ギヴンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
あの冬凍りついた喉が、まだ融けない。
真冬の天才的な歌声に心動かされた立夏は、バンドに誘う。上手く噛み合わない思いの歯車と、見知らぬ過去の長い影。
そんな二人を見守る"お兄ちゃん"達の間にも、静かな陽炎が立ち上がり始めた。
そろそろ、暑い夏が始まる。
そんな感じの音楽群像劇第三話、チラホラとBLの影が見え隠れ…? である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
この作品世界で男性同性愛がどういう扱いを受けて、どのくらい一般的であるかはさっぱり不明なので、男たちの胸で蠢く恋がどう羽ばたいていくかは、結構楽しみであるな。社会の縮図としてのホモ・セクシュアリティ描画。
まぁ恋はあくまで予感、あるいは予兆であって、随所に張り巡らされつつも明言は(まだ)されない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
余裕を持って、相手を動かす。デート指南を片手に誘ったバンドは真冬を一切動かさず、心情ぶち撒けど真ん中が一番良く刺さる。
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それは恋と言うにはあまりに激しい衝突で、正しく音楽的であるけども、しかし彼ら二人の恋はこういう、力強い音を鳴り響かせるものなのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
感情の行き先が男であることも含め、世間の指南が一切通用しないオーダーメイドの関係性。それを不器用な二人が作れるのなら、それは善いことだろう
今回は冒頭から真冬の過去を暗示するカットが挟まれ、昔の男とランダムエンカウントしたり、記憶がカットアップしてきたり、ちらほら色々見える回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
寒い雪が降り注ぐ中、君が置いていったものを抱きしめていたら、傘はさせない。
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失ってなお、何かを掴んで前に進もうと思えるモノ。それと出会ったからこそ、真冬は心を凍りつかせ、歌を失ってしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
立夏が『お前の歌でオレの心も人生もメチャクチャだよ!』と吠えてくれることが、その氷を溶かしてくれるのなら。
あの時鳴り響いた音楽が、特別に思えるなら。
真冬を足踏みさせている”なにか”は、立夏によって融けていく。しかしその傷が歌に艶を与えているのだとしたら、捨て去ってしまうことも出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
今後喪失の過去を巡って、まーた面倒くさそうな男男感情地獄が発生しそうな状況である。みんな不器用だなぁ…可愛い。
真冬はギブスン(=過去)を大事に抱きすぎていて、凍りつく雪の中で傘をさすことが出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
怒鳴るように自分の感動を伝えることしか出来ない立夏が、果たしてそこに傘を差し出せるのか。自分の優しさの使い所を学ぶことが出来るのか。
高校生サイドは、これが力点になりそうな予感だ。
一方大学生サイドは、秋彦の指が無遠慮に春樹の心をかき乱し、なかなか大変である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
高校生の青春ぶつかり稽古を頼もしく見守る、"みんなのお兄ちゃん"は、特別な感情をくしけずる指先に見つめている。
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無意識タラシとして女性に、仲間として春樹に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
秋彦の指は簡単にパーソナルエリアを乗り越え、ぐしゃぐしゃと心をかき乱す。
『お前の指でオレの心も人生もメチャクチャだよ!』と、真正面から叫ぶことも出来ない大人の辛さ。
一方、少年たちも髪は撫でる。それが恋だと知らないまま。
二歳下なのに、春樹の純情をぐしゃぐしゃかき乱す、秋彦の指。しかし彼もまた、妙に淋しげな視線をときおり投げかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
その冷たさの先に、一体何を見据えているのか。色んな人の伏せ札が、秘めた感情がだんだん形を取り出した。
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秋彦が見据えている"鍵"は、開けるものでもあるし、閉ざすものでもある。おそらくは、(真冬がそうであるように)記憶と秘密に繋がっているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
訳知り顔のバンド少年が呟いた、ギターの持ち主。灰色の葬列と繋がったその関係性が、何を封じ込めているのか。
立夏はクローゼットの奥の獣を、受け止めきれるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
どっちにしても、ぐちゃぐちゃの心から飛び出してきた『お前の歌で俺は感動したんだよッ!』という真っ直ぐな叫びが、人形のような真冬を動かしたのは間違いがないようだ。
そしてそれは、ひっそり聞いてた秋彦にも響く。
楽才は暴力的にバンドを繋ぎ、言葉を失った少年の思いを吐き出させる。それをよく聞くことが、バンドをバンドとして成立させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
春樹が"お兄ちゃん"として、誠心誠意立夏に『聞く大切さ』を諭すのが、善良でよかった。それはバンドマンとしての、立夏の強みでもある。
思い出せよ、お前がどう聞いて、どう弾いているかを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
楽器を通じた繋がりは、すなわち人としてのあり方に繋がっている。多分、立花がまだその形を知らない恋にも。
秋と冬に封じ込められたものを、春と夏が知る時。自分たちの中で脈打つものに、名前をつけた時。
また新しい音楽が響くのだろう。
しかしそれはまず、バンドとして一つの曲、一つのステージにたどり着いてからになる…んだろうか、どうだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
音楽性をチューニングしていく中で、お互いの秘密を知り、傷を受け止め、自分の中の名前のない感情と向き合う。併走していく感じになるのかな?
どちらにしても、音楽という自己表現と、そこで生まれた出会いが生み出す感情は、この物語においては切り離せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
相手の音を聞くこと。手を差し伸べ、一緒に弾くこと。かき回され、かき乱されること。
どれも他人がいなきゃ出来ない、複雑なコミュニケーションだ。
時に臆病に、時に暴虐に。簡単に制御できない心の音が、過去に残響して複雑に鳴る。それを音楽に出来るかどうかが、今後問われそうなエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
不協和音は多いけども、本気で向き合えば調律は出来る。二人の出会いが"チューニング"から始まってるのは示唆的だな。
同時にそれは、錆びた弦を取り替え、その引き方を教えるリハビリテーションでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
時に傷つくとしても、その先に未来があるなら。
あまりに強く響いた立夏の"音"は、必ずしもディスコミュニケーションだけを引き起こすわけではない。
さて、次の音はどうなるのか、というところで次週である。
青春ど真ん中の高校生と、それを優しく見守る大学生。見えていた構図がだんだん崩れて、秘めてた感情がジリジリと顔を出してくる。それぞれのエゴと過去が薫る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
この先にどんな重たさと痛みが待っているか、非常に面白そうですね。そういうのを食べたいのよアタイ…。
来週も楽しみです。