落ちて捕まえきれない。
隠蔽されたものと暴かれたもの。微かに見えるものをだからこそ追い、完全に見えなくなると寂しさが勝る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
ヴェールをかけたエロティシズムの表現が、静かに馥郁と薫るシーケンスは素晴らしかった。
©「マナリアフレンズ」製作委員会 pic.twitter.com/fehrUKlNKk
顕ではないからこそ掻き立てられる距離感は、媚薬が効くとは限らない同性間の性愛に隣接している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
友情と愛情の入り混じったマジックポーションは、図書館というクローゼットを出た二人の胸に広がるのか、再び友誼と遊戯の距離感に戻っていくのか。そういう想像力を掻き立てる、いいエピソードだった
ちょっとワイルド、バタイユ的な暗さも孕みつつ、超絶ハイクオリティで同性愛映像詩をやりきってくれる、いいエピソードでした。いやー、エロかったなぁ…深夜アニメのエロスが、全部こういう角度になればいいのに…(絶対無理)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
来週はどんな方向性で質を蕩尽してくれるのか。そういう意味でも楽しみ
追記 マナリアフレンズが手に入れてしまった形式と内実の、おそらくは狙っていない奇っ怪な合致。蕩尽故に馥郁と薫るエロティシズム。効率の良い有用さ、正しく長い物語への叛逆、美しき徒花への忠誠。
非常に高品質なものを、ハイレイヤーな価値のためではなくより低い、より人間的な感情の熱量の薪にしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
五分の肌色やおいアニメに大量の予算をぶっこむ蕩尽により、そういうデカダンスを形式から引き寄せてる感じがあって、女性同性愛アニメとしてスゲー面白い表現になってると思う。
ぶっちゃけ”無駄に凄い”んだけども、その無駄さが真ん中に据えてるテーマに奇っ怪な噛み合い方をしている、と言うか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月3日
企画が潰れようが金がかかろうが、『サイゲの祖業なんで』で意地の復活を見せた奇妙なアニメにしか、たどり着けないバロックの極地だと思う。マジエロい。