キャロル&チューズデイを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
火星、アルバシティ、世界の果て。何かが満たされないまま流されてきた二人の少女が、歌に導かれて出会う。
やがて訪れる約束の瞬間へ、生まれも肌の色も全く違う魂が、ギターとキーボードで共鳴し、生まれた詩。それは高く高く、星を目指し…。
そんな感じの青春音楽SF巨編、上げたハードルを巨人の足取りで踏み潰して堂々の第一話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
少女、音楽、火星、ナベシン! 座組でガッツリ上がっていた期待値を、すべて満たす…どころか、想像をビューンとぶっ飛ばす清廉、情熱、叙情の嵐。
このアニメはいい…凄く良い! 今見ろッ!!!
お話としては非常にスタンダードな音楽青春モノで、金持ちお嬢が家から出てきて、街に繰り出したら運命の女と出会っちまう、歌を作っちまう…そういう一話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
が。
リッチな絵面、細やかなSF的想像力、細やかな感情のもつれを見落とさない眼の良さで、ホコリまみれの青春物語が黄金に変わっている
使い古されたスタンダードナンバーは、良さがあるからスタンダードになり得、使い倒されてくたびれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
『なら新しい表現と想像力、当たり前の関係や感情を当たり前に流さない熱量で命を吹き込めば、エバーグリーンは力強く萌え直すんじゃないの!!?』というのが、このお話の魂だと感じた。
綺麗なおべべ来たおぜうさまが、ホコリまみれの街でみなし児の少女と出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
生まれも育ちも肌の色も全然違う二人の共通言語(リンガ・フランカ)は、響くメロディ。一人だと足りないと思っていたものが、ぴっちりハマる瞬間。運命の出会い。動き出すバンド。
ベタもベタ、どスタンダードな出だしであるが、だからこそ力強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
クリアな色彩、清潔なんだけど唇にかすかなセクシーを残したキャラデザイン。丁寧に組み上げられたビジュアルが、独特の呼吸をもって視聴者に迫ってくる。
フツーの話を、自分だけのフツーじゃないリズムでやる。そういう鼓動。
バッキンバッキンに暴れまわるSFガジェット、AIがインフラ化した未来描写。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
さらっと新しいものを見せる描画の上品さが、『未来では、僕らにとっては特別なものが当たり前になっている』というワクワク感を強化してくれる。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/FJzFsDAK4p
ホント小物周りが新しさのラッシュを仕掛けてきて、『ここは火星だ! アメリカの下町に見えるが火星なのだ!』という座組を、強引に飲ませてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
足の生えたスーツケース本当にかわいいし、いい塩梅に未来っぽい。加えて、チューズデイがどういう状況か示すフェティッシュにもなってる。
最初はスタンダードに歩かせていたチューズデイは、自分の足で歩くのに疲れて『スーツケースに乗る』ズルをする。お嬢様だった彼女にとって、それは胸躍る小さな冒険だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
しかし充電が切れて、当たり前にスーツケースを持ち運ぶことになる。そして”街”の現実を叩きつけるように、盗まれてしまう。
今後このスーツケースが再登場するかは分からないけど、小物をただの道具で終わらせず、キャラクターとストーリーを背負わせて物語の燃料に使い潰す貪欲さは、非常に力強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
ただオシャレなだけでも綺麗なだけでもなく、その洗練を生かして人間の物語を描く。音楽と運命に出会った少女を描く。
そういう骨の太い魂胆が、しっかり感じ取れる第一話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
例えば”名前”を巡る二人のやり取り。
何曜日に自分が生まれたのか、クリスマスが誕生日なのか。
みなし児と被ネグレクト児の二人は、自分のオリジンを知らない。そこから離れ、知らない友だちと出会うことで、物語は転がりだす。
”火星”が舞台だから”火曜日”のチューズデイって、しとやかな繋がりがすごく好きだが、なんかしっくり来ないモヤモヤを抱えた二人はとにかく出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
輝き、自分の歌、それを言葉にしてくれる誰か。中央からぐっと踏み込むレイアウトが良い。
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キャロル&チューズデイの光の出会いと、タオ&アンジェラの闇の出会いを一話にしっかり詰め込んでいるのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
アルバシティには色んな人がいて、色んな可能性がある。境界線を踏み出す出会い、踏み出さない出会い。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/Yh7Q5j3rSo
ただのハミングから詩情を汲み出し、時分を歌っているのだと共鳴する。チューズデイは特別に感受性が強い子で、それ故に恵まれた家で孤独を感じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
キャロルは難民キャンプで親の顔を知らず、アルバシティに投げ出された。タフに生きているが、自分の言葉を上手く持てない。
お互い正反対だからこそ、凸凹がぴっちりハマる二人。彼らは輝くものの中で出会い、輝くものに手を伸ばす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
とびっきりの撮影が凄くキレイに光を描いていて、少女たちの出会いが特別なのだとしっかり教えてくれる。マジ光源処理キレイ。
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アルバシティはホコリ臭さすら洗練された、非常に高度なデザインでまとめられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
それは僕らの目を楽しませると同時に、とんでもなく素敵なもの、光り輝くものと出会ってしまった少女たちの主観的視界を、見事に表現もしている。
特別な出会いに満ちているから、アルバシティはピカピカなのだ。
少女たちの出会いは運命的だが全てがスムーズではなく、優しさだけでは飲み込みきれないものもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
チューズデイは最初ギブスンの蓋を開けず、人前で弾くことを躊躇う。キャロルの音に合わせようとして、上手く入っていけない。つっかえ、やりなおし、相手の音を聞き顔を見る。
その調整過程を丁寧に追うのが、僕は凄く誠実だなと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
世間を知らないお嬢様と、世間の荒波に揉まれ続けたみなし児。当然摩擦はあり、知らないことだらけだ。音楽という共通言語があっても、わからない場所は沢山ある。
でもそれは、音を重ねていく中で一つずつ知っていける。変わっていける。
それこそが希望で、魅力なのだということを、美メロに超いいボーカル乗せたセッションシーンは教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
無条件の共感でも、絶対的な理解でもない。凸凹ギクシャク、当たり前にぶつかり合いつつも、わかり合い変わっていくことへのポジティブな期待を、力強く諦めない視線。
爪弾く音を導きにして、高度に圧縮された感情を探り合うシーンが甘やかで、本当に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
フクロウ(詩神でもあるミネルヴァの使い)に見守られつつ、昨日までは顔も知らなかった同士が心をつなぐ。そこに宿る、柔らかな闇と光。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/A4cSAhZdCc
少女と少女を出会わせつつも、かなりサラッとした温度で特別な感情を描き、普遍的な風通しの良さを宿している塩梅も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
”The Loniest Girl”
それはあらゆる思春期がどこかで感じている寂しさを、ハミングに乗せた詩だ。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/XQCtBda1Np
フリフリで大人しそうなデザインのキャロルが、かなりグイグイの野心ガールなのが良いんだよなぁ…輝く街を見ながら、未来への野望を沢山言葉にして、それに共鳴してキャロルも夢を空に投げるシーンが、あまりに青春ど真ん中過ぎてヤバかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
真っ直ぐ投げるのためらわないのは、とてもいいアニメ。
かくして火星の片隅で、少女と少女は家から飛び出し(あるいは守られるべき家を最初から持たず)出会った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
キャロル&チューズデイの太い主線に、影となり寄り添う形で描写されたアンジェラの桎梏。それも(堀内孝雄声の)”ママ”の支配と、複雑に絡み合っているようだ。
”家”、あるいは”親”。過剰に支配されること、形だけ満たされ放置されること、あるいは最初からないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
人類創生以来の大問題を、火星の少女たちもまた戦っていく。ありきたりの死闘を生き抜いていく武器は、友情と音楽、野心と才能。
良いじゃない…盛り上がってきたわ!
ボンズらしいスタイリッシュを随所に匂わせつつ、洋楽の太い歴史性を背骨に敷いて、非常にベタ足の青春音楽絵巻をやる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
作品の顔がくっきりと見える第一話で、非常に良かったです。キャロルもチューズデイもアンジェラもみんな可愛くて、好きになれる子だったなぁ…。
作品オリジナルで出してくる”音”が、アニメ文脈とは少し離れたところから響いて、普遍的に強い感じなのもすっごくグッド。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
今回はシンディー・ローパーリスペクトだったけども、どっちかっつーとキャロル・キング味あるよなぁ…。『洋楽オタク勝負だ!』という、ナベシンの叫びが聞こえる…。
まぁ僕はそっちで四つ相撲取れるほど腰が強くないので、ジュブナイル方面を主に食っていきたいと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
マージ完璧な出会いなんだよなぁ…回想を適度にはさみつつ、少女二人が共鳴する心の空疎、ピースでしかない音楽を小さく運んでいって、合奏でガッチリハメる。音と音が出会って音楽になる。
キャロルが作曲、チューズデイが作詞っていう分担になるのかなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
運命的に出会っちまって理解っちまった二人が、一体今後どんな関係を作るのか。笑って泣いて喧嘩して、血反吐吐くほど練習していく未来に期待大であります。
『音が導く僕らの未来』なんだよなぁ…血の通ったスタンダードは強いわ。
キャロル&チューズデイが下町から星を掴む”↑”の話で、タオ&アンジェラが商業音楽のてっぺんから地上を爆撃する”↓”の話だっていくベクトルを、第一話で既に見せてくれてるのもクレバー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
この2つの矢印がいつ衝突し、どんな爆裂が生まれるかも非常に楽しみだ。
地べたを這いずって、一歩一歩踏みしめて進んでいく光の物語は、確かに力強く美しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
でもそれと正反対に見える、大資本に糸繰られるマリオネットの陰りにも、光に負けない懊悩と情熱が確かにある。アンジェラのチャーミングなわがまままからは、そういう立体感を感じた。
2クール。時間はたっぷりあるとも言えるし、グズグズしてたらそれでも足りないとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
豊かな筆、確かな眼、強い物語の足腰。圧倒的な”強さ”を叩きつけたこの第一話から、半年どう駆け抜けていくのか。物語は約束された黄金の瞬間へ、少女たちを、僕らを引っ張り上げてくれるのか。
そういう期待感がモリモリと高まる、素晴らしい第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
ほんまど真ん中の音楽ジュブナイルSFを、この分厚さと熱量で”今”叩きつけてくれたことに感謝しかねぇ…ありがとうボンズ20周年&フライングドッグ10周年…ナベシンと堀元監督…。
いいアニメなんで、是非に今見てください。来週も楽しみ。
追記 オリジナリティの父神を、火星(マーズ)は殴り倒す!
キャロチュー追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
アイキャッチに未来火星では遺物だろう”CD”を使わざるを得ないところが、ビバップ、サムチャン、スペダンと続くナベシンイズム、サンプリングを創作の根元に置くモノの作り方を強く感じさせる。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/rlE8coPSis
既に確立された太い聖典を、カットアップし再編集することでしか己の物語を語りえない(かもしれない)時代。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
そこに必要なのは無言の窃盗ではなく、正々堂々の引用であり、歴史への敬意を込めたウィンク。自分の足場になる文脈に敬意を払いつつ、そこから飛ぶ決意。
洋楽へのスタンスが、キャロルとチューズデイ(そして多分アンジェラ)を巡る青春の息吹にも通じている感じがして、僕はすごい好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月10日
ベタ足、手垢のついた展開、既に語られたもの。
臆する必要はない。自分の腕で弾き直し、作り直す中で、必ずそこに新しい体温が生まれていくから。
追記 ”リトルウィッチアカデミア”でもそうだけど、アニメの制作ドキュメンタリーが好き。
キャロル&チューズデイは公式チャンネルで、制作の舞台裏を追ったドキュメンタリーが公開されており、コレが非常にいい仕上がり。一話見た後でも、見る前でも、見ておくと映像がどう出来たか、どんだけの気合かよく判る
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月11日
「キャロル&チューズデイ」Story of Miracle Vol.1 https://t.co/yzld8I1CLJ
想像よりナベシンが総監督として全ての中心にいたり、”坂道のアポロン”でも暴れたロトスコ作画がドラマで生きてたり、アニメの諸工程が色々見れたり、非常に良い映像。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月11日
南社長が”渡辺信一郎”に強く惚れ込んでいる様子、佐々木社長がこのアニメに夢を乗せてる様子が見れたのがとても面白かった。