彼方のアストラを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
疑念を晴らすべく、シャルスの口から語られる過去。特別地区の歪んだ体制、その犠牲となった思い出。
仲間たちはその物語を受入れ、新たな星に進む。光と影が交わらない、氷と炎の星。吹きすさぶ風が未来を閉ざし、それでも明日はやってくる。
そして少年は、眠り姫と出会う。
そんな感じのVS第五惑星、いきなりのスーパーハードモードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
ここ迄順当に試練を乗りこなし、仲間の暗い過去も受け止めてある種の”型”が出来た所で、惑星探索も青春ジュブナイルもちょっと変化球。
なかなか面白いリズムの作り方である。適切な裏切りは、物語のスパイスやな。
ザックの言うとおり、これまでの探検は順調だった。順調すぎるほどに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
今回は命の危機が連続し、クルーはそれを完全には乗りこなせない。
でもそれが、宇宙冒険のあるべき姿だとしたら、一回はやっておかないとシビアさが足らなくなる。そういう意味でも、アストラ号航行不能は良いイベントである。
シャルスの過去が見えて少しストレスが抜けて、しかし抜けきった感じがしない明暗の描写があって、船が座礁し眠り姫を見つけて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
ストレスとカタルシスが小刻みに襲ってくるエピソードで、緊張感があった。『もしかしたらなんとかなるかも!』という期待感で次週に引くところが上手いやね。
最初のストレスはシャルスへの疑念で、『家族との軋轢』『悲しい過去』というこれまでのフォーマットに乗っ取った回想で、一応それは払われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
しかしシャルスの書き方は、色んな意味で陰りを残す。この表情とライティングはなぁ…。
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今までの書き方だと、ただ過去を吐露するだけでなく、その束縛を振りちぎって前に進んでいく変化の描写があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
シャルスは過去は語っているけども、それを乗り越えて変化した感じがない。そういう変化があってこそ、過去を共有する意味もある。ならば、シャルスは全てを顕にしていないのではないか
そういう疑念も当然生まれる、なかなかスカッとしない影の残し方である。過去の告白はあくまで自己申告であり、遭難状況では客観的事実を確かめる手段もない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
シャルスが嘘をついている(あるいは、真実の一部を言っていない)としても、それを現状確かめる手段はない。
シャルスがアリエスに優しい理由は、死んでしまった少女に似ているからだ。他人の空似、かつて掴めなかったものへの郷愁。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
それにしては、声も顔も名前も(Aries/Seiraと読むと、逆向きのアナグラムだ)似すぎている。
第5話で置かれた(と僕が見て取った)”クローン”という札が、奇妙な符号を見せる。
仮にシャルスが嘘をついている(≒”刺客”である)として、今回の回想をどこまで信じて良いのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
全てウソである可能性もあるし、一部だけ隠しているかも知れない。その塩梅は視聴者からは判然としない。
クソみたいな中世理論で動く、ヴィクシア特別区。王様気取り達の、珍獣動物園のハラワタも。
世界政府から特別に認められ、時間から取り残された檻。そこで特殊な価値観が発酵しているかどうかも、真偽を判断しきれない。判断基準はシャルスの証言だけだからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
しかしそこは信じていいとすると、まぁクソい。平民と貴族、生きていい存在と死ぬべき存在に、人を分ける発想が生き延びる蠱毒の壺
その価値観は他のクルーが身を置く世界では異常で、しかし檻の中では当然となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
観光客に奇異の目を向けられる世界が、住人の認識では伝統ある王国となってしまうように。珍獣扱いされてる存在が、生殺与奪の権利を持つ貴族様になってしまうように。
シャルスはその価値観に、どこまで染まっているか
深い暗闇の中で、謝罪とともに見ていた写真。そこに何が写っていたかは、未だ不鮮明だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
一見札を開けたようで、シャルス周辺はまだまだ闇が深い。その不鮮明自体が、彼のポジションを浮き上がらせるようで、なかなかイイ尻の座りの悪さだった。サスペンスだねぇ…。
そんな不安定を残しつつ、船は第四の惑星へ。スーパーハードコアな歓迎で、早速未来がぶっ潰れる。はえーよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
この不意打ちと、厳しい自然環境は新鮮でいい。灼熱に焼かれる日向と、凍りついた日陰の同居。人を拒む星だと、パッと見で分かる美術だ。
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キト公はキャンキャン喚く(ことで、当然発生するストレスを具体化し、解消していく)役を頑張って、妹に慰められていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
キトフニにしても、ウルガーとルカにしても、過去を乗り越えた者たちの変化が細かく切り取られるのは、継続性があっていい
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逆に言うと、このお話の”過去”ってのはそれを乗り越えるのとセットで描かれるもので、シャルスにはそういう描写がない。何が彼を縛っているのか、魂の核心に触れる感じが薄い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
ここら辺、狙って作ってると思うんだがなぁ…こういう、劇作からの逆算で犯人当てするの、あんま良くないね本当は。
前回”犯人役”をやったウルガーの変化は大きく取り上げられていて、人を脅すための道具を食料調達に使ったり、危険に飛び込む3人目に選ばれたり、カナタに”らしさ”を取り戻させたり、非常に頼もしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
自分の全てを曝け出し、それを仲間に受け止めてもらえば、人は変われる。
そういうポジティブな未来志向と、過去と共犯で作り上げてきた”自分”はなかなか変わらない現実認識が同居しているのは、この作品の面白さだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
相変わらずキト公はワンワン泣く。泣くよそりゃ。しかしフニに抱きしめられ、ザックに受け止められ立ち上がる
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絶望の中でも光を見つけ、お互い支え合って前に進んでいく者たち。ほのかなラブコメディも、このお話を構成する様々な要素の一つなのだなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
そういうピカピカから、やっぱシャルスは遠ざかっている感じがする。”一人、闇の住人”って描き方なのよねぇ…。
旅の終わり、迫る絶望。闇の中に少年たちは鏡合わせの船を見つけ、深く踏み込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
色の濃い闇の中で、確かに残ったメッセージ。ディスプレイの緑色の光は、確かな希望を強調する。まだ、全てが閉ざされたわけではない。
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もう一つの”船”の中で、カナタ達が出会った未知。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
”助けて”の声、目覚める眠り姫。それが何をもたらすか、どこから来たかは来週のお楽しみである。
しっかし眠り姫さんのピッチリスケスケ描写が気合入ってて、えっちで良かったな。
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緑が欠片もない不毛の大地だからこそ、ディスプレイの光がより強く希望に思えたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
謎の眠り姫に出会う展開を、キトリーにコールドスリープを説明して補強しておいたり。
作品全体をコントロールする細やかな意識が、随所に見えるお話でもありました。存外、ライティングと色彩コントロールが精妙よね
アストラ号はブリッジがOKで航行関係がダメ。新しい船はブリッジがダメ。ニコイチで修理して、眠り姫を仲間に加えて飛び出す展開かなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
こうして絶望が濃くなると、それをどう乗り越えていくかの予想も元気になって、不謹慎ながらワクワクするね。色々考える楽しみが濃いアニメだ。
そこで未来を考えられるのは、キャラクターがタフで誠実で、逆境を力に変えて前に進むと信じられるから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
作品全体が絶望ではなく希望を見据えていることも含め、お話への信頼感があるからこそ、ピンチは必ずチャンスに繋ると楽観も出来る。
ここら辺の信頼関係が作れているのは、とても有り難い。
実際ハードコアな試練や、薄暗い過去に囚われそうになっても、アストラ号クルーは力を合わせて乗り越えてきた。道は闇を通って、いつでも未来に繋がってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
そういう前向きなお話だからこそ、その光を巧妙にシャルスが避けてるのは気になんのよなぁ…ぶっちゃけまぁ”刺客”よね、書き方からして。
逆に言うと、書き方からのメタ読み以外で疑念を固めていく材料が足らない、って話でもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月14日
眠り姫さんとの出会いは、それを埋めていく新たな発見足りうるのか。
不毛の惑星から、未来へ漕ぎ出していくことは出来るのか。
アストラ号の冒険は、未だ終わらない。来週も楽しみです。