からくりサーカス 第35話『抱擁』を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
”煙突そうじ”が空を行く。嘘と強がりを着込んで、未来に向けて走る。
そんな強え男が引き受けた、罪悪感と重い義務。重荷を脱ぎ捨てて、ようやく”悪魔”は一人の男に戻る。
そして銀色の女たちの宿命を超え、少女は女になる。
星よ、願いを背負い逆さに飛べ!
そんな感じの決戦前夜、全ては勝ちゃんに託されたッッッ!!! っていう最終話一個前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
倒れるべきものが倒れ、生き残るべきものが生き延び、長かった因縁が幕を閉じていく。
地上で愛を守るもの。不確定な明日へ飛び込むもの。その背中を守るもの。それぞれの役目があるのだ。
勝ちゃんは今回、嘘の鎧で涙を覆う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
グリポンくんの協力で”煙突そうじ”を演じて、鳴海を縛り付ける義務感と罪悪感を引っ剥がす。過去という鎖ではなく、今身を焦がす衝動に従えと、仮面を付けて演じる。
偉いよ勝ちゃん…完全にあの時の鳴海を超えちまっている…。
鳴海にとっては、序章で片手と一緒に失った正しい自分を取り戻す話であり、勝にとっては憧れた男の背中に追いつき、追い越していく話なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
それは過去、女の手を掴みきれなかった男達全ての宿業を、代理で乗り越えていく話でもある。ギィ、正二、白銀、そして白金。
ギィが今際の際に残した『幸せにおなり…』という祈りを、勝は鳴海にしっかり届ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
過去の悲惨に足を取られるなら、人間は誰も幸福にはなれない。だから過去を足かせにするのではなく、幸福に届くロケットの発射台にして、本当に大事な人へと突き進んで欲しい。
勝は鳴海の背中を守るだけでなく、それを押すところまで人間として成長したわけだ。そうやってデカくなれたのも、鳴海が人の在り方を血まみれで体張って教えてくれたおかげである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
鳴海を最後に開放するのは、勝をかつて助けた善なる自分自身、というわけだ。こういう善の因果応報見落とさないの好き
リーゼがヒロイン力をブチ上げる中、勝ちゃんは叶わない約束を口に乗せる。ここでも嘘の鎧で笑顔を作って、誰かの幸福のために強がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
ハードボイルドな少年である。
嘘は宇宙服よりも強く、脆い勝の涙を隠す。そして鳴海は、光を失うことで自分の中の真実に、自分を呼ぶ女の声に目覚めていく。
嘘で鎧を作って、最後の戦いに堂々挑む勝。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
過剰に正しさを見つめすぎていた瞳が閉ざされることで、内面にようやく目が行く鳴海。
この対比が天と地に交錯して、主人公たちの物語が幕を閉じていく構造は本当に綺麗だと思う。まずは鳴海とエレオノールの物語が終わる。
真実の愛を試す悪魔役として、ハーレクインは相変わらずいい仕事である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
三宅健太の美声が唸り、あるるかんの死骸は蹂躙される。邪悪さの表現が良い。表情も気合い入りまくりだッ!
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鳴海は真っ暗闇の中、ただ真っ直ぐにしろがねを求める。その声に答えて、しろがねは鳴海の瞳の代わりを果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
折れる角。パンタローネ決死の”芸”が正気を呼び込むのは、ブリゲッラ戦でのアルレッキーノと同じである。主の愛する男が勝利を掴む決定打は、忠臣たる傀儡が準備するのだ。
悪魔の象徴たる角を折ることで、鳴海は”悪魔(ディーマン)”から気のいいアンちゃんに戻ることが出来る。銀色の天使に一目惚れした、あの出会いに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
ハーレクイン末期の表情が、とても良い。最後の最後に、最悪のジョークに襲われた道化師(ジョーカー)の顔
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教会、抱擁、花嫁衣装、神父の祝福。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
ギィが夢見た聖なる婚礼を、しっかりロマンチックに果たして、しろがねと鳴海は長い迷路を抜けて、星を見上げる。希望に繋がる、逆しまに飛ぶ流れ星に、人間は最後の希望を託す。
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その一方で、背後を守る最後の男は星ではなく敵を見つけ、願ってもたどり着けなかった最高の笑顔を見つけた傀儡たちは、地上の星を見て微笑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
もう言葉を喋れないパンタローネの代わりに、神父の声が中田譲治なのは粋な計らいである。しっかり、主の婚礼と笑顔と涙を見守ったわけだ。
殺し屋稼業のツケを払う形で、阿紫花は最後の徒花を咲かせる。ジョージ、あるいはヴィルマの待つ場所へ、十円玉が三途の渡し賃。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
大金を稼いでも退屈に飲み込まれていた阿紫花が、笑って死ねる最後の戦場。それが勝と、抱擁する男女の背中を守る闘いなのは、先週のサブタイが伸延してて良い。
人形たちは戦うわけではなく、というか五体を砕かれ死力を尽くした闘いはもう終わっていて、その成果を最後に受け取りに来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
フランシーヌに仕える存在意義を否定し自壊したドットーレも、恋の結末を見たがったコロンビーヌも、見たかっただろう最高の笑顔。
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それを見送って、”最古の四人”生き残りの二人もまた、歩みを止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
パンタローネが最後に手に入れた笑いが、道化師(ハーレクイン)の笑えぬ生き様を嘲笑う高笑いじゃ、あんまりにも寂しいから。
最後はとても綺麗なものを見て、思わず唇がほころぶような小さな笑みで終わるのだ。藤田先生優しいね…
かくして、人々は星を見る。勝ちゃんは地べたに這いつくばり、誰にも希望を預けずに戦い抜く。量産型フランシーヌの声も林原さんなので、やっぱ綾波テイストがドンドコ強くなるな…「私、泣いてるの…?」もやったしな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
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寝言はさておき、白金-フランシーヌ-白銀/ディーン-アンジェリーナ-正二/フェイスレス-エレオノール-鳴海:勝と繋がる、銀髪の女と黒髪の男の因縁も、遂にどん詰まりである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
愛憎が凝り固まってグチャグチャに詰まった煙突を、”煙突そうじ”はぶち抜けるか。過去という糸を解し未来を掴めるか
人間は過去に囚われ、後悔に縛られ、愛に固執してどこにもいけなくなっていく。何かを諦めて、冷めた瞳で『こんなもんだ』と呟いて、どん詰まりに追い込まれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
そんなんじゃ、誰も幸せになれやしないよ!
少年は吠える。世界で唯一、その真実を吠えることを許されているのが、少年という存在だ。
それを勝ちゃんの小さな背中に背負わせちまう酷さと、それでもその輝きに祈りを託してしまう人の業も取り込みつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
才賀勝、男の土下座である。そこで拳を振り上げるよりまず言葉と誠意を使う辺り、ほんと勝ちゃんはつええよ…大人と違って、暴力で思考停止しねぇもんな…。
そんな新世代の希望が、暗黒の太陽を前にどれだけのことを果たすのか。犠牲の果てにある幸福を否定した主人公は、己を未来への贄と捧げてしまうのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月5日
泣いても笑っても後一話、カーテンコールはもうすぐである。いや…やっぱスゲェ面白えなこのお話…次回も楽しみです!