KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
紅の鎖に縛り付けられ、出口も見えぬ梨園の迷路。虹の飛翔は逃げ道か、譲った舞台は怯懦の末か。弱竹の表の奥に、燃える烈火の志。
仲間の思いを引き継いで、下げた頭が飛躍の足場。いざ父母も照覧あれ、立花ユキノジョウ、万感の連続ジャンプ…ッ!
そんな感じの、プロローグ終わってこけら落としなスッスッスである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
舞台にかける熱い想い、重たい迷妄。血の鎖、芸の重たさ。思い合えばこそ激しくぶつかる友情と、秘めていたどす黒い気持ち。
プリリズの系譜を正しく引き継ぎ、”家”とがっぷり四つ相撲、年長組の熱量が叩きつけられるスタートでした
(プリリズ含めた)キンプリって、どうしてもトンチキで大仰な部分に目が行きがちなんだけども、人間のどす黒い部分も含めた感情への深い踏み込み、真っ直ぐに思いをぶつけ合う火花が、一番の魅力だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
時に不器用に、大げさに思えるほど真っ直ぐに、焼き付くような感情を様々に描く。
そのパレットが濃厚で熱いことが、僕がこのシリーズで一番好きな部分だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
ユキ様を構成する様々な要素…梨園の重責、父母との桎梏、逃げ場所としてのプリズムショー、先輩としての立場に、まっすぐ踏み込み熱く描いてくれた今回のエピソードは、そこにど真ん中で切り込んでくれて、とても嬉しかった。
プリリズ以来の十八番が全く以て健在で、むしろ男の子が主役になったことで血を実際に流すほどの激しい感情が、大胆に描ける強み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
(別の作品引き合いに出すのもちょいアレだけど、)アイカツからドリフェスに魂が引き継がれつつ、性別と年齢が変わったことで生まれた荒々しいうねりを、同じく感じた
まぁプリリズ時代も感情ベコベコに凹ませて魂で殴り合っていたけども、今回は具体的に出血する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
ユキ様も鏡殴って血を流すし、何よりママンの超重感情発露が、かんざしに赤く宿っている。
それはキンプリだけが可能な強みで、本編開始一発目でそれが出たのは、非常に嬉しかったのだ。
お話は映画二作目での辞退を掘り下げつつ、ユキ様の家庭事情にディープに切り込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
久々の重たく黒い山ちゃん声が聴けて、パパンの配役はベストであった。ヨッシャーワンネタが、平成ヤッターマン聞いてた層にはズルいな…本人じゃん!
立花という家の重さ、男である自分の特権。女形を得意とするユキ様はフェミニンな誘惑を演じつつも、根っこはかなり男っぽい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
むしろそういう淡いを様々に乗り越え、既存の境界線を揺るがすダイナミズムを持ちうるのが、女形の凄みなのかもしれない。男にしか演じられない、女より女らしい女。
美しい紫の藤が印象的なエピソードだが、これは古来から女性的な花だとされてきた。しなだれ、絡みつく嫋やかさは、記号化され戯画化された”女”であると。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
同時に、梨園には欠かせない”松”も顔を出す。千年翠を保つ不動の常緑樹は、男性性の象徴としても扱われる。
”色あひふかく、花房長く咲きたる藤の花松にかかりたる”
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
枕草子にもあるように、藤と松は男女和合の面白さ、美しさを象徴する取り合わせとして扱われてきた。
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”手弱女の柔軟な美しさ…藤が持つ”弱さの美”と、長く重いからこそ強靭な立花家の伝統…松の”強さの美”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
その両方を己のものにしたからこそ、ユキ様の晴れ舞台には両方の”華”が咲き乱れる。
プリズムジャンプも、歌舞伎も。
男である素面の自分も、女を演じる己も。
弱さも、強さも。
全てが自分で、全てをさらけ出して飛ぶことが自分らしさだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
そういう境地に達した息子を、菊右衛門はしっかり見据える。
荒事にクドキ、六方にしな。武者から傾城まで様々に演じる歌舞伎役者の、多彩な顔色。それをすべて盛り込んだジャンプは、師匠に向けた”芸”の精髄であった。
菊翁(モデルは猿翁かねぇ)と菊右衛門のエピソードが好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
雪様と違って女顔ではないしわくちゃ爺が、化粧もしていないのに絶世の美人に見える。しな一つ、表情一つで異空間を呼び出す
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プリズムジャンプをしなくても、歌舞伎を始めとする”芸”にはそういう魔法が宿っていて、パパンはその衝撃に思わず頭を下げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
それは後輩に教えを請い、激しく己のジャンプ(両方に”媚び”があるところが九鬼周造的で好き)をぶつけ合った息子と、相知らず共鳴する生き方だ。
パパンが頭を下げた稽古で、菊翁は舞台に立っていない。フラットな場所に身を寄せて、お家からはみ出した若い才能に手を差し伸べている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
家に、血に選ばれていない。パパンの悩みは、シンに見せ場を譲ってしまったユキ様の苦しみと、やはりどこか呼応している。
ママンが髪を大童にして感情を見せつける(この表現自体が、歌舞伎の正道を上手く借りている)シーンで、菊翁は写真に収まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
恐らく儚くなったのであろう。名女形の命は耐えた。
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しかし芸は緑の松のように、脈々と繋がれていく。それが”男”にしか許されないことに、母は灼熱の情念をもっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
梨園の掟、血の重さ。叶うならば、己が芸の地獄に身を置いて、鍛えに鍛えて引き継ぎたい。だが”女”であることが、それを許してくれない。
身を焼く赤い鎖を弾き切るように、母はかんざし(”女”の武器)を身に突き立てる。流れる赤い血は、灼熱の情念そのものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
幼いユキノジョウは、その凄みに圧倒された。だが身の丈が伸び、芸に真剣だからこそ思い悩む年頃になって、緑の松、緋の流血の別の顔も見えてくる。
赤い血を以て、心の中から赤心を叩きつける。言葉でどうしても伝わらないなら、肉体を傷つけて思いを届ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
これも古来本朝の物語にはよくある表現であり、ケレンである。トンチキに見えて、キッチリテーマを取材しているわけだ。
そんな”家”の物語と並走して、プリズムジャンプに飛び込んだからこそ生まれた熱い友情が、風呂場で暴れまわる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
キュッと切れ上がった尻を、堂々写しての愁嘆場。謎の光なんぞに逃げねぇ気概をぶん回し、バスタイムはお互い裸の心をぶつけ合う聖域だ。
前回も言ったけども、映画二作はオバレの始末に忙しく、新世代の内面にはなかなか踏み込めなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
今回年長組が本音を(文字通り)裸でぶつけ合うことで、彼らのゴツゴツ男っぽい部分、芸事に真剣な部分、マブダチを本気で思う強さがグッとせり出し、彼らをもっと好きになれた。
年長組の同志として、カケルもミナトもユキ様を心配している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
だがあえて憎まれ役を買って出て、本音を引き出すカケルは、優しく受け止める役のミナトとは違い、同じ水には入らない。
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『何すまし顔で隠してやがる。本音を言え』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
そんな言葉に挑発されて、ユキ様は少年らしい素顔を見せていく。
一瞬同じ水に身を寄せ合うが、心はすれ違い、男たちはバラバラに立つ
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鏡に写った、端正に過ぎるすまし顔。ユキ様は”男らしく”拳を突き立てて、それをぶち壊す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
血が流れる。どれだけ否定しても消えない、太刀花の赤い鎖。
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ここで拳の傷に包帯を巻いているところが、ただぶつかり合うのではなく、痛みを共有し溜まってた思いを受け止める親友たちの優しさを感じて、とても好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
激しくぶつかるのは、何かを期待しているから。傷口が出口となって、封じ込めた思いを吐き出してほしいから。
ならば、自分の仮面を引っ剥がそうと傷ついた拳には、ちゃんとケアをしてやらなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
食事面から仲間を支えるミナトの”女性的”なケア力が、ユキ様から本音を引き出していく
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ここでもカケルは隣に寄り添うのではなく、向き合って壁になる役割を担当している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
優しく受け止める力、激しくぶつかりあう力。それを役割分担し、あるいは一人の中に共存させることで、新しい道が見えてくる。
そうしてくれた友情が、湯上がりの肌に心地よい。いいシーンだぁ…(恍惚)
ミナトって『みんなのママ』的な優しい顔ばっか見えてたけど、今回先輩として、”男”として譲れないゴツゴツした顔がよく見えたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
彼だって競技者、誰かのおヒキじゃ我慢できない。その熱量は、誰かを支える優しさと対立するものではない。むしろ、激しさあってこその柔らかさなのだ。
カケルも皮肉屋なトリックスターってだけではなく、同期の誇りを強く叩きつけ、マブダチに熱い想いをもってる顔を強く見せてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
こういう今まで見れなかった顔は、新世代を主役に据えたからこそ掘り下げられる表情だと思う。シリーズで何を描くか、ちゃんと見ている証拠だ。
心情を全て吐露し、過去へのわだかまり、隠していた気持ちをさらけ出したユキ様。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
どす黒い屈折も含め、素直に頭を下げて教えを請う”芸”の本道に立ち戻って、シンと向き合う。父であり師匠である人に、許しを請う。
迷路を抜けた先に、決意のステージがある。
初手の藤が本当に綺麗で、ユキ様の晴れ舞台はとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
舞い散る桜、紅蓮の炎。”太刀花”という名字事態が”橘”を含むユキ様は、咲き誇る百花を己のものにしたのだ。
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千尋の谷に我が子を突き落とす、芸の厳しさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
ジャンプのモチーフともなった獅子は百獣の王であり、百花の王たる牡丹と寄り添う。牡丹の花が直接描かれないのは、咲き誇るユキノジョウ自身が最大の”華”だからか。
強さ、美しさ、優しさ。決意と美麗が舞い踊る、開幕に相応しいステージでした。
欲を言えば、対決する五反田ココロくんがどんなステージやったか、ちょっと描写は欲しかったかな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
でも歌舞伎、家格と家族、プリズムショー、友情、男女の淡い…ユキ様を構成する全部を書ききるためには、集中が必要だったろうし、ここは悩ましいね。
というわけで、歌舞伎のケレンと繊細、男らしさの中のたおやかさ、女が秘めた熱情、譲れないプライドと友情…様々なものをしっかり描いた、パワフルなエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
一発目にこういう強いパンチが来ると、『キンプリ…ッ!』って気持ちになって、凄く嬉しく楽しいね。キンプリだなぁ…。
ユキ様の見事なステージを受けて、次のメンバーはどんな肖像を見せるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
それぞれの家族、それぞれの想い、それぞれの陰りが、七つの星にはあるでしょう。それを切り取る筆は、鮮明で熱く、公平で深いということを、今回しっかり証明してくれました。
最高です。来週も楽しみですね。
あ、ここまでの感想見て分かる通り、僕は伝統芸能に脆弱性がある人なんで、個人的な興味領域と重なってクリティカルヒットでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月23日
男性なるもの、女性なるものを成り立たせる様々な営為にも興味があるので、ダブルパンチでぶっ倒されたなぁ…俺の話だったよ。アンタの話だったように…(煮えて終了)