スタミュ -高校星歌劇-(三期)を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
少年たちの反逆は、冬将軍の苛烈な決定を覆すには至らない。思いが届かぬ状況に、迷走する星谷達。
始まりの場所、始まりのレッスン。突如始まった即興に一人、また一人と身を投じる。熱量のある舞台に最初に踏み込むのは、夏を背負った男。
というわけでVS華桜会戦線本格化、第一攻略目標はアルティザンな夏男! という入夏攻略回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
取り付く島もない華桜会の決定に、二年組がしがみつく空回りコメディと、始原への帰還、新しい仲間の共有。入夏を入り口に、華桜会の現状も見えてくるエピソードとなりました。
お話は二軸で展開し、星谷中心にしっかりまとまり、しっかり迷走する二年組と、外側からは一枚岩に見えてそこかしこに不協和音のある華桜会を、交互に描いていく感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
学園トップの五角形がどういう力学で維持されているか、現状を見せるエピソードと言えます。
海斗の口を通じて堂々『接点が薄い』と断言しちゃったのは思い切りいいなぁ、と思いましたが、確かに三期で急に顔と声がついた現華桜会は、キャラクターにも視聴者にも縁遠い存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
それをだんだん見知って、距離を縮めて、カンパニーになっていくというのが三期(少なくとも前半)の主題かな。
その先陣を切る入夏先輩ですが、冬沢の強権政治とアーティスト気質の相性が悪そう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
型にはまらない創造性と、全てをピシッと管理する冷厳さは、華桜会役員室でバチバチと火花を散らします。
実務と全体の方向づけは、四季ではなく冬沢先輩がやってる感じね。
今回は入夏先輩の親しみやすさ、現華桜会でのアウトサイダーっぷりが色濃く出るエピソード。彼一人だけ、コーヒーで終わらず実のある食事を取っているのは面白い演出です。後に、星谷弁当食べたり、空閑くんと向き合う演出とも響く所かな。
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星谷サイドで見ると、接点は少ないし人間味も薄い華桜会。そんな連中が『食べる』(そして冬沢は『食べない』)存在だと見せることで、入夏先輩は輪郭を手に入れていきます。
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同時にちゃっかり中身だけ胃に収めて、弁当箱に込められたメッセージは突っ返してしまうズルい部分も見える。
迷い込んだ喫茶店で曲想に悩む彼は、同じくアーティスト気質の久我くんに出会う。
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年上で生殺与奪権を握っている"強い"立ち位置のはずなのに、問いかけ歩み寄るのは入夏先輩で、空閑くんはクールに問いかけをはぐらかす。出来上がった物語に入り込み、踏み込む"客"は華桜会側になる。
喫茶店のやり取りは空閑くんのクールなキャラと、既存キャラが持つ分厚い物語(に、踏み込んでいくしかない入夏先輩)を思わせます。
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ポッと出で権力だけある華桜会サイドは、後輩に興味を持ち踏み込む…『ミイラ取りがミイラになる』ことでただの障壁から、人間になる
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"吊られた男"の正位置は忍耐や試練、妥協を暗示します。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
外見だけ整え、都合よくご機嫌をとる前半のアプローチは意味をなさず、浅はかなスト計画は逆手に取られて排除されてしまう。
しかし原点に戻り、思いを演劇の言葉に変えて確認するインプロヴァイズを見てもらうことで、入夏先輩は同じ土俵に上る
結局地道が、本当の気持が一番強い。スタミュらしい結末だと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
チーム鳳が苦笑いしながら、我らがリーダーに乗っかるのは過去の再演と言えますが、一期には存在していなかった北原、揚羽が即興劇のルールに則り、"王子"として役者の気持ちを伝えに来るところは、新しいシーンです。
嘘で固めているはずの演劇が、一番真実を伝えてくれる。今回のインプロは虚実の面白い捻れ、この作品を貫通する『何故ミュージカルなのか』という核心にも触れていて、なかなか面白いところです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
お弁当はちゃっかり中身だけ頂いてた入夏先輩は、稽古を窃視し、インプロに乗っかることで二年を知る。
それはチャラく見える彼が演劇人であり、カンパニーを大事にする二年と同じく、強い感情を仲間に持っているからこそ生まれる即興劇です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
大量のシューズは彼が積上げてきた練習量を静かに語るし、確かに繋がりあった過去も同じくある。
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星谷が『ようやく話せた!』と心を動かされるように、僕ら視聴者も入夏先輩と話し合い、彼(を通じて華桜会)を知っていくエピソードと言えます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
同時に五人は完全に一つではなく、入夏先輩の回想、現在の茶屋に秋と冬の居場所はない。
効率と正しさを過剰に追い求めているように見える、冬沢の支配体制。そこから抜け出す(星谷たちと同じ動きをする)ことで、入夏先輩を主役とする今回のエピソードは動き出します。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
夏と冬の間に、どういう亀裂があるのか。四季はそこをどう繋いでいるか。 pic.twitter.com/FSAnxDbReE
そこは未だ不明なポイントで、今後華桜会を攻略していく中で顕になってくる部分でしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
どちらにしても、入夏先輩は円卓のある為政者の城ではなく、そこから離れた黄昏の中、光と影、権力と自由の中間点を曖昧に彷徨う。いやレッスン室の中、あからさまにそういう高原じゃなかったろ!
華桜会の中では最も自由で反秩序、星谷と通じ合う部分が多いだろうアルティザンを第一攻略目標にしたのは、彼が華桜会(というか冬沢?)に居心地の悪さを感じているからかもしれません。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
白日の苛烈さ(冬沢が窓の強い光に一番近いポジションなのは面白い)より、曖昧な黄昏の中を自分の足で歩く。
でもそれは、より良い曲にたどり着き、仲間と笑顔で舞台を作り上げていくため。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
『案外、俺たちと似てるな…』という共感を足がかりに、冷たい対立を乗り越えていく物語が今後待つとしたら、華桜会本部と離れ、携帯電話で繋がるしかない入夏先輩は大事な橋頭堡になります。
同時にこの不安定感は、例えば一年目の鳳・柊の不協和音のように、年下世代がアシストして解消していく問題なのかもしれません。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
ここら辺は冬沢エピがやってきて、神輿である四季ではなく参謀である冬沢が舵を取っている(ように見える)不自然さの理由が明かされた時、形が鮮明に見えるかな?
今回展開された入夏先輩との接触、衝突、接近と理解は、そのための第一歩でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
『オッス、今回はこいつがメインだよ!』と理解らせる"SILENT FEVER"は、冷たさの中の熱気をテーマにした歌と感じました。
華桜会の異分子、黄昏の男として、アルティザンの熱量を抱える足の長い男。
いやマージで足長くてビックリしたよ…あんまり細くて、アイカツの初期モデリング思い出しちゃった。(何でもかんでも女児アニおじさん)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
キャラクターと物語の実相を、早い段階から圧縮して教えてくれるPVパートは、情報量が濃くって面白いですね。歌詞と動きに注目していると、大体のことは判る。
入夏先輩は新しいキャラ、新しい物語なのでそっちに重点して見てきましたが、既存キャラのトンチキ政治工作がチャーミングだったり、『原点に戻る』ことで状況が動いたり、二年サイドの物語も面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
始まりの物語を思い出し、新しい仲間が加わり、敵と思えた存在と対話する。
あのインプロは三期まで続いてきたスタミュの歩みを、圧縮して演じる自作批評みたいな部分も、結構あったかな、と思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
僕自身がメタで作品読むのが好きってのもあるけど、三期はかなり自分達が作ってきた物語構造を見据えて、作中で言及することが多い気がする。前回の四季の発破とか。
星谷達の未完成な輝きに刺激され、入夏先輩は曲…冬沢支配体制に差し出すべきノルマを完成させることが出来ます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
それはteam柊の完成度以外いらないとする、華桜会の組織的決定に静かに叛逆するもの。黄昏に閉め出され、迷って星に出会ってしまった男が受け取ったメッセージ。
ミイラ取りがミイラになった…というより、自分が華桜会(冬沢)より星谷に親しい存在だと気づいた入夏先輩の"揺れ"を、他の華桜会メンバーはどう受け取り、どう変化していくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
今回は視聴者が入夏先輩に接近するエピソードであると同時に、必要な波乱を準備する回でもあったように思います。
バラバラの個性が己をさらけ出し、受け止め変わっていく物語。キャストがカンパニーを生み出すまでのドラマ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
それがとても面白いことは、僕らもたっぷり知っているわけで。華桜会が真実カンパニーに為るための布石が、じっくり積まれている印象です。どーなるかな。
そして華桜会にヒビが入り風が通ることは、その専横に踏みつけられている二年生の立場が変わることでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
既にある程度物語を終えている被支配者と、今まさに物語を積んでいる支配者。握り込んだ権力と、物語的リソースの不均衡をどう活かし、推進力に変えていくか。
そこら辺が楽しみにもなる、入夏先輩攻略回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
入夏主観だと『あいつら俺に似てるな』なんだけど、視聴者主観だと『入夏先輩、俺達が好きな星谷に似てるんだな…』となるのは、面白い逆転現象。
物語への信頼、キャラクターへの好感に接近することで、鏡合わせに新しさの顔が見えてくる。
そんな光明が他の華桜会メンバーに伸びてくると、また面白い物語が見えてくると思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月15日
冬沢先輩の硬い重苦しさ、冷たい支配の触感が見えたのも良かったな。
これ崩すのは三期の重点だと思うが、誰が切り込むか。本丸の前に落とす櫓は誰か。イカすPVと合わせて、次回も楽しみですね。