八月のシンデレラナインを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
女子硬式野球全国大会、里高の第一回戦は熱く燃え上がっていた。
エース・神宮寺の硬い立ち上がりをキャッチャー・牧野の咆哮でぶち破り、強豪たる地力を見せた清城。
一進一退の攻防の中で、使える全てを注ぎ込んで挑む初戦。その先にある風は、未来へ涼やかに吹く…
そんな感じのありがとうハチナイくん! 点数でいうと五億兆点な最終回であるッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
分かってるよ…百点満点だといいスコアのアニメじゃないってことは。作画はヘタレたし、演出のテンポも変だし、展開にも強いオリジナリティがあるわけじゃない。
でもなぁ…思い入れがそういう枠をぶっ壊すアニメなの
展開はAパート完全に清城が主人公で開始。『戦友って、ベンチから声一つも上がらない関係性なの?』と無言で問いかける、固く冷たい展開の中で泥沼に飲まれる神宮寺さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
自然といい声出てる里高ナインと、冷え切った清城ベンチの対比が面白い。
”初代・神宮寺の女”にして投手の女房役でもある牧野は、”二代目・神宮寺の女”である河北くんの言葉に背中を押され、思いを言葉に変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
エース一人にチームを背負わせるのが、良い野球じゃない。背負わせてしまった負い目含めて、この試合で全部燃やしていこう。
親友に思いを不器用にぶつけ、チームを加速する燃料にする展開は第六話にどこか似ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
あの時翼と河北くんの間にヒビを入れ、だからこそ新しく強い関係で結び合い直せた二人と、ライバルバッテリーの相似形。チームは違えど、皆熱い季節を激しく、優しく生きているのだ。
あのまま神宮寺から試合が崩れてくれたら、里高は勝ちを容易に握りしめられた。河北の一言は、敵に塩を送る行為だったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
だがハチナイくんは、棚ぼたで転がり込む味気ない勝利よりも、お互いが熱く燃えきる完全燃焼を尊ぶ。
そもそも神宮寺さんがツンデレアシストしてくれなかったら、河北から里高が崩れていったわけで。敵に塩を送るお人好しはお互い様、贈られたものを返しただけなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
そんな公平さを噛み締めて、試合は進んでいく。エースの復調後は地力がジリジリと追いつき、先発・倉敷にも疲労が蓄積していく。
勝負師らしく、ライバルに流れる不穏な空気を鋭く察していた阿佐田の負傷により、河北が試合に入ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
ここら辺から言葉は蒸発し、とにかく無言で試合が続いていく。一球一球に思いが籠もり、力強くクライマックスが加速していく。
…と無条件でぶん殴れるほどの作画力は、ハチナイくんにはない。スローモーションもどっかぎこちなくて、止絵も多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
だが、そこに籠もる熱量は判る。それを生み出す一人ひとりの思いは、チームになった彼女たちのつながりは、今までちゃんと書かれてきた。
女岩城、念願のホームランを見た時。宇喜多くん渾身のフライ処理を見た時。やっぱり拳に力が入った。がんばれ、という気持ちになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
厳しい状況でも自作を諦めず、やれる限りの工夫とドラマの熱量でどうにかこうにか盛り上げてきたアニメ制作の歩みとシンクロしている、というのは流石に言い過ぎか
1点のリードを巡る最後の攻防は、『ここだけはッ…!』というプライドと気合を感じる良い作画だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
終わり良ければ全て良し…とは当然ならないけども、そこさえ〆てくれればいいアニメだったと、堂々言える。そういう熱量と切れ味でまとめてくれた。ありがたい限りだ。
里高は運命の一回戦を勝ちきり、二回戦で惨敗する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
それが身の丈、とニヒルに笑い飛ばすよりも、エラーも失投もひっくるめて”野球”であり、勝利に向けて必死に走る姿勢の先に結果が待っている事実(あるいは理想)と、真摯に向き合ったからこそだと思う。
勝つだけが、闘いの意味じゃない。
でもそれは、本気で勝ちたかったからこそたどり着ける境地でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
2ヶ月前の練習試合で負けを知ったからこそ、次は勝ちたかった。11人全員をフル動員し、泥臭さも込めて必死に齧りついた。そして里高は勝った。
では里高とは別の闘い方を選んで、それでもやっぱり必死に闘った清城は無意味なのか。
そうじゃないだろと、台詞の少ない試合は教えてくれる。一個一個のプレーに、今までの全部がちゃんと詰まっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
勝ちも負けも、アウトもセーフも全力で、意味のある物語だった。
綺麗事かもしれない。でもスポーツが持っている一番きれいなものの一つを、ハチナイくんは頑張って掴もうとした。
そしてちゃんと掴めていたんじゃないかな、と僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
二回戦で負けさせることで、安易なサクセスの快楽ではなく、挑み繋がる課程、”野球”で燃える青春の温度こそ描いてきた自分たちの筆に、最後まで嘘のないお話を書ききった。
僕は、それは胸を張っていい終わり方だと思うのだ。
夏が終わり、しかし野球は終わらない。アウトロが終われば、イントロが流れてくるのだ。次のプレー、次の試合、次の仲間へ、人生は続いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
多分アプリ勢だろう新入りがゾロゾロ、ひまわりの練習場に引き寄せられるエピローグもとても良かった。ゲームセットは、次のプレイボールの入り口であるね
時に迷いつつも、夢を追う誰かの翼になってきた部長が、第1話と同じように引っ込み思案ガールに手を伸ばすエンドカットも、いい収まり方だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
翼はいつでも、そういう野球人なのだ。そういう女が手を差し伸べ、立ち上がったから里高はここまで来て、これからがある。
繋がって、続いていく。チームがチームになっていく過程を追いかけた物語が、そういう前向きな連続性を最後に描いて終わったのもまた、嘘のない展開だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
この終わり方を嘘にしなかった時点で、やっぱハチナイ五億兆点なのだ。百点満点でしか採点できねぇヤツは器が小さいッ!!
と吠えるのは、贔屓目にしてもぶん回し過ぎである。が、同時に嘘偽りのない今の気持ちでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
八月のシンデレラナイン、見てよかったです。散々言ったとうり問題山積、粗もぎこちなさも山のようにあったけど、チャーミングで真剣で熱い、大好きになれるアニメでした。
学校という場所で、部活という場が生まれ、野球という競技に挑んでいく。衝突し、わかり合い、すれ違ってチームになっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
その時生まれる、青い摩擦熱。本気で勝ちたいと思える所まで野球が、一緒にやる仲間が好きになったからこそ、燃え上がる真っ直ぐな感情とプレー。
そういうものに嘘がない、いいアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
なんで野球なのか、なんで青春なのか、なんで女子なのか。
自分たちに与えられたテーマをガッツリ握り込んで、大真面目に殴りに行きました。
偉い。俺はそう云うふうに、不器用なほどに真摯に四つ相撲するアニメが好きなのだ。
キャラはド素人のマスコットから野球人にまで自分を引っ張り上げた宇喜多くん、人間関係毒ガス発生装置から厳しくも優しいチームの要になった東雲くん、迷いつつもリーダーとして”部”を導いた翼が好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
あと巨大感情河北。アイツの熱量が、このアニメに火を付けた…ッ!
終わり方が爽やかで、その爽やかさが取ってツケた嘘にならない運びをしっかり積上げたことも、凄く良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
思いっきりやって、負けて勝って負けて、それでもまだ先がある。次の一球に向けて、まだ体が動いていく。そうして前向きに進んで起こした風が、新しい仲間を連れても来る。
明日に向って強く開かれた終わりは、弱さとか迷妄とか過ちとか、色んなグジャグジャを隠すことなくぶつけ合った歩みを、ちゃんと積上げたからこそ届くわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
そこに至るまでの全てのプレーに、ヘニャヘニャな部分含めて愛おしく思えるのは、やっぱりありがたいことです。ハチナイくん…好きだ!
間二週休んだり、あまりにあまりな作画に『オイオイ大丈夫化マジでよー…』と思ったり、チームの形が固まった後の感情打撃筋(エモーショナル・ヒッティングマッスル)のデカさにビビったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
一話一話、作品と対話しながら好きになっていく体験は得難いもので、とても面白かったです。ありがとう。
終わるのが寂しいけど、でも最初に『ありがとう』って思えるのはやっぱ良いな、と思います。それは里高が負けの先にどんどん進むからこそだし、作品が持つ地力とちゃんと対話して、好きになれたからこそだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月7日
誰がなんと言おうと、いいアニメで好きになれるアニメでした。お疲れ様、ありがとう