スター☆トゥインクルプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
星奈ひかる。自分だけのイマジネーションを大切に、力強く星海を進む一艘の船。
未だ何者にもなれぬ母との思い出を、伸びた背丈が追い越した時。少女はかつて受け取った愛を、拳に込めて衝き上げる。
私は好きを諦めない。あなたが教えてくれたことだから!
そんな感じの、ひかるとお母さんのエピソードであり、全ての創作者への賛歌であり、大人になりつつある子供が大人に何を与えるかを問うエピソードでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
色んな要素が貪欲に描かれ、そのどれもが鋭い切れ味を有し、なおかつ有機的に連動して"プリキュア"になっている。力強いエピソードだった。
開始三十秒ぐらいで『あ、俺特効の話だ。死ぬな…』と直感したが、まぁそのとおりに死んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
僕は星奈ひかるという人間をかなり尊敬してしまっているので、彼女がどうやって今の彼女になったのか、その根源をどれだけ大事にしているかが強く描かれる今回、シンプルにキャラ推しに刺さって強い。
加えて、親を完全なスーパーマンではなく連載も勝ち取れないまんが道ど真ん中のチャレンジャーに据えることで、ひかるの成長と変化、それを生み出した母の思いと創作、それが母自身を救う流れが、立体感を宿しうまく流れていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
優しさに守られていたものは気づけば背丈が伸び、守る側になれるのだ
さらに母のやりたいジャンルをSFファンタジーバトルという、"プリキュア"に近しい領域に設定することで、ある種メタ語りの雰囲気もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
少女にはイケメン、恋愛、医療ドラマ! そんな見えてる勝ち筋を蹴っ飛ばし、『女の子だって暴れたい!』で動き出した新たな伝説は、好きだからこそ鼓動を刻む。
バンダイ神のキャピタリズム横車をいなしつつ、毎シリーズ自分なりの"好き"を熱量高く詰め込んで、時に世の固定観念と殴り合って(あるいは共犯して)進んできた一大産業と、連載一本掴めない母のマンガは、土俵が違うと言われるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
しかしそこに流れる血潮は、創作が助けた少女の心は同じ
俺たちだって、好きを諦めず、迷いながら前に進んでいるぜ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
そんなプライドとメッセージを、自作に反射させて広い場所に投げかけるような印象を受けるエピソードだった。
世界にたった一つ、自分だけの物語に励まされ自分の"好き"を見つけた少女が、薄れかけた創作者の初期衝動を再生させていく。
それはもしかしたら、"プリキュア"を世に問い、ミラクルライトをブンブン振り回させている造り手側が、時に子供たちから受け取るエールなのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
かつて、プリキュアに何かを教えられた人すべてが、今回の星奈ひかるになりうるなら。
いつかのエールがエコーになって、元ある場所へ帰るなら。
それはただ無敵のヒーローがずっと間違えずスーパーマンであり続けるよりもリアルで、奥行きと救いがあると僕は感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
星奈ひかるもけして無敵ではないってことは、例えば第11話で色濃く描かれている。彼女もまた、ララに与えた輝きを自分に反射されて、絶望から立ち上がることが出来た。
あの時のララと、あるいは第1話の自分自身と、そして過去の母と同じ愛と勇気のエコーを響かせることで、ひかるは自分が好きな母を取り戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
誰かの好きに振り回されるのではなく、好きなものが違ったって良い。そう言って、"普通"にはなれない自分を助けてくれた人が、"売れる"にすり潰されなくてすむ
そういう闘争にひかるが飛び込み、かけがえない友の支援を受けつつ、しっかり勝ったことは、彼女が好きな僕としてはとても嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
『寝るな!』『目指せ初連載!』という圧力強い言葉の真ん中に、娘の『頑張って』を張ってる辺りで、星奈輝美の人間が分かんだよなぁ…。そら、失いたくない。
今回のお話、母は世間的なサクセスを全く掴めていない。変わった(あるいは思い出した)のは心の在り方だけで、念願の新連載はまだまだ遠い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
プリキュアが心の闇を消し飛ばしても、与えられるのはちょっとの愛と勇気だけで、現実は早々変化しない。
でもその小さな一歩が、すべてを変えていく…
かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
そういう希望に満ちた再出発で話を終えたところは、"好き"を大きく強くしていくためのチャレンジを前向きに肯定していて、とても好きだ。
結果だけ見て賢く生きていくなら、ひかるは星の海なんて目指さない。バカと知りつつ、夢のど真ん中に突き進んでいく。
そのための勇気はお母さんが、あのブランコでくれたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
プリキュアになって、誰かに愛と勇気を与える側になれたひかるは、今度はブランコで黄昏れる母に言葉をかける側になる。
子供はいつまでも守られるだけではなく、守られていたかけがえなさを力に変えて、誰かの背中を押せるようになる。
それは同時に、年経た人が常に完璧な勝者である必要から、親(あるいは大人)を開放もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
ブランコの上で『おこちゃま』というレッテル貼り、自分の好きをなじる嵐と戦っていたちいさなひかるにとって、お母さんは無敵のヒーローだったと思う。凄く強い存在だったと思う。
しかし身の丈が伸び、その分だけ世界が見えてきて、マンガの作り方やら、人間の在り方やら、傷や闇の在り処がちょっとずつ分かってきたひかるは、母の不完全さも解ってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
そこもひっくるめて愛する所まで、ひかるはちゃんと成熟している。与えてくれたものを、自分なり返そうとしている。
親が時に泣く不完全な存在だと思い知るのは、子供にとって結構キツいことだと思う。ある種の幻想を破壊され、世界を再構築しなければいけない衝撃だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
ひかるはそれを柔らかく受け止めて、母の迷妄も弱気も否定せず、母がかつてくれたものを優しく手渡す。
それが輝美を見失っていていた自分らしさ、"好き"を貫く初期衝動へと帰還させる。それは急に降って湧いた善良ではなく、自分自身が娘を思って、その涙を止めるために赤心から発掘してきた、本物の言葉だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
そういうものを、かつて弱者だったものが差し出す。あの夕日の中で、母は何を思ったか。
まぁ俺はドバドバでしたが。いやー無理だよー、人間が太すぎるよ星奈ひかる…かつて受け取った輝きを万倍にして本人に返す少女(ヒーロー)なんだよなぁ …。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
漫画のマの字もしらねぇララが良い壁役になって、結構物知りでいろいろ考えてる星奈ひかるが強く出たのも、とても良かったと思う。
プリキュアは(他のテーマと同じように)"親"を書く視座は多彩だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
間違えない完璧な存在であることも、過ち正せる人間であることも、作品とエピソード、キャラクターによって様々にある。
今回のように弱さを持った"親"は、例えばアラモード第31話とか、ハートキャッチ第9話とかでも描かれている。
僕は人間を完璧な偶像に固めてしまう描き方があまり好きではないので、"親"を揺れる人間として描いて、なおかつニヒリズムに陥らないこのエピソードがとても好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
そして今回のお話も、そんな愛するべき震えがしっかり切り取られた、とても良いエピソードだったと思う。
父母の不完全さを照らすだけでなく、かつてあった完璧さ(に見えるほど、熱く燃え盛った愛の炎)を大事に、それがあったからこそ成長できたひかるからもう一度手渡す展開が、輝美(が背負う人間)の複雑さを鮮明に見せたなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
誰かが道に迷えば、誰かが支えて目を開かせる。自分が取りこぼした自分の輝きを、それをかつて受け取ったものが手渡す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
そういう一進一退の歩みで、僕らは前に進んでいく。全てが変わっていって、何も変わらないものが確かにある。
そういうものにカメラを向けたお話だったと思う。
創作者の苦悩、何者でもない苦しみ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
ママンのまんが道はキラキラピカピカではけしてなく、商業主義と変節に満ちたマジ苦いものだ。そのザラッとした感覚が、ひかるの伸びた世界が見てる現実を上手く伝えてもいた。
アーパーバカに見えて、相当リアリストよな、星奈ひかる。そこが好き。
本誌の偉い人が『書かされた漫画』を蹴ったのは、そこにパッションがなかったからだと思う。ひかるに作った世界にひとつだけの物語には、たしかに宿っていた炎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
追川編集のリモコン主義は、そんな熱量を消してしまう。"G戦場ヘヴンズドア"だったら、芋けんぴでぶっ刺されてる系編集だ…。
ひかるの不屈バトルと強いエールは、母に初期衝動を取り戻させただけでなく、追川編集のまんが道もまた変えたのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
それがどこにたどり着くか、このエピソードは描かない。
でも、きっと明日は良くなるだろう。そう思える物語をちゃんと作っているのは、本当に偉いと思う。
大人もまた、夢を追うチャレンジャーでいていい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
子供は無邪気なだけでなく、いつか受け取った輝きを背負って、誰かの心を助けるヒーローでいていい。
母子の変化と成長を、漫画とブランコという強力なフェティシュに宿して見事に書ききる、非常に力強いエピソードでした。
ひかるはお母さんのイマジネーションを見ていたからこそ、自分の夢で星を照らす生き方を選び取った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
それが"ペン"に結集して今彼女をプリキュアにしているのは、凄い猛烈な因果を感じる所だ。
『私の変身は、あの時お母さんから受け取ったもので出来てるんだよ』って感じじゃん。"死"じゃん俺が。
こうしてキャラの起源を分厚く描くことで、ひかるがなぜ好きを諦めないのか、それを奪う行為と闘い続けるかは、強い説得力を持つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
今後展開されるヒロイズムの背骨を支える意味でも、非常に大事なお話だったと思います。力が人を英雄にするのではなく、心と魂が英雄主義を呼び込むんだよなぁ…。
そんなバックボーンを持つプリキュアが、今向かい合うべき傷だらけの青猫。次回、荒廃した惑星レインボーに秘められた過去と哀しみに、少女たちが接近していきます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月2日
自分とは違う、でもどこかで繋がる"好き"の欠片を抱えた傷追い人相手に、ひかるは何を差し出し、何を叩きつけるか。来週も楽しみ。