彼方のアストラを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
流浪の果てにたどり着いた第三の惑星は、楽園だった。
安楽な気候、恵まれた食糧事情に気も緩む一行。
一方5000光年の彼方では、消えた子供たちを諦める動きが加速していた。
生存を、あるいは消失を。
祈りを込めた家族の肖像が、ウルガーの握る銃口に反射し、殺意は鈍く光る
そんな感じの水着&恋バナ回ッ! 中休みとでも思ったか!! ウルガー、君は何故ッ!!! なエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
OPを飛ばして二分確保し、前回入り切らなかったユンファのエピローグをやる。母性の家族を移した後、楽園で逞しく生きる子供サイドを描いて、ウルガーとルカの交流と衝突を見せる。
なかなか盛りだくさんで緩急も付いているが、一本強い”芯”が見えるエピソードでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
DNA提出、精神複写、単為生殖。5000光年を超えて共鳴するモチーフは『クローン』に集約し…謎はさらに深まる。
流石評判のSFミステリだけあって、ネタの蒔き方が非常に巧い。
作品に描かれているものには全て意味があり、作者はそれらのパーツを全て管理できる神である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
かなり変則的な読み方だが、ミステリとしての評判を高く確保しているということは、そこら辺に体重を預けても(多分)大丈夫、ということだ。
僕はこのお話を、そういう視点で読んでいる。
原作の評判に丸乗りした、あんまいい読み方ではないのだが、しかしこうして体重を預けると数多の要素を繋げて、何らかのメッセージを読むのは容易くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
バラバラの星空を繋げて、星座を描くようなものだ。そこにある単独の星は、何らかの意図で繋げれるように配置されていると、作者と作品を信じる
遠い母星で父母は、捜索を諦めるか、続行するかで割れる。明暗がハッキリ割れた会議室。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
光の側にはザック、アリエス、シャルス。
闇の側にはカナタ、ユンファ、キトリー、フニシラ。
その中間点にウルガー。会議室の外にルカ。
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それぞれの立ち位置は、これまでの冒険で顕にされた親からの抑圧と通じ合っているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
闇サイドの親たちは何らか、子供の可能性を狭め、初期条件に縛り付ける描写があった。
そこから離れ、新しく世界を切り開いていく輝きは、例えば冒頭、ユンファを主役に描かれたものだ。
光の側に立つから、子供を自由に見守っているという保証もないけども。単純に、今まで描写がなかっただけかもしれんし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
しかしアリエス母の懸命な食い下がり、幼さを残した私室の描写を見るに、嘘なく娘を心配しているように見える。
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無邪気で優しく、乱れる仲間の心をしっかり受け止められるチームの要。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
それを育んだ世界は少なくとも、謀略とは無縁の素朴で素直な色合いに見える。部屋を照らす月星が消え、哀しみの陰りに包まれた母の心を、影の中に潜む存在は巧妙に窒息させんと振る舞っている…ように見える。
B5班の殺処分は、学校や行政が深く関わらないと実行不可能な大掛かりなものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
その長い手がどこから伸びているかは、今後物語を引っ張る大きな謎なのだろうから、今はよく分からない。
このタイミングで”親”を見せたということは、そこに何名かが関わっている、ということだとは思う。
ザックがサラッと言っていた、記憶転写技術。これにエスポジト議員のDNA提出、医療従事者であるラファエリ母の技術を合わせると、『クローン』があぶり出しにされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
青い星の甘酸っぱい恋話も、生殖を遠くから照らす光源になっているし、単為生殖の生態系もそれを裏焼きするように見える。
”家”という形が維持されている母星を見れば、クローニングはそこまで一般的ではないのだろう。合法か違法か…子供たちを殺してまで適応するヤバい橋なのかどうかは、描写が足りないので判別しきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
しかし子供たちを巻き込んだ巨大な謀略に、『クローン』がぶっ刺さっているのは多分間違いがない
…気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
一見『子供たちを心配する父母』の描写のようで、凄く細かく情報が提示され、あるいは漂流サイドと呼応しながら輪郭が見えてくる。
これが偶然ではなく意図的だという、作品への過剰な信頼を足場に組み立てていくと、今回のお話は『クローン』を見せる回だったんじゃないかなぁ…?
共闘と議員が、離れた場所で共有する『身を引き裂かれるような気持ち』というのも、我が子を己同然に思う愛情ではなく、スペアパーツが喪失した痛みから発せられているとすれば…?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
そこら辺は読み過ぎか。陰謀を回して証拠を隠滅したい側と、クローン便益を受ける側は別なのか?
とまれ、母星では子供たちを”透明”にする動きがあり、一部の父母はそれに乗っかっているのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
それが『現実的な選択肢』に乗っかった結果なのか、特定の意図を『常識的な判断』に隠した結果なのか。
そこら辺は今回巻かれた(だろう)種が発芽し、新しい局面が見えてから鮮明になるかな。
一見バラバラな描写に『クローン』を読む視座を抜いても、今回は今までの行き詰まるサバイバルからちょっと離れて、水着乱舞のリゾートムードが楽しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
女の子の体型を書き分け、ほのかな恋心を燃やす余裕が、ようやく作品と視聴者に生まれてきた、とも言える。サバイバル慣れしたわけだ。
前髪を切ったユンファの描写がとにかくマニアックで、スク水のしっとりした質感、やや肉が強いふくよかな体型と、いい塩梅にもちゃもちゃしてた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
キト公は締まった腹筋もいいけど、フニとのんきに姉妹してる描写が多くて、仲良しで良かったな。
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アリエスは非常に人間が強い子なので、サバイバルの要として”無謬の聖母”になりかねないキャラ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
なんだが、今回年相応に友達とキャッキャし、恋バナに赤面する顔が見れて少しホッとした。カナタはホントナイスガイだからなぁ…そら惹かれるよ。青春頑張り給えよ。(ジジイからの謎のエール)
女の子の水着煙幕に隠して、ウルガーとルカの静かな交流もしっかり描かれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
ぶっきらぼうながら、優秀な射手として獲物を捉え、チームに貢献するウルガー。それを支え心に滑り込むクラフトマン、ルカ。
二人の間合いは既に、散髪すら許している。
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ユンファが冒頭言っていたように、この放浪は厳しいサバイバルであり薄暗い謀略であると同時に、絆を深める旅路でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
言葉にならなくても、チームで支え合い信頼を育む日々は、仲間の心を変えてきている。女子チームが堂々のキャフフを見せたからこそ、ウルガーの静かな変化も際立つ。
ユンファの度のないメガネと、ウルガーの帽子は多分同じ仕事をしている。心と過去を隠し、自分を出しきらないための覆い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
それを外し、至近距離に刃物を置かれても怯えない距離感を作っていながら、何故少年は銃を突きつけたのか。
新たなミステリが、楽園の夕焼けを赤く染めていく。
ウルガーの態度が変わったのはルカの名字…”親”との繋がりを聞いた瞬間だった。”エストポジ”が呪いになるような過去が、多分彼にあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
それを切開し共有することでしか、ウルガーの暴走は止められない。まーた青春伏せ札を、ドガッと表にするタイミングが来たぞッ!!
命のかかった荒療治が、青少年の心をせき止める扉を壊し、感情を溢れさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
これまでもカナタやキトリーやユンファを主役に演じられてきたジュブナイルが、ウルガーとルカをカメラに捉えた、という所だろうか。
厳しい試練こそが、魂の色合いを確かめる試金石になる。物語の根っこが強い。
楽園のリゾートムードがいい感じだった分、よく刺さるヒキにもなっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
俺たちいい感じの暮らせていたのに、一体何が? その疑問を視聴者とキャラクターが共有することで、サスペンスと期待感はぐっと高まる。続きが見たい、真相が知りたいと思わされる。
僕はすっかりB5班が好きになっているので、彼らが仲違いするのも、過去に縛られて本当に大事なものを見失ってしまうのも、見ていて辛い。とっとと解決したいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
ただ謎を解決するのではなく、活きた感情と矛盾の只中に投げ込むことで、展開への期待感が強まるのは非常に巧い。
あんな必死に生きてる連中が、銃突きつけてぶっ殺し合いとかマジ勘弁だし、とっとと心情告白過去大暴露、青春号泣で関係再構築、希望の未来へレディーゴー!してくれや、って思うじゃないやっぱ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
そういう親近感を作るのは、やっぱサバイバルの細かい描写、生活の匂いであり。
貪欲に盛り込んだ色んな要素が、分離せずお互い繋がって面白さ、先の読みたさを生んでいるのはやっぱ強いなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
サバイバルにもピンチと平和の両面があって、緊張の中に緩和がある。厳しい環境を知恵と友情で乗り切って、一瞬の安楽を頑張って生み出す努力が見える。
緊張一本槍で進んでいくと、感覚が麻痺してピンチをピンチと感じられなくなるしね…そういう意味でも、ゆるーい水着恋バナは大事だったんだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
ホント一コマ一コマの意味、それが今後に繋がる布石の妙味が、色んなレイヤーで有機的に機能してる作品だなと感じる。よく考えられてんなぁ…。
5000光年の彼方で描かれた、父母の明暗。うっすらと輪郭が見えてきた巨大な謎と、楽園で展開する赤い惨劇。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
一回子供たちからカメラを話すことで、作品全体の奥行きがしっかり出るエピソードでした。
今回僕が見たものが考えすぎの蜃気楼なのか、はたまた何かを捉えているのか。
そこら辺の答え合わせも気になるところですが、今はまず目の前のサスペンス、ウルガーの重厚に秘められた思いを知りたいね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月31日
ここで刺客が顔出すと話が早く終わりすぎるし、ウルガーと陰謀は別枠なんだろうけども…(悪いメタ読み)。
優しい楽園が砕かれた後、何が見えるか。次回も楽しみです。