彼方のアストラを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
着陸危機をなんとか乗り越え、降り立った苔むす惑星・シャムーア。独特の生態系が安楽と危険をチームに届ける中、ユンファは『透明になりたい』という願望を行動に移す。
度のないレンズの向こうに、見える抑圧の陰り。それを超えてなお、届けたい歌があるのなら。
そんな感じのみっちり一話第二惑星&黒髪目隠れ引っ込み思案女大攻略時代ッッ!! というお話である。なにもないなんて言うな…君は声帯が早見沙織じゃあないか…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
中の人の説得力を活かし、少女がまた一人過去の桎梏を乗り越え、新しい自分になっていく物語が紡がれていた。いやー歌うめぇなやっぱ
今回も冒険はお気楽なボケツッコミ青春絵巻から始まり、世界の悪意(というものでもない。シャムーアの生態系はただ独自に生き、殺し、栄えているだけだ)に毒され、それぞれが全力を迸って生きる中、思春期の少年少女が己のあり方を見出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
冒険ジュブナイルを堂々歩いており、とても良い。
ぶっちゃけ普段のハイテンションギャグはやや滑り気味なのだが、A先生をゴッドと崇める世代には"まんが道"パロは刺さり過ぎであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
コマがオーバーラップする演出と合わせて、漫画の表現を上手く使うアニメである。
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最高に美味かった食料も、鮮度を維持できず仲間とは共有できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
犯人探しを禁じ、全体のムードを作るリーダーとして『楽しんでいこう!』と腹をキメたカナタに、また危機が訪れる。
なかなか油断させてくれないキャンプであるが、それでも楽しむタフさ、強がりは素晴らしい。
今回のお話はユンファの個人的成長の話であると同時に、集団における職能の話でもあったように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
前半ワーワーうるさいクインビーの気配を残していたキト公は、チーム全滅の危機に唯一の船医として、未熟ながら過去を活かし立ち回る。フニが手を引いたと勘違いするところが姉妹仲を感じさせグッド
生態系に興奮していたシャルスも,病床で気合を振り絞り、その智慧を生き残るための実学として活かす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
キノコを頂点とした生態系、殺戮と生存のバランス。自分たちが殺されかけているカラクリ、生き延びるためのメソッドは、一見呑気な生態学オタクっぷりから生まれる。
地味なところではカナタがユンファに追いつけた足の速さとか、それぞれ強みを活かし、生存を掴み取ろうとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
では、そこに寄与しない資質は意味がないのだろうか?
ユンファが自分を"透明に"したがった理由はそこにあるし、カナタは明確に否定する。
どんな形であれ、人はそれぞれ資質を持つ。
それは実用までの距離がそれぞれ違っているが、無用と切り捨てられ、口減らしで生き残る道をリーダーは選ばない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
歌が歌える。歌いたい。
それがユンファの中にあるなら、振り絞って届けてみればいい。出来ないなり、いろいろ手伝ってくれればいい。生きてくれているだけでも良い。
厳しいサバイバルを『貴重なキャンプ体験だ!』と、明るい角度から見れるのはただの能天気ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
生き残る厳しさだけに価値基準をおけば、自分を自分、人を人たらしめている大事なものが失われてしまうと考えたから、リーダーは排除ではなく受容を、画一性ではなく多様性を基準にしたのだ。
ユンファの歌は直接的に、病人を救わない。カナタが命がけで掴み取った薬キノコが届くまで、彼らの命がつながった理由が歌にあるかも、よく分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
しかし例えば、ユンファがなんとなく与えた薬キノコが状況打破のヒントになり、グルッピーの命を助けカナタをアストラ号に連れてきてくれたように
人の資質も命も、どういう形で有用性を発揮するかは解らない。それが判ると自惚れるほど、カナタは傲慢なリーダーではないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
謙虚という美質をリーダーが持っていることは、B5班にとって非常にありがたいことだったと思う。"先生"を助けられなかった無力感が、生んだ資質だろうか?
最後の最後でグルッピーくんが逆転の一手になるところが、僕はホント好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
不思議な動物との交流がだーい好きなのもあるが、なんとはなしに描かれた日常のピースが、危機を乗り越えるパズルにしっかりハマる伏線の心地よさが良い。
あと善因がちゃんと善果に繋がるところね…この子ら優しいねぇ…
カナタたちにはスペクタクルに満ちて見えるシャムーアの景色も、ユンファの視界から見ればかつての"家"の延長、抑圧の檻に思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
回想の中で、母は顔を持たない。それを見なくてすむよう、前髪を伸ばしたのか。"透明"なレンズで守ったのか。
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曖昧な黄色い色彩が彩る、無力感と諦めの思い出。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
キトリーと同じく、ユンファもやはり母からの抑圧を受けていた。
どうせお前は出来ないのだから、何もするな。
そういう色彩は世界を見るレンズに焼き付いて、ユンファを透明にする。その行き着く先は口減らし…自死である。
それはチゲーだろと追いついて、カナタは自分の素顔を晒す。過去の事情をしっかり聞き、今の無力感を受け止めてなお、9人の1人としてのユンファを肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
何も出来ないと卑下していた彼女も、カナタが背負う期待の太陽を自分に向ける。
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何しろ眼の前で恩人が崖から落ちているので、カナタも無力感は知っている。十種競技を押し付けてくる父からの、抑圧も刻まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
その上でなお、諦めに眼の前を閉ざすのも、誰かに生き方を規定されるのも違うと跳ね除けたからこそ、今の彼がいる。
カナタのユンファへの歩み寄りは、リア充熱血漢の上から目線ではない。同じ暗さ、同じ苦しさを幾ばく共有し、運命に流されて同志となったからこそ、一緒に歩いていこうという、汗まみれ泥まみれの働きかけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
ここら辺、正しさと優しさが良いバランスで同居していて、とても素晴らしい。
ユンファはリーダーを信じ、待って歌う。歌うことしか出来ない、歌いたい自分を土壇場で直視し、呪縛を引きちぎって前に出ることにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
彼女の眼にも、アリエスが感動した巨大な衛星のスペクタクルは見えているのだろうか。前髪を覆う透明なレンズを、外せるようになったのだろうか。
この話は"後"の書き方が心地よくて、自分のコンプレックスを乗り越えたキト公が相変わらずの文句垂れで、同時に使命感の強い船医(そして良いお姉ちゃん)になりつつある変化を、小気味よく追ってくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
心のあり方だけが変わったユンファの変化が、どう彼女とチームを変えていくか。
このサバイバルに不要にも思える"歌"は、何を動かしうるかということを、しっかり注視したくなる、良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
多分凄い勢いでコマが飛ばされてんだけども、日常の潤いとか、変化していく心とか、コアパーツはしっかり伝わって過不足なく感じるのがすごいね。
果たして冒頭、キトリーの褐色肌サービスは必要だったのか。ザックとの飾らない距離感(を、キト公がむず痒く思っている現状)を見せるためには、結構いいシーンだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
このアニメ、女体のカーブに結構拘っていて、流線のエロスがしっかりあるのが良いところだと思うんよね。
キノコが支配する独自の生態系描写も、惑星アドベンチャーのワクワク感を強調し、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
みんなフラフラながら知恵を出し合い、食物連鎖のミステリーを問いて生き延びようとする。頭いい子が寄り集まって、文殊の知恵で勝ち残る流れが、見てて心地よい。
今後も新しい惑星、新しい危機が彼らを試し、新しい可能性が目覚めていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
それを導くリーダーの頼もしさ(と、かなりの無謀さ)は、今回も見て取れた。
カナタが主人公としてリーダーとして、非常に好感の持てるキャラなことが、しっかり物語を支えている。主役が強いアニメは強いアニメだ。
第三の惑星には何が待つのか。そこでは誰が、どんな過去の鎖を吐露するのか。そして既に解き放たれたものは、どんな速度で自分と世界を変えていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月25日
透明なレンズを外し、己の歌を世界に吠えたユンファの今後が、とても楽しみになりました。来週も期待大です!