荒ぶる季節の乙女どもよ。を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
私達の内側に虎がいる。
卑小な自意識に怯えつつ、おずおずと震えながら手を伸ばす獣たち。
青春はサファリパーク。未達の魂は水に濡れ、柔らかく揺れている。
頑なに拒絶しながら、喉を鳴らして食らいつく。
男。
汝、不可解なるものよ。私を抱け。
そんな感じのアホバカ乙女五人組、青春街道大逆走な第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
『HoneyWorksの爽やかキラキラOPは詐欺なんじゃないのぉ~!?』と思われてた前評判を覆し、五人それぞれの青春がヌラヌラテロテロと輝く、生臭くも甘酸っぱく、えづくほどに苦い青春群像劇である。
みんなバカだなぁ…可愛いなぁ…。
お話は文芸部の五人それぞれが抱え込んだ、青春と自意識の檻の中で起きる。それは客員頑張って決着をつけるしかない孤闘であり、同時に彼女たちは強く支え合っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
文芸部はアホの集団である。学校が潰すのも無理はない。だがアイツラがアホでいられる唯一の場所を奪うのは、マジ許せねぇ…。
みんなで朗読するのは啄木でも賢治でもなく、あえての心平。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
なんとイヤな女子高生だろうか。真ん中をあえて外して特別な自分を演出しつつ、やってることはセックスの言い換え十本勝負である。
アホすぎる。しかし青春、そういう時代である。
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『なんか文学っぽい』言い回しを探し、仲間の危機を『股かゆい~』で救ったり、拗れまくった告白バトルに巻き込んだり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
文芸部は自意識爆裂女子最後のシェルターとして、確かな友情の苗床として、トンチキに暴走を続ける。
そこは愚かで優しい、学園牢獄唯一のパラダイスだ。
そこが無くなってしまう。一大事である。和紗は涙ぐみ、菅原氏は素直に愛を叫び、曾根崎パイセンは優しい言葉をかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
抱きしめられたら、もっと泣いちゃった。セックスに対して過剰警戒を続けるアホバカ共は、素直で優しい。素直で優しくなれる唯一の場所は、そら大事だ。
五人のゴロゴロ転がる青春を個別に追いかけつつ、どうにも寄る辺ない彼女らの青春が羽を休める宿り木として、”部”を大事にしてくれているのが嬉しい。そこが暖かく、かけがいのない場所だとしっかり伝わるのがありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
パット見そうは見えなくとも、このアニメ確実に『部活アニメ』なのだ。
”部”という場の書き方。凄い速度で暴れまわる笑劇とシリアスな青春感覚の同居。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
『ああ、このお話は女版『行け! 稲中卓球部』なのだな』という理解が、僕の中で徐々に出来つつある。観客席からはコメディだが、ど真ん中にいる連中にはどうにもならない重たさとアホさの実弾。
冒頭菅原氏は、自分の顔の良さとそれにまつわる呪いを客観視する。少女の時代が終わり、身勝手な妄想を押し付けられる外見が死ねば、少しは武装の解除できる、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
それは十人並みの和紗には思いもよらない領域で、児童劇団と同じように想像がつかない。だが、自分に強く隣接している。
顔も性格も歩いてきた人生も。ぜんぜん違う菅原氏と和紗を繋ぐのは、やはり友情という接着剤で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
菅原氏は異性からの過干渉をサヴァイブしてきた経験を、どっかズレた角度から教える。ピザに夢中になってるパパは、まったくもって頼りにならない領域。その先駆者。
しかしそのスクリプトはどこか教条的で、いろいろずれてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
男はロジックで動く。外見から中身を判断する。
カッコつけのために読む文学作品のように、それは世界の真理を言い当てつつ、個別の人生には上手くハマらない。その知恵を活用し、ズレを修正し、自意識と世界のサイズを合わせていく時期。
思春期、青春、アドゥレセンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
荒ぶる季節が、自意識より早く成長する心身と”私”をフィットさせるためのモラトリアムであるのなら。
そのど真ん中にいることは苦しく、キラキラと眩しい。傍から見たら確かに、ちょっと青春っぽい。
セックスに過剰反応し、過剰防衛し、過剰攻撃する俺たちの大暴走エンジン、曾根崎パイセン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
色眼鏡を外した彼女は、素直で素敵な少年(外見から内面を決めつけないし、ロジックよりエモで世界を見る)と出会う。モデルっぽい自分を見つけてもらう。
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複雑な色彩に揺れる素顔の”キメ”っぷり。荒れ狂うホースと溢れる水。一話前に『豚汁!』と蔑していたものが、揺らいで溢れ出す瞬間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
曾根崎パイセンがキラキラ可愛く見えるのは、メガネを外したら美人だったという、カビの生えたステレオタイプに乗っかるからではない。
彼女の肥大した自意識が、不格好ながらも切実に”何か”を探していて、それが僕らの(彼女ほどキラキラしてなかった)青春と妙に響くからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
部室で、体育館で、校舎裏で。
大暴走をぶちかましつつも、泣き出してしまった和紗に優しい言葉をかけてくれるからだ。ただの道化で終わらない切実さが光るのだ
露骨なメタファーは今週も絶好調で、フラフラと寄る辺ない蝶々のように、和紗と典の恋は揺れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
まーったく噛み合わない、高まるリビドーと甘酸っぱい切なさのぶつかり合い。好きなのか、好きじゃないのか、どっちなんだい!
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”えすいばつ”を巡る、主人公とヒロインの衝突。少女漫画の点描とモノローグに満ちてはいないが、それは切実で大切で、嘘がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
自分ですら制御できない、上と下どっち隠せばいいかわからない大妄想。未知の衝動に突き動かされる自分に怯えつつ、他人のこともさっぱりわからない。
菅原氏のようにスマートに、そして決定的に間違った形で、和紗は男と自分を客観視は出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
でもそんな菅原氏の言葉を借りて、一歩ずつ自分の気持に近づくことは出来る。曾根崎パイセンを押し流した激流と、同じものを見つけられる。
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揺れる湖面に映る自画像。押し寄せる波、潤む瞳。どっかズレている仮定がピチッとハマって、和紗は自分の思いに言葉を与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
泣きたいほどに、あの人が好き。
HoneyWorksのキラキラOPが、全く嘘ではない黄金の青春。少女よ、友の胸で泣け。
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ドタバタ大暴走とトンチキコメディで笑わせつつも、決めるトコバッチリ決めて次回に続いたのは、作品に嘘がなくてよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
皆自分の戦場で、青春を闘っている。文芸部は疲れ果てた心を休め、鎧を脱げる唯一の安息所だ。戦士たちは水に塗れ、溢れる感情をどうにも出来ないないまま、友に頼る。
菅原氏の言葉が助けになったり、泣きじゃくる和紗をもーちんや曾根崎パイセンが抱きしめてアゲるシーンが沢山あって、とても良かった。バカはバカなりに、辛い人生を支え合って生きているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
そういう奴らの最後のシェルターを、大人の理屈でぶっ潰す。マジ許せねぇよなぁ…。
そして本郷ちゃんは恋とはちょっと離れたところで、決めつけや押し付けと同じく闘っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
泣ける系ちょいエロな顔出し文学を求める、チャラい編集者。代理が効く誰かに、身勝手な妄想を押し付ける”男”が、世界をみっしり埋める息苦しさに、思わず『死ね…』と呪詛も溢れる。
セックス、自我、青春、世界、異性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
むき出しの真実に誰もたどり着けないまま、本で学んで脚本に書き、文学少女たちは青春を泳ぐ。
不格好に溺れながらも、仲間に縋ってどうにか息継ぎ、ちょっとずつ本当のことを見つけていく。その瞬間、青春は確かに美しく輝く。
すぐさま愚かさに塗りつぶされるとしても、それはやっぱり嘘じゃない。確かに刻み込まれる輝きを積み重ねながら、思春期の爆走はまだまだ続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月13日
まずはクソみてぇな廃部勧告を、どうひっくり返すか。自分たちの居場所は、自分たちで守るのか。秘策はあるのか。来週も楽しみですね。