グランベルムを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
魔は闇より出て、人を誘う。母への思いを力に変えて、寧々とジーグァンロンは戦場を支配する。
嫉妬、憎悪、謀略、切望。それぞれの願いが錯綜する戦場は、それが閉ざされた後の現実にも長い影を伸ばす。
光が影を生み、願いが悲劇を呼ぶ。残酷よ、希望となれ。
そんな感じの現代魔術少女大殲、水入りと盤外戦の第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
いやー…面白いなッこのアニメ! 寧々ちゃんを軸に、戦場をどう動かすかというアクションの面白さと、各々背負った情念がどう混ざりあうかというドラマの面白さが、がっちり噛み合ってトルクが出てる。光と闇が複雑な色彩を生む。
『ジーグァンロンの穴熊全盤面砲撃を抑えないと、アルマノクス同士の白兵戦は不可能』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
『しかし単独で立ち回っていては、砲撃の出処を抑え、ジーグァンロンを詰めることは出来ない』
現状のグランベルムを支配するルールを、どう乗り越えるか。どう乗り越えさせないか。
ビシバシビーム飛び交うロボット戦場が時間切れで終わり、たっぷり残った日常での情報収集、調略と人間関係の火花。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
闘争の中でキャラの意外な顔が見えたり、交流していく中で新しい局面が現れたり。状況が停滞せず、静かに混ざり合って揺らいでいくダイナミズムが非常に良い。
このうねりを生み出しているのは個々のキャラの強さ、譲れない感情の太さで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
もー女の子みんな、女の子がしちゃいけない顔しまくりで最高。アンナさんの眉間のシワ、谷川岳くらいあるよ!
あと水晶のゲス顔ね! "嘘喰い"で見たよその笑顔!!
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主が苦戦した雪月梅花を、かなり余裕で手玉に取ってた水晶の実力が意外でもあり、面白くもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
ドロセラノクターンが唯一、"眼"が外から見えない闇のアルマノクスであるように。水晶もまた、なかなか底が見えない不気味なジョーカーだ。
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今回のお話は闇と光を非常に印象的に使っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
それは主に寧々に浴びせられるライトなのだが、強い光と闇は林家をはみ出し、少女たちが皆家族と感情、魔術の危うさに身を浸し、ギリギリの境界で戦っていることが見えてくる。群像劇はこうじゃなくっちゃな!
冒頭、少女たちは薄暗い路地裏に身を置く。魔術の濫用を咎める母は『魔を司る術』こそが魔術だと諭す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
それは必ず長い手を伸ばし、魂を食らうべく機を伺っている。
同時に母は、術士である自分を恥じることはないと、愛娘を励ます。
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灰色の世界、母との離別の記憶で、唯一色づく青い宝石。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
"血"と"家"に唯一繋がり、その破綻を唯一回復できるアルマノクスの根源を、寧々は求め訴える。
そこに辿り着きさえすれば、全てを取り戻すことが出来る。なら、勝つしかない。
そのためになら穴ぐらに籠もり、影から情報を集めることも厭わない
ずーっと影に潜んでいれば、勝ちの確率は上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
しかし母の言葉を胸に、寧々は身を晒し、本性を公開する。闇から光へ身を投げる。
その決断が勝利を呼ぶのか、破綻に近づくのかは、次の満月をまたなければいけない。
どちらにせよ、寧々は新しい魔術師に、新しい可能性を見た。
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願いを遠ざけるグランベルムの時間切れは、侵食する闇として描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
どうあがいても逃げようのない、魔法世界のルールから抜け出すためには、時に光の方へと顔を向け、定石から外れる一手も必要になるか。
それとも、ただ信じてみたかったのか。
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寧々の小さな体躯と、したたかな勝負師っぷりの対比がいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
合法ロリなオタク記号と思っていた体躯は、魔の呪いであると解ってくる。母と私達を切り離したものに打ち勝つために、姉妹全てで勝つ。
魔術支援と現実支援、姉妹の役割分担がヴィジュアライズされてて良い。
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年も正体も偽った、寧々の中学校生活。その奥にある重たい過去と感情が、色んなフェティッシュから見えてくるのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
スタンプに描かれたアホロートルは、幼形成熟を果たす動物だ。形は幼いのに、大人になってしまう動物は寧々のトーテムであり、妹たちは愛を込めてイジる。
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あるいは宝石を"全消し"すれば"YOU WIN!!"な、孤独なゲーム。陰りの中でそれに興じた後、寧々は影から身を乗り出し、自分の素性を顕にしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
札で隠した調査行で、寧々は何を感じたのか。希望の部屋にあった、家族の写真を見てしまったか。
宝石を消せば、願いも消えていく。それでも。
幼さと強さ、魔術と日常の間を複雑に行き来する寧々のキャラクターが、滅びゆく超越者としての魔術師を上手く照らし、作品世界が良く見えるエピソードと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
みな裏腹なものを抱え、抜け出せない業の中で蠢いている。個人的な感情と、歴史に刻まれた血の重たさに引き裂かれながら。
『どいつもこいつも新月、新月ッ!』と、アミバめいたことを垂れ流すアンナさんも、怒りのあまりお風呂沸騰である。おっぱい見えても嬉しくない…怖い…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
水晶の"圧"に気圧されちゃう弱腰含め、泣けるほど人間臭くてアンナさん好きだなぁ…強く生きろッ!
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他の子らが個人的感情をうまく制御して、場を有利にする盤外戦を頑張っているのに対し、アンナさんは味方のはずの水晶に『下級魔術師の分際でっ!』である。ダメだ勝てねー!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
家では激ヤバシスコン女なのに、お外で交渉する時はクールな九音が面白い。闇は土御門家にも伸びる。
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利害を超越する、満月と新月の共闘。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
日常サイドでは当たり前の繋がりを問う時、九音の顔には闇が伸び、答えられない新月のかんばせには光が指す。
血の鎖に囚われつつ、そこから飛び出す瞬間を待つ雛鳥たち。卵の殻を割れなければ、因習と闘争の中で腐り果てていく。
だとしても、私達は魔術師だ。
グランベルムに身を投じるしか無い、"血"の重たさと煮えたぎる感情。『新しい魔術師』である満月は、そこから自由に、光から闇を照らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
『このアマ…同衾中に別の女の名前をッ!』と、満月さん思ってるのか思わないのか。とあれ、無意識の涙を拭ってあげるのは主役の特権である。
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第二話ではその場しのぎの嘘でしか無かったはずの『看病』が、二度目のグランベルムでは本当になっているシーンとしても、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
月の満ち欠けのように、虚実は流転する。新月ちゃんの削れた心を治癒できるのは、満月の特権である。アンナさん…ナチュラルボーン負け犬…。
透明な涙となって溢れるほど、重たい感情を新月がアンナに抱え込んでいると解ったことは最高でしたね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
ホントは仲良くしたいけど、気づけば家族を奪ってしまった。姉と慕った人は憎悪に顔を歪め、私の命を狙ってくる。憎い…私の才能が憎いッ!
新月ちゃん、どんどんクールぶった激情人間になってくな
家の重さ、血の暗さを背負わないからこそ、満月は当たり前の幸福を新月に与えられる。光は新月に逗まらず、寧々や九音にも伸びていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
日常に背中を向け、素性を隠して"当たり前"を踊る人形たちが、新参無敵主人公によって変わっていく姿は、強いうねりを感じて面白い。
無事情報収集を終えて、『希望のクラスメイト』として坂を下る時、寧々は闇に再び身を置く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
世界のルールを勅令として捻じ曲げる、非戦闘術式。隠蔽し、偽る札を剥がした後、寧々は懊悩の果てに己の正体を告げる。
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同じ夕景の中で、紫雲たなびく水面を見据えて、魔術師三人は語らう。長い影が伸びる夜闇の入り口で、満月は夜ではなく日の名残りを見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
陰りと光りは入り混じり、どちらを見るかは人次第。
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ここの琵琶湖畔夕景は本当に美しくて、少女たちが身を置くマジックアワーを鮮明に伝えてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
もともと美術の鋭さと、それを魔的に活かす演出手腕が印象的なアニメなんだけども、そういう強みが凄い出たシーンだったと思う。
満月は、魔術の夜に日常の光をもたらす主人公なのだ…
で終わらない所が、このアニメの面白いところでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
願いを叶える勝者は、一人しか生まれ得ない。残酷なルールが二人を切り裂く未来を、新月は光の中で問う。
『そんな未来は来ない』と答える満月は、あまりに強すぎる光を背負って、影が濃い。魔術はこの時、満月の側にある。
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家に縛られず、願いも持たず。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
特別なジョーカーとしてグランベルムに殴り込んだ満月は、魔法に愛された月の子供だ。
あまりに脳天気な未来予想とは裏腹に、その魔力は強く、願いの行方を決定的に左右してしまう。
その危うさが、夕景の陰りとして少女にまとわりつく。救いの奥の残酷が匂う。
それでも、新月にとって新しく出会った友達は光で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
因業に縛られたフーゴ家、エルネスタ家ではなく、家を背負わない満月だけが新月の涙を拭える。
人を魅惑する深い陰りから抜け出すためには、普通の日常、普通の友情が灯火となる。なってほしい。
そんな新月の深層も垣間見えるシーンだ。
純情と妄執。魔術と日常。戦闘と慈愛。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
様々なものが交錯しつつ、少女たちは魔導を踊る。そのぶつかり合いと決断が、新しい盤面を呼び込む。
素性隠しの御札を剥がして、隠すところのない己を盤面にぶつけた寧々の一手を、新月と満月はどう受けるか。
未だ見えざる伏せ札が、盤面をどう揺らすか。
それぞれの少女が抱え込む、それぞれの家族への思い。魔術への魅惑。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
その交錯だけで終わらず、人対人のコン・ゲーム的面白さまで盛り込んできた欲張りアニメ、非常にいい調子でうねっております。
魔的なものの危うさと魅力を、上手く美術とレイアウトに込めて見せる演出が、よく生きてると思う。
柔らかな日常で心を落ち着かせておいて、そこにスッと危ういものが見える。破綻と救済がフラフラと踊って、どちらに落ちるか読みきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
そういうムードを、状況を時に激しく、時に静かに転がしつつ見せてくれる所が、『魔法少女バトルロイヤル』という題材を最大限活かしきって素晴らしい。
母の教えをしっかり噛み砕き、あえて己を晒した寧々の決断。ジーグァンロンの穴熊戦法とは相反する一手が、次の決戦をどう左右するのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月26日
妹に忍び寄る疑似ロリ社会人魔術師に、満月お姉はどう立ち向かうのか。新月の心は昔の赤毛と今のピンク、どっちに揺れるか。
来週も楽しみですね。