鬼滅の刃 第16話『自分ではない誰かを前へ』を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
蜘蛛の糸は因業の鎖。戦士の自由と命を奪い、鬼を家族に縛り付ける。
無残に殺し、邪悪に殺させる血みどろの縮合を前に、敵も味方も助けようとする少年の生き様。
炭治郎と肩を並べ戦う中で、伊之助は獣以外の在り方を知っていく。
というわけで久々の一話丸々バトル! 鬼の残酷と人間の意地が混じり合う"母"との決戦、決着までである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
やっぱ一話のトーンが統一されて、収まりよくまとまっていると話が腑に落ちて助かる。
アニメにするに当たって切りどころ、繋ぎどころって難しいわね…(今更な感慨)
今回は"母"の残虐な顔が伊之助の触覚に触れ、炭治郎がその顔を見ながら斬り殺すところまでである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
いかにも邪悪な人形繰りとして登場した彼女は、"子"の邪悪な支配に心を乱され、頑是ない子供のように命を弄び、殺しに飽き果てた命を炭治郎に委ねる。
"子"にビビってパニクりだしたあたりから『ん? あんまおっとり人妻って感じじゃねぇな…』となったが、まさかガチ幼女を鬼に落とし、体だけ成長させて"母"の役目を暴力で押し付けていたとは…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
ホント、鬼の妄執は救いがない。怒りと同時に、憐れみが湧いてくる。
とはいえ鬼滅有情破顔剣で死という救いを得るまでには、さんざん酷いことを重ね、殺されるだけの業も積んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
死ななきゃ止まらない操り糸を、首ごと断ち切ってやる慈悲の刃。それは心優しい炭治郎にしか扱えぬもので、同時に仲間にも影響を及ぼしていく。
臆病風に吹かれてパニクってた村田さんは、後輩の奮戦を見て戦士の挟持を取り戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
『俺に任せて先にいけ!』は露骨な死亡フラグだが、このお話そういうお約束を素知らぬ顔で蹴っ飛ばしてくる。そこが面白くもあるので、存外頑張ってしっかり止めてくれそうでもあるなぁ…。
先輩の信頼を背負って踏み込んだ先は、より太く残虐な糸が命を弄ぶ魔巣。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
糸に操られ、望まぬ太刀筋を高速でぶん回す奇っ怪な動きが、いい作画でよく暴れていた。
生身で人形遊びするグロテスクが、しっかりアニメート出来てるのは、クオリティの鋭い使い方だった。良い気持ち悪さ。
仲間を切り伏せ、自分の骨も砕ける苦しみから救おうと、炭治郎は糸を梢に絡ませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
『そのぐらい俺にも出来らぁ!』と、見まね見ようで人を担ぎ上げ、糸繰りから開放する伊之助。それは炭治郎の慈悲を真似たわけではなく、幼い対抗心から生まれたものだが、ひととき人を救う。
助けられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
その一瞬の救済を、ゴキリと頚椎をへし折る音が突き破る。
殺そうと思えば、いつでも殺せる。使えぬ人形だから、使い潰して捨てただけ。
"母"の残虐と闘いの無常が、なんともあっけなく恐ろしいシーンだった。一瞬息をついた瞬間に腹殴られると、よく効くね…悲しかったなぁ…。
伊之助は炭治郎の善徳を模倣しているだけだから、怒りも哀しさも感じない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
しかし自分の意志を、生きようとする尊さを踏みにじられた炭治郎は、獣にも通じる憤怒を静かに燃やし、また一歩踏み込んでいく。
こっちは獣の言語なので、翻訳しなくても伊之助に通じるのだなぁ…。
炭治郎は今回も"兄"として、伊之助の未熟な情緒に言葉をかけ、人の在り方を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
わけも分からずそれを真似する内に、自分だけが生き残り勝ち誇ればいい獣の生き方から、伊之助の視線が動いていく。模倣(ミメーシス)は人の資質なのだ。
これが開花するのが、首なしの鬼傀儡との闘いである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
呼吸を合わせ、一緒に戦う。炭治郎は幾度も伊之助の独走を抑え、誰かを思う優しさが武器になると伝えようとする。
日常で培った優しさという武器を、戦場でも役立てる方法論。伊之助が知らないものが、伊之助をより強くしていく。
『マージで視野の広いサポーターは、いてくれると戦闘ありがたいよな!』と、TRPGゲーマー的な感想を抱く炭治郎のアシスト。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
それが実際有効だと、伊之助は戦士の嗅覚で感じ取る。何しろ山野では、それしか教えられてこなかったのだから、強い弱いには敏感だ。
誰かを前に出す。呼吸と間合いを合わせる。周囲を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
おばあさんに衣食住を世話してもらっている時にはよく分からなかった、優しさという強さ。それを体現する炭治郎と共闘することで、伊之助はポワポワ球体を出しながら、人の在り方を学んでいく。それは、戦場でも消えるわけではない。
ここら辺の阿吽の呼吸は、"母"が家族のはずの蜘蛛鬼に恐怖しか感じておらず、その登場でペースを乱してしまったのとは対照的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
どれだけ形を繕っても、鬼は誰かに優しく出来ない。自分ではない誰かを前に出し、後ろを支える強さは遥か彼方にある。
かつて幼子を足蹴にしかけた伊之助は、鬼ではないので人の強さを学ぶことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
『俺にも出来らぁ!』と叫びながら、肌で感じとった"母の居場所"まで炭治郎をぶん投げ、その視界を共有する。
見まね見ようの投げ上げレスキューに、確かな意志が通じた瞬間である。
"母"は蜘蛛糸を引きちぎり迫る自分の死を、糸を離して受け入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
他人を縛り殺してきた糸は、自分も恐怖で縛ってきた。鬼に堕ちた自分は、刃の下でしか救われない。
その悲しい諦観を、炭治郎は加速する戦場で見落とさない。
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命を無碍に扱われ、烈火のごとく怒っていた炭治郎はしかし、"母"の命を奪う時やはり、悲しい表情をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
救済の光のように、天から舞い降りる一刀。
"干天の慈雨"とはよく言ったものだが、そこから芽生える未来は鬼にはない。悔いるとき、己を取り戻すときは、すなわち死ぬ時なのだ。
取り返しがつかない、学ぶことが出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
炭治郎は鬼の未来のなさ(それはつまり、人として生きた過去も無に帰する事だ)を悲しんでいるように思う。
伊之助と粘り腰で付き合うことで、人が強いだけでなく、優しくなれることを解ってもらえた。支え合う生き方を体現してくれた。
だが鬼は変われないし、戻れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
おそらく実母を殺し鬼に変わっただろう"母"の、暴力に縛り付けられた家族ごっこ。ままごとと切り捨てるには、あまりにたくさんの血が流れた死後の生。
斬ったところで、救われるわけでもない。だがそれでも、傷だらけの手を思わず伸ばしてしまう。
作画力と演出力をグッと打ち込んだ決着シーンは、主役と宿敵が何を背負って闘っているのか、良く見える名場面だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月20日
本当に炭治郎は命を奪う仕事に向いていないが、そういう子だからこそ一番正しく剣を振るえるのだ。尊く、悲しい矛盾だなぁ…。
重たい犠牲を乗り越えて、蜘蛛鬼家族の一人を斬った。しかし邪悪な血族は、まだまだ残る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
いい感じにキレてきた迷子の善逸も、そろそろコメディ終わりにして修羅開始って感じだろうし。十二鬼月がいるんなら、まぁ無傷ではすまないよな…ほんと毎回ボロボロね…。
炭治郎が伊之助を飛ばす時、禰豆子の入った函を踏ませてるのが好きなんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
それは炭治郎が命より大事にして、伊之助がかつて壊そうとしたもの。骨折り合って、判んないなり伝えあって、二人は信頼を預け、壊さない間柄になれた。
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まだまだ伊之助の情緒旅は先が長いんだろうけども、炭治郎"兄"の粘り腰の働きかけは、確かに彼を変えつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
そしてそれは身近な戦士だけでなく、袖摺りあったただのおばあさんからも、しっかり受け取れたものである。
そういう連動が感じられるのは、凄く良かったです。
伊之助が"母"との闘いで学び取った、誰かを前に出す強さ。人の力たる優しさが、悪鬼にどれだけ通用するかは、まだまだ試されます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
那田蜘蛛山決戦はまだまだ序章。"柱"の本格参戦も未だだしな! 義勇さ~ん!!
男ツンデレ欠乏症の発作はさておき、激戦深まるだろう次回、楽しみですね。