ハイスコアガール 第13話~第15話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
それは、夏の日の花火。恋にゲームに青春に、熱く燃え上がる若き魂の物語。
日高さん衝撃の告白で、怒涛のように引いた半年前。その決着をさらに超え、ハルオの人間力が唸りを上げる。
家という枷、ままならぬ恋、見知らぬ思い…全ての答えはゲームにある!
そんな感じのノスタルジックアーケード恋歌、半年ぶりの大復活である。ありがとう…ありがとうNetflix!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
TVシリーズを引き継ぐ内容でありつつ、三話の連作として非常に魅力的であり、なおかつこの先に待つ二期への期待もあろうという、素晴らしい仕上がりであった。
全体的に自分たちの強みをしっかり把握した作りで、安心と感動が同時に押し寄せてきたわけだが、それぞれの話数でフォーカスするポイントが少し違ったかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
13話は『夏という季節の爽やかさ、詩情』
14話は『血湧き肉躍るゲームへの賛歌』
15話は『幼年期への愛情と、その先の風景』
無論これらはないまぜになって、非常に骨の太い青春絵巻、”ゲーム”への賛歌を組み上げているわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
各話ごとにコアとなる"良さ"をあえて絞り、多様な面白さの全てで『アニメ版ハイスコアガール』の強さを、再度教える。
全力の勝負を、テクニカルにエモーショナルに運ぶ。
そういう気概を感じた。
元々詩情の出し方が異常に巧い作品なのだが、TVシリーズ最後の花火を引き受け、胸高鳴らせる”夏の空気”を静かに広げていく13話は、特に情景の書き方が印象に残った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
日高さんの花火で始まって、大野さんとの花火で終わる形になってんだよなぁ…構成凄いわぁ…日高さん勝ち目ないわぁ…。
第13話は第15話顔をもたげてくる、大野家の重たい枷、その前振りでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
日高さんがままならぬ片思いに悩むように、大野さんは”家”に縛り付けられている。誰もが自由とは行かないのだ。
あとふたりとも、ハルオの鈍感にね…そこが良いんだけどねハルオボーイは。
萌美先生の”圧”を軽やかに跳ね返すママンの頼もしさは、小さいながらも暖かな矢口家の良さを、ギュッと濃縮した見せ場である。新井さんはホント巧いなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
ハルオママンは、押切先生のマザー・コンプレックスを凄くいい方向に昇華した、見事なファンタジーだと思う。可愛くて優しくて強い。
ママンがいい大人だからこそ、ハルオの純情は道を間違えず、誰かを傷つける方向には行かない。鈍感すぎるしバカだけども、本当に優しく強い少年であることを、この三連作はしっかり確認させてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
子供の夢と誇りを守り、ときに一緒にバカやって盛り上がってくれる。
ゲームと青春を通じ、”子供”への斎場のファンタジーを積み上げているこの作品は、実はなりたかった…なるべき”大人”への幻想もまた、しっかり紡いでいるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
ここで萌美先生が”悪い大人”の典型例を担当することで、”いい大人”が努力しないと到達・維持できない在り方だというのも見えてくる。
じいやは『悪い大人にならないでください』と、萌美先生に必死に懇願する。子供の必死な思いを踏みつけて、ゴミに変えてしまうような狭量さに、支配されてくれるな、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
それは”大人”が完全に固定された冷たい存在ではなく、”子供”と同じように柔軟に変化できると信じるから出る言葉でもある。
萌美先生は大野姉の本気の言葉を受けて、自分の行いを鑑みる。自分の視野を歪めていた眼鏡を外し、自分なり”ゲーム”(ミニファミコンという、ズレたものだが)でハルオに接近してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
ハルオもまた、萌美先生の過去の頑なさより、歩み寄ってくれた事実を受け取り、爽やかに微笑む。
今青春のどまんなかにある”子供”のゲームと恋は、当然この話の真ん中であり、土台だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
だがそれを見守る”大人”もまた、変化のただ中にあって、より善くなっていくける。そういう視座をちゃんともっていることが、このお話を強いジュブナイルとして支えている気がする。
少し話が先んじたが、ハルオの”夏休み”はそんな風に、優しい大人の支えで構築されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
ガキっぽいからかいで大野さんをイジっていたハルオが、実は全ての事情を知っていて、あえて戯けていたと知った時。恥ずかしながら落涙してしまった…やっぱお前は偉いよぉ…。
恋を知り、道化の仮面を被って踊ることで、少年は大人になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
自分の感情を隠さず出していた時代から、他人を慮って一歩下がる動きへ。そしてそこで足を止めず、ときには思い切り本気の心を叩きつける立ち回りへ。
”大人”が”良い大人”になれるように、”子供”も”良い大人”に変わっていくのだ。
前半の頑是ない雰囲気から、お祭りデートを経て一瞬の風、橋の上での静止から、土手での交錯。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
コミカルからシリアスへ、スムーズに作品の空気を変える手腕が鋭く、またそこに”夏”の気配がしっかり宿っている。季節をちゃんと描くことで、作品にある種の”匂い”が生まれ、生っぽさが宿る。
やっぱロマンスの描写が抜群にうまく、これが永訣になってしまうとふと思い至ったハルオの横顔が凄く良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
まだ自分だけが気づいていない、大野さんへの恋心。それは蛹のように胸で眠っているが、見知らぬ角度からふと、顔を出す。
これで終わりにしたくない。なるわけがない。
そんなピュアな思いは言葉にせずとも二人同じで、夜闇が見守る中、少年と少女は身を寄せる。んぉおおおお! 甘酸っぱい!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
ここで生んだエモーションは次の第14話を挟んで、第15話で青春を爆裂させる火種にもなっている。つくづく、三連作の構造を活かした描写だと思う。
例え運命が二人を選んでも、譲れぬものが乙女にはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
第14話は日高さんの独壇場、対戦ゲームの精髄がギュッと詰まったお話だ。
後ろで見守るのではなく、隣に並びたいから。格ゲー修羅と化し、新たな修行を積み重ねた日高さんは、運命の三番勝負に挑む。
ニコタマちゃんを筆頭に、夜ゲー勢がバカで嫌味がないところが好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
プレイのどこが凄いのか、膨らませる解説役も頑張っていたし、日高さんのプレイが一皮むける(ところを、更に上回るハルオの思い)説得力も、いい具合で積んでくれた。
ミカド全面協力のゲームプレイは迫真の”芝居”で、展開を見事に支えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
差し合い重視の真サム、チーム戦特有の駆け引きが面白いKOF、スピード感満載のヴァンパイアハンターと、各ゲームの特色をしっかり滲ませつつ、キャラの心理に寄り添ったゲームプレイだった。
スペックでゴリ押しできるルガールを落とされて、”魂のキャラ”であるリョウで連勝していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
苦し紛れのリバサ昇竜を読まれ、あるいは飛び道具を龍虎乱舞で潜られ。完全に気持ちで上回れているプレイにちゃんとなっているのが、非常に良かった。すーぐ昇竜打つから~~。
ハンターはVF2と並んで一番やった格ゲーなので、対戦は非常に見入った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
鬼首捻りとコンフュージョナー、二大ヤバワザが目立つけども、フォボスの特徴である空中ガーキャンを印象的に使って、自分の間合いを保とうとする日高さんを強調するの、シブくて良かった。
しかし最終的には、小足コンフュに固執し、ES鬼炎斬で決着となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
特定の勝ち手段に拘り、相手の上を行こうとする。交際がかかった日高さんは手段を選ぶ余裕が無いからこそ、ハルオの心を折る決着を望んだ。
しかしその”居付き”を、ハルオは的確に読み切って切り返す。すーぐ小足振るから~~~。
言い訳としての”エンジョイ勢”とはまた違う、ゲームを心底楽しめばこその強さ。こだわりと熱意を持ち、日高産に思いを尊重しつつも一戦一戦楽しめたハルオは、視野広くプレイできていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
勝負、あるいは競技としてのロジックがかなりしっかり組み立てられていたのも、手に汗握った理由だろう。
今丁度闘神祭やっとるけども、95年の熱量は形を変えタイトルを変え、今にも及んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
ゲームを遊ぶことは、あの青春と同じようにとても楽しい。
あのときのハルオと同じような青春を、モニタの前で、eスポーツの競技会場で、粘り腰で頑張ってるゲーセンの中で、別の少年少女が輝かせている。
思い切りノスタルジーに踏み込みつつも、”今”のゲームシーンにどこか響くものがある。あの時代があったからこその”今”に、繋がるものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
それは本気で懐旧し、思い出の中の輝きを再研磨しきった結果生まれるものだ。ゲームは実機、駆け引きもホンモノ。そういうこだわりが、瑞々しさを生む。
”西遊降魔録”の奇ゲー感は、Steamの海千山千に生きているだろう。ときメモが始動させた文脈が、今日も色んな場所でガチャガチャ音を立てて、二次元の可愛い女の子を携帯電話に光臨させている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
そういう”今”の景色を幻視できる、良い対戦だった。ゲームは、あの時も今もやっぱり面白い。
日高さんの不屈は未だ負けを知らず、さらなるファイナルファイトリベンジを誓う。パンチハメでどうにかなるほど、ヌルい覚悟じゃないのよ…!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
しかし。
しかし大野さんが圧倒的に”強い”ことを確認する最終エピソード、15話で〆る構成。スタッフは鬼である。か、勝てねぇ…!
おおのけファンタジーはホント純情かつ熱血のエピソードで、『ハルオが何故モテるか』に圧倒的な納得を与えるお話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
少年が自分の心から、ゲームを愛してきた経験から削り出せる最高の宝石。それを受け渡す大野姉の株がガン上がりする所含めて、良いエピソードだ。
凄く身につまされる優しいフェティシュだからこそ、萌美先生がそれを踏みにじったときの『そいつだけァダメだ!!』感は凄い。大野さんのダメージも、リアルに感じられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
それは自分の楽しみを奪われただけではない。輝きを削り出し、優しさを差し出してくれたハルオの思いも、踏みにじる行為なのだ
そういう息苦しさから一足先に抜け出して、半分大人になった姉は、自分が抑圧され無力な子供だった時代を思い出し、萌美先生にぶつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
というか、未だ”家”と適正距離を見つけられていない姉は”子供”のままなのかもしれない。だからこそ、全てを背負う妹の苦しみ、ハルオのありがたさも判るのか。
とまれ、萌美先生はかつての教え子の本気をギリギリで受け取って、ギリギリ”悪い大人”になる寸前で止まる。良かった…色んな人にとって良かった…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
そしてAOUショー。ハルオの電子の妖精であり守護天使でもあったガイルさんが、『待て』という言葉を聞き届けて、少年は運命に出会う。
がっつりしゃがんで”待つ”スタイルのガイルさんが『待て』で邂逅を引き寄せてくる流れ、マジパンチラインだしサンプリング巧すぎ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
ここでもママンが人間力を発揮して、二人の子供をしっかり後押ししている所が素晴らしい。ホントママンはいいキャラだよなぁ…。
AOUショーはデートのようであり、御伽の国のようでもあり、曖昧な思春期をどっちつかずの、しかしとても輝かしい距離感で歩いている二人にピッタリの舞台だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
一般的女子ならドン引きコースなんだろうけども、大野さんにとってはクリティカル中のクリティカルなんだよなぁ…。
そっから『もが~』で一笑い取って、物語全てを回収する『一番嬉しかったプレゼント』、完璧な入りのやくしまるえつこである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
マージこのED入りは完璧。曲も強いし、事前の演出もいいし、タイミングも完璧。ここの完成度が、三話でしっかりまとまる満足感を後押ししてる。
胸の高鳴りを空に打ち上げて、鳴り響く花火。未だ自分の気持を自覚できていないハルオに、言葉少なく迫る大野さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
全日本のきぶりジジイ達が『抱け~!』と絶叫しただろうスーパーロマンティックは、じいやのガックリ落ちで次回に続く! である。
じいやの復職含め、『振り出しに戻る』つうか。
しかしこの暑い夏で、ハルオと友人たちが手に入れたものは、確かに魂に刻まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
楽しいことに真剣に向き合うことも、理不尽な抑圧に自分なり立ち向かうことも、恋に心を躍らせることも。子供を大人にし、大人を”良い大人”にしていく魂の発火剤。
いがみ合って出会った幼年期から、体と人間の器が大きくなり、でもすべてを自由には出来ないもどかしい季節。そこに刻まれていく、着実な変化。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月23日
それが行き着くシーズン2に向け、非常に良いエクストララウンドでした。とても楽しかったです。10月の二期、マジで期待ですね!