KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
エーデルローズのお母さん、鷹梁ミナト。
バックアッパーとしての資質が目立つ彼は、一体何を思って飛ぶことにしたのか。静岡ご当地ネタを満載にして、どっしり掘り下げるエピソード。天然ガスは出ないけど、これもまたキンプリ!
つーわけで、ミナトの人格に相応しい穏やかな、しかし力強いエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
ユキ様のようにハードコアに家族と対立するわけではなく、カケルのようにぶっ飛んだ外的飛躍を果たすわけじゃない。ジョージのように、己のシャドウと過去に決着を付けるわけでもない。
様々な人が当たり前に抱くだろう、夢とその揺らぎ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
家庭というミナトの中でのポジションと、一時的帰還(あるいは逃走)が浮き彫りにする、自分の今の立ち位置。選び取った海路。
ぶっ飛ばないからこそ描ける地に足の着いたお話を、人間の根っこである”メシ”を搦めて描きに行く筆が良い。
ミナトと言えばメシ。逆を返せば、メシ以外の要素が薄い、ということにも繋がる。これまでの映画二作では尖ったキャラ要素以外を掘り下げる余裕はなく、このTVシリーズはそのリベンジでもあるなら、『メシを作らないミナト』が書かれるのは当然と言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
そこで”家”に行くのはプリティーリズムだなぁ
ミナトの”家”は(多少の波風はあれど)穏やかな大家族で、妹の翼だけが露骨デザイン違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
”サボテンの花”が流れてきそうな(つうか登場BGMが露骨にパロってた)”ひとつ屋根の下”っぷりで、密かに寄せられる慕情。次男の密かな嫉心。
これを”あんちゃん”は、穏やかに乗りこなす。
ミナトは最年長兼インフラ担当大臣として、『落ち着いていること』が仕事でありキャラ属性だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
仲間の中にいては『エデロのお母さん』になってしまう彼を、等身大の少年に戻すためにも、地元に戻して切り離す必要があったのかもしれない。ここらへんはカケル編に似た書き方かと思う。
義妹とのロマンス、次兄との確執を爆裂させず、むしろミナトの穏やかな器量を見せるべく静かに乗りこなしていたのは、この話らしい運びだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
彼の波風は”家”との確執でも恋のざわめきでも、克服していない過去でもない。『お母さん』である(でしかない)自分の地味さ、スタァとしての資質の弱さだ。
飛び立つ人の足元を支える。帰ってくる港になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
それは立派なことだが、『スタァのやることなの?』と言われると正直首は捻るだろう。
しかし群像劇に『お母さん』は必要で、映画二作で既にそれを背負ってしまっているミナトを描く時、一心不乱になれない(なることを許されない)弱さは外せない。
これも戦友であるカケルに繋がる描写だが、ジャンプそれ自体を目的にするのではなく、何らかのメディアとして飛ぶものは、パッと見一意専心の圧力に欠ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
カケルの場合は人間のための高度資本主義、ミナトは受け止めケアし送り出す立場。例えばシンのように、ジャンプのためのジャンプは難しい。
サブキャラクターが主役に背負えない仕事を担当するのは当然で、同時にそういう”業”を背負わせてしまった製作者の身勝手と、このシリーズはしっかり対話する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
そういうキャラ、そういう立ち位置として書いてしまったなら、そこから見えるものは不都合も美質も書ききる。
『そこに嘘と揺らぎがないのが、キンプリの強さだな』と、スッスッスを見ながら思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
ミナトは地味で、飯炊き担当。そんなイメージを掘り下げて、『んじゃあ飯炊いて、港になるってどういうこと?』と24分問い続けるのは誠実な姿勢だろう。
『お母さん』が消えたエーデルローズのインフラは荒廃し、スタァの心身は崩れていく。エデロで描かれるコミカルな大失敗メシと、静岡の豊かな食事の対比。食事はただのマテリアルではなく、心の養いでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
『good appetite is a good Prismshow.』…”良いプリズムショーは、良い食事から”、と。
でもそれだけなら、ミナトは管理栄養士でいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
コウジのジャンプに心揺さぶられ、母の後押しを受けて港から飛び立つ。自分の輝きのなさに震えつつ、自分だけのジャンプを飛ぼうと頑張る。
そういうプリズムスタァとしての鷹梁ミナトも、今回しっかり描かれる。
ミナトは自分の名前にかけられた祝福(あるいは呪い)を、家に帰るまで読み違えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
『男は船、女は港』と、都合の良さを糊塗するキャッチフレーズに加担するかのような、受け身にすぎる”港”のイメージ。それを父母の言葉が、しっかり切り崩す。
港は船が帰ってくる場所であると同時に、目指す場所でもある。そのくらいデカく、広い場所に漕ぎ出していって欲しいと願って、母はエーデルローズに願書を出したのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
同じショーを見ても、人生変わる人とそのままの人がいる。コウジとの出会いのシーンは、感受性の物語としても面白い。
ミナトはコウジの作るお子様ランチ(『自分勝手な子供でいい、”お母さん”でなくていい』というメッセージ)を受け取って、涙を流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
それは美味い飯を食って、食事への感受性が育っていたからだよとコウジはいう。秘められたメッセージを受け取るためには、心の港が豊かでなければいけない。
そういうモノを育んでくれたホームに帰ることで、ミナトは一少年としての不安を吐露し、自分の名にかけられた(と思いこんでいた)呪を壊すことが出来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
彼のジャンプには港から飛び出し、広がっていく決意が込められている。”あんちゃん”でも”お母さん”でもなく、スタァとして飛ぶ。
その事が、(かつて母がそうしてくれたように)見ているファンを、大事な仲間を送り出すエールにもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
三保の松原(翼が捨てられてた場所)に刻まれた羽衣伝説を背負って、少年は飛ぶ
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羽衣伝説は『女があるべき場所(”港”)に帰る』ことで決着するわけで、翼は将来的にはあの家を出るのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
そこら辺のファミリー・アフェアは匂わされつつも、今回は解決しない物語のタネだ。”翼”が落ち着くべき”港”は、本来の家族か、憧れの義兄か?色々想像が広がり、面白い。
クドい静岡名物ラッシュとお子様ランチで、『大家族の”港”にならなければならない』という心を解したコウジだが、彼の飯が美味い背景もまた、家族の哀しみに裏打ちされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
父を失い、懸命に働く母を支えるべく磨いた料理の腕。RL本編でも結構分厚い描写があった過去を、ミナトは知っているのか。
受け止め育みおくりだす。港≒母の仕事(が、ジェンダーで固定されないことは小鳥遊そうしの描写を見れば判るが)を、豊かに受け取ることが出来たミナトと、自分がその立場になるしかなかったコウジ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
料理上手な二人は、そのオリジンに於いて正反対だったりもする。
そんな奥行きに流し目しつつ、エーデルローズの皆はコウジのカレーではなく、ミナトのカレーを恋しがる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
ヒロを連れ戻した砂浜の思い出は、あくまでオバレの過去。その輝きを乗り越えるのは難しいけど、ミナトが積み上げてきた食事の記憶は、確かな”今”になって仲間に突き刺さってもいる。
劇場版では”料理”というミナトのアイデンティティを横取りすることになったカレーが、今の彼の立場を浮き上がらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
後ろから見上げているように見えて、今まさに星に追いつく道の途中。自分は気づいてなくても、スタァは確かに飛んでる。
巧いこと、過去描写のかすかな瑕疵を埋めていた。
同時に”才”というものに冷酷で真摯なのもプリリズで、ミナトのジャンプはあくまで二連続、”自己ベスト更新”だ。いい話ブースターを背負っても、そこは揺らがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
それでも、星に手を伸ばすジャンプには意味がある。誰かを支え送り出す営為にも。
悩み、揺らぎ、『最年長のお母さん』をやっている間はそんな素振りを見せず、静かに支え続ける。届かない星を目指して、故郷の”港”で魂の燃料を補給して、また漕ぎ出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
高橋ミナトの”今”を穏やかに追いかけた、いいエピソードでした。こういう調子の話もしっかりやれるの、やっぱ強いね。
ここで六話を終えて折り返し、次からは三章である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月20日
初手はレオ…プリパラに魂を焼かれた人としては、一番気になってると言っても過言ではない。どう書くか…。
今回『母的な仕事≒港』の意味を掘ったことが、男女の際で揺れるレオにどう響くか。来週も楽しみ。