彼方のアストラを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
流されてヴィラヴァース、九人はバラバラのままサバイバル生活に突入する。ラファエリ姉妹の家庭事情、惑星の未知なる自然、迫る危険と謀略…。
だが暗いことばかりでもない。激しい試練が魂を磨き上げ、少年たちは変わっていく。嵐の中でも、楽しいことは勿論あるさ。
そんな感じのアストラ第二話、ヴィラヴァース編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
食料も空気も水もナチュラルに安全、サバイバル初心者チームにもってこいの惑星を舞台に、不可思議生物を相手取ったり、青春の悩みが爆裂した後雨降って地固まったりするお話。
相変わらず色んな要素、色んなジャンルがみっしり混ざって面白い。
軸としてはギャーギャーうるせぇキト公の生き直し物語と、カナタキャプテンがみんなに認められるまでのお話がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
ここに修学旅行ムード満載の異世界ジャングルクルーズ、チーム構成員のチート紹介、埋め込んだサスペンスのチラ見せが絡む。あと共同生活サバイバルの楽しさね。沢山だなぁ…。
Aパートのワイワイジャングル気候で見せたパラシュート植物とか、槍植物とか、うわっ付いたオモシロ要素がBパートのシリアスを解決する鍵となる構成は、なかなか良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
学生らしい明るい日々と、シビアなサバイバル。そこはシームレスに繋がっていて、危険もあれば喜びもある。
師のピンチは、本音を吐き出し強く繋がるチャンスにもなりうるのだ。そのためのメディアとして、ギャーギャー楽しかった思い出が有用性を発揮する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
ホラーなら楽しさと危機の断面を強調するところだが、このお話はジュブナイル。楽しさの中に、危機を乗り越える”本物”がある。
これは槍やパラシュートといった物質だけでなく、心に宿った変化も同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
キト公は親にネグられ、新しい妹をネグる。教えられないことは出来ない、生まれは乗り越えられない。
しかし異星での厳しい試練が、彼女を変えていく。
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母に置いていかれたキトリーは、フニシアよりも幼い少女を心の中に飼っている。そんなセルフイメージを乗り越えられなかった彼女は、日常では直面しない生き死にの際に立ち、自分の中の小さな子供を成長させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
フニシアに抱きしめられる時、キトリーは彼女より小さい。心理の反映であろう。
キトリーが適正な親子関係から切り離され、なかなか成長できなかったこと。それを乗り越え、”お姉ちゃん”としてフニシアの口を拭う所まで関係性と自己像を変化させたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
これを一話でしっかりまとめ上げ、彼女をギャーギャーうるさいクインビーで終わらせないのは、非常にスマートな運びだ。
中盤の人格ツンツンハリネズミのままじゃ、圧力高いサバイバルにノイズが多すぎるし、一緒に旅するなら優しくて強い子のほうが当然良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
幼馴染たるザックのアシストも上手く使って、キトリーが義妹(と母親、そして自分自身)との関係不全を乗り越える物語を一話で終わらせたのは巧い。
この変化に降って湧いた遭難、異星の環境がしっかり関わっているのは、物語とキャラクターがしっかり噛み合っている感じでとても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
楽しいハプニングで掴んだ、不思議なパラシュート草。わけも分からずそれに触っていたおかげで、ヤバいアクシデントを乗り越えられた。妹も仲間も救えた。
そういう成功体験があればこそ、キトリーは人間関係が不器用な過去の自分、そう形作られてしまった自己像を涙と共に解体し、再始動することが出来たのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
過去を乗り越え、新しい自分を作る。このモチーフはカナタも共有である。
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カナタは父親が果たせなかった夢を背負わされ、道もわからなぬまま進んでいた。”先生”を失って、十種競技を未来のサバイバルのため、自分のために本気でやることにした。涙が彼を変えたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
キツイ目をしたキトリーが、涙の跡にどう変わっていくか。
生まれた時に与えられた初期状態から、少年たちはどうはみ出せるのか。それは今後描かれるものだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
相変わらずアリエスの人間関係チートが凄まじく、ガッツリ仲間を繋いできた。ユンファくんにも粉かけてる辺りデキるなぁ…。
そんなアリエスが写真記憶力を持っていたり、シャルスが生態学に強かったり、カナタの十種競技が実戦で生きたり、ザックえもんが可食判定機をざっくり作ってたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
メンバーの強みを流れの中で自然に見せて、それが噛み合ってサバイバルが進んでいく様子も上手く見せられた。
やっぱチームモノって構成員がどういう卓越性を持ってて、それがどう噛み合ってチームが一つの生命体になっていくかが面白いわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
そう云う強みを見せるために、色んなピンチがあるとも言える。そして不思議惑星を舞台にすることで、そのピンチ自体が新規な面白さを持っているわけだ。巧い。
同時にチームに迷い込み、通信機を壊した異物がサスペンスを盛り上げもする。再び現れた球体は、殺意を込めてチームを襲う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
一体誰が裏切り者か? それは多分、物語を最後まで貫通する大事な軸になるだろう。
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ラストカットでクローズアップされた揺れる月は、顔の見えない殺意の象徴であるワープゲートと重なり合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
チームでなければ生き残れない、厳しい試練。少年たちは冒険だけでなく、陰謀もサヴァイブしなければ行けない状況にある。
しかしそのピンチが、成長を促し己を変えても行くだろう。
キト公の親が医者なところとかマジフラグで、親を否定したい彼女が親譲りのメドテクで仲間を救って、親を肯定できるシーンとかありそうだなぁ、みたいな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
あと『孤児院から養子もらった、血縁ないです』言いつつ姉妹の外見が似すぎてるのは伏線だろうなぁ…金髪褐色マジ最高ッッッ!!!
”見る”存在、無垢なる鏡としてのフニシラを強調する演出が、今回印象的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
フニシラは空気悪そうな取水班とか、通信機を気にするザックとか、降って湧いた綺麗なお姉ちゃんとか、色々”見る”。
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思春期と家庭の色々…だけでなく、裏切り者の存在を考えるとデカい陰謀も抱えていそうなハイティーン組を、ある意味免罪特権で見守り許す存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
歪みのないフニシアの瞳が、今後何を見つめるかは大事なところだろう。もうちょい意味深に引っ張ると思いきや、取水班以外は一話で昇華したなぁ…。
このハイテンポで無駄にストレス溜めない要素の使い方が、作品の速度を上げて面白くしているのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
フニ公の撒き散らす不和とか、便利なピンチの源泉として引っ張れる要素だけど、スパパーッと良いお姉ちゃんになり、自分を変化させてったもんな。手早くて気持ちがいい。
ラファエリ姉妹の問題を涙と抱擁でぶっ飛ばしても、くっそ面倒くさそうなのはまだまだ残っているわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
惑星のハードコア度合いもどんどん上がっていくだろうし、ワームホールの殺意も謎は多いしな。話を牽引するミステリとピンチには事欠かない。
というかそう云う障害は、今回のキトリーのように過去の自分、環境や親の影響を抜け出して新しく変わっていくドラマを生み出すための素材でしかないんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
あくまで主眼は人格の成長、それを促す出会いと衝突。SFジュブナイルの本道を行くどっしりとした構えに、信頼感が高まる。
笑い合って過ごした日々が、命のかかったピンチが、少年個人を、そしてチームをどう変えたか。24分物語を駆動させた成果を、しっかり絵で見せるのは力強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
リーダーとしてカナタを認める、視線が集中した構図。フニシアをさり気なく支えるキトリー
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冒険の通知表としてとても良いヴィジュアルで、しっかり話をまとめてくれました。こういう変化がハッキリしていることで、一話の充実感もアガるし、今後の展開を支える成長も明瞭になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
一話一話をどう作るか、それをどう繋げて大きな話にしていくか。ヴィジョンが鮮明よね。
惑星ヴィラヴァースで手に入れたのは、不思議で上手い食料と水、少しの涙と新しい自分。巨大な謎を抱え込んだまま、アストラ号は次の星へ向かう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
うーむ、手堅く面白い。『手堅い』ってこじんまり安定しちゃってる印象があってあんま好きな言葉じゃないけど、堅牢な土台あればこそ高く飛ぶ感じだな。
あ、”コマ”がオーバーラップして画面に入り込むのは、安藤監督の過去作”ハクメイとミコチ”を思い出してちょっとホッコリしました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
この演出、漫画原作だと原作メディア独特の表現力をアニメに輸入できる感じで、結構好き。コマのパワーってあるよね。
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という感じでキト公浄化完了! カナタもリーダーとして認められてよかったね!! というお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
不思議惑星の冒険で終わらせず、チームと構成員魂の成長でも止めず、新たなサスペンスを混ぜ込んでどんどん加速していく物語である。
うーむ巧い、強い、面白い。来週も楽しみ。