キャロル&チューズデイを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
失敗に終わった売出し作戦。王道に勝る奇策なし! ということで、地道なドブ板作戦を開始したキャロチュー一味。
一方財界の大物に、一気にリーチしたアンジェラ。桁違いのマネーと宣伝でのし上がる計画を、不敵な笑顔で飲み込む。
明暗は静かに、己の道を進む。
そんな感じのジワジワ準備エピソード。複数のストーリーラインが絡み合いながら同時進行し、緊張感とワクワク、明暗の対比がみっしりと詰まったお話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
僕はどっちかというと”暗”に惹かれているので、アンジェラ&タオ、そしてスペンサーお兄ちゃんが濃い目に描かれた今回、すげー楽しかった。
キャロチューはいい大人に恵まれ、縁が縁を呼び、貧乏でも楽しい暮らしを送っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
その光は幸福感に満ちた作品のベースで、ここが底抜けに明るいからこそ、爽やかな視聴感、喉越しの良い青春物語が躍動もする。
とても大事なことだし、凄く好きだ。
それと同じくらい、愛されず恵まれず、冷たく暗い場所に身を置いている子供をちゃんとクローズアップして、クールな質感を明るさの中に混ぜてくることも大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
世界には光と影がある。キャロルとチューズデイのサクセスストーリーでは、描ききれないものがある。
それを背負うのがアンジェラとお兄ちゃんの物語で、しかもそこにも微かな温もり、人間の息吹はある。闇一色で塗らないで、ママの侠気だとか、タオの微かな期待だとか、独歩の果てに妹の自立を満足そうに見守るお兄ちゃんだとかをしっかり見つけ、描いてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
視野の広さと、公平な物語運び。
サブキャラクターが魅力的で彫りが深いのと同じように、メインキャラクターそれぞれの役割、背負う物語を公平に、大事に進める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
ハッピーなだけでも、アンハッピーなだけでもない、明暗交錯する物語を様々な視座から描き生まれる、公平な立体感。
作品の強み(と僕が感じるもの)が良く出た回だった。
お話は複数のラインが、それぞれの余韻を手渡し合いながら進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
第1話で楽しい冒険として描かれた、電車の歩み。母の重圧を背負ったお兄ちゃんには、チューズデイが見据えていた輝きは見えない。
携帯電話ごしに、見据える妹の笑顔
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家を飛び出して出会った新しい世界で、キャロルは一人ではないし、携帯電話はため息ではなくドキドキを連れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
お金がなくて電気を止められても、バイトをすれば大丈夫。アナタと一緒なら、苦労も面白い。そんな温かい世界を、キャロルは知らぬまま特権的に感受している。
お兄ちゃんはそういう無責任な喜びにどこかで憧れつつ、”家”を出れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
母に縛り付けられたまま、一人で彷徨う街の寒々しさは、キャロルを取り巻く人の輪が暖かく繋がっていくストーリーと対比され、より強調される。
マージでお兄ちゃん見てらんないんで、誰か優しくしてあげて…。
今回のお話はガスがヘフナー、ロディーがリズ、タオがシュバルツ(そしてママがタオ)と、少女を取り巻く人が人に頼る構図が多用されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
なんにも持たないからこそ、白紙の世界にデカい夢を描ける少女たち。そこに可能性を感じ、ハートを動かされた大人たちは、自分の過去と向かい直す。
溜め込んだ経験、地縁、因縁。面倒くさいアレソレをぶん回してまで、わざわざステージを作ってあげたいと思える輝き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
キャロルとチューズデイは、明瞭にそれを持っている。今どきクールボーイなロディーが動かされた衝動と、同じものをアンジェラがタオに与えたのか。
そこら辺はまだ描かれず、タオ&アンジェラを取り巻く美術は相変わらずクールで冷たい。強く切断され、人工物が取り巻く欺瞞の世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
しかしそこに、タオは何かを見ている。マインドコントロールという専門分野を捨て、音楽に身を投げる何かを
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ママが火星特有のアンドロギュヌス(両性具有者)だったり、かなり荒っぽい気性を持ってたり、でもアンジーのことを本気で愛していたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
僕ママのこと好きなので、色々解って嬉しかった。”両性”として固定されているわけではなく、男女の間で揺らぎがある感じなのが、結構好きな書き方。
キャロチューが光の中で愛されるほど、闇の中孤立するアンジェラが可哀想になってくるので、ママがただのビジネスではなく、祈りを込めて娘を見守ってるシーンがたくさんあったのは、本当に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
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アンジーも1200万ウーロンの大仕事を完遂し、『褒めろや!』と言わんばかりのドヤ顔だが、タオはなかなか餌をくれない。『悪くないパフォーマンス』は、多分最大限にデレてんだがな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
冷たいビジネスに身を置くシュバルツも、目を開けて夢を観ている。その視線がタオに向いているのも、なかなか面白い
巨大資本を、どぶ板からサクセスする(だろう)キャロチューの敵対者としておいて、そのギャップで見せる構図。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月8日
で終わらず、マネーの中枢にいるシュバルツもまた、タオに何らか熱量を宿す”人間”だと見せたのは、陰影が複雑でとても良い。分かりやすい悪役なんて、どこにもいないわけよ。
でもインターギャラクティック社は、かなり尖った名前だと思うな。火星だと、ビースティーも古典の仲間入りしてて、フォーマルな命名なのかしらね…そのうち、巨大ロボットと殴り合いとかすんのかな。https://t.co/VVAjYX2lI9
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
ステルスで周到に仕掛けられた、大資本のマーケティング。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
それはタオへの信頼と期待、アンジーの実力がもぎ取った音楽のリアルだ。
キャロチューの温かみある歩みとは正反対だが、しかしそこにも人の営みがある。お互いの目を見て、声を聞いて、胸が躍る瞬間がある。凄く大事なことだ。
一方キャロチュー周辺の人は、昔なじみに渡りをつけ、どうにか自分が見た夢を形にしたいと願う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
その距離感は結構近い。が、一線が引かれてもいる。同じ夢を見てもらうのは、けっこう大変なのだ。
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良い味わいのジジイとババアが顔を出して、マジで最高であったが、酒を交えて机に座る距離感は、時間とビジネスで隔たってしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
ロディは『らしくいない』ポエムを素直に披露することで、リズの心を動かす。人と人の間にある分断と交流が、様々な形で描かれていく。
融通の効かないAIガードマンに許可を出して、自分の領域にガスを入れたヘフナー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
『会社の看板背負えば、もう無茶はできない』とガスを追い返す時、AIの冷たさが元仲間を遠ざける。ガスは良くモノに首挟むね…。
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貧乏所帯だけに『首が回らない』ってことだと思うが、『お前、詰まんねぇやつになったな』というガスの事場は、果たして大物に届くのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
アーティガンとの関係含めて、ジワジワ使っていく伏線だとは思うので、今後を楽しみに見守りたい。
いいデザイン、いいキャラしてるよなぁヘフナー…。
本音を吐露することで心の距離を縮めたロディーは、小さいながらも確かな約束を取り付け、二人の力になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
明るく拓けた場所で、無邪気に歌うキャロル&チューズデイ。オッサンも青年も、目を開けたまま夢を見てる。
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(これが執着に変わると、『目に見えているものだけが現実じゃない。そう思ってた。 醒めない夢でも見てるつもりだったのさ』と告白し死地に赴いた、スパイク・シュピーゲルみたいなことになるのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
ビバップでは過去に縛り付ける苦い毒だったものが、キャロチューだと夢への階段になってる感じ)
今週もキャロチューのハッピーハードコアモンタージュは元気で、『アイツら一生キャッキャしてる…』という感じだった。ありがたい…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
Aiペットに人間様が引っ張られ、金をもらう。キャロルのバイトは、火星の縮図であろうか。
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暗闇に光が灯り、明るい未来がやってくる。妹の新しい生活は楽しいことばかりで、とにかくハッピーだ。別れたAIスーツケースとも再開できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
同じ場所で、縁を何も持たない兄は協力を拒まれ、孤独にあるき直す。
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この対比は相当に残酷だなぁ、と思う。冷え切って冷たい檻でも、お兄ちゃんには”家”だから、彼はシティにやってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
特別な才能も出会いもなく、見捨てられた子供のように彷徨うその背中には、超絶ハッピーな妹の世界とは違う、暗さと重たさが滲んでいる。
そんな彼らの運命が交錯するライブハウスで、新しい歌が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
見失った家路を、誰かが見つけてくれる。兄が聞いていると知らないまま、チューズデイは心を揺さぶる歌を、彼に届けていく。
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お兄ちゃんは遠い場所から妹の新しい世界を見て、そこで輝く歌と笑顔を見て、何を思ったのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
『家に帰ろう』
そう告げることなくドアを閉じた時、彼の胸はロディーのように高鳴ったのだろうか。
そこを説明する言葉はない。だから、想像するしか無い。豊かなことだと思う。
妹の新しい世界を静かに見守ったお兄ちゃんが、いつか自分だけの輝き、手を繋いで守ってくれる誰かに出会えると良いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
妹は新しい女にマジ夢中だからよ…しばらくは”家”のことは無理だナ。なんだよあの楽屋でのキャッキャ…。
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チューズデイにとって、”家”を飛び出して手に入れたものが今の”家”だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
いつか家路を見つけみせる。
”Someday I'll Find My Way Home”は今の心境を素直に音に乗せると同時に、孤独なお兄ちゃんへの応援歌にもなった…と思いたい。
どーも主役以外に肩入れしすぎてるな…強いアニメだ。
今回キャロル&チューズデイはほとんど何もしてなくて、自分たちの曲を作り、自分たちのバイトをする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
そうやって『自分たち』で自足できる幸運と幸福を、彼女たちは自覚していない。その無邪気が、満ち足りた未来へ手を繋ぎ、一歩ずつ進む輝きを更に増している。
ある意味主役補正に乗っかった脳天気な道のりとも取れるし、その輝きの危うさを強調するべく、他の子供達の陰りがありもするんだろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
でも二人が能天気で、苦労していないわけでもない。暗がりにいる子供が、輝きを夢見ていないわけでもない。
その複雑なバランスが一話の中で響き合うのが、なかなか面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
惹きつけられる人たちを描くことで、キャロチューが運命の子供である特別さを浮き彫りにしていくのは、面白い書き方だ。
それがシュバルツからタオ、ママからアンジーへの視線に反射してるのも良い。不思議な縁を感じる。
誰かが誰かを思い、手助けをする。明暗両方に満ちていた幸福から、お兄ちゃんだけが取り残されている。でも彼は、孤独な場所から妹を見守り、その幸福を踏み荒らしはしなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
そんな優しさを、妹が知る時は来るのだろうか。来なきゃ嘘なので、どっしり待ちたいと思う。
今回のサブタイトルは”Every Breath You Take”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
甘いメロディと爽やかな雰囲気で、クラシックの地位を不動にしている名曲…なんだが、歌詞を聞くと非常に不穏で、ストーキングの匂いがムンムンする。あるいは全体主義的監視国家か。
イメージと実態が、明暗かけ離れた曲だと言える。
その明暗がキャロチューとタオ&アンジー、それぞれの立場と物語に投影されているようで、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
邦題は”見つめていたい”。そう思わせる魅力が、綺羅星のように星座を編んで、この物語は作られている。
ガスの再起、ロディーの純情、ママの夢想、スペンサーの庇護、シュワルツの期待。
色んな場所で、色んな立場から少女たちに寄せられる期待と縁。それに自分なり答えていくことで、輝きは歌になり、世界に広がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
ガスの耳を驚かさせたのは、一体どんな知らせか。降って湧いたチャンスをキャロチューは活かせるか。アンジーはマリオネットを踊り切るか。
次回も楽しみです。
追記 運命と世界に愛されたキャロチュー以上に、全く恵まれてないアンジーやお兄ちゃんの冷たさ、そこからはみ出してしまう魂の光を書くのが巧い。キャロチューもそろそろ、陰りに接近していい頃合いかなぁ…。
キャロチュー追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
空疎な富の中心と、下町のライブハウス。たった一人と十人。アカペラとデュエット。1200万ウーロンと、バンドの前座。
アンジーとキャロチュー、それぞれの実力を知らしめるライブが、綺麗に対比になってるのはやっぱ面白い。アンジーは(現状)孤独だなぁ…。
アンジーがツンツン強がりつつ、その鎧の奥に青春のナイーブさをしっかり秘めていると描けてるのは、やっぱ良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
キャロチューが表舞台でビカビカ輝かせ、共鳴させてる心の音。アンジーは同じものを抱えつつ、ママもタオもそれを響かせてはくれない。
それが動き出すのがいつになるか、キャロチューの特権的キャフフがアンジーに漏れ出すのはいつかは、非常に気になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月9日
キャロチューが速攻運命見つけて番になったので、アンジー側の『タメ』に期待感煽られてる、ってのもある。天使のアカペラが、誰かとコール&レスポンする日を楽しみに待つ。