ガルパ履修記録
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
・Afterglowバンスト 第2章”ツナグ、ソラモヨウ”
弱さと向き合い、変わった景色。いつまでもその色でいて欲しいと、願える友情。
全ては空の色のように移ろい、流されていく世界の中で、それでも共に見つめたい光があるなら。私の背中を、けして離さないで。
そんな感じの、青い青い季節の物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
Roseliaが大波乱を乗り越えて白紙の自分たちから再出発したのに対し、一見収まってる風味でいてモカちゃんのスーパーナイーブが大爆裂し、一枚板だったはずのアフロに巨大な貫入発見という、心乱される展開で終わった。
これ、モカ推し正気じゃいられんね…。
モカちゃんはモッタリ間延びした喋りと、天然な雰囲気が特徴的な女の子だ。一見エイリアンにも見える彼女は、当然等身大の人間でもあり、悲しみも喜びも分かりにく表情の奥にしっかり脈打っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
その鼓動を切開し、()付き内面吐露を多用するエピソードである。ある意味『青葉モカの人間宣言』か
()内部で語られるモノローグは、外側に向けて開放されるダイアログに対し、少し水気が少なくシャキッとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
おそらくモカちゃんは、Afterglowの複雑な人間関係引力を調整するべく、あのモッタリした喋りを”選び取って”いる。無論、計算せずナチュラルにそういうキャラクターでもある。
どっちにしても、モカちゃんは色々見据えて、色々考えて、なかなか言語化しない子である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
例えば大和麻弥のような対人的な器用さを、彼女は発揮しない。出来ない。
能力と経験の不足であるし、自分をさらけ出して変化していく環境に飛び込む恐怖ゆえでもある。
このイベストでは『変化』にまつわる多義的な語りが、幾重にも折り重なっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
一人”華道”という新しい社会、新しい人間関係に踏み込み、自分らしさを書き換えることで、一番大事なものを『変化』させないよう踏ん張った美竹蘭。
幼馴染にはなかなか見せないそんな強がり(であり、喜びでもある挑戦)が、美竹蘭を変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
自分の手の届かない領域で展開される、ある意味勝手な成長。それに戸惑う姿勢は、例えば宇田川巴が”Growing Up Sisters!”で感じたものに似ている。
時は流れる。永遠はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
『他者と無条件にわかりあえることが、絶対にない』という、ガルパを貫く基本ルールと同じように、時間もまた絶対性を有しえない。
そんな変化していく時間の中で、変化し得ない永遠を守るために、蘭ちゃんは変わった。変わろうと頑張った。
”華道”を共有しない(”家”という領域が持つバリア、蘭だけの世界に踏み込まない尊重と恐怖)Afterglowは、そんな蘭の実相を見れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
気づけば、一人だけ大人に取り囲まれ、その中で色んなモノを学んで、先に進んでしまった『私たちの蘭ちゃん』
背中が遠ざかっていく違和感に、メンバーは動揺する
『変化』は良いものとして語られがちだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
リアルタイムに変化する状況に、生物として対応していくためには多様な変化が必要であるし、新しい体験は大抵、大きな喜びを連れてくる。
大きな不安と、大きな恐怖も。
『変化』は怖く、沢山の勇気を必要とする、恐ろしい体験でもある。
そういう『変化』につきまとう多義性に、Afterglowは思い悩まされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
その本質からして『変化』を求め続けるつぐみは、その源泉が『美竹蘭の後ろにいること』だと、かなり明確に示す。
私はいつでも、蘭ちゃんの背中を追っていた。
それはつまり、つぐみのポジションが『後ろ』だということだ。
それが主観であるか客観であるか…低い自己評価から生まれるセルフ・イメージなのか、能力や人格を冷静に判断した結果のポジションなのかは、この際関係ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
つぐみは(そしてAfterglowの仲間も)、美竹蘭の背中を見、背中を追う形で、”私たちのAfterglow”であろうとする。
つぐみは蘭の後塵を拝する状況に、ポジティブな価値を与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
それが当たり前だったから、生存のためには『後ろ』である惨めさを廃するしかなかったのか。
はたまた、物事のマイナスではなくプラスを見つける彼女の特質が、『美竹蘭の背中』に大きな意味を見出したのか。
エゴイズムと美質は複雑に入り混じって、分離はできない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
どちらにしても、つぐみは蘭を『追う』立場…自分たちが遅れている現状を嘆かない。『変化』も畏れない。
より善い自分、より善い世界、より善い他者を常に追い求める野心家にとって、それは怖いことではない。あたり前のことなのだ。
これに対し、巴は『変化』に怯える。変わらないために変わろうと、Afterglow以外の世界を広げていった美竹蘭。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
彼女が今見ている世界が、自分が立ち止まっている世界と異質になってしまった分離に立ち竦む。妹の離別に続き、幼馴染にも置いていかれる恐怖に、マジでビビる。
それを臆病者となじる筆を、当然彼女が好きな僕は持っていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
『変化』は怖い。恐ろしい。勇気も努力も資質も機会も、あらゆるモノが必要になる。『いつもどおり』に停滞できるのであれば、可能な限り続けていたい。
だってそこには、腐敗した永遠だけでなく、とても大事なものがあるはずだから。
そんな巴の幼年を、ひまりは決死に肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
たしかに変わっていかなきゃいけない。空が夕焼けから夜、朝へと移り変わるように変化していく時間の中で、その流れに追いつかなければいけない。
でも、いつか見つけた永遠だと信じられるものを、愛おしく抱きしめる気持ちまで、捨てる必要はない。
その喝破が、ひまりの英明からではなく愛着から、それ故の必死さから出ている所が好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
ひまりが『巴は間違ってない!』と吠えるのは、例えば氷川日菜が特質的に持つ超客観的視座故ではない。”頭がいい”から、正しいことが無条件に見えているわけではない。
ただただAfterglowのみんなが好きで、”みんな”でいた私、だからこそ出会えた巴が好きだからこそ、巴が変われない弱い自分を責める姿が見ていられなくて、胸から湧き出た言葉を吠える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
とてもエゴイスティックで、不格好で、だからこそ綺麗で強い言葉だったと思う。
”華道”に飛び込んだ蘭のように、変わらないために変わる必要があるのなら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
Afterglowがより善く変わっていくためには、変わらないこともまた大事なのではないか。
愛だけを見据えて放たれたひまりの言葉は、正確に真実を射抜く。
『色んな空を見たけど、やっぱ夕焼けが一番好きだ』
その思いは、色んな空の色があること、そこに様々な価値があることを否定しない。むしろ猛烈に焼き付いた茜色を覚えていればこそ、夜闇の星、朝焼けの眩しさを真っ直ぐ見つめ、自分の中に取り込むことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
怯えを乗り越え、”変わる”事ができる。
そこを足場に、Afterglowは一歩ずつ前に進んで行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
心が離れかけたときでも、つぐみだけは連絡を欠かさず、蘭の変化の表出としての”歌詞”に、ポジティブな対応を続けていたことを見落としたくはない。
彼女はそういう、壊れかけの関係をどうにか維持するための苦労を、苦労と思わない人なのだ。
かくして巴はカッコつけの逡巡をひまりに蹴っ飛ばされて(なんて強い女だ…)、SOSを打ち上げる。Afterglowが、夕焼けの屋上に集う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
もう一度見た原点の中で、それぞれの思いを伝え合い、夕焼けの先にある夜闇と朝焼けまで、少女たちは走り抜ける。
夜更かしは大人の特権であり、夕日から朝焼けまで起き続けた少女たちは”変化”に飛び込む腹を決める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
美竹蘭も一歩先んじ、仲間と距離が生まれた現状を肯定して、フロントランナーとしての自負と責任を背負うことにする。仲間も、あえてそれを追う。”後ろ”にいる現状を認める。
青葉モカ以外は。
()付きで語られる内面の中で、モカちゃんは『横にいたかった』という。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
作詞の才能、音楽の才能、華道という環境、持ち前の純粋すぎる人格。
様々なものが美竹蘭を前に前に押し流し、青葉モカのステージから引き剥がしていく。
変わっていく世界の中で、買われない臆病な自分を、巴のようには表に出せず。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
間延びした不器用な言葉で、仲良し五人組の中でいつの間にか組み上げられていたポジションの中で、青葉モカは己の逡巡と停滞を、上手く共有できない。
『私は今ここにいて、いつかそこに行きたい』
その想いが空転する。
頼む、判ってやってくれ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
画面の向こうで、何度もそう思った。
『いつもどおり、モカは判りにくいから』に甘えず、不器用であることしか出来ない不器用な少女の不器用な軋みを、ちゃんと感じ取ってやってくれ。
その期待は、今まさに『変化』の渦中にある少女たちには、過大にすぎる。
”大人”になったからと言って、そういう心配りが無条件で出来るわけじゃない。”子供”だからといって、それが出来ないわけじゃない(つぐみのように)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
自分が青春のど真ん中をかけていく疾走感と恍惚の中で、蘭ちゃんは『いつもどおり』、青葉モカに走る亀裂を見落とす。
残酷である。
Afterglowがたどり着いた『変化』は、美竹蘭の天才と努力を健全に肯定し、バンドのポジションを是正した。勇気を持って弱さを晒し、悩みを共有し、”空”という新しいヴィジョンを手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
その青い疾走から、青葉モカだけが取り残される。内面に渦を巻く感情を隠し、”青葉モカ”に静かに収まる。
そこからはみ出してしまえば、全てが壊れてしまうような気がして。生まれてくる『変化』を、私もあなたも受け止めきれない気がして。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
青葉モカは『後ろ』に下がった自分を、蘭の背中に隠す。
せめて、その居場所だけは失いたくないと。
頼む。判ってやってくれ。一瞬立ち止まり、目を向けてくれ。
そう思いつつも、それが果たせないことには納得できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
蘭ちゃんの強さと速さは、ナイーブな胸のエンジンをフル稼働させて生まれている。最大の速度で走り続け、変わり続けることこそが、繊細な蘭ちゃんが安心できる”いつもどおり”を維持する唯一の方法。
なら、立ち止まって周囲を見渡す能力は弱まる
それでも心ひとつのこと、簡単にどうにかしてくれ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
心ひとつがどうにかなるなら、世の中何でも上手くいく。最も動かしやすく、最も動いてくれない心の”変化”は、”ツナグ、ソラモヨウ”という新たな曲にたどり着いても、まだまだ終わらない。
多分、いつまで経っても終わらないのだ。
モカは人として、バンドマンとして、蘭の横に対等に立ちたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
でもそれが無理になったと、一人で納得し諦める。
自分が見ているものを公開して、すべてが変わっていくのが怖くて、今回の騒動は起こった。本質的にずるくて、臆病で、優しくて、目がいい青葉モカが、ミリミリと立体感を得ていく。
青葉モカが自認する『後ろ』のポジションは、つぐみがずっと座っている場所だ。そこには置いていかれる寂しさだけでなく、追いつこうという野心、後ろにいればこその気配りとケアもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
至近距離にある”それ”に、モカちゃんが目を向けてくれたら良いな、と思う。
全員が弱さをさらけ出し、伏せ札を共有したRoselia二章に対し、青葉モカという巨大なジョーカーが裏向きのまま、Afterglow二章は終わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
横にいたいけど、後ろにいるしかない。
変化したいけど、怖くてできない。
だからせめて、私だけが痛みを抱えて、指先だけは届く距離にいさせて。
その健気でズルいポジション取りを、蘭ちゃんがクルッと振り返って蹴っ飛ばしてモカちゃんを抱きしめる日は、まだまだ遠い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
親友の手を取る心の強さを手に入れるには、まだまだ沢山走って、沢山傷ついて、沢山学ぶ必要があるのだろう。
朝焼けの先には、別の日がやって来る。晴れかも、嵐かもしれない
それでもAfterglowという船は、五人を載せてより広い場所へ、震えながら漕ぎ出していく。一個一個の弱さとズルさに、慎重に向き合い対峙しながら、少女たちは青春を超えていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
だから、青葉モカも美竹蘭も、大丈夫なのだ。ちゃんとお互いの心を素直に受け渡して、落ち着く瞬間が来るのだ。
そう自分に言い聞かせないと、青葉モカのありふれた弱さとズルさを見据えることは出来ないくらい、この話に仕込まれた爆弾は大きい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
多分モカちゃんの震えとズルさは凄く普遍的な感覚で、その生っぽい質感が、どうにもならない(こともある)現実を思い起こさせるからだろう。
それでも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
この物語が見据えているのはあくまでより善い世界であり、そこへ漕ぎ出していく”変化”の肯定だ。
思い出への執着、不変への決意も含めて、いかに自分に適合した形で、他者に優しい形で、変わっていくことが出来るか。
モカはそのど真ん中に、このエピソードで踊りだした。
モカちゃんがたどり着いたある種の諦めを、僕は否定できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
そこには愛おしさと弱さが複雑に混じっていて、とても人間的な薫りがするからだ。
そしてだからこそ、それを”結論”にしては行けないな、と思う。
どう、諦めを踏破し、後ろから横へ、そして前へと青葉モカを押し出していくか。
美竹蘭の背中を追う形から、美竹蘭が仲間への敬意を込めてその背中を追い、追いつきまた追い越され、再び背中を追うような無限の前進へと、少女集団を駆り立てることが出来るか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
当たり前の青春を、凄まじい熱量と精度で描くAfterglowの物語は、この第二章で更に解像度を上げた。
きめ細かい筆を活かして、青葉モカという巨大な不発弾を、優しく未来へと導いてやってほしいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
美竹蘭の真っ直ぐな資質を殺さないまま、後ろを振り向いて、震える少女を抱きしめる優しさを手に入れさせてやってほしいと思う。
Afterglowにしか出来ない、良いエピソードでした。今後が楽しみ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
モカちゃんが()を使ったということは、彼女はミステリアスな空白、追いかけるべき謎であることを解除され、自己を語る資質を手に入れた、ということだ。
例えば弦巻こころのような、不可思議だからこそ追いたくなる巨大な空白。それは人と人が出会い触れ合う物語を、強く駆動させる。
追記 不思議ちゃんの発言権。怪物を人間にしていくためのレトリック。
モカちゃん不思議ちゃんも、そういう仕事を担っていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
()に閉じ込められた”答え”を言わないからこそ、色々推察したくなるホワイトアウト。
でもこの二章で、モカちゃんは”答え”を言いまくる。
自分が何を感じていて、どんなセンサーを持っていて、何に怯えているか、何を愛しているかを。
それは”らしく”ない変化だけども、当たり前への回帰でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
どんなに不思議な存在に見えても、人は心を持っていて、何かを感じる。怯え、愛し、愛ゆえに怯える。
モカちゃんはずっと、鋭敏な視力とナイーブな感受性で、様々なことを考えていた。それを表にする能力は、あまり高くない。
も表に見えないからと言って、それがないわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
二章で導入された青葉モカの()は、そういう考えてみれば当たり前の事実に、Afterglowと作品を帰還させる”変化”なのだと思う。
人は傷つく。人は躊躇う。人は変わる。
そういう美質が、青葉モカにもちゃんとあること。それを基軸に、物語を編む
そういう”変化”への誠実な覚悟を、多用されるモノローグから僕は感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月10日
同時に、頑なに()を許されない弦巻こころの特殊性も。巨大な空白、人知を超えた金色の獣であることが、弦巻こころとハロハピを支えているのか。バンスト二章に注目したい。