鬼滅の刃を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
那多蜘蛛山の鬼殺しも、まさに佳境。迫りくる死に、脳髄は思い出を探る。
生き死にの際でよぎる走馬灯。平和な時、優しい誰かに託された思いが、子どもたちの背骨を支える。
炎よ、俺達の血を燃やしていけ。ヒノカミよ、追憶を依代に降り来たれ。この一刀は、太陽の裁き。
そんな感じのVS累最終決戦! UFO作画班フル動員!! な第19話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
全編バトルバトル、徹底して超高速、超高圧のアクション作画とすさまじいエフェクトが唸る、アクティブなエピソードであった。UFOの一番強い部分をぶん回して、狙い通り勝ちきった感じ。
バトルがただのアクションではなく、血と体温の宿った人生の一幕になるところが、この作品の強いところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
十二鬼月、下弦の五。常識を超えた超強敵を相手に、いかに家族の絆を示すか。人の在り方を守り切るか。
炭治郎の窮地を救ったのは、暖かい日々の思い出であった。
”蝶の柱”と善逸とのやり取りで、走馬灯の意味を前置きしているのが技ありである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
それは生存の意志が過去を探り、生き方を思い出す人の意地。善逸は毒を逃がす呼吸を思い出し、炭治郎は全てを焼き切るヒノカミの呼吸を、禰豆子は兄の窮地を救う新たな鬼の力を、それぞれ己の中から引き出していく。
『大ピンチに新たな力に覚醒』っつー、これ以上無いジャンプ展開ではあるのだが、同時に貴種が忘れられた己のルーツを思い出すという、英雄譚の王道でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
ヒノカミは鍛冶を見守る火の神であり、邪悪を払う日ノ神でもあるのだろう。鬼は日光に当たれば死ぬ。ヒノカミはデーモンスレイヤーなのだ
つまりヒノカミ神楽を継承してきた炭治郎は、生来鬼を殺す宿命にあった、ということになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
ありきたりの山里の暮らし、小さな幸福。その奥に隠されていた宿命が、悲劇と決意を導いたのか。
炭治郎のルーツ、父の正体をめぐる物語は、なかなか奥が深そうである。
それは先の話として、まずは”柱”と子どもたちの交流。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
義勇さんは伊之助を縛り上げ、これ以上傷が深くならないようにする。”蝶”のような治療技術はないから、荒縄が精一杯の優しさである。ツンデレだなぁ…。
これ以上の傷を防ぎ、毒を倒す強さ。
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集団で生きる人の強さは、仁の心に宿る。そういう感じの、柱達の静かな闘いだった。かなり好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
一方炭治郎は延々UFO謹製の超作画で暴れまくり、戦う強さを証明していく。
刃を折られて『負ける!』ではなく『申し訳ない!』が先に立つ辺り、戦士としても人間としても品が良い。
刃を折られたなら折られたなり、実力差があるならあるなりで、勝ち筋を探る。諦めず、最善を尽くす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
炭治郎最大の武器は秘められた血脈でも、特殊な呼吸でもなく、この不屈と冷静だと思う。心と魂が強いのだ。
思いの強さが、刃の強さになる。正統派少年漫画主人公であるなぁやはり…。
そんな心の強さは、炭治郎一人で生み出すものではない。戦友と、家族と繋がっていることが、思いを何倍にも強くする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
禰豆子は微睡みから目覚め、兄を守るべく体を張る。新しい妹に大興奮の”兄”は、”姉”の五体を寸断する。
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家族を守るために流れる血。家族からの暴力で流れる血。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
鬼と人間の差を、妹と姉がよく見せる流れだ。
”姉”がブッ千切れるシーンが分かりやすいけど、今回凄いハイクオリティの作画をさらっと乱発しまくってて、その圧力の高さがバイオレンスの緊張感、命の瀬戸際をビリビリ感じさせてくれる。
禰豆子のちぎれかけた腕を炭治郎は必死に直し、”姉”はちぎれた首を自分で持って、戦場から離れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
累のヤバ人格が、禰豆子という呼び水でガンガン出てくるのも良かった。家族を慈しみではなく、暴力で繋ぐしか無い。傷はほったらかし、役割は形だけ。
鬼はいつでも、本質を見失う。
『決定的な心得違いを正さなければ、家族はお前のもとに戻らない』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
激怒に吠える炭治郎の言葉は、鬼と人間を正確に捉えていると思う。
人は間違えても、改めることが出来る。伊之助も善逸も、己の中の過ちを一個ずつ直している。
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鬼は改むる事ができない。死んだ時に心に突き刺さった妄念を、考え直す智慧がない。まさに畜生である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
しかし炭治郎は『鬼はそういうものだ。もう救いはないのだ』と諦めてしまうことがない。人の成れの果てでも、”改める”という美徳をいつか掴めると、どこかに希望を残している。
例え刃で首を落とし、鬼をやめる=二度目の死を経て、一瞬人間に戻ることしか救済がなくても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
炭治郎は鬼の向こうにいる人間を、けして見捨てない。
慈悲と智慧の人である。マジで仏門に入ったほうが適正だと思うけども、血みどろの闘いが彼の宿命なのだよなぁ…今不動であるな、炭治郎くん。
禰豆子が地力で地面に立ったことで、炭治郎は箱を捨てる。否、大地に預ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
それは幸せな思い出から追放された兄妹が、それでもお天道様の元生きていくための大事なホームであり、炭治郎を縛る鎖でもある。
それを外し、強敵に向き合う。
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暴力で縛り、狂気で捉える。累の攻撃は禰豆子を縛り上げ、逆さまに血を啜る。柔肌に食い込む斬糸は、伊藤晴雨の責絵めいたエロティシズムがあり、口枷と合わせて凄惨だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
禰豆子は清純なのだが、太もものエロスの権化でもあるな…素晴らしい淫靡だ…。
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妹を美人乱舞逆さ吊りに仕立て上げられ、炭治郎の呼吸も荒くなる。しかし鱗滝さん伝来の呼吸を整え、水の秘奥”生生流転”にて、紅い蜘蛛の巣と向かい合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
ここら辺のエフェクトの美麗さは劇場版クラスで、ほんと素晴らしかった。
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水の奥義が”生生流転”なのは、鱗滝さんっぽいし炭治郎っぽいしこの話っぽいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
転がる石のように、人の物語は流れていく。変化に満ちた人生を肯定し、一箇所にいつかぬこと。妄念を固め過ぎれば、人は鬼に変わってしまうから。
そんな”水”は、しかし赤い死を止めきれない。
この究極ピンチに思い出カレイドスコープが発動し、炭治郎は思い出を泳ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
父が確かに教えてくれた、ヒノカミの呼吸。溢れる熱が雪を溶かすような、燃え盛る炎。
それが自分のルーツであったことを思い出す。
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『七支刀ってことは石上系列、百済ルーツか…?』などと考えてしまうけども、それが未来に壊されるなど思いもしない禰豆子と炭治郎の無邪気な幸福に、思わず涙してしまった。無残マジぜってぇ許さねぇからよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
お父さんは病身ながら優しい人で、炭治郎に戦う力を与えてくれた。
ヒノカミ神楽の呼吸が、なぜ鬼殺隊から遠い竈門家に伝来していたのか。宿命を繋ぐ輪は未だ不明だが、父の優しい教えは、戦士となった炭治郎に力を与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
柔らかな回想シーンから、激しく早い現在のバトルへ。緩急の付け方がとても良い。
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それはアクションを一本調子にしないだけでなく、平穏な思い出と血みどろの今が、途切れることなく繋がっていると分からせてくれるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
炭治郎は現在と過去、思い出と刃両方を握って戦っている。自分がどこから来て、何を背負い、何を守るために鬼を殺すのか、見失いことがない。智慧がある。
鬼はそういう過去との繋がりを見失ってしまっている。本当に大事なものは、首を切られた瞬間にしか思い出せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
炭治郎の刃はそれを思い出させる慈悲の刃だともいえるし、刃ではそれしか出来ない、ともいえる。禰豆子を鬼から戻す道は、刃以外の救いを鬼にもたらす探求ともなる。
いつか禰豆子が人間になれたら。『鬼は人を喰う、魂を見失う』という原則を打ち破ることにもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
炭治郎が籠の中に背負っているのは、自分の妹だけではないのだ。鬼滅の闘いは、どうしようもなく人を歪め、鬼に落とす道が不可逆ではないと、世界に証明する闘いでもあるのだ。
禰豆子はその特殊さ故に、既に鬼の不可逆をある程度踏破してもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
兄と同じように思い出に触れて、禰豆子は母と出会う。父から継承したヒノカミ神楽が、折れた刃を赤熱させるのに対し、母の涙は鬼の血を燃やし、兄を相打ちから救う。
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切り払う力と、守る力。後者を人が持つから強いのは、前半”柱”を描く筆で切り取られている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
禰豆子は思い出から力をもらって、兄を守る。自分を縛る蜘蛛の糸を逆手に取って、兄の道を切り開く。
二人だから強い。”姉”を寸刻みにして追放した、累への答えとしてこれ以上のものはないだろう。
累の暴力支配に、言葉だけで返しても無力な遠吠えになってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
刃に炎を宿し、一歩も引かず断ち切ること。
相打ちに首を跳ねるだけでなく、力を合わせて未来へと帰還すること。
竈門兄妹の闘いは、家族が、人がどういう強さを持っているかを、鬼に証明する一撃でもある。
禰豆子の爆血は炭治郎を焼かない。炎を制御すること。燃やすべきを燃やし、守るべきを守ることが、ヒノカミ神楽の魂であるなら、二人はしっかりそれを継承したのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
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禰豆子の血が刃に宿って、ただ守るだけでなく、悪鬼を折伏する助けになってる所も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
鬼は切らなければいけない。悪は正さなければいけない。そこに哀しみがあるとしても、人の名残が消えないとしても、それは真実なのだ。禰豆子はそういう強さも持っている。
名曲”竈門炭治郎の歌”が朗々と鳴り響く中、勝敗は決する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
どっしり構えて、クオリティで殴る。ufoの良いところが最高に溢れた、勝負のエピソードでありました。
タイトルと歌詞が良いよなぁ…”竈門炭治郎の歌”。泥臭いど真ん中で、主人公がどういう存在なのか歌い上げる。受け継ぎ、前に進む少年の歌
スペシャルEDで見せられる、竈門家の失われた幸福と、それでもなお残る兄妹の絆に、また涙してしまう。無残ぜってぇ許さねぇからよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
残酷な牙に黄金の日々が引き裂かれても、思い出は確かにそこにある。生き抜く力、戦う刃をくれる。
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思い返すと十二鬼月と”柱”のインチキさが印象的なエピソードでしたが、折れた刃、足りない実力を子供たちはどう埋めていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
その前にまーたズタボロなんで、しっかり休ませてあげて欲しいですね…ほんと、毎回満身創痍だ。かさぶたが剥がれる度、確かに強くなるのが頼もしく、痛ましい。
とまれ、全編フル回転の大迫力で走りきった、見事なエピソードでした。タメる所、勢いよく走る所、しっかり見切って完璧に仕上げてました。…シリーズ構成も、こんくらいの緩急で仕上げてくれれば…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月13日
とまれ、戦い終わって物語は続く。どんな闘いと出会いが待つのか、来週も楽しみですね。