ギヴンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
錆びた弦を張り替え、お互いの波長をチューニングしていく立夏と真冬。ギターを介して響き合う二人の友情は、くすぶっていた日常に火を入れていく。
穏やかに積み重なる、学びと喜び。踊り場の交流は蓄積し、天使の詩へと至る。
それはまるで、恋のように唐突に。
というわけで、邂逅(であ)っちまった男と男が五線譜をベッドに睦み合う青春音楽群像劇、堂々の第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
稲妻のように恋のように出会ってしまった激しさから、ひだまりの中で思いを積み重ねていく日常へ。話のテンポはスローダウンしつつ、甘やかな響きは消えていない。
むしろジワジワと日常を描く焦らない筆致が、登場人物たちのニンの良さ、可愛らしい交流をしっかり浮かび上がらせ、作品への好感を強めてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
ダラダラじわっとした描写が優しくて太いと、体重を預けても安心感があって良い。当たり前の日々がちゃんと書けてると、お話に身を浸したくなる。
物語は先生一年生・立夏くんと音楽一年生(つうか人間一年生)・真冬くんの凸凹コミュニケーションを軸に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
立夏くんの善良さ、真摯さが"教える"ことで前面に出て『俺…このボーイ好きかもしれん…』という思いがさらに強くなった。
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普通やれやれ系省エネ人間は、手書きで図解してまでギターのこと教えようとはしねぇから!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
そこまでの情熱を傾けるのは、真冬くんの成長速度が楽しいとか、誰かの役に立ちたいというだけでなく、自分が失っていた熱量を、教え子に反射することで再獲得する欲望があるのだろう。
冒頭の踊り場は、真冬くんにとって立夏くんの存在がどれだけデカイかを、最初の不在とその充足で見せる力強い"絵"だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
空っぽの僕の隣に、君がいる。それは実は双方向のもので、お互いが欠けたものを相手に求めているのだ。
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ここで光に満ちた領域に2つのギターが、影の領域にバスケットカーゴが配置されているのは、なんとも残酷である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
歌と恋、人生に悪くて魂に良いものに2つも出会ってしまった少年にとって、バスケットは既に過去のもの、自分を燃え上がらせない影の存在なのだ。だから、地下に押し込む。埋葬する。
屍を踏みつけにする残酷を、無自覚に繰り返しながら少年たちは前に進んでいく。光の方へ、歌の聞こえる方へ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
三歳児バリになぜなぜ聞きまくってくる真冬くんが、"音楽"に僕らを導く良い初心者役を担当してくれて、作品が描くモチーフへの理解が自動で深まっていくのは巧い。
『主役はド素人』はスポ根漫画の定石だけども、チューニングにアンプにコードにバンド、真冬くんが"音楽"を学び、立夏くんが教える日常に付き合うことで、半自動的に視聴者も『なんとなく判った感じ』になるのは、凄く良い。ここの土台作りは大事よね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
男と男の恋心が現状あんま前に出ていないので、出会いの爆発力、スムーズな展開と、ベーシックな物語の強さが目立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
定番をしっかり抑えて、独特の表現とパワーもある。しっかり一歩ずつ作品世界を歩いてくれるペースが、心地よくお話に体重を預けさせる足場になる。良い第二話だ…。
リアクションの薄い真冬くんと、起用なタイプではない立夏くん。二人の交流は普通の言葉ではギクシャクし、ギターを介するとうまくいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
真冬くんがギブソン握ると、結構ヤンチャになるのが好きだ。弦を触ることで、彼はようやく自分の中の獣を吠えさせられるのだろう。
獣を縛る鎖が何かは、僕らと同じように立夏くんも気になっているミステリだ。これを表にしていくことで二人の距離は縮まるのだろうし、感情もより強くうねっていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
そしてそれが、更に音楽を強くしていく。良いフィードバックを予感させる、巧い運びである。
若者二人の交流を優しく見守る大学生組も、どっしり構えた包容力が好ましい。高校生が立ち入れない喫煙所で、若造の未来をしっかり考えるシャイネスと優しさ。俺、コイツラのこと好きかもしれん…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
同時にその接触はちとアダルティで、間合いが近い。
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シガーキスしそうでしない、灰皿の上の挑発。立夏の人間性をじっくり見据える、秋彦の鋭い観察眼。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
気軽に髪をなでた後の硬直と、満更でもない反応。襟元掴むのも、あくまでじゃれ合いの一貫。
高校生組がかなり開けた距離を維持しているのに対し、大学生組はクロスレンジが目立つ。
その甘やかな接近が何を秘めているかも、今後顕になるミステリだろう。まぁBL誌連載なんだから恋心なんだろうけど。(メタ読みで台無し人間)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
夏冬コンビが清らかにおずおずと近づいているのと、秋春コンビがゼロ距離で戯れ続けているのは面白い対比になっていて、作品に奥行きが出ている感じ。
大人と子供、近距離と遠距離。二人+二人のフォーピースは現状穏やかに距離を離して描写されているが、大学生組のエロティックな空気に高校生が踏み込む瞬間、あるいは高校生たちの真っ直ぐな純情を大学生たちもさらけ出した時、いい感じの相転移が起きそうな予感はある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
そこら辺のクロスセッションは、お互いの関係性が煮込まれた後の話として。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
今は四人は同じテーブルを囲み、しかし形のあるものは口にしない。野菜く心地よい距離を保ったまま、まだ伏せ札を抱え込んでいる。
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バイトの相談に乗ったり、自由に弾かせてくれたり、優しく見守ったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
少年たちの真っ直ぐな交流もいいが、それを最高のまま守ってくれる兄さん方の優しさがジワリと染みる。
今は未だバンドではない四人だが、この空気を共有できているなら、メシと音を食い合うのも遠い未来ではないだろう。
そのための決定打として、真冬くんが歌う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
その衝撃があまりに決定的だったことを示すために、ジョジョでスタンドが発現したときみたいなシーン特色がぶっ込まれる。世界が色を変える、あまりにも強烈な出会い。魂を揺さぶる才能の発露。
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天使の詩に殴られて、湧き上がった感情を立夏くんは言葉にしない。そのかわり、バンドに誘う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
言えなかった思いの形を、最高のタイミングのサブタイ出しで回収するのは見事な演出だった。
出会ってしまった恋に似た感情は、すぐさま恋そのものになっていくのだろう。
それは同時に、バンドというより強い絆で二人が結びつく道に通じている。知らない感情、未知の音楽に飛び込んでいく中で、少年たちは何に傷つき、何を知るのか。なかなかワクワクするヒキだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
やっぱミステリの使い方、チラ見せでの焦らし方が巧いよな…不似合いなギブソン、髪を撫でる手と硬直。
強い魅力を放ちつつ、自分を語る言葉があまりにも足らない少年に、立夏くんも僕らも引き寄せられていく。キャラクターとドラマへの牽引力が、音楽が持つ根源的なパワーとしっかり重なって、バンドがバンドになっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
第一話で感じられた土台の強さを、損なわず強化するような第二話でした。
どっしり焦らず取り回される、魅力的なキャラクター。交錯する2つの関係性と、スタジオという優しいシェルター。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月18日
作品の起点は、とても輝かしく魅力的であるとしっかり伝わりました。そこからどう変奏し、新しい地獄を魅せるか。
バンド結成なるか、ラブコールは実るか。来週も楽しみですね。