まちカドまぞく を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
ご先祖の悪巧みから始まったドリームダイブが、運命を突き動かしていく。泥土に閉じ込められた思い出、崩れる体調と孤独、お互いの領域への侵入。
知らず盗まれた血と、奪われた力。まぞく見習い、今防人の使命を背負うか。
というわけでけっこう大きな関係変化、シャミ子の桃ちゃん看病回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
ここ迄スパルタンな最強キャラだった桃が、あっという間に弱々になり、強さの一端をシャミ子に譲る。不当に弱い存在と、不当に強すぎる存在との関係が均衡化されていくエピソードであり、お互いの”家”に踏み込むお話でもある。
シャミ子の家には結界があるので、最初に踏み込むのは桃の方になる。物理領域よりも先に、ヘドロまみれの夢、幼い桃の思い出に踏み込む辺り、相当なズブズブ感が見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
何しろ皆善良なので、弱いところを見せられては攻撃できない。色々理由を付けて、涙を止めて泥を払おうとする。
桃の夢は殺風景で、実際に暮らす”家”と奇妙に呼応している。流した涙は泥となり、幼いままの桃(普段と逆転した身長差がグッド)は後悔にくれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
シャミ子が踏み込んで綺麗にしたのは、桃のトラウマなのか。それを生み出す魔法少女戦争とは何か。
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心のなかに踏み込んだはずなのに、むしろ謎が増える。夢解きとしてはなかなか正しい展開である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
ここまでゆるりと展開してきた魔法的日常が、存外シリアスな力を宿していた、と位相を変えるのが今回のエピソードかもしれん。
一発ネタと思っていた危機感リフォームは泥を飛ばし、コーラを実体化させる
ゆるいきらら系日常で流されていた変化は、確かに蓄積されて何かを変えつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
体が弱く休んでばかりいたシャミ子の立場は、今回桃の体調不良で反転する。街を守る魔法少女の宿命は、何故か宿敵であるはずのまぞくに預けられ、ライバルは一緒に街を守ることになる。
『まぞくと魔法少女』という形に拘らず、お互いの人格をしっかり見て交流すること。恩と借りを忘れずに、人として為すべきことを果たしていくこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
特別なパワーを持ちつつ、善良な人間であり続けようとする二人の関係は、奇妙な形だが真心の中で落ち着いてもいる。
今回桃の私室が暴かれたことで、彼女の衣食住が結構荒廃していて、夢で見た過去の荒廃と連動しているのが見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
だだっ広いが何処か寂しい家を、シャミ子は掃除し、食事を作る。ベッドではなくソファに寝る生活を変えさせる。
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これまで奢られるばかりだったシャミ子は身銭を切って水を買い、桃の大失敗ハンバーグを喜んで食べ、うどんを食わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
圧倒的に桃優位だった関係性が反転し、バランスを取る。それは魔法の領域だけでなく、生活の中でも起こる変化だ。
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必死にツンツンな態度を保とうとしても、シャミ子がすっかり桃にズブズブなのは丸わかりだし、弱みに付け込む邪悪さを到底持ち得ない(まぞくっぽくない)善人なのもよく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
そういう不均衡も、超常的パワーが血を介して平均化された今回以降、変化していくのか。シャミデレは”ある”のか。
そこら辺は先の話としても、シャミ子の献身介護で桃は調子を取り戻し、シャミ子の良心につけ込んで魔法少女の責務を果たす(そしてシャミ子と親密になる)小ずるさを取り戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
ちょっとおバカなシャミ子を、クールな桃が冷静に操縦する。鬼の霍乱を二人で切り抜けて、いつもどおりが戻ってくる。
しかし傷口から溢れたものは戻ってこず、桃はちょっと弱くなったようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
夢の中のヘドロを見るだに、その過剰な強さは彼女を不幸にしてるし、そんな泥もざりざりハンバーグもシャミ子は喜んで食べてくれる。
むしろ弱くなれる幸福を甘受できるところまで、二人の信頼が強まったと言えるか。
もともと生活感の出し方、当たり前の生活の中の優しさを描くのが上手い作品だけども、桃がよわよわになることで、ケア能力に長けたシャミ子の”当たり前の強さ”がよく見えた感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
それは孤独な戦士として、ソファで寝ながら街を守ってきた桃には、ない強さだ。
シャミ子が結界を破り、桃の強さを吸い取った(引き受けた)ように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
桃もまた、シャミ子が背負う”当たり前の強さ”を、今後獲得していくのかも知れない。
ハンバーグリベンジの誓いは、その道標足りうるか。細かいネタを丁寧に拾うので、今後の発展も楽しみである。
ドタバタで流された街の微妙なバランスも、今後魔法少女代行する中で掘り下げられるだろうし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
いい加減六話も付き合うと、使い捨てのネタのように思えるものが実は巧妙なパズルを作っていて、シリアスとゆるさの合間を絶妙に走っている作品だということ見えてくるな…。信頼感あるなぁ…。
次回はOPで暴れまわっていたみかん魔法少女も登場するようで、変化し続ける世界はさらなる加速を見せそうです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月16日
運命が何かを変えても、人はご飯を食べるし、傷に手を添える。当たり前を共有しながら、まぞく見習いと魔法少女の日々は続いていく。優しさは揺るがないまま強くなる。
来週も楽しみです。