からくりサーカス 第31話『黒の流星』を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
過去の因縁は、機械の悪魔を取り瓦礫から起き上がる。黒のヴィルマを殺し屋に落とした、ゾナハ病の根源、ワイルド・ウエスト・ジェーン。
一瞬の安らぎに背中を向け、血まみれの戦場に顔を向けた時。見えるのは後悔か、未来か。
閃光一条、運命を射抜く
そんな感じの超! 死亡フラグ祭りである。サーカスサイドをぶっ飛ばして進んだ結果、仲町メンバーの大事な花氏がギュッと濃縮され、死ぬしかねぇオーラがムンムン立ち上るバトルとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
まぁ敵さんも額にリンゴの印つけて、『当たって死にます』って書いてあんだけども。こういうわかり易さ大事ね
僕は藤田先生以下スタッフが、この長い長い話を3クールに押し込めるべく選んだ構成を尊敬しているし、出来上がった以上それが唯一のチョイスだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
それを踏まえた上で、やっぱりサーカスの日常と非日常は、戦闘という超日常の合間にしっかり見たかったな、とも思う。
フサエの死でも、サーカスは止まらない。どんな事態が起きようとも止まる訳にはいかない、ショーという名前の非日常。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
それは同時に、血腥い戦いしか知らない戦士に笑顔を教え、ぬくもりを与える日常でもある。その不思議な同居と、馴染みきれない冷たい感覚。
日常/非日常の区分にも色々あって、”からくり”と”サーカス”に分断されていたそれぞれの顔が最後に混じり合い、命がけの闘いに凡人も身を投じていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
闘いを生業にしないからこそ、当たり前の日々を守るために闘いに挑む芸人たちの血は濃い色をしている。僕らの思いを代弁できる。
そういうインクの濃さは、やっぱ”積む”ことでしか生まれなくて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
最終関門である鳴海&エレオノール、超日常たる”最古の四人”生き残りの二人の前に、サーカス軍団が待ち構えるラストバトルの構成を考えると、やっぱ見たかったなぁ。
エレオノールやヴィルマが身を置いたサーカスの”日常”てのも、のんべんだらりとした当たり前の日々とはまた違くて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
芸を板にかけて、厳しく練磨していく。客の笑顔を作るためなら、無言で血を流す。そういう厳しさを積み重ねることで、初めてたどり着ける芸事の高み。
殺し合いの厳しさとはまた違った、非日常を生み出すための、当たり前の人間の努力。身体が機械でもねぇ、不思議な人形も操れねぇけども、同じくらい厳しい場所に身を置いて闘っている人たちの戦場。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
それは大事な灯火として、作品を照らしていたように思う。それが最後にまとまるののは、正直寂しい。
同時に、んじゃあサーカス描写を増やしていたら散漫に筋を追うだけだったろうなとか、正二編の異様な熱量はなかったろうなとか、色々考えてしまうのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
やっぱりこの大河巨編をアニメにするのは、とても難しい。よく頑張ってくれていると思う。
しかしまぁ、ここでノリとマサの思い出話が出たことで、ギリギリ(本当にギリッギリ)決戦に必要な熱量は担保できたのかなぁ、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
”芸”で勝つ次の戦いを思うと、やっぱり日常の中でさり気なく積んで、超日常の譲れない勝負に非日常を持ち出すカタルシスを望みたくもなる。
が、それを活かすには大量の時間が必要で、このアニメではそれが一番の高望みである。こういう圧縮以外に手筋はないかなぁ、と納得する部分でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
とまれ、今回はそんな日常と非日常に馴染めなかった、黒い流星最後の舞台である。
ヴィルマが活躍してたエピソードもだいぶ過去で、なかなか思い出すのが難しいけれども、彼女は殺し屋としての過去を背負い、仲町サーカスの日常でそれを庇おうとしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
しかしジュビロ時空の因果の取り立ては厳しい。一度殺しに身を染めたものは、死以外で救いを得ることが凄まじく難しい。
弟がゾナハ病に殺され、その虚無に抗えず殺人者でい続けた時点で、彼女の末路は決まっていたのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
エレオノールと出会えたこと、生き方を変えて仲町サーカスに身を置いたことは一瞬の夢。仇を前にしたむき出しの殺意こそ、彼女が変えるべき故郷の香り。
そうかもしれない。
しかし女が修羅に落ちたのは、やはり家族を愛していたからこそで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
家族から受け継いだナイフ投げ、サーカスの技を殺しの芸ではなく、人を笑顔にする武器に使える日々は、そうあってほしかった過去に帰還する救いでもあった。
(そういう闇と光の交錯としても、サーカスパートは見たかったわけだが)
そんな儚い夢と厳しい因果が交錯する場所に、ヴィルマの土壇場はある。弟を殺され、誰かを殺して生きてきた故郷の風は、容赦なく彼女を殴りつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
そこから彼女を引き上げるのが、弟の面影を残す勝ちゃんなのは良い展開だなぁ、と思う。つーか勝ちゃんのキル数がやべぇ。
勝ちゃんはむき出しの暴力に晒される無力な犠牲者(日常サイドの象徴)だったところを、クソフェイスレスの技術ダウンロードとど根性で戦士に生まれ変わった。ヴィルマと同じ領域に殴り込みをかけて、最終決戦で獅子奮迅である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
武器を握って、なおかつ奪わない。哀しみと優しさを持ったまま戦い抜く
かつて失った救済の似姿だけでなく、同じ戦士として道を間違えず、正しく戦い抜く強さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
勝ちゃんはヴィルマが手に入れられなかったものを沢山背負って、最後の舞台を見守る。すごい勢いで他人の死に目を見守り続けて、少年には過酷な旅だな…今更ながら。
過酷な別れがまた勝ちゃんを鍛えて、託されたものが力に変わって、戦士はより研ぎ澄まされていく。あまりにも重たいもの、正しすぎるものを背負って走り続ける勝ちゃんには、どんどん悲壮の気配が強くなっている感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
鳴海が記憶と人格の柔軟性を失ったんで、全部担当してる形だな…。
とまれ、ヴィルマが最後の本懐を遂げる助太刀を立派に果たし、勝ちゃんはまた死を見守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
クソみたいなゾナハ病さえなかったら、叶っていたかもしれない夢。でもそれは、けして届かない幻。黒の流星は人を殺し、弟は死んだ。そして、今死につつある。
このお話の死者は、みんな夢と現実の間に生きて、散っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
エゴにまみれた戦場から抜け出せず、怪物として死んでいく敵もいるし、人間であることを思い出して生き方を変え、宿命に飲まれつつも満足して死んでいく味方もいる。
咎なく日常を生きて、それでも戦場に巻き込まれ決死に生きるものもいる
色んな生き方が交錯する場所で、火花のように思いは重なった。それはけして嘘でも幻でもない。そんな思い出のために、男も女も、機械も人間も赤い血を流して闘っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
ヴィルマ最後の闘いと、それを見守る賞ちゃんはそういう、大きな流れの中にいるのだ。
列車に追いついても、追撃は止まらない。そもそも巨大な暴力に人類最後のあがきを打ち込むために、列車は走っているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
それを届かせるためには、全てが要る。ヴィルマはその生贄になった…というには、黒い流星はあまりに鮮烈すぎる。彼女は彼女の在り方を、精一杯貫いたのだ。死はその結果である
次回以降、また別の生があり死がある。それぞれに譲れないもの、掴みたいもの、振り切れないものを抱えて、それぞれの結末を掴んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
この重層性がやはり、からくりサーカス最大の魅力であるし、最終決戦にはその全てが詰まってもいる。色々惜しいところもあるが、やはり…たまらなく面白い。
仇を貫き、あの時射落とせなかった額の林檎…罪の果実を胸に抱いて、ヴィルマは死んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月29日
さようなら、戦士よ。先に逝ったもの、後を追うものを天で待て。
その血と涙を背負って、列車はさらに進む。物語が行き着く場所の、その先まで。来週も楽しみですね。