キャロル&チューズデイを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
火星で一番輝く星を目指し、四人のディーヴァが競い合う。部体はそれぞれの魂を容赦なく照らし、その本質を顕にしていく。
神降ろしの表現力、喉から滑り落ちるFワーズ、静止した退廃。そして山をも動かすアンジェラの”今”。
誰もが、ダンシングクイーンになりたいのさ
というわけで、ABBAのプラチナディスクをサブタイトルに受けて、マーズブライテスト本選、櫓のアッチ側回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
不思議ちゃん、反社会的マーメイド、ヤバい吸血鬼、仮面の天使。全員癖の強いディーヴァだが、歌は本物百点満点。このアニメらしい対決となった。
マーズ・ブライテストが回り始めて、お話を切り取る角度が少し変わった感じもある。キャラクターが先頭に立って状況をひっぱるというよりは、転がる舞台の中でキャラクターが見えてくる感じ、というか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
MBという大きな水槽の中で、色んな魚が歌って踊って、それぞれの素顔を見せてくる印象だ。
今回も状況はゴロゴロ転がって、歌姫たちの顔がいろいろ見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
本命は主役のシャドウたるアンジーと、百合の間に挟まりたがる超ヤバ女シベール…なんだが、GGKとマーメイドシスターズも面白い書き方となった。特に人魚姫な…そらカトリーヌもキレるわ。
『何事も見た目通りではない。だから面白い』ってのはMB始動以来ぐんぐん表に出てきたこのお話のテーマだと思うが、マーメイドたちはド色物な外見から透明感抜群のコーラス、そして”F”満載のお下劣歌詞と、評価がグラングランするいいキャラだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
ジャンルは”ゴアグラインド・グリー”とかになるのか?
アンダーグラウンドなら彼ら(彼女ら?)の『ナチュラルボイス』も共感を生んだんだろうが、MBはメジャーシーンへの登竜門。内面に蠢くどす黒いものを、自分らしく吐き出しただけでは評価されない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
そういう意味では、自分を偽って落とされたOGブルドッグの対極にいるキャラかもしれん。素直すぎた…
憑依系不思議ちゃんのGGKも、天の川を身にまとうAR演出と歌詞、歌声がバッチリ噛み合い、”強い”歌唱を披露してくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
お子様の耳をふさがなきゃいけない歌詞と、素朴なファンタジーを洗練された歌声に乗せたパフォーマンス…敗北は必然だわな
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マーメイドのFワーズ乱舞に、即失格ジャッジを下したカトリーヌは、音楽に良識を期待し続けている人なんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
フェイクも商業主義も嘘も山盛り混ざるけども、どこかに感動のイデアがあって、それが歌声に乗っかって届く瞬間がある。その輝きをカトリーヌはどっかで見つけて、まだ見つめている。
キツめの印象に反して相当にピュアな人で、僕は彼女が好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
前回のキャロチューもそうだが、アンジーのパフォーマンスをいい感じに言語化し、『今の貴方』がどういう輝きを持っているかちゃんと届けてあげる辺り、良い大人、良い教師だなぁと思う。MB編のキーキャラクターですね。
んで、問題の櫓のアッチ側。シベールVSアンジー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
シベールは今まで一体として描かれていた(からこそ、作品独自の多幸感が生まれ、グッと視聴者を引き寄せてきた)キャロチューに楔を打ち込み、その価値をもう一度確認するためのキャラだと思う。
離れてみて、初めて見えるものもあるのだ。
その割には描写がダークで、ハラハラさせる所も好きだがね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
ほんっとシベール”ヤバ”で、MBの勝ち負けよりチューズデイの肌狙いに行く所とか、いい具合に最悪だった。
お揃いのくまさんをひっそり買ってるキャロルも、そら嫉妬をメラリと燃やす
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このアニメ質の高さを活かした細かい描写と、その中にキャラの心情を埋め込み掘り出して読んでもらう作りが強みだと思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
女と女の間に挟まろうとする女を前に、タフガール・キャロルの心がどう揺れ動いているかとかは、台詞ではなく表情で切り取られている。画像4つ目の”眉”ね。
キャロルは同居して一緒に曲作って、運命共同体としてチューズデイと強く繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
でも恥じらいとかたしなみとか、そういう感じのナイーブな感覚を残していて、シベールのようにズカズカは踏み込めない。お母さんのこと聞くのも及び腰だ
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上から俯瞰で切り取るカメラは、シベールの不躾な闖入に戸惑う(けど拒絶しきれない)チューズデイと、そこから遠く離れたキャロルを切り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
純白のハートに何が踊っているか。キャロルはなかなか言葉にはしない。出来ない。それが今の、二人の距離感なのだ。んー、甘酸っぱい!
子供らが距離を離す中、保護者席は呉越同舟、いい感じに間合いが詰まっていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
ガスとママは反発しつつも近づき、"お友達"の 間合いになる。仲良しか君ら。
ここでさんざ毒づきつつ、曲一発でアンジーの実力を認めるガス、音楽バカで好き
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間合いが近づいているのはライバルも同じで、アンジー変わらずの刺々しさにも、ケイティは浮かれた調子で踏み込みを見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
実像の距離は詰まりきってないけど、鏡の中の残像がアンジーの"間合い"に入っている演出は、二人の心が感じられ好き
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とはいえ、ここでアンジーが求めるのはタオの姿、その承認である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
何かと言うとタオタオ縋るアンジーを見てると『あ、不安なのね…』と理解ってしまい、モンペ勢としては『どこで何やっとんじゃ!』と言いたくもなる。
お前は情熱はあるくせに、その表現型があまりにも冷淡だ。ホント不器用だな…。
シベールの闇からの踏み込みは、チューズデイの首筋に聖痕を残す。相手の合意を得ない、あまりにも身勝手な傷跡。ヤベーぞこのアマ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
白い肌、ミニマルな服装。吸血鬼を思わせる印象を口づけで上手くまとめ上げ、刺さる演出だった
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シベールが纏うエゴイズムの危うさ、"好き"が無邪気に幸福ばっかりをつれてこない闇が、色濃く臭う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
黄金の光に満ち溢れた、矛盾のない幸福と行為。キャロルと一緒にいた時の光だけが、世界を形作っているわけではない。幼さを残すくまのポエシェットが、抱擁の危うさと摩擦する。
んでもう一人のヤバ人間、タオくんは身内を置き去りにして自分の衝動に素直に、心を揺さぶった新人の顔を見に行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
あまりに高速でママ&ケイティを置き去りにするので、ちょっと面白くなってしまった。
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タオとの接触は、シベール以上に濃い闇の中で行われる。アンジーがいつも向き合っている、冷淡さや無骨さを突きつけられて、キャロチューはただ当惑する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
この接触が何を生み出すか、そこに何が込められているかは、MBが決着した後の物語になるんだろう。タオ…お前も”出会”っちまったか?
タオ帰還の方を受け、アンジーはプリプリ怒る。いや当たり前だけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
文句は言いつつ、娘がタオに惹かれている引力を感じ取ったママは、その頬を捉える。膨れアンジーが可愛いが、ママの菩薩顔、その直後の暗闇は怖い。
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素直な怒りの発露を抑え、ステージに相応しい仮面をかぶる。かつて失った夢を子役の娘に預けるママは、保護者であると同時に支配者で、アンジーはその引力から抜け出したがっている。山を動かしたがっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
チューズデイの家族闘争が街頭モニタの中で保留段階なのに対し、アンジーは重たく現役だ。
アンジーを取り巻く引力計算は非常に複雑で、常時揺れ動いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
タオ・ママ・ケイティ・キャロチューという複数の星が絡み合い、星の重たさも一定ではない。
大事なママと、抑圧的な支配者。冷淡だけど、自分を見て欲しいプロデューサー。ムカつくけど惹かれるライバル。ウザイが馬が合うマネジ。
月の満ち欠けが潮を生むように、アンジーが飛び込んだ新しい環境は彼女に衝突と変化を生みつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
『ママの子供部屋』から飛び出したことが、彼女と彼女を取り巻く星たちを、どう変えていくか。これまでも、そしてこれからもとても大事な焦点であろう。
さて、ステージである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
シベールはライトを落とし、椅子に腰を落として永遠の停滞を歌う。影を伸ばし、チューズデイを支配しようとする欲望はどこか、ママの陰りにも似ている気がする。愛という名の、黒く重い拘束具。
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対してアンジーは光の中、かつてシュバルツの心を動かした”Move Mountains”を堂々と歌う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
シベールが後ろ向きに、観客よりもアンジー一人…というか、彼女を所有したい自分自身に歌っていたのに対し、”拓けた”歌唱である。
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※訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月6日
×アンジー一人 → ○チューズデイ一人
最初はモデルの経験とタオの計算を活かし、バリッバリに作ったスタンスだったのが、歌う内に地金が出てくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
手を伸ばし、視線を向け、自分の声を誰かに聞いて欲しいという強い願いが、客席と審査員にしっかり届いていく。それはシベールの静止した退廃、自分へのエコーとは違う色だ。
形の上ではチューズデイ大好き、ゼロ距離接職どんとこいなシベールよりも、大っ嫌い宣言したアンジーのほうが、魂の色、歌唱スタイルは主役に近いのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
少女たちは自分の中から溢れるものを、誰かに受け止めて欲しいから歌う。受け止めたから、誰かと繋がっていく。
『そこに体重を預けて、偽りなく歌い切ることは良いこと』という価値観を、(特に)カトリーヌが持っているのはすごく良いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
誰もがそうだけど、特に子供は言葉に迷っている。自分の中で渦を巻く思いを、どういう形で叫べばいいか分からない。それを拒絶されることに怯えてもいる。
先週のキャロチューへの総評と同じく、カトリーヌは歌に表れる”まこと”を大事にしている気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
表現と内実が捻れなく繋がって、あるいは捻れに思えるものが実は素直に現状を表している。そんな叫びを分かち合えるから、音楽は素晴らしい。そういう価値観でジャッジしているように思う。
そんなカトリーヌの言葉を受け取って、アンジーはすごく素直な評定をする。子役として、家族闘争の戦士としてまとった棘棘した鎧を、無意識に内に脱いでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
そうさせてくれる場所がステージならば、歌は彼女にとってとても善いことだ。
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選ばれた時のアンジーのウルウルと、同じものをキャロチューも持っている。それを人から引き出すパワー、山を動かす奇跡がアンジーの歌にはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
停止せず、転がっていく。広がって、繋がっていく。SNS描写を鏡に主役で描かれた光が、アンジーにもようやく届いた感じがした。
その反対側に座っているから、シベールは負けるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
まー音楽それ自体より、チューズデイが好き…な自分が好き重点な女を、勝たせるわけにもいかんわな…。他人が本気でやってることを、欲望のツールにしてんじゃないよ!
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唐突な好意に戸惑っていたチューズデイは、キャロルの助けなしにその抱擁を拒絶し、自分の進む道を見定める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
裏切り。エゴにまみれた愛情は、容易く憎悪へと変換される。音楽で負けてもま~ったく堪えない火星のカーミラは、一体今後どんな牙を研ぐのか。ヤベーが楽しみである。
そういうブラックホールは一旦横に置いて、アンジーは光の中で己を証明し、偽りの仮面を歌でぶち破った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
AI作曲、作られた偶像、約束された勝利。黄金で出来た拘束具は、ライブステージでは通用しない。歌う瞬間だけ、アンジーは全てを脱ぎ捨てて、十七歳の自分でいられる。
サブタイトルの”Dancing Queen”は、言わずとしれたABBAの超名曲。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
17歳の少女がフロアに躍り出て、喝采と祝福を集めるクイーンになる背中を押す曲だ。聞きようによっては、少女が自分自身を勇気づけるためのファイトソングにも聞こえてくる。
皆舞台袖の暗がりから、輝く瞬間を求めている。
アンジーの拓けた歌唱、語りかける歌は、自分が山を動かす決意と同時に、聞いてるあなたもそうなれるという勇気を、確かに届けた気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
その呼びかけに心を揺さぶられるから、あのライブを共有した人々はアンジーを勝者と認め、子役スターではなく歌唱者としての未来に、自分の希望を託す。
そういう血の通ったパワーがアンジーにもちゃんとあるのだと、彼女もまた金色の光を求め、あるいは己の中から発する子供なのだとしっかり見せてくれて、非常に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
ヤンデレ女吸血鬼と上手く対比することで、その輝きも鮮明だった。いいキャラなんだがこえーよ、シベール。
歌姫の誕生を祝福するステージは、光に満ち溢れて高い。山は動いたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
それを地べたの暗黒から見上げるキャロチューだって、同じ高みに挑む戦士だ。肩を並べ、共に栄光に向かって走る時がかならず来る。
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それが対外的なサクセスだけでなく、少女のナイーブな思春期をしっかり照らして、個人としての衝突と変化、人間の体温をしっかり宿している所が、やっぱこのアニメの強みだなと思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
バチバチしたり仲良ししたりしながら、アンジーもキャロチューもみんなも、どんどん善くなっていっって欲しい
才能を持つスターが高いところに立つと、色んな陰りが光で照らされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
自己実現が他人の幸福にも繋がる芸事の不思議を、カリスマの誕生と合わせて見せるエピソードでもあるかな。
MBの結果がどうなるにしろ、陰陽の主役は両方共、スターとして高い場所に上がっていくでしょう。
それがどんな高みまで登っていくか、その輝きがどこまで広がるかも楽しみだけど、まずはMB準決勝。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月5日
筋立てとして勝つキャラは解っていても、どう勝つかが読み切れない。どんなステージが飛び出すかわからない。”勝負”にワクワク出来る、良い状況だと思います。来週も楽しみ。